麦わらの一味の夢
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◆夢主視点
◆所謂セラピストのゾロとお手伝いのサンジ
◆激務で思考回路弱い夢主
◆現パロ風味
◆全員の名前出てきません
◆エロ突入前の前半のみのアップです
あ"ー…。さすがに限界。
感染症で何人か出勤停止、突然の退職者、その上納期目前。
社会人だから迷惑とは思わないけど、泥被るのも皺寄せ食らうのも私たち社畜だ…。
10連勤なのももういい。一度自宅に着替えを取りに帰っただけで社内のシャワーのみなのももういい。食事が片手で摂れるものだけだったのももういい。
とにかく寝たい。お腹空いた。その前にお風呂に入りたい。
連勤が延びそうだったけど無理矢理勝ち取った明日の休みは寝て過ごす。24時間寝てやる。もう決めてる。
今にも瞼が落ちそうだけど、必死に目を開けて何とか足を前へ出す。
賑やかな声とネオン。歓楽街。ここ通らなくても帰れるし客引きがウザくて普段通らないんだけど、ちょっと近道なんだよね。今日のゾンビみたいな私になんてお店のお兄さんも声かけてなんてこないでしょう。
なんて、ありとあらゆるものを睨みながら何とか歩いていると。ふっといい匂いが鼻をくすぐってきた。おじさんと歩いてる美人から香ってくるいい香りじゃなくて、お店の中から漂ってきたムスクとかとは違う、"いい匂い"。
思わず立ち止まって、右を匂って、左を匂って。三歩下がってまた嗅ぐ。
あ、あれかな。この歓楽街のメインストリートじゃなくてこの道を入ったところ。何軒かお店のようなものがあるけどどれも灯りがついてない。けど一軒だけ。このいい匂いの元であろう一軒だけ窓から明かりが漏れてる。
帰りたい、寝たい。けど、あのお店?が気になる。とか考える前に、私の足はそこへ向かっていた。
──ガラッ
「あ、あの…やってますか」
「ん?」
歓楽街には珍しく引き戸。パッと見は金髪の男の人以外は誰もいない。
「おっ、レディ1人?お客さん?やってるやってるぅ!」
カウンターに座ってこっちに背中を向けていたその金髪の人は私の方を見るや否やパッと笑顔になる。金髪、ヒゲ、馴れ馴れしさ。…チャラ男だ。それが第一印象。
「どーぞ、座ってよ」
カウンター、テーブル5つ。やっぱり誰も座ってない。
その真ん中のテーブル席の椅子を引いて、彼はそこを指さした。
「ありがとうございます」
さながらエスコート。金髪さんが私の動きに合わせて椅子に座らせてくれる。こんなことされたことないから新鮮だ。
「実は貸し切り客が急にキャンセルになっちまってさぁ。もう店仕舞いしてやろう!ってムカついてたとこだったんだ」
「はぁ…」
「ってとこにレディ1人のお客様♡たっぷりもてなしさせてくれ」
「はぁ」
なんかよくわかんないけど、歓迎はされてるらしい。
貸し切りがキャンセルだもんなぁ。それは気の毒だ。
そうそう。私だって一応は目的があってこの店に入ったんだった。
「あの、このお店からめちゃくちゃいい匂いして…。それ何ですか?まだあります?」
「おおっ!色々あるが…今日のオススメはホロホロ肉のビーフシチューだぜ」
「それ!お願いします!」
「おう、承知しました♡少し待っててくれ」
カレーでもない、ステーキでもない、スープみたいな、でもお肉の感じもある、とにかく美味しそうで仕方ない"いい匂い"。華やかなお色気のいい香りよりも美味しそうな匂いにつられてしまうんだから、今の私には食が足りてないんだろうな。
水やカトラリーと一緒に出てきた前菜。これもほっぺたが落ちるくらい美味しかった。
野菜とかドレッシングのこととか、こっちから聞いたら結構答えてくれた。手作りだったり拘りが詰まってるみたい。すごい。
お返しにもなんないだろうけど、店員さん?コックさん?からの質問にも答えて行く。まぁ私の近況って感じ。それはそれはつまらないだろうなぁ。社畜の話なんて退屈この上ないって…。
・
「ん!!!美味しいです!はぁぁ~…五臓六腑に染み渡りますぅぅ…」
「ははっ、それはよかった」
温かい料理なんて久しぶりだ。それに、腹ペコで食に飢えてることを差し引いても本当に美味しい。こんなの今までに食べたことない。あまりの美味しさに眠さと疲労感が吹っ飛ぶくらい。
聞くところによると、このごはん屋さんの料理は全部このコックさんが作ってるらしい。彼の創作料理、絶対食べたい。絶対の絶対にまた来る!常連確定。
「ごちそうさまでした!」
「おー。そこまで綺麗に食べてくれたら気持ちいいな」
「本当に美味しかったです!」
「ありがとう」
コックさんはカウンターで飲み物を飲みながら、食べてる私を楽しそうに見てた。作った料理を人が美味しそうに食べてる姿を見るのが好きなんだって。料理人の鑑か。
手を合わせる私の前からお皿を下げて、すぐにカップとソーサー、ポットや角砂糖などなどが置かれる。「熱くしてるから好きなタイミングで好きな量飲んで」って。嬉しい。ちょっと砂糖多めに飲んじゃおっかな。
・
「ふぅー…ごちそうさまでした」
「満足って顔に書いてる」
「はいそれはもう」
美味しくて温かい食事に、食後の飲み物。本当に満足。いや、大満足。
大満足ついでに、すんごい眠くなってきた。
「上、部屋空いてるぜ」
瞼が重くなってきた私に、金髪さんは店の奥の階段を指差してそう言ってきた。
「えっ?」
「ウチ、宿泊施設なんだ。ここはその中のレストランバー。ちなみにきみが入ってきた入り口は本来の入り口じゃねぇんだ」
「えっそうなんですね!失礼しました!」
うわっ!恥ずかしい!またもや眠気吹っ飛ぶ程の失態…てっきり食事処かと…。
「いや、裏口開けてた俺が悪いし、きみみたいなレディのお客様は大歓迎さ♡」
「そう言ってもらえると…」
ぺこぺこ頭を下げる私に「ぜんぜんOK」とサムズアップをしてくれる。
この上で泊まれるなんて、今の私には願ったり叶ったり。自分ちには帰りたいけど、正直この満足感のまますぐにお風呂入って寝られたら最高だ。失態を犯したのもあるし、もうこのままここに泊まらせてもらおう。
「どう?泊まるだろ?」
「はい是非。一部屋お願いします」
「よしきた!じゃ、ちょっと待ってて。鍵取ってくる。案内するから」
「あの、ここのお代は」
「ああ、まとめてで大丈夫だから!」
手をヒラヒラさせて彼は階段をのぼって行った。
フロントに行って住所氏名書いたりしなくていいのかな?もちろんちゃんと支払うし身元もきちんとしてるけど!でも何かめちゃくちゃユルいな…?
「おまたせー。どうぞこちらへ~♡」
「はい」
はやっ。全然待ってないけど。フロントを通ってないってのがうっすら気持ち悪いっていうか不思議な感じがするけど、とにかく金髪コックさんに着いていく。
・
「ここ。205号室をどうぞ。各種アメニティ用品、必要なものは完璧に取り揃えておりますのでご安心ください」
その部屋の扉の前に着くなり、金髪さんは急にうやうやしく私に頭を下げた。姿勢も綺麗。コックさんなのにホテルのフロントマンみたい。
「ありがとうございます。すごく助かります」
「いーえ♡ではごゆっくり♡」
私は鍵を受け取り中へ入る。金髪さんはフロントマンのスタイルがすぐ崩れて私に投げキッスを飛ばした。
…やっぱりチャラ男だ。
ふぅ。とりあえずお風呂だ。悲しいことに着替え一式は鞄に入ってる。歯磨きまでは絶対するぞ。そして明日は一日中寝る。せっかくのホテルだけどまた改めて来れるんだからその時に諸々堪能することにする。よし。
・
・
・
──……ピンポーン
──コンコンッ
──…ピンポーン…コンコンコンッ
遠い意識の向こうから音が聞こえる…。
寝てるのに…寝てたのに…。聞こえるけど動けないよ…。
「おーいお客さまー」
──コンコンコンっ
ああ…起きなきゃ。誰か呼んでる…。
「入りまーす」
──ガチャ
あれ。誰か入ってきた…ルームサービス?何か頼んだっけ…。眠気と戦いながら頭の中でぐるぐる考える。
うぅ…とりあえず目、開けなきゃ…。
「なんだ、起きてるじゃねぇか」
「…ん」
「時間だぞ」
入り口から現れたのは、ワゴンを押して白い施術着を着た緑色の短髪の男性。マッサージ師?整体師さん…?何か無料のサービスとかかな?
「ん…、あ…あの、すみません…起きます…」
「あ?別に起き上がらなくてもいい。寝とけ」
何だかぶっきらぼう、というか逆にフレンドリーというか。回らない頭でも「この人ほんとに接客中か」と疑問符が沸いてくる。だってあまりにも友達みたいな話し方だもん。まぁ別にいいけど。
とりあえず緑頭さんの動作を目で追う。部屋のクローゼットから折り畳み式のベッド?脚が長めで簡易と言うよりはしっかりしてる。多分施術用のものなんだな。
頼んではないけど、マッサージしてくれるなんてまたもや願ったり叶ったり。爆睡間違いなし。
「よし。じゃあ…お客さま。…まぁ、"おまえ"でいいか。施術は2時間を予定してる」
「2時間!え、ありがたいですけど、途中で寝ちゃうと思います」
「ああ、寝れるもんなら寝てくれて構わないが」
緑頭さん…施術の先生?は施術台のベッドにワゴンから取り出したタオルの類を敷いてセットしてる。
「おまえ、疲れも溜まってんだろ。なかなかひでぇ顔だな」
「はぁ……、え、わっ」
ひどいのは確かだけど、失礼だなぁと思ってたら先生が近付いてきた。急にふわっと身体が浮いて思わず先生の首に掴まった。すぐに施術台におろされたけど。わざわざ運んでくれたのか…びっくりした…先に言ってほしい…。初めてされたお姫様抱っこに、なんか一気に恥ずかしくなってしまった。
「あ、ありがとうございます…」
「しっかりサービスしてやるからよ」
私を下ろしてワゴンの上段に色々セットしてる。アロマも焚いてくれて…あ、いい香り。身体がリラックスできそう。先生の準備を眺めながら私も施術台にちゃんと寝転び直した。って、仰向けでいいのかな?
「うし。んじゃ始めてくぞ」
「はい、お願いしまーす」
……to be completed ……
◆所謂セラピストのゾロとお手伝いのサンジ
◆激務で思考回路弱い夢主
◆現パロ風味
◆全員の名前出てきません
◆エロ突入前の前半のみのアップです
あ"ー…。さすがに限界。
感染症で何人か出勤停止、突然の退職者、その上納期目前。
社会人だから迷惑とは思わないけど、泥被るのも皺寄せ食らうのも私たち社畜だ…。
10連勤なのももういい。一度自宅に着替えを取りに帰っただけで社内のシャワーのみなのももういい。食事が片手で摂れるものだけだったのももういい。
とにかく寝たい。お腹空いた。その前にお風呂に入りたい。
連勤が延びそうだったけど無理矢理勝ち取った明日の休みは寝て過ごす。24時間寝てやる。もう決めてる。
今にも瞼が落ちそうだけど、必死に目を開けて何とか足を前へ出す。
賑やかな声とネオン。歓楽街。ここ通らなくても帰れるし客引きがウザくて普段通らないんだけど、ちょっと近道なんだよね。今日のゾンビみたいな私になんてお店のお兄さんも声かけてなんてこないでしょう。
なんて、ありとあらゆるものを睨みながら何とか歩いていると。ふっといい匂いが鼻をくすぐってきた。おじさんと歩いてる美人から香ってくるいい香りじゃなくて、お店の中から漂ってきたムスクとかとは違う、"いい匂い"。
思わず立ち止まって、右を匂って、左を匂って。三歩下がってまた嗅ぐ。
あ、あれかな。この歓楽街のメインストリートじゃなくてこの道を入ったところ。何軒かお店のようなものがあるけどどれも灯りがついてない。けど一軒だけ。このいい匂いの元であろう一軒だけ窓から明かりが漏れてる。
帰りたい、寝たい。けど、あのお店?が気になる。とか考える前に、私の足はそこへ向かっていた。
──ガラッ
「あ、あの…やってますか」
「ん?」
歓楽街には珍しく引き戸。パッと見は金髪の男の人以外は誰もいない。
「おっ、レディ1人?お客さん?やってるやってるぅ!」
カウンターに座ってこっちに背中を向けていたその金髪の人は私の方を見るや否やパッと笑顔になる。金髪、ヒゲ、馴れ馴れしさ。…チャラ男だ。それが第一印象。
「どーぞ、座ってよ」
カウンター、テーブル5つ。やっぱり誰も座ってない。
その真ん中のテーブル席の椅子を引いて、彼はそこを指さした。
「ありがとうございます」
さながらエスコート。金髪さんが私の動きに合わせて椅子に座らせてくれる。こんなことされたことないから新鮮だ。
「実は貸し切り客が急にキャンセルになっちまってさぁ。もう店仕舞いしてやろう!ってムカついてたとこだったんだ」
「はぁ…」
「ってとこにレディ1人のお客様♡たっぷりもてなしさせてくれ」
「はぁ」
なんかよくわかんないけど、歓迎はされてるらしい。
貸し切りがキャンセルだもんなぁ。それは気の毒だ。
そうそう。私だって一応は目的があってこの店に入ったんだった。
「あの、このお店からめちゃくちゃいい匂いして…。それ何ですか?まだあります?」
「おおっ!色々あるが…今日のオススメはホロホロ肉のビーフシチューだぜ」
「それ!お願いします!」
「おう、承知しました♡少し待っててくれ」
カレーでもない、ステーキでもない、スープみたいな、でもお肉の感じもある、とにかく美味しそうで仕方ない"いい匂い"。華やかなお色気のいい香りよりも美味しそうな匂いにつられてしまうんだから、今の私には食が足りてないんだろうな。
水やカトラリーと一緒に出てきた前菜。これもほっぺたが落ちるくらい美味しかった。
野菜とかドレッシングのこととか、こっちから聞いたら結構答えてくれた。手作りだったり拘りが詰まってるみたい。すごい。
お返しにもなんないだろうけど、店員さん?コックさん?からの質問にも答えて行く。まぁ私の近況って感じ。それはそれはつまらないだろうなぁ。社畜の話なんて退屈この上ないって…。
・
「ん!!!美味しいです!はぁぁ~…五臓六腑に染み渡りますぅぅ…」
「ははっ、それはよかった」
温かい料理なんて久しぶりだ。それに、腹ペコで食に飢えてることを差し引いても本当に美味しい。こんなの今までに食べたことない。あまりの美味しさに眠さと疲労感が吹っ飛ぶくらい。
聞くところによると、このごはん屋さんの料理は全部このコックさんが作ってるらしい。彼の創作料理、絶対食べたい。絶対の絶対にまた来る!常連確定。
「ごちそうさまでした!」
「おー。そこまで綺麗に食べてくれたら気持ちいいな」
「本当に美味しかったです!」
「ありがとう」
コックさんはカウンターで飲み物を飲みながら、食べてる私を楽しそうに見てた。作った料理を人が美味しそうに食べてる姿を見るのが好きなんだって。料理人の鑑か。
手を合わせる私の前からお皿を下げて、すぐにカップとソーサー、ポットや角砂糖などなどが置かれる。「熱くしてるから好きなタイミングで好きな量飲んで」って。嬉しい。ちょっと砂糖多めに飲んじゃおっかな。
・
「ふぅー…ごちそうさまでした」
「満足って顔に書いてる」
「はいそれはもう」
美味しくて温かい食事に、食後の飲み物。本当に満足。いや、大満足。
大満足ついでに、すんごい眠くなってきた。
「上、部屋空いてるぜ」
瞼が重くなってきた私に、金髪さんは店の奥の階段を指差してそう言ってきた。
「えっ?」
「ウチ、宿泊施設なんだ。ここはその中のレストランバー。ちなみにきみが入ってきた入り口は本来の入り口じゃねぇんだ」
「えっそうなんですね!失礼しました!」
うわっ!恥ずかしい!またもや眠気吹っ飛ぶ程の失態…てっきり食事処かと…。
「いや、裏口開けてた俺が悪いし、きみみたいなレディのお客様は大歓迎さ♡」
「そう言ってもらえると…」
ぺこぺこ頭を下げる私に「ぜんぜんOK」とサムズアップをしてくれる。
この上で泊まれるなんて、今の私には願ったり叶ったり。自分ちには帰りたいけど、正直この満足感のまますぐにお風呂入って寝られたら最高だ。失態を犯したのもあるし、もうこのままここに泊まらせてもらおう。
「どう?泊まるだろ?」
「はい是非。一部屋お願いします」
「よしきた!じゃ、ちょっと待ってて。鍵取ってくる。案内するから」
「あの、ここのお代は」
「ああ、まとめてで大丈夫だから!」
手をヒラヒラさせて彼は階段をのぼって行った。
フロントに行って住所氏名書いたりしなくていいのかな?もちろんちゃんと支払うし身元もきちんとしてるけど!でも何かめちゃくちゃユルいな…?
「おまたせー。どうぞこちらへ~♡」
「はい」
はやっ。全然待ってないけど。フロントを通ってないってのがうっすら気持ち悪いっていうか不思議な感じがするけど、とにかく金髪コックさんに着いていく。
・
「ここ。205号室をどうぞ。各種アメニティ用品、必要なものは完璧に取り揃えておりますのでご安心ください」
その部屋の扉の前に着くなり、金髪さんは急にうやうやしく私に頭を下げた。姿勢も綺麗。コックさんなのにホテルのフロントマンみたい。
「ありがとうございます。すごく助かります」
「いーえ♡ではごゆっくり♡」
私は鍵を受け取り中へ入る。金髪さんはフロントマンのスタイルがすぐ崩れて私に投げキッスを飛ばした。
…やっぱりチャラ男だ。
ふぅ。とりあえずお風呂だ。悲しいことに着替え一式は鞄に入ってる。歯磨きまでは絶対するぞ。そして明日は一日中寝る。せっかくのホテルだけどまた改めて来れるんだからその時に諸々堪能することにする。よし。
・
・
・
──……ピンポーン
──コンコンッ
──…ピンポーン…コンコンコンッ
遠い意識の向こうから音が聞こえる…。
寝てるのに…寝てたのに…。聞こえるけど動けないよ…。
「おーいお客さまー」
──コンコンコンっ
ああ…起きなきゃ。誰か呼んでる…。
「入りまーす」
──ガチャ
あれ。誰か入ってきた…ルームサービス?何か頼んだっけ…。眠気と戦いながら頭の中でぐるぐる考える。
うぅ…とりあえず目、開けなきゃ…。
「なんだ、起きてるじゃねぇか」
「…ん」
「時間だぞ」
入り口から現れたのは、ワゴンを押して白い施術着を着た緑色の短髪の男性。マッサージ師?整体師さん…?何か無料のサービスとかかな?
「ん…、あ…あの、すみません…起きます…」
「あ?別に起き上がらなくてもいい。寝とけ」
何だかぶっきらぼう、というか逆にフレンドリーというか。回らない頭でも「この人ほんとに接客中か」と疑問符が沸いてくる。だってあまりにも友達みたいな話し方だもん。まぁ別にいいけど。
とりあえず緑頭さんの動作を目で追う。部屋のクローゼットから折り畳み式のベッド?脚が長めで簡易と言うよりはしっかりしてる。多分施術用のものなんだな。
頼んではないけど、マッサージしてくれるなんてまたもや願ったり叶ったり。爆睡間違いなし。
「よし。じゃあ…お客さま。…まぁ、"おまえ"でいいか。施術は2時間を予定してる」
「2時間!え、ありがたいですけど、途中で寝ちゃうと思います」
「ああ、寝れるもんなら寝てくれて構わないが」
緑頭さん…施術の先生?は施術台のベッドにワゴンから取り出したタオルの類を敷いてセットしてる。
「おまえ、疲れも溜まってんだろ。なかなかひでぇ顔だな」
「はぁ……、え、わっ」
ひどいのは確かだけど、失礼だなぁと思ってたら先生が近付いてきた。急にふわっと身体が浮いて思わず先生の首に掴まった。すぐに施術台におろされたけど。わざわざ運んでくれたのか…びっくりした…先に言ってほしい…。初めてされたお姫様抱っこに、なんか一気に恥ずかしくなってしまった。
「あ、ありがとうございます…」
「しっかりサービスしてやるからよ」
私を下ろしてワゴンの上段に色々セットしてる。アロマも焚いてくれて…あ、いい香り。身体がリラックスできそう。先生の準備を眺めながら私も施術台にちゃんと寝転び直した。って、仰向けでいいのかな?
「うし。んじゃ始めてくぞ」
「はい、お願いしまーす」
……to be completed ……
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