私のために(松村×山下)
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「休業するくらいなら辞めます!」
隣の楽屋から聞き覚えのある声が聞こえた。
「活動できないなら乃木坂でいる意味ないんで」
「私なんか誰も必要としてない」
「心配かけるくらいならいない方がいい」
聞こえてくるのは否定的な言葉ばかり。
確かに最近彼女は何かに追われてるかのように、詰められているかのように、息抜きもままならず仕事ばかりしていた。
冷静になれる時間すらなかったんだと思う。
「ファンの人の幸せが1番幸せなんです」
「私が無理してでもみんなが喜んでくれるなら」
ただ彼女らしい愛のある言葉も聞こえてくる。
どんなに忙しくても自分の気持ちを押し殺してもファンの人のためにあろうとするまさに理想のアイドル。
「お疲れ様です」
いつもの笑顔。ただどことなく何かを背負っている笑顔。多分私に声が聞こえていたなんて思ってもいない。
「おつかれ」
普段通りにいつも通りに…。
「今日のお弁当見ました?カレーでしたよ!」
「え、ほんまに?」
「松村さんカレー食べたいって昨日収録中言ってたから」
「CanCamのスタッフさんは超能力者やな」
「お昼取りに行こうと思うんですけど、松村さんの分も取ってきましょうか?」
「ほんま?」
「ゲーム中みたいだし…すぐ取ってきますね」
「ありがとうな」
久しぶりのCanCamの現場。
2人だけの楽屋。
最近こんな感じで、居心地が良くなってきた美月と私。乃木坂の楽屋でも同じテーブルに座ることも少なくない。
「お!ありがとう!」
嬉しそうにカレーを2つ手に持って帰ってきた彼女。「美月2個も食べるの?ってスタイリストさんにバカにされたんですけど〜」なんて、ふざけてるけど空元気なのは私には見え見え。
2人でうわぁって言いながらお弁当を開けて、他愛もない会話をしながらご飯を食べる。CanCamの現場にはやっぱり美月が居てくれないとつまらんなぁ…なんて思いながら。
「なあ、この撮影終わったあと空いてる?」
「今日はこれが最後のお仕事なんで空いてますけど…」
「ちょっとだけ飲みに行かへん?」
「松村さん明日仕事朝早いんじゃ?」
「明日の朝の撮影リスケになって昼からになってしもうたんよ、ね、いいでしょ、ちょっとだけ」
「松村さんがいいならぜひ!」
こうして私は美月と夜ご飯の約束をとっ付けることに成功した。
美味しいご飯とお酒。
会話も一段落して落ち着いた今しかないと思った。
「ごめん!謝らな行かんことがあんねん」
「え?」
「今日スタッフさんと楽屋で話してたやろ、聞こえてしもうた」
「あ…。」
「聞くつもりはなかってん、やけど…」
「すみません、私の声が大きすぎましたよね」
「辞めるってほんまに言うてる?」
「はい、休業しなきゃいけないくらいなら乃木坂を辞めようと思ってます。」
「なんで…」
「私の基盤は乃木坂なんです。どれだけ外でお仕事もらっても乃木坂が1番なんです。外のお仕事のせいで、って言い方は良くないですね、外のお仕事で自分の体を壊して乃木坂の活動に参加出来ないのは、1番やっちゃいけないことなんです。」
「そんなことない!」
「優しいですよね、松村さんは。私はその先輩たちの優しさに甘えすぎてると思ってるんです。先輩たちはいつも頑張ってるね、無理しないでねって声をかけてくださるんです。だけど、私はどれだけ頑張っても先輩たちには追いつかないし、もっともっとやらなきゃいけないんです。この頑張り時に頑張れない後輩なんていない方がいいんです。」
「そんな事言わんといて…」
気づいたら私の頬を生暖かいものが伝っていた。
「なんで松村さんが泣いてるんですか」
そう言う美月の頬にもキラッと光るものが見えた。
「美月はほんまに頑張ってるで。乃木坂の活動もドラマも映画も舞台も、頑張りすぎてるってくらい頑張ってる。私がほかの現場に行っても山下さん良かったってわざわざ声掛けに来てくれる方もいるんやで。歌もダンスもお芝居もほんまに上手になった見違えるくらいに。それはしっかり努力できる人やからやろ?」
「努力するのは当たり前です。だって努力しても先輩に追いつかないんだから、先輩たちの何十倍も数をこなして経験を詰むしかないんです。だからここで休むわけには行かないんです絶対。」
「やから、美月は自分を追い込みすぎなんやって。今のままの美月はほんとに危うい。いつか壊れそう。だから辞めるんじゃなくて一旦お休みもらいな。スタッフさんも言うてくれてるんやし。」
「でも私がここで休んだらファンの人はどうなるんですか?おこがましいけど、私を応援してくれる人たちだって少なからずいます。その方たちが悲しむ姿は絶対に見たくないんです。」
「じゃあ、ここで美月に質問です。美月は加入前AKBのファンだったでしょ?もし自分の推しメンが頑張りすぎてる姿を見たらどう思う?」
「かっこいいな…っては思いますけど、それと同時に休んで欲しいって思います。推しメンが元気で笑顔でいてくれるのが1番幸せなんで。」
「ほら、答えわかってるじゃん。きっと美月のファンの人も同じ気持ちだよ。ファンの人だって分かってるよ美月が頑張ってること。だから大丈夫。美月のファンの人ってそんな薄情なの?」
「そんなわけないですよ、私のファンの方はみんな優しくて面白くて、いつでも私の味方でいてくれるんです。ふふ、恥ずかしいですね。」
久しぶりに本当の美月の笑顔を見た気がした。
ファンの人の話をするときこんないい顔するんだってくらい幸せそうな顔をする。
「やから、辞めるなんて簡単に言わんと。美月はこれからの乃木坂を支えていく人になる絶対に。だから今辞めちゃだめ。いつか後悔するし、私も後悔する。」
「松村さんも?」
「うわ、そんなこと言うつもりやなかったんに。」
「どういうことですか」
いつものいじり倒す美月に変わってた。
それに少しだけ安堵する。
「な、それは、またいつかね。」
休業から復帰したら絶対に伝えよう。
私にとって美月は大切な人だからって。
隣の楽屋から聞き覚えのある声が聞こえた。
「活動できないなら乃木坂でいる意味ないんで」
「私なんか誰も必要としてない」
「心配かけるくらいならいない方がいい」
聞こえてくるのは否定的な言葉ばかり。
確かに最近彼女は何かに追われてるかのように、詰められているかのように、息抜きもままならず仕事ばかりしていた。
冷静になれる時間すらなかったんだと思う。
「ファンの人の幸せが1番幸せなんです」
「私が無理してでもみんなが喜んでくれるなら」
ただ彼女らしい愛のある言葉も聞こえてくる。
どんなに忙しくても自分の気持ちを押し殺してもファンの人のためにあろうとするまさに理想のアイドル。
「お疲れ様です」
いつもの笑顔。ただどことなく何かを背負っている笑顔。多分私に声が聞こえていたなんて思ってもいない。
「おつかれ」
普段通りにいつも通りに…。
「今日のお弁当見ました?カレーでしたよ!」
「え、ほんまに?」
「松村さんカレー食べたいって昨日収録中言ってたから」
「CanCamのスタッフさんは超能力者やな」
「お昼取りに行こうと思うんですけど、松村さんの分も取ってきましょうか?」
「ほんま?」
「ゲーム中みたいだし…すぐ取ってきますね」
「ありがとうな」
久しぶりのCanCamの現場。
2人だけの楽屋。
最近こんな感じで、居心地が良くなってきた美月と私。乃木坂の楽屋でも同じテーブルに座ることも少なくない。
「お!ありがとう!」
嬉しそうにカレーを2つ手に持って帰ってきた彼女。「美月2個も食べるの?ってスタイリストさんにバカにされたんですけど〜」なんて、ふざけてるけど空元気なのは私には見え見え。
2人でうわぁって言いながらお弁当を開けて、他愛もない会話をしながらご飯を食べる。CanCamの現場にはやっぱり美月が居てくれないとつまらんなぁ…なんて思いながら。
「なあ、この撮影終わったあと空いてる?」
「今日はこれが最後のお仕事なんで空いてますけど…」
「ちょっとだけ飲みに行かへん?」
「松村さん明日仕事朝早いんじゃ?」
「明日の朝の撮影リスケになって昼からになってしもうたんよ、ね、いいでしょ、ちょっとだけ」
「松村さんがいいならぜひ!」
こうして私は美月と夜ご飯の約束をとっ付けることに成功した。
美味しいご飯とお酒。
会話も一段落して落ち着いた今しかないと思った。
「ごめん!謝らな行かんことがあんねん」
「え?」
「今日スタッフさんと楽屋で話してたやろ、聞こえてしもうた」
「あ…。」
「聞くつもりはなかってん、やけど…」
「すみません、私の声が大きすぎましたよね」
「辞めるってほんまに言うてる?」
「はい、休業しなきゃいけないくらいなら乃木坂を辞めようと思ってます。」
「なんで…」
「私の基盤は乃木坂なんです。どれだけ外でお仕事もらっても乃木坂が1番なんです。外のお仕事のせいで、って言い方は良くないですね、外のお仕事で自分の体を壊して乃木坂の活動に参加出来ないのは、1番やっちゃいけないことなんです。」
「そんなことない!」
「優しいですよね、松村さんは。私はその先輩たちの優しさに甘えすぎてると思ってるんです。先輩たちはいつも頑張ってるね、無理しないでねって声をかけてくださるんです。だけど、私はどれだけ頑張っても先輩たちには追いつかないし、もっともっとやらなきゃいけないんです。この頑張り時に頑張れない後輩なんていない方がいいんです。」
「そんな事言わんといて…」
気づいたら私の頬を生暖かいものが伝っていた。
「なんで松村さんが泣いてるんですか」
そう言う美月の頬にもキラッと光るものが見えた。
「美月はほんまに頑張ってるで。乃木坂の活動もドラマも映画も舞台も、頑張りすぎてるってくらい頑張ってる。私がほかの現場に行っても山下さん良かったってわざわざ声掛けに来てくれる方もいるんやで。歌もダンスもお芝居もほんまに上手になった見違えるくらいに。それはしっかり努力できる人やからやろ?」
「努力するのは当たり前です。だって努力しても先輩に追いつかないんだから、先輩たちの何十倍も数をこなして経験を詰むしかないんです。だからここで休むわけには行かないんです絶対。」
「やから、美月は自分を追い込みすぎなんやって。今のままの美月はほんとに危うい。いつか壊れそう。だから辞めるんじゃなくて一旦お休みもらいな。スタッフさんも言うてくれてるんやし。」
「でも私がここで休んだらファンの人はどうなるんですか?おこがましいけど、私を応援してくれる人たちだって少なからずいます。その方たちが悲しむ姿は絶対に見たくないんです。」
「じゃあ、ここで美月に質問です。美月は加入前AKBのファンだったでしょ?もし自分の推しメンが頑張りすぎてる姿を見たらどう思う?」
「かっこいいな…っては思いますけど、それと同時に休んで欲しいって思います。推しメンが元気で笑顔でいてくれるのが1番幸せなんで。」
「ほら、答えわかってるじゃん。きっと美月のファンの人も同じ気持ちだよ。ファンの人だって分かってるよ美月が頑張ってること。だから大丈夫。美月のファンの人ってそんな薄情なの?」
「そんなわけないですよ、私のファンの方はみんな優しくて面白くて、いつでも私の味方でいてくれるんです。ふふ、恥ずかしいですね。」
久しぶりに本当の美月の笑顔を見た気がした。
ファンの人の話をするときこんないい顔するんだってくらい幸せそうな顔をする。
「やから、辞めるなんて簡単に言わんと。美月はこれからの乃木坂を支えていく人になる絶対に。だから今辞めちゃだめ。いつか後悔するし、私も後悔する。」
「松村さんも?」
「うわ、そんなこと言うつもりやなかったんに。」
「どういうことですか」
いつものいじり倒す美月に変わってた。
それに少しだけ安堵する。
「な、それは、またいつかね。」
休業から復帰したら絶対に伝えよう。
私にとって美月は大切な人だからって。
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