星が消えないうちに
name chenge
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9月19日:朝 康side
目を覚ますと、カーテンの隙間から光が漏れていた。
時刻は5時。今日の集合は6時半だ。そろそろ起きないと…。
腕の中の由奈はまだ眠っていた。
昨日と同じような光景に頬が緩む。
そっと、無意識のうちに、由奈の柔らかな髪を梳くように頭を撫でていた。
眠っている由奈は、こころなしか嬉しそうに、まるで甘えるように、わずかに身をすり寄せた。
安心して、くれてるのだろうか。
3日前までなら、由奈と一緒に寝るなんて考えられなかった。
きっかけは自分のやらかしだけど、この2日間で急激に縮まった距離を嬉しく思う。
由奈の無防備な寝顔を見れるのは私だけが良い、とさえ思ってしまう。
…身勝手な話だ。由奈はきっと、人見知りの先輩が話してくれたことを嬉しく思っているだけだろう。
んん、と由奈が目を覚ました。開いた目がゆっくりと私を見上げる。
「おはよ」
「おはよう、ございます…」
昨日とは逆の立場だ。由奈はわけがわからない、といった顔であたりを見回している。
「なんで、康さん…あれ、私、夜、そのまま…」
混乱する頭を整理するように、由奈が独り言つ。
恥ずかしい…と消え入りそうな声で呟いて、由奈が私の胸元に顔を埋めた。
長い髪の隙間から覗く耳が、真っ赤なっている。
その赤さには気づかないふりをして、由奈の頭をそっと撫でた。
「由奈、あのまま寝ちゃったから、部屋に連れてきちゃった」
由奈の部屋、わからなかったし。と付け加える。一応。
すると由奈がぱっと顔を上げた。
「送り狼だ」
「あ、こら、そんな言葉どこで覚えた」
「えへへ」
いたずらが成功した子どものような笑顔で言う由奈に、つられて笑ってしまう。
「あ、そうだ、康さん。…一線は?」
「!…超えてないです、神に誓って!」
「私は超えたいです」
その言葉とともに、頬に柔らかい感触がした。
柔らかい髪が私の頬を撫でる。
由奈の顔が真っ赤に染まっていた。
何がなんだかわからずに固まっているうちに、由奈が私の腕の中からするりと抜け出して、部屋を出ていった。
ドアが閉まる音で我に返る。心臓の音がうるさい。
頬に熱が集まるのを感じる。キス、された…?
去り際の言葉は、期待していいってことなんだろうか…
アラーム音が私を現実に引き戻す。
朝の準備をしながらも、脳裏にはさっきの出来事が焼き付いていた。
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その時、ホテルの廊下では田口愛佳が山内瑞葵を待っていた。
朝、散歩しようと昨日の夜にずっきーのほうから提案してきたくせに、約束の時間になっても現れない。
叩き起こすためにずっきーの部屋のドアをドンドン叩いてやろうかと思ったけど、ずっきーの隣が先輩の康さんの部屋だった事を思い出して辞めた。
あくびを噛み殺しながら、部屋に戻ろうと踵を返すと、後ろでガチャリとドアが開く音がした。
ずっきーが起きたかと思い、振り返ったけど、開いたのは隣の康さんの部屋だった。
なんだ、と思ったけど、部屋から出てきた人物に眠気が吹き飛ぶ。
秋山ちゃんが、康さんの部屋から出てきた…?
秋山ちゃんは私に気づいていないようで、そのままエレベーターホールに向かって走っていった。
…後輩相手に人見知りするあの康さんが、後輩の研究生と同じ部屋で一夜を過ごすほど仲が良いとは思えない。
16期の私でさえ、軽口を立たけるようになったのはここ1,2年の話なのに。
だいたい、17期ともまともに話してるところを見たことない。
それに、普段康さんが、秋山ちゃんと二人きりで話してるところだって見たことないのに。
これは、絶対に何かある。今日のバスは、康さんの隣に座ろう。
さっきまでの眠気は嘘のように消え、私の頭は康さんをどうイジろうかとフル回転し始めた。