短編
name chenge
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手を伸ばしても空を掴むだけだった。
【目が痛いくらい晴れた空】
5月の空は雲ひとつない快晴であまりの青さに吸い込まれてしまいそうだった。
昼下がりの屋上はポカポカしていて、時折通り抜ける風が気持ちいい。
私はフェンスから身を乗り出してもう一度更に手を伸ばす。
伸ばした先に何かあるわけじゃないけど、置き去りにした何かを掴めそうな気がした。
「何してんの」
「別に、、、空が近いなと思って」
「はぁ、、、?」
屋上に行けるらしいとどこからか聞きつけてきた康と屋上に来た。
普段閉ざされているはずの屋上に出るドアの鍵は珍しく空いていてなんか青春ぽいねと笑い合いながらドアをくぐった。
レッスン場は天井が近くて窮屈だった。今日みたいに人数が多い日は特に。
人が多いだけに会話も多く、いつもよりも喧しいレッスン場から私と康は抜け出してきた。
同期で、年齢も近くて、ずっとチームも一緒。
居心地がいい関係だった。
「ねえ、今私が康のこと好きって言ったらどうする?」
意味のない質問。ここで康がなんて返しても私の気持ちが揺らぐことはない。
それは多分康も同じ。
「どうするって、、、別に、どうもしない。
十夢は?」
「私も。ふーんて思う」
「なんだよそれ」
中身のない会話だ。
きっと康の中で私はただのメンバーだ。(大切な同期ぐらいには思っててほしいけど)
私の中の康は、、、やっぱりただのメンバーだ。
メンバーはみんな大切だけど同期はやっぱり特別で、同じ仕事に同期がいると安心するし、同じチームにいると心強い。
同期の誰かが選抜入りすれば自分のことのように嬉しいし、それと同じくらい悔しい。
それくらい同期は特別な存在なんだ。
「私、優花のこと好きだったんだよね」
「知ってる」
「でも、好きって言えなかった」
「それも知ってる」
久しぶりに口にしたその名前に胸の奥がチクリと痛む。
誰よりも特別だったのに、誰よりも特別だったから言えなかった言葉。
行き先をなくしたその言葉は目の前の同期に投げつけた。
私と康と優花は昇格してからずっと同じチームだった。
優花が一足先に昇格したものの、私と康が昇格してからはずっと。
今よりずっと子供で何も知らなかったあの頃。
ちょうど反抗期を迎えていた優花のご機嫌取りをするのが康で、なんとなく優花の隣りにいたのが私。
なんだかんだその形に落ち着いてたと思う。
「優花は、、、私のこと好きだったのかな」
「、、、まあ少なくとも私よりは十夢のこと好きだったと思うよ」
「怖かったんだよね、気持ちの答え合わせ。
もし自分と違ってたらどうしようって」
「、、、気持ちなんて本人にしかわからないよ。
他人にできるのは伝えられた気持ちを都合よく解釈するだけ」
「うん、、、」
「まあ、好きだったと思っておけば?
それか、十夢が優花を好きな気持ちは夢だった、とか」
【目が痛いくらい晴れた空】
5月の空は雲ひとつない快晴であまりの青さに吸い込まれてしまいそうだった。
昼下がりの屋上はポカポカしていて、時折通り抜ける風が気持ちいい。
私はフェンスから身を乗り出してもう一度更に手を伸ばす。
伸ばした先に何かあるわけじゃないけど、置き去りにした何かを掴めそうな気がした。
「何してんの」
「別に、、、空が近いなと思って」
「はぁ、、、?」
屋上に行けるらしいとどこからか聞きつけてきた康と屋上に来た。
普段閉ざされているはずの屋上に出るドアの鍵は珍しく空いていてなんか青春ぽいねと笑い合いながらドアをくぐった。
レッスン場は天井が近くて窮屈だった。今日みたいに人数が多い日は特に。
人が多いだけに会話も多く、いつもよりも喧しいレッスン場から私と康は抜け出してきた。
同期で、年齢も近くて、ずっとチームも一緒。
居心地がいい関係だった。
「ねえ、今私が康のこと好きって言ったらどうする?」
意味のない質問。ここで康がなんて返しても私の気持ちが揺らぐことはない。
それは多分康も同じ。
「どうするって、、、別に、どうもしない。
十夢は?」
「私も。ふーんて思う」
「なんだよそれ」
中身のない会話だ。
きっと康の中で私はただのメンバーだ。(大切な同期ぐらいには思っててほしいけど)
私の中の康は、、、やっぱりただのメンバーだ。
メンバーはみんな大切だけど同期はやっぱり特別で、同じ仕事に同期がいると安心するし、同じチームにいると心強い。
同期の誰かが選抜入りすれば自分のことのように嬉しいし、それと同じくらい悔しい。
それくらい同期は特別な存在なんだ。
「私、優花のこと好きだったんだよね」
「知ってる」
「でも、好きって言えなかった」
「それも知ってる」
久しぶりに口にしたその名前に胸の奥がチクリと痛む。
誰よりも特別だったのに、誰よりも特別だったから言えなかった言葉。
行き先をなくしたその言葉は目の前の同期に投げつけた。
私と康と優花は昇格してからずっと同じチームだった。
優花が一足先に昇格したものの、私と康が昇格してからはずっと。
今よりずっと子供で何も知らなかったあの頃。
ちょうど反抗期を迎えていた優花のご機嫌取りをするのが康で、なんとなく優花の隣りにいたのが私。
なんだかんだその形に落ち着いてたと思う。
「優花は、、、私のこと好きだったのかな」
「、、、まあ少なくとも私よりは十夢のこと好きだったと思うよ」
「怖かったんだよね、気持ちの答え合わせ。
もし自分と違ってたらどうしようって」
「、、、気持ちなんて本人にしかわからないよ。
他人にできるのは伝えられた気持ちを都合よく解釈するだけ」
「うん、、、」
「まあ、好きだったと思っておけば?
それか、十夢が優花を好きな気持ちは夢だった、とか」