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Fleeting lover (×in)

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世間に惑わされないように




次会ったら目を見て手をつなごう。






その心の奥底での宣誓だって、



時空に転がされて石ころのように池へ泡沫に消えていくんだ。










「ただいま…」




「おかえりなさい」




「パパ、おかえり!」







世間一般的、理想的な家庭。



周りの一言目は、いつもそう。






何処か理想的だ。

夫は妻を愛していないというのに。






何故、あの時俺は騙されたんだろう。



着々と進む式。

目を腫らした恋人。



そして、優しく言葉を紡ぐ恋人の声。










彼は、どうしているだろうか。

「もう会わないで」、そう震えた声で告げられた日から俺たちの時間は進んでいない。







「そうそう、七海なみの病院いってたから、ご飯作る時間ないの。コンビニ弁当でいい?」




珍しい、どんなときも手作りを心がける此奴がコンビニなんて。




「ああ。全然いいよ」





「わーい!なみ、コンビニのドーナツ好き!」





「ふふ、そうだったね。買ってあげる」




「やったー!!」






今はまだ、この娘の煌めきに支えられているべきと頭の中の司令塔から聞こえる。






なみの手を繋いで、5分の道を歩き始める。


嗚呼、この掌。
なんとなく柔らかくて彼奴に似てる。






神様、何でもかんでも彼に変えてしまう俺を許して。







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