星が消えないうちに
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9月17日:夜 康side
今日から3日間、福井、長野、新潟で出張公演。
この3日間が終わったら、しばらくはしばらくはAKBのお仕事から離れることになる。だから、楽しみな気持ちとすでに寂しい気持ちが半々だ。
福井の出張公演を終え、先輩の沙穂さん、彩希さんと同期のみーおん、せいちゃんの5人でご飯に来た。
「それにしても、みんなで地方を回るなんて久しぶりだよね」
右隣に座るみーおんがちびちびと日本酒を舐めながら言う。
勢いで頼んでみたもののやっぱり飲めなかったらしく、おそらく後で私のところに回ってくる。ノリで頼んだくせに飲めなかったお酒が回ってくるのはいつものことだ。
「2019年の全国ツアー以来だよね、多分」
「あのときいたメンバーももう半分くらいか~」
向かいの席の沙穂さんと彩希さんがしみじみと言う。
前回のツアーのときに17期以降のメンバーはまだ加入していなかったから、本当にメンバーが様変わりした。
「康はまだ17期以降の後輩ちゃんと話すとき緊張してるよね」
左隣のせいちゃんがにこにこしながら痛いところを突いてくる。
「しょうがないじゃん。緊張するもんはするんだから」
「今日の自己紹介MCで噛んだやつ、出張公演が最初で最後だからってことにしてたけど、周り後輩ばっかりで緊張してたんでしょ笑」
「みーおん黙って」
「ていうか、康の人見知りが17期入ってから加速してる気がするんだけど」
「確かに~。17期とか18期の子と話してるのあんまり見ないかも」
「しょうがないじゃないですかー。公演でしか後輩とあんまり絡みないのに、出る公演に後輩ほぼいないんだから!」
「僕太公演特化型」
「彩希さん、変なあだ名つけないでください」
人見知り、というか後輩限定の人見知りが遺憾なく発揮され、私は未だに17期以降の後輩と話すときは緊張してしまう。
先輩に対して緊張しないのは、後輩としての振る舞い方に敬語で話す、先輩を立てる、頼るみたいな最適解があるからだ。
でも、先輩としての振る舞い方はいろいろあるし、理想の先輩像みたいなものは自分の中にもあるけど、そんな振る舞いが許されるほどできた人間じゃないよな、と心の中で冷静になってしまう。
だからどうしても、後輩と話すときは緊張して口数が減ってしまう。
実際、16期やドラフトのメンバーからは「クールな人だと思ってたら、結構喋る人でびっくりした」と口々に言われた。
恥ずかしくなって、お酒を飲むペースが上がる。
顔が暑いのは酔いのせいなのか、恥ずかしさからなのかもう分からなくなってきた。
みーおんからは飲め飲めと言わんばかりに(みーおんが頼んだ)日本酒が御酌され、リズミカルに重ねた杯のせいで頭がうまく回らなくなってきた。
話もひとしきり盛り上り、明日も早いからということでお開きになった。
4人は酔冷ましにコンビニに行くと言っていたけど、気を抜くと倒れそうなくらい眠くて遠慮した。
明日も公演だし、移動もあって朝早いからささっとお風呂を済ませて寝よう…。
そう思って、ぼんやりしながらホテルに向かった。
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