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夢の中のお話

このお話は夢の中の出来事でした。

夢の中の私は後ろから抱き締められていたのです。

それは知っている人でした。

恋人や家族というわけではありません。

だけど嫌ではなかったのです。

なのでそのまま固まっていました。

実際は怖かったというのもあるのかもしれません。

なにしろ異性とここまで近づかないからです。

生まれてこの方そんなことはなかったです。

一瞬のうちに色々なことを考えました。

私の後ろにいる人はなかなかはなしてくれません。

私が話しかけようとした時、向こうが口を開きました。

落ち着く声でした。

高すぎない声が私の耳に滑らかに入ってきたのです。

後ろの人は、

「なんで気づいてくれないの」

と言いました。

私は心当たりがありませんでした。

私は決して鈍感でない部類にはいると認知してます。

私が黙っているとしびれをきらしたようです。

私の背中に顔を押しつけて、このようなことを言ったのです。

「ずっと見てるのに気づいてくれない」

「朝も昼も夜もいつも想ってるのに」

後ろの人は震えながら言葉を紡いでいく。

「この前だって挨拶したし」

「放課後残って勉強したじゃん」

私の頭がおいついていかない。

私が考えている間に私の肩に顎がのっていた。

耳にかかる息に驚いた。

それを見ると後ろの人は笑う。

「好きでしょ?」

「こういうの」

吐き捨てるように言った言葉が強く印象に残っている。

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