とある世界のとある国の片田舎にある小さな村――イステアに一人の少女がいました。
　山羊の角を持った変わり者だった彼女は村の離れにある小屋で住んでいました。
　彼女はいつも独りでした。
　お父さんもお母さんもいません。
　ただ毎日薬草を摘み、村人に渡すだけの生活をしていました。
　
　来る日も来る日も薬草を摘んでは渡し、小屋までからかいに来る村の子供にイジメられました。
　彼女は凄く丈夫な身体をしているので魔法の的にされたりもしました。
　でも彼女は怒りませんでした。
　泣きもしませんでした。
　
　ある日、国の偉い人が村に来て彼女を欲しいと言いました。
　村人達は都合のいい女の子が連れて行かれるのは困るから断りました。

　そうしたら村は血の海になりました。
　偉い人が兵士達に村人達を殺すように命令したのです。
　残ったのは山羊の角の少女だけでした。

　彼女は国を偉い人と一緒にお城まで来ました。とても大きなお城です。