短編
name chenge
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面白い人、それが第一印象だった。
【振り向きざまの】
秋元康さん。彼女は、AKB48の先輩だ。
初めて康さんと話したのは、劇場デビューのために19期でレッスンをしていた日のことだった。
同期のみんなとは緊張せずに話せるようになったけど、先輩とお話する機会はあんまりなくて、たまにご一緒したときにお話すると、とっても緊張していた。
そんな私に、康さんは気さくに話しかけてくれた。
「伊藤百花ちゃん、だよね?」
「…はい!」
「だよね!秋元康って言います。よろしくね!」
康さんはそう言って、にこやかに微笑んだ。
その笑顔はとても優しくて、私は少しだけ緊張が和らいだ。
そこから、私たちはよく話すようになった。
同い年で、地元も近いから帰りの方向が一緒で、必然的に一緒にいる時間が長くなったこともあるけど、何より康さんとお話するのがとっても楽しかった。
私が敬語で話していたら、神楽さんが「同い年だし敬語はなしで!」と言ってくれたけど、やっぱり先輩だし尊敬してるから敬語は抜けなくて…
康さんは「気にしなくていいのに~」とは言っていたけど、変わらず仲良くさせていただいている。
それに康さんはいつも面白い話をして、私を笑わせてくれた。
劇場公演やレッスンでも、私が質問すると、わかりやすく、丁寧に教えてくれた。
そして、何よりも、康さんは私のことを、いつも気にかけてくれた。
お披露目から程なくして、ドラマの出演が決まって同期みんなが出ているレッスンに出られなかったり、レッスンに出れてもついていくのがやっとで消化不良な日もあった。
そんなときは康さんが「大丈夫か~?」ってニコニコしながらそばに来て、私の気が済むまで練習に付き合ってくれた。
私が少しでも落ち込んでいると、すぐに気づいて「どうしたの?」と声をかけてくれた。
私はそんな康さんのことが、いつの間にか特別な存在になっていた。
私たちは先輩後輩を超えた関係だったと思う。
二人でご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったり。
同期や先輩からは、「付き合ってるの?」と何度も聞かれた。
そのたびに私は「違いますよ~」と笑ってごまかしていた。
だけど、本当は、康さんと…
そんな気持ちが、私の心の中で日に日に大きくなっていた。
この関係を壊したくない。
そう思うと、どうしても自分の気持ちを伝えることができなかった。
私たちはこの曖昧な関係をずっと続けていた。
そして、ある日のこと。
レッスンの後に二人でご飯を食べに行った帰り道。
二人で少しだけお酒を飲んだからか、お互いにお話が止まらなくて、まだ帰りたくない気分で、近くの公園に寄り道した。
公園のベンチに横並びで座って他愛ない話をする。
ぼんやりした街灯と月明かりが二人を照らしていた。
私は、少しだけ勇気を出して、康さんに聞いてみた。
「ねえ、康さん。私のこと、好きですか?」
康さんは、一瞬、真顔になって私のことを見た。
「…どうしたの?急に」
「いや、なんか、ふと、気になってしまって」
私は、そう言ってごまかした。
康さんは、少しだけ黙って、そしてこう言った。
「…好きだよ。大事なメンバーで大切な後輩だしね」
その言葉に、私は少しだけ、胸が痛んだ。
康さんが、私のことを、ただのメンバーで後輩だとしか思っていない、そう、改めて感じてしまったからだ。
「もう遅い時間だし行こっか」
駅に向かう間は、公園に着く前よりほんの少しだけ、もしかしたら私がそう思ってるだけかもしれないけど、ちょっぴり雰囲気が固くなった気がした。
でも康さんは楽しいお話をしてくれて、私も思わず笑ってしまう。
電車が、ホームに入ってきた。
ちょっぴり混雑した車内で私たちは並んで座った。
康さんは窓の外を流れる景色を、ただぼんやりと見ていた。
私の心は、なんだかもやもやしていた。
私たちの関係はずっと、このままなのかな。
そう思うと、少しだけ悲しくなった。
電車が私の最寄りの駅に到着した。
「今日は、ありがとうございました。楽しかったです」
康さんは、少し微笑んで「私もだよ」と言ってくれた。
「時間も遅いし送っていくよ」
「ええ、大丈夫ですよ!」
いいから、と言って康さんも電車を降りる。
二人で最寄り駅の改札を出る。
優しい人。そう、改めて思った。
だけど、優しいだけでは、もう、満足できなくなっていた。
私は、もっと、特別な存在になりたかった。
だけど…
家が近づいてきて私は、康さんにもう一度お礼を伝えるために、振り返った。
「康さん、本当に、いつも…」
その瞬間、康さんは、私の言葉を遮って、キスをした。
それはまるで、映画のワンシーンみたいだった。
私は、驚いて、何も言えなかった。
康さんは、ゆっくりと私から唇を離して、こう言った。
「…好きだよ。メンバーとしても、後輩としても…普通の女の子としても」
康さんは、少しだけ、いたずらっぽく微笑んだ。
私は顔が真っ赤になるのを感じた。
「…本当ですか?」
「うん。私は、本気だよ」
康さんの言葉に、私の心臓が、大きく、大きく、跳ねた。
「…嬉しい」
「私、いともものことが、好き。」
康さんの、まさかの告白。
私は、信じられなかった。
康さんは、私の顔を、じっと見つめていた。
その瞳に真剣な光が宿っていて、私は何も言えなくなった。
私は嬉しくて、泣きそうになった。
「…私も、康さんのことが、大好きです」
その言葉を聞いて、康さんは、満面の笑みで私を抱きしめた。
「…よかった。ずっと、言えなかったんだ。言ったら、いとももを困らせちゃうと思って」
康さんの言葉に、私は胸が温かくなるのを感じた。
「…私も、ずっと言えなかったんです。私だけが期待してるのかと思って」
「なんだ、ずっと両思いじゃん」
そう言って二人で笑いあった。
これからの二人がどうなっていくかはまだわからないけど、間違いなくそれは私の人生の中で、一番素敵な出来事だった。
私はこの振り向きざまのキスを、一生忘れることはないだろう。
【振り向きざまの】
秋元康さん。彼女は、AKB48の先輩だ。
初めて康さんと話したのは、劇場デビューのために19期でレッスンをしていた日のことだった。
同期のみんなとは緊張せずに話せるようになったけど、先輩とお話する機会はあんまりなくて、たまにご一緒したときにお話すると、とっても緊張していた。
そんな私に、康さんは気さくに話しかけてくれた。
「伊藤百花ちゃん、だよね?」
「…はい!」
「だよね!秋元康って言います。よろしくね!」
康さんはそう言って、にこやかに微笑んだ。
その笑顔はとても優しくて、私は少しだけ緊張が和らいだ。
そこから、私たちはよく話すようになった。
同い年で、地元も近いから帰りの方向が一緒で、必然的に一緒にいる時間が長くなったこともあるけど、何より康さんとお話するのがとっても楽しかった。
私が敬語で話していたら、神楽さんが「同い年だし敬語はなしで!」と言ってくれたけど、やっぱり先輩だし尊敬してるから敬語は抜けなくて…
康さんは「気にしなくていいのに~」とは言っていたけど、変わらず仲良くさせていただいている。
それに康さんはいつも面白い話をして、私を笑わせてくれた。
劇場公演やレッスンでも、私が質問すると、わかりやすく、丁寧に教えてくれた。
そして、何よりも、康さんは私のことを、いつも気にかけてくれた。
お披露目から程なくして、ドラマの出演が決まって同期みんなが出ているレッスンに出られなかったり、レッスンに出れてもついていくのがやっとで消化不良な日もあった。
そんなときは康さんが「大丈夫か~?」ってニコニコしながらそばに来て、私の気が済むまで練習に付き合ってくれた。
私が少しでも落ち込んでいると、すぐに気づいて「どうしたの?」と声をかけてくれた。
私はそんな康さんのことが、いつの間にか特別な存在になっていた。
私たちは先輩後輩を超えた関係だったと思う。
二人でご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったり。
同期や先輩からは、「付き合ってるの?」と何度も聞かれた。
そのたびに私は「違いますよ~」と笑ってごまかしていた。
だけど、本当は、康さんと…
そんな気持ちが、私の心の中で日に日に大きくなっていた。
この関係を壊したくない。
そう思うと、どうしても自分の気持ちを伝えることができなかった。
私たちはこの曖昧な関係をずっと続けていた。
そして、ある日のこと。
レッスンの後に二人でご飯を食べに行った帰り道。
二人で少しだけお酒を飲んだからか、お互いにお話が止まらなくて、まだ帰りたくない気分で、近くの公園に寄り道した。
公園のベンチに横並びで座って他愛ない話をする。
ぼんやりした街灯と月明かりが二人を照らしていた。
私は、少しだけ勇気を出して、康さんに聞いてみた。
「ねえ、康さん。私のこと、好きですか?」
康さんは、一瞬、真顔になって私のことを見た。
「…どうしたの?急に」
「いや、なんか、ふと、気になってしまって」
私は、そう言ってごまかした。
康さんは、少しだけ黙って、そしてこう言った。
「…好きだよ。大事なメンバーで大切な後輩だしね」
その言葉に、私は少しだけ、胸が痛んだ。
康さんが、私のことを、ただのメンバーで後輩だとしか思っていない、そう、改めて感じてしまったからだ。
「もう遅い時間だし行こっか」
駅に向かう間は、公園に着く前よりほんの少しだけ、もしかしたら私がそう思ってるだけかもしれないけど、ちょっぴり雰囲気が固くなった気がした。
でも康さんは楽しいお話をしてくれて、私も思わず笑ってしまう。
電車が、ホームに入ってきた。
ちょっぴり混雑した車内で私たちは並んで座った。
康さんは窓の外を流れる景色を、ただぼんやりと見ていた。
私の心は、なんだかもやもやしていた。
私たちの関係はずっと、このままなのかな。
そう思うと、少しだけ悲しくなった。
電車が私の最寄りの駅に到着した。
「今日は、ありがとうございました。楽しかったです」
康さんは、少し微笑んで「私もだよ」と言ってくれた。
「時間も遅いし送っていくよ」
「ええ、大丈夫ですよ!」
いいから、と言って康さんも電車を降りる。
二人で最寄り駅の改札を出る。
優しい人。そう、改めて思った。
だけど、優しいだけでは、もう、満足できなくなっていた。
私は、もっと、特別な存在になりたかった。
だけど…
家が近づいてきて私は、康さんにもう一度お礼を伝えるために、振り返った。
「康さん、本当に、いつも…」
その瞬間、康さんは、私の言葉を遮って、キスをした。
それはまるで、映画のワンシーンみたいだった。
私は、驚いて、何も言えなかった。
康さんは、ゆっくりと私から唇を離して、こう言った。
「…好きだよ。メンバーとしても、後輩としても…普通の女の子としても」
康さんは、少しだけ、いたずらっぽく微笑んだ。
私は顔が真っ赤になるのを感じた。
「…本当ですか?」
「うん。私は、本気だよ」
康さんの言葉に、私の心臓が、大きく、大きく、跳ねた。
「…嬉しい」
「私、いともものことが、好き。」
康さんの、まさかの告白。
私は、信じられなかった。
康さんは、私の顔を、じっと見つめていた。
その瞳に真剣な光が宿っていて、私は何も言えなくなった。
私は嬉しくて、泣きそうになった。
「…私も、康さんのことが、大好きです」
その言葉を聞いて、康さんは、満面の笑みで私を抱きしめた。
「…よかった。ずっと、言えなかったんだ。言ったら、いとももを困らせちゃうと思って」
康さんの言葉に、私は胸が温かくなるのを感じた。
「…私も、ずっと言えなかったんです。私だけが期待してるのかと思って」
「なんだ、ずっと両思いじゃん」
そう言って二人で笑いあった。
これからの二人がどうなっていくかはまだわからないけど、間違いなくそれは私の人生の中で、一番素敵な出来事だった。
私はこの振り向きざまのキスを、一生忘れることはないだろう。