私だけ(高山×山下)
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「ごめん…許して」
何度声をかけても、ソファーに丸まって、ん〜と声を上げ続ける彼女。
無理やり抱き起こすと、その顔は全然笑ってなくて、口をへの字に曲げている。
私の膝に対面になるように無理やり座らせて、優しくぎゅっと包み込む。
「バカっバカっ!もう嫌い!」
なんて言いながら、私の背中をばんばん叩く彼女。でもその痛ささえも心地よく感じてしまうのは恋人の性なのかもしれない。
普通こんなに先輩を躊躇なく叩く後輩なんていない。でも彼女が私にそれをしてくれている。
私がおかしいのかもしれないけれど、正直その行為だけで特別感を感じる。
「ねえ、美月…」
「……」
「もうさ、しょうがないのよ」
「だって、与田嬉しそうな顔してたもん、あの場にいた全員、絶対ずーさんって呼ぶもん」
何が彼女をこんなに不機嫌にさせたのか。
乃木坂工事中の企画が原因だ。
与田ちゃんが先輩をあだ名で呼んでいいのか、という質問を私たちに投げかけてきた。
私としては後輩とは距離を縮めたいし、それがグループにもプラスに働くと思っている。
だから「ずーさん」以上の呼び方をして欲しいとお願いした。
これが彼女にとっては気に食わなかったらしい。
美月は話こそ振られなかったもののリモートで参加していて、スタジオの収録の様子をモニター越しに見ていた。
私たちの方からリモートで参加しているメンバーの様子は見えない。だけど何だか嫌な予感はずっとしていた。
そして収録終わって、楽屋に戻ると案の定、機嫌が確実に悪くなっていた。
密を避けるために、楽屋をかなり分けていて、今回の楽屋は私、美月、飛鳥、梅ちゃんの4人だった。
飛鳥は基本フラフラする人だからすぐにどこか行ってしまった。大方、その辺の空き部屋で過ごしているんだろう。
梅ちゃんは空気を察したのか、「飲み物買ってきます」って部屋を出ていった。
そして今この現状。
私たちに密なんて言葉はどうでもいい。
「ねえ、理由だけでも教えてよ」
「分かってるくせに」
「いつからそんな口が悪くなったの…言わないとわかんないよ」
「鈍感、一実さんのバカっ」
「鈍感でもバカでもいいから、教えてよ私に。」
「2期生の先輩はしょうがないけど、一実さんのこと下の名前で呼んでいいのは私だけなんです」
「なに、その可愛い理由」
理由があまりにも可愛すぎて、彼女を更にギューッと力強く抱きしめる。
「だから、みんなにずーさんって呼ばせないで」
うるうるした瞳で見つめられてしまったら、もう私に反論の余地なんて1ミリも無くなる。
「分かった、分かったから」
そう言いながら優しく彼女の頭を撫でる。
「また一実さんに嫌われることしちゃった…」
ってボソッと小さな声で呟く彼女。
「嫌わないよ、だって美月のこと大好きだもん」
「じゃあ、私の今1番して欲しいことしてください」
「1番してほしいこと…?」
「わかんないならもう今日は一実さんのお家行きません」
そう言い放ち顔をぷいっと背ける彼女。
「分かるよ美月のことならなんでも」
彼女の顔を両手で優しく包み込み、こちらを向かせて唇を重ねる。
チュッという短いリップ音が部屋に響いた。
「明日の仕事昼からだよね?今日は夜遅くまで遊んでも大丈夫だね。」
「もう…一実さんのバカっ」
そう言う美月の顔はでろでろに溶けきっていた。
その頃楽屋の外では2人を覗く人物が数名。
「あの二人気づいてないのかな?」
「気づいてたらああなりませんよね…」
「本当にバカップルやな」
「飛鳥さんいつ入ります…?」
「まあしばらくはこのままの方がいいんじゃない?」
「じゃあ、まちゅたちの楽屋にかもん〜」
足音が遠ざかっていく音がした。
「ふふ、作戦成功」
そう小さくガッツポーズをする美月。
私は頭の中にハテナが浮かんでいたが、翌日から一切「ずーさん」どころか「一実さん」とすら呼ばず、高山さん呼びを続ける3,4期生を見て全てを察した。
何度声をかけても、ソファーに丸まって、ん〜と声を上げ続ける彼女。
無理やり抱き起こすと、その顔は全然笑ってなくて、口をへの字に曲げている。
私の膝に対面になるように無理やり座らせて、優しくぎゅっと包み込む。
「バカっバカっ!もう嫌い!」
なんて言いながら、私の背中をばんばん叩く彼女。でもその痛ささえも心地よく感じてしまうのは恋人の性なのかもしれない。
普通こんなに先輩を躊躇なく叩く後輩なんていない。でも彼女が私にそれをしてくれている。
私がおかしいのかもしれないけれど、正直その行為だけで特別感を感じる。
「ねえ、美月…」
「……」
「もうさ、しょうがないのよ」
「だって、与田嬉しそうな顔してたもん、あの場にいた全員、絶対ずーさんって呼ぶもん」
何が彼女をこんなに不機嫌にさせたのか。
乃木坂工事中の企画が原因だ。
与田ちゃんが先輩をあだ名で呼んでいいのか、という質問を私たちに投げかけてきた。
私としては後輩とは距離を縮めたいし、それがグループにもプラスに働くと思っている。
だから「ずーさん」以上の呼び方をして欲しいとお願いした。
これが彼女にとっては気に食わなかったらしい。
美月は話こそ振られなかったもののリモートで参加していて、スタジオの収録の様子をモニター越しに見ていた。
私たちの方からリモートで参加しているメンバーの様子は見えない。だけど何だか嫌な予感はずっとしていた。
そして収録終わって、楽屋に戻ると案の定、機嫌が確実に悪くなっていた。
密を避けるために、楽屋をかなり分けていて、今回の楽屋は私、美月、飛鳥、梅ちゃんの4人だった。
飛鳥は基本フラフラする人だからすぐにどこか行ってしまった。大方、その辺の空き部屋で過ごしているんだろう。
梅ちゃんは空気を察したのか、「飲み物買ってきます」って部屋を出ていった。
そして今この現状。
私たちに密なんて言葉はどうでもいい。
「ねえ、理由だけでも教えてよ」
「分かってるくせに」
「いつからそんな口が悪くなったの…言わないとわかんないよ」
「鈍感、一実さんのバカっ」
「鈍感でもバカでもいいから、教えてよ私に。」
「2期生の先輩はしょうがないけど、一実さんのこと下の名前で呼んでいいのは私だけなんです」
「なに、その可愛い理由」
理由があまりにも可愛すぎて、彼女を更にギューッと力強く抱きしめる。
「だから、みんなにずーさんって呼ばせないで」
うるうるした瞳で見つめられてしまったら、もう私に反論の余地なんて1ミリも無くなる。
「分かった、分かったから」
そう言いながら優しく彼女の頭を撫でる。
「また一実さんに嫌われることしちゃった…」
ってボソッと小さな声で呟く彼女。
「嫌わないよ、だって美月のこと大好きだもん」
「じゃあ、私の今1番して欲しいことしてください」
「1番してほしいこと…?」
「わかんないならもう今日は一実さんのお家行きません」
そう言い放ち顔をぷいっと背ける彼女。
「分かるよ美月のことならなんでも」
彼女の顔を両手で優しく包み込み、こちらを向かせて唇を重ねる。
チュッという短いリップ音が部屋に響いた。
「明日の仕事昼からだよね?今日は夜遅くまで遊んでも大丈夫だね。」
「もう…一実さんのバカっ」
そう言う美月の顔はでろでろに溶けきっていた。
その頃楽屋の外では2人を覗く人物が数名。
「あの二人気づいてないのかな?」
「気づいてたらああなりませんよね…」
「本当にバカップルやな」
「飛鳥さんいつ入ります…?」
「まあしばらくはこのままの方がいいんじゃない?」
「じゃあ、まちゅたちの楽屋にかもん〜」
足音が遠ざかっていく音がした。
「ふふ、作戦成功」
そう小さくガッツポーズをする美月。
私は頭の中にハテナが浮かんでいたが、翌日から一切「ずーさん」どころか「一実さん」とすら呼ばず、高山さん呼びを続ける3,4期生を見て全てを察した。
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