左足のリグレット
name chenge
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【僕の負け】
私は、空の沈黙を、自分の手にはもうどうすることもできない現実の重さとして受け取った。
新しい指輪の輝きは、空が既に別の未来へと歩み出している動かぬ証拠だと、自分自身に言い聞かせた。
「あのさ、空」
私はポケットに入っているスマートフォンの冷たさを感じながら、話し始めた。
「私は、空が幸せならそれでいいよ。私のことは、もういいから。
きっと、その人は私なんかよりずっと、空のことを大事にしてくれるよ」
空の表情が一瞬、硬直した。
そして、その目に宿っていた僅かな期待の光が、ゆっくりと消えていくのを私は見て取った。
「……うん。わかった」
空の声は、乾いていて、何の感情も読み取れない。
震える声を誤魔化すように、少し口角を上げた。
それが作り笑いだとすぐに分かったけど、私は何も言わなかった。
「わざわざ会いに来てくれてありがとう。じゃあ、これで」
空は背を向け、そのまま歩き出した。
私も空に背中を向け、足音が遠ざかるのを立ち尽くして聞いていた。
「私の負けだ」
口から出たのは、それだけだった。
空の挑発に気づきながらも、臆病風に吹かれて諦めを選んだ、私の負けだった。
もう一度「好きだ」と言葉にしていれば。
この後悔は、もう二度と空に届くことはない。
冷たい11月の潮風が、アンクレットの冷たさを際立たせていた。