…御曹司サンド…
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──プ、プ、プ……プルルルルル…プルルルル…
俺のスマホから発信音が鳴る。それは決して大きいものではないのにやたらと部屋に響く。不安そうな顔の美咲は画面の文字をじっと見つめている。
俺の被害妄想でもないと思うが、まるで電話の向こうに「出てくれ」と祈っているように見える。
──プルルルル…プルルルル…プルルルル
「……」
「……」
妙な緊張感が流れた。俺は、画面を見つめる美咲の顔を見つめる。軽く30秒は鳴らしたのだが。留守番電話サービスには切り替わらないが、恐らく神宮寺は仕事中か。
──プルルルル…プルルルル…、プツッ
今は出られないのだろう。そう判断して俺は発信を停止した。美咲の視線もそこから俺へと移動する。
「…出なかったな」
「………」
これ以上ない不安な表情。俺の問い掛けに答えられないでいる。スマホを床…ラグの上に置くのを目で追っている。
「…美咲……」
俺は身を上げ、美咲の身体を前から抱き締めた。華奢な肩。ふわりと香るシャンプーの匂い。背中と後頭部に手のひらを添えてギュッと腕に納める。
押し戻される気配がないのをいい事に、横抱きをする様に片手を膝裏に回してソファへ押し倒した。そして驚いている彼女の下半身を跨ぎ、俺の四肢でその身体を閉じ込める。
抱き締めてからここまで。正直、この俺が手間取る事なくこの体勢に持ち込めているのが驚きだ。とっくに無我夢中だ。
「真斗くん…?」
「……っ」
この表情、以前も見た。普段と違う俺の様子を心配している顔、今から自分は何をされるのだろうと少し怯えている顔。
あの日に、見た。あの日、あの時、あの瞬間の感情と感覚、匂いに至るまでブワッと思い出した。ありとあらゆる欲をぶちまけたあの時を。
そして俺の心臓はまたドクンドクンと大きく音を立てる。
今の諸々とあの時の事が甦った影響とが合わさり、その音が尋常ではない。離れていても美咲に聞こえているだろう程だ。
「…ふぅぅ~~…」
暑い。身体が熱い。深呼吸をして、俺は上の衣服を全て脱ぐ。そして尚も俺を黙って見つめる美咲に覆い被さる様に抱き締め耳元に唇を寄せた。
「美咲…俺の事…、嫌いか?」
「ん…嫌いじゃない…」
「まだそんな……、」
あれだけ訳のわからん理論を並べられて更にはこんな状況。その上でまだその返事か。…もう知らないぞ。
「…美咲…、俺はもう引かんぞ…」
「んんっ」
そう言って、耳たぶをパクリと甘噛みした。
都合が良いのは百も承知。先程の返答はまたノーではなかった。そう判断したから。だから俺は言葉通りに。もう引かん。身体が重なっていて美咲とてもう気付いているだろう。俺の胸の高鳴りは止まらない。
右手も彼女の身体を這わせて進めていった。
──ちゅ、ちゅっ、れろー…、れろー…
「ん、あっ」
俺は美咲の首筋に唇を滑らせ、時に舌全体で舐め上げる。肩口に顔を埋め愛撫をしながら脇腹に手を入れて腰を撫でた。
ああ…そうだ、美咲の素肌…。すべすべでもちっとしていて、まるで手が吸い付いて離れない程に気持ちがいい。そうだった。またこうやって直接触る事が出来て…同時に以前を思い出して触れる度に俺の身体の中心に熱が集まってくるのがわかる。
「ふー…、ふー」
身体に触れながら、美咲の上半身をぴたりと覆うちょうちん袖のブラウスを下から捲し上げた。感覚で胸の上までそれらを上げる。俺も身体を起こしてまた彼女を見下ろした。
「んん…」
「……」
俺と目が合った瞬間にギュッと閉じる美咲。両腕を曲げ、胸の上で服を押さえる様に拳を並べている。その下で露になっている美咲の下着と腹部。
そこをまた俺に晒す事になってしまったな。
だが下着の刺繍。白地のそれにビタミンカラーの小花がいくつもある。その中で一番多いオレンジ色の花。それらを見て一瞬俺の手も止まってしまったが。まぁそれも一瞬の事。
「すまない美咲…そのままでいてくれ」
「あ、…んっ」
俺は身体を下げて唇を胸元へ。今晒している美咲の肌全てに口付けをしていく。胸元に口付けている時は手のひらは脇腹を撫で、臍や下腹部へ到達すれば手は太股サイドからスカートの中へ。やはり臍には舌を突っ込まずにはいられない。ぐりぐりと舌先を尖らせじゅるじゅるとキスをした。
「はー…。失礼する」
「あ、だめです、真斗くんっ」
グッと力を入れられたが。構わず美咲の太股に手を添えて開かせる。
──ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ、ちゅるっ
内太股の真ん中辺りから、また口付ける。股を閉じようと、下着を隠そうとスカートをグイグイ下げている。が、どちらも阻止。
左右どちらも、下着の際までを沢山口付けて、また時にレロレロと舐めて。それらをゆっくりと、優しく丹念に続けていると美咲からくぐもった、だが艶やかな吐息が漏れる。
…可愛い。もっと中心を舐めたい。
──グイッ
「ひゃっ」
「また舐めさせてくれ」
「うそ、真斗くん、待ってください」
股を大きく広げさせ、両膝を座面に近付ける。
勿論下着越しだが彼女の秘めたる部分がまた俺に晒される。この格好。本当に堪らないな。あそこが一番高い位置に広がっていて俺に一番近いのだから。
「待たない。ん…、」
「ん、ンっ」
直接ではないが。俺は股に顔を近付けそこに一番近い、また下着の際の部分をべろべろと舐めた。脚の付け根と言うのか、女性器の付け根と言うのか。そこをなぞる様に何往復と舐める。
──れろぉれろぉ、レロレロれろれろぉ♡
「ん、あっ、真斗くん、そこ、やだっ…」
「ん」
「あっ…!やっ、待ってっ!」
俺は下着の股の際から舌を入れて、隠れ閉じている美咲のそこの片方をなぞり舐めた。ビクッと動く彼女の脚はまた閉じようとしているがやはり両手でそれぞれ押さえて阻止。
「はー、はー、はぁー」
俺は顔を動かして下着を掻き分けてそこに舌を這わせ続ける。俺の唾液ではない粘液を舌で感じる。はぁ…もっと、もっと感じたい。もっとしゃぶりつきたい。
「はぁ…、脱がせてもいいか…」
「んぁっ」
これ以上汚してしまう前に。脚から下着を抜き取る。そしてまた大きく広げた。今度は直接、何も隔たりもなく露になるそこ。俺は生唾をゴクリと飲み込みまた顔を近付けた。
──ぢゅっ、ぢゅるる、じゅるっ、じゅるるるっ
「あっ…!まさ、とくんっ、そんなっ、あっあ、」
「………」
「あっ、あっ、アっ…!」
舌の腹で割れ目を掻き分け少し挿入した状態。唇で性器を包んでじゅるじゅると吸い上げた。
俺の唾液と美咲の愛液が混ざって音が卑猥だ。
──じゅるじゅるっ、ねちねちっ、じゅる、じゅるるるっ♡ちゅるっ、くち、くちくち、じゅるるる~
中に入っている舌を前後に動かせば粘液が淫らに混ざる音がする。
はぁ…堪らん。もっとかき混ぜたい。もっと味わいたい。
「はー、はぁ、はぁ…」
「そこ、だめ、だめぇ…」
指で割れ目の先を左右に広げ、可愛く主張しているそこを唇で吸う。
口を開け、舌をべーと出したまま小刻みに左右に刺激していく。
──レロレロ、れろれろれろっ…くりくりくりくりクリクリクリクリっ
「あっ…♡あ、だめっ、だめっ、あっ、あっあっ」
俺から全て見える。剥き出しにされ舌先で苛められているそこも、それに悦び震える美咲の身体も、眉尻を下げて可愛い声を発する美咲の顔も。
「まさ…、くんっ、あっ、だめ、イッ…、いっちゃうからっ…」
「…はー…はー」
──クリクリクリクリクリクリクリ…っ♡♡
「アッ、あ、あっ、あっ…!んんんっ…!」
美咲は手で口を塞いだかと思うとすぐ、身体がビクンと跳ねて性器がうねうねパクパクと動いているのがわかった。
それが収まるまでこちらの動きをゆっくりとしたものに変え、収まったら手と口をそこから離した。
「ふー、ふー…」
「……はぁ、」
口を塞いだまま目を瞑り胸で息をしている美咲を眺めながら手の甲で自分の口を拭った。
そしてすぐ、もう十分濡れている性器に指を当てがいそのままググ、と挿入した。
「んっ…!?」
「…痛くはないか?」
「………」
驚きつつもコクコクと頷いている。よかった。ではこちらも遠慮なく進めさせてもらうぞ。
──くち、くちょ…にちゅにちゅにちゅにちゅにちゅにちゅにちゅにちゅ♡
「ん、んん…」
「はぁ、はぁ…可愛いな、美咲…」
「やだ、恥ずかしい…っ」
音の事を言っているのか?混ぜる動きをしている訳ではなく、軽く抜き差ししているだけだからな。なのにこの様に卑猥な音を立ててしまっているのだから。恥ずかしがるのも無理はないが、俺としてはこの上なく可愛いしかないぞ。
「指増やすぞ」
「んんぅー…」
割れ目を撫で、指二本を挿入した。
入り口と中の手前をゆっくりほぐして。ずりずりと撫でるように中を擦りながら指の根元まで挿れ込む。そういう動きの抜き差しを何度も繰り返した。
──くちょくちょくちょくちょ♡ぬっちぬっちぬっち♡
「や…、真斗くんん…」
「ん?」
「あ、あー…ゆび、やだぁ」
「どこが気持ちいい?ここか?」
「んんっ…♡」
女子は…美咲はどこが気持ちいいのかピンポイントでは解りかねるが、俺とて拙いながらも知識として知っている。指をくの字に曲げ、ざらざらと熱く膨らんでいる箇所を指先で何度も刺激していく。
「だめっ♡真斗くん、あっ、そこもだめだからぁ…!」
「そうか、ここがいいか?イケるか?」
「あ、あっ、あっ、ん、」
──くちゅくちゅくちゅクチュクチュクチュクチュクチュッ♡
美咲の中のそこを、指先の腹で撫で擦り続ける。その指先の動きに合わせて愛液がまた耳を突く様にいやらしい音を立てる。
「そこ、だめっ、きもちい…からダメっ、あっ♡あ、あ、」
「そうか、よかった、嬉しい」
「まさ、とくんっ、あっ!お願いっ、あっ♡だめ、だめっ」
「大丈夫、このまま、イけ」
「んっ!ん、んんんっ」
──ちゅくちゅくちゅちゅくちゅくちゅくちゅくちゅく♡♡
やはりまた美咲は口元を手のひらで押さえて声を出さないようにしながら達した。俺の指をキュッキュと何度もまるで飲み込む様に締め付ける。ああ、嬉しい、嬉しい。俺の指で。指先だけで美咲をイかせられたのがとても嬉しい。よかった。
そして痙攣する中の感触は何とも言えない程気持ちがいい。最高だ。これを俺自身が挿って味わう事が出来たなら。
俺はそこから指を抜き、その手で自分のベルトに手を掛ける。彼女の素肌に触れた時からビクビクと反応し続ける俺自身。熱と血が集まり過ぎて苦しい。指がもつれてしまいそうになりながらも何とかベルトとボタンを解きファスナーを下げた。そして下着をずらしそれを取り出す。
「はー…すごい」
我ながら呆れる。既にガチガチと勃起したそれは、やっと解放されたと言わんばかり。欲望にまみれ期待しかしていない俺を手の中に収め少しばかりしごいた。
──くち、くちくちくちっ、クチュクチュクチュクチュクチュ
「はぁ、あ…」
「…ね、真斗くん…もう終わり、ですよね…?」
「ん…、言っただろう、もう俺は引かん、と」
「わっ」
両太腿をピタリと付け股を閉じる美咲。自身をしごいている俺に向かって少し身体を起き上がらせそう問うてきた。
が、終わりなどと勿論そんな訳はなく。閉じた脚をまた開いてやり片腕を頭上で押さえ付ける。
「俺の想いをまた受けてくれるのだろう?」
「んっ、そんなっ」
「頼む…」
「あっ…」
下半身同士をピタっとくっ付ける。そこに添えた俺の先端が入り口に少し入りキスをしている。そしてそのまま腰をぐぐ…、と前に出した。
──ずぶ、ずぶ、ずぶぶぶ…
「あ、んん…んんぅっ」
「う…、はー…くっ、ぅ」
難なく、滞りなく、するっと簡単に根元まで挿入出来た。
だが。段々美咲のぬるぬるに包み込まれ、むちむちの肉に飲み込まれていく段階全てが。既に昇天しそうな程の快感だ。身震いが治まらない。
もう二回達した後だからか、美咲の中はとても熱くて奥がうねうねと俺の先端をきゅっと咥えている。
「う…美咲…あー…気持ち、いい…」
「んん…」
「はー…あー…。ふぅ……、すまない、動く、ぞ」
「………」
その言葉を受けてか、また美咲は手で口を塞いだ。
──ずりー…、ずりー…、ずりー…
俺はゆっくりと腰を動かす。
うう…抜くも挿れるも気持ちがいい…。吸い付きと締まりが堪らない。あの時は本当に無我夢中以外の何者でもなかったが、今はこうしてゆっくり動いて観察し味わう余裕がある。
下品になってしまうが、美咲のぬるぬるに光る股の穴に俺の硬くなった股間がぴったりと隙間なく抜き差ししているのが丸見えなのだ。ぶちゅ、ぶちゅと穴に埋まって行って、その肉厚の穴が捲れる様に擦りながら股間が出てくる。これの繰り返しを見ているだけで達してしまいそうだ。
…こんな卑猥この上ない事があるか。それが何も纏わずに味わう事が出来ているのだからな。…ああ駄目だ。頭に血が上ってくる。また失態を犯しそうだ。
「ん、んん…、ん」
「はぁ…はぁ…はぁ…、美咲…もう少し速度を速めるぞ…」
「んっ!」
彼女の腰を両側から支えて掴み、俺は腰をガツガツ打ち付けた。
─ずっちゅっ、ぱちゅぱちゅっ、ずちゅずちゅっ♡
その時。
──ピリリリリリ…ピリリリリリ…
俺のスマホが着信を告げる。ラグの上に置いたままのそれ。チラと見下ろすと画面が上になったそこに表示されているのは「神宮寺レン」。それが目に入った瞬間、流石に俺も動きを止めてしまった。
「あ、あ…ん、」
「はっ…今頃遅いぞ神宮寺…っ」
が、それもまたもや一瞬のこと。すぐに腰の動きを再開した。
…そうだ、もう遅いぞ、神宮寺。"今"お前と交際している美咲は"今後"の俺との未来に向かっているんだからな。もう、遅い、遅い、遅い。
──ピリリリリリ…ピリリリリリ…ピリリリリリ…
「はぁ、はっ、はぁ…」
「待って、真斗くん…っ」
──ずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅっ
尚も着信音が鳴り響く中…俺はやめない。
美咲が手を伸ばしてくる。この着信音の向こうの人物にすがっているのだろう。だが辞めない。止めない。抜かない。俺はもう…、もはやこれらの中での背徳感すら快感だ。
──ピリリっ……
その音を無視し続けていると、諦めたのかピタリと着信音が止み表示が消えた。
…のだが。
──♪~~♪~~♪~~
…次は美咲の鞄の中から音楽が鳴る。これは彼女が設定している、着信を知らせるクラシックの音楽。
知ってか知らずか。神宮寺は俺と美咲が今一緒にいると踏んでいるのは間違いない。俺が出ないから続けて即時美咲のスマホへ、か。
神宮寺はさぞ焦っている事だろう。
グループLINEや個人間のメッセージでのやり取りはあるが。電話番号も勿論知っているが機能した事などない。
そんな俺相手からの電話…しかも互いに同じ現場ではなければ尚、何事かと思う筈だ。そして恐らくは俺と美咲が今日打ち合わせと知っていれば…な。俺も意地が悪い。もう少しの時間焦っていろと思ってしまう。
──♪~~♪~~♪~~♪~~
「…あ、んっ…ま、真斗くんっ…電話が…っ」
「ふー…、ふー…、…神宮寺だろうな…」
「出なきゃ…、んんっ…あ」
「はー…だい、じょうぶだ…、次は出る」
「んんんっ…」
──ぐにゅぅ、ぐにゅぅ♡ぐにゅう♡♡
俺は腰の動きを遅くして挿入を続ける。
──♪~~♪~~……
それを無視していると美咲のスマホの着信音が止んだ。次はもう一度俺のだ、間違いない。
──ピリリリリリ…ピリリリリリ…
ほらな。焦って焦って、画面を操作している光景が目に浮かぶ。
──ピリリリリリ…
仕方がない、美咲に言った通り。応対する事にする。
俺はその場で足を使いそれを手繰り寄せそのまま手を床に伸ばした。「神宮寺レン」。手の中のそれがまだ煩く俺に出ろと訴えている。流石にもう腰の動きは止めた。だが半分と少しは挿入したまま。
俺と美咲のぬるぬるを纏った下半身がスマホ越しに見えた。それに少しばかり身震いし、美咲に「出るぞ」と一言添えて通話アイコンをスライドした。
「はい聖か…」
『もしもし聖川?どうかした?』
聖川です、俺の電話でのいつもの第一声。それを言い切る前に神宮寺の声が遮る様に耳に飛び込んでくる。ああ、焦っているな。
美咲にも聞こえるようにスピーカーモードにした。が、俺の声の距離が不自然にならない様に耳にスマホを当てた。
「いや、すまない」
『電話なんて珍しいね。さっきもかけ直したんだけど』
「ああ、美咲と打ち合わせでな」
『美咲は?』
「もちろんいるが」
『美咲にも電話したんだけどね』
「そうか?気が付かなかった。マナーモードかも知れないな」
俺はずっと美咲の目を見ながら話す。
そして依然繋がっている先辺りの、彼女の下腹部をなでなでと擦る。
美咲は手で自分の口を塞いで不安げな目を涙で濡らし俺の顔を見つめている。
俺の言動の心配をしているのだろうな。
『そうかもしれないね。…で、電話だなんて気味悪いんだけど、何か用だった?』
「ああ、用事ならある」
「……っ!」
──にゅるぅ~、にゅるぅ~♡
俺はまたゆーっくりと自分を抜いて、またゆっくりと挿入。これを繰り返す。それに美咲が驚いているのがわかる。口を抑える手が両手になった。
「…が、解決した。楽曲制作で意見が…割れてな。一度神宮寺に…意見を仰いでみるのも手だと、俺が言ったのだ」
『ふぅん、それも珍しいね。まぁ解決したのならよかったよ』
「すまない、驚かせただろう」
『いや大丈夫。なぁ、美咲に代われるか』
「ああわかった、少し待て」
焦っていた不安な気持ちを落ち着かせる為に、今彼女の声を聞きたいのだろう。それは安易に想像出来た。
が、当の美咲は顔を左右に振る。まぁそうだろうな。俺はきっと出し入れを止めてはくれないのだから。滑りが良い、熱くてぬるぬるの感じている膣内を緩く攻められているこの状態でとてもではないがまともに話せないだろうからな。
──にゅる~、にゅる~、にゅるぅ♡
「ん、出られんか」
「……っ、……、」
「だそうだ、神宮寺。集中しているようだな」
『…そっか、残念だね』
また左右に首を振るのを確認して、神宮寺に断りを入れた。
流石にこれ以上は俺も美咲も危険だ。まぁ俺が動きを止めて抜けばいいだろうと言われればその通りなのだが、これは密かな神宮寺への意地悪だからな。電話の向こうでこんなことが行われているなどと、夢にも思うまい。
「後で連絡するそうだ」
『了解。オレも合間だからそろそろ戻る。じゃあね』
「ああ」
──プツッ
また画面が元に戻ったスマホを、ローテーブルを挟んで位置する向かいのソファに向かって投げた。無事着地した事を確認してからまた美咲に視線を戻した。まぁ通話中もずっと見ていたのだが。更には抜き差ししながら下腹部もずっと撫でていた。
今頃か、と思われるだろうが俺はそこから自身をぬる、と抜く。
「ん…ふー、ふー…」
「…どうなるかと思ったな」
まるで息を止めていたかの様だな。美咲は口を塞いでいた両手を開き胸に手を当てている。
俺の白々しい言葉にコクコクと頷いている。奴同様、美咲も焦っていたのだろう。俺が神宮寺に何と言うのか、通話中に何をされるのかが不安要素だろうな。
だが。俺が抜いた先端と美咲の秘部はぬとぬととした糸で繋がっている。一際濡れているように見受けるが。危機的状況と言える場面で美咲は興奮していたのではないのか。意地悪くそう聞いてみたい気もするが。
「ふぅー……、」
俺は自分の頬と目を覆ってくる髪を耳にかける。
この行為はライブの際、稀にするもの。無意識だが。その無意識の行為で、ライブの高揚感を思い出した。まさに今の俺の気持ちだ。フッと沸いてリンクしたこの感じに、俺は身震いした。とても、酷く、身体の中が高ぶっている。
「はー…美咲、もう一度、入らせてくれ…」
「んんん…ぁ」
俺は自分のものに手を添え、また美咲のそこに当てがう。そして力なくフーフーと呼吸を繰り返している美咲に、そのまま真っ直ぐ腰を前に出した。
──にゅ、にゅる、にゅるるる…
はぁぁ…。抜かずのピストンも何とも表現しがたい程の快感なのだが、先端から根元まで徐々に美咲の中に俺の股間が飲み込まれて行く、まずのこの感覚は格別。それこそ、先端から順番にぞわぞわとした性感が腰、背中、肩、頭に流れて行く。これが最高に気持ちがいい。俺は今、美咲と、美咲と一つに繋がったのだと。この上ない程に悦びを感じる瞬間だ。
「はー…、美咲…、とても、気持ちいい…、はぁ…」
「ん、んっ」
美咲に覆い被さり身体を抱き込む。すると耳のすぐ近くで感じる彼女の吐息。
そうだ、今、ここも遮られてはいないのだった。こうなればもう奴の言い付けを守っておいてやる必要もない。そうだろう。
──ちゅ、ちゅっ、んちゅ、ちゅる、ちゅうぅぅ…
「ん!…ん、んんぅ」
この前は出来なかった…させてはもらえなかった接吻。唇同士合わさるキス。美咲の柔らな唇に貪りつくように味わう。ああ、まるで乾いていた喉を潤わすかのように。我ながら引いてしまう程夢中で唇と腰を動かす。
あー…あー…たまらない。全身が悦びで満ちていく。頭の先、四肢の先端に至るまで痺れるくらいに気持ちがいい。溢れる想いも止められない。触れ合っている場所全てから、伝えたい、ぶつけたいとばかりに美咲にそれらを流し込む。
「ん、んんっぅ」
「ん…はぁ」
「ンぅ、まっ、まひゃ…んぅ、んん」
「フー、フー、フー」
俺の口付けから逃れた美咲は何か訴えようとしているがまたそれを塞いで阻止。今日は…今はもうこのまま、俺の想いを受け止めて欲しい…。
──ずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅ
あぁ…あぁ…、苦しい程に気持ちいい…。この、気持ちいいと苦しいと大好きだという想いを解かして受け止める事が出来るのは…美咲、お前だけなんだ。だから、だから、どうかこのまま。
「あっ、あ…真斗くん…だめ、抜いてっ…」
「ん…美咲…」
「ひ…ぁっ、あっ…!ぬいてっ…」
「…ン、なぜ…」
また唇を離される。懇願するような美咲の声に俺も頭を上げた。
「だっ、だって…あっ…だめ、イキそう、だから…!」
「そうか」
眉を八の字にして涙目で必死に俺にそう訴えてくる。その可愛い過ぎる姿に俺は口角が上がるのを感じた。
俺とこうして交わり、絶頂を迎えそうだから抜いてくれ?接吻をして、奥を突かれて見つめ合いながらエクスタシーを受け入れる事は。神宮寺に負い目を感じるか?
「あ、あっ…」
「大丈夫、だ…俺しか、いないだろう」
「でもっ、んあっ!あっ…!」
「美咲…すきだ…」
「んんっぅ」
──ちゅっちゅっちゅうぅぅーぐちゅっぐちゅぐちゅっぐちっ
「ンふ…ぅ、んっ、んんっ」
「…ハァ、ん…」
二度目の舌を絡ませる長い接吻。それを交わしながら腰も休まずに打ち付ける。イキそうなのだろう?同じ角度で動くから…何も考えずに、いや、俺の事だけを考えてエクスタシーを感じて欲しい…。
「ん!ン、ん…んぅ…ん、んん…!」
「…フー、フー、フー」
下半身がクイクイと動き、次に中がぐにゅぐにゅと俺のものを握り込む様に包む。はぁ…最高だ。夢にまで見た…。幾度となく想像した…。なかで直接…これが、美咲の中がイッている感覚か…。なんとも愛らしい。そして俺のものでも快感をここまで感じてくれたのがとても嬉しい。
フーフーと鼻で息をしている美咲の唇から少し離れる。お互いの唾液でてらてらと濡れて光っている、薄く開きぷっくりとした唇。瞼が半分閉じているが、もう半分は俺を見つめている。なんとも妖艶だ。
「はー、はー…」
「はぁ…、ん…。美咲…、可愛い…」
「…はー、はぁ…」
俺を見つめるその目に吸い込まれそうだ。紅潮している頬と潤んだ目と。その美咲の顔を見ていると、この状況も相まって錯覚しそうになる。お前は俺のものなのだと。
まぁ今は。こうやって俺の下で俺のものを咥え込んでいるのだからな。だから実際、今この瞬間は、美咲は俺だけの美咲なのは間違いない。そう思うと同時に、酷く甘い痛みが俺の心臓を容赦なく絞ってきた。
・
・
・
「では美咲。また後日ここで」
「…はい」
事後。
お互い身ごしらえを整える。美咲は心なしか恥じらいを含んだ表情で俺の方を確認する。俺の過信でなければ、美咲は俺を厭がったり敬遠した態度を取ってるとは思えない。そして、申し訳ないが俺も罪悪感などない。むしろ"これからの俺と美咲"の為の大きな前進、口火が切られたとさえ思う。
──♪~~♪~~♪~~
余韻を含んだ雰囲気を部屋ごと割る様に例の音が鳴り出す。
…神宮寺。
「後で美咲から連絡する」と言ったはずなのにな。彼女のスマホの着信音。間違いなく奴からだろう。美咲も今度は気まずそうに俺の顔を確認する。
「なんだ、出ないのか?」
「…出ます」
──♪~~♪~…、
「もしもし」とそれに対応する美咲。俺に背を向けて。奴と通話をしている後ろ姿を眺める。
はは、神宮寺。今お前が話してる彼女は、たった今まで俺に抱かれていたんだぞ。お前の許可など要らん。そんなものがなくとも、俺はお前と同じ事が美咲と"共に出来る"のだからな。
お前は俺を信用していたのか、見くびっていたのか。そんな事はもうどうでもいいが、俺に見せたその余裕。後悔してももう遅い。お前の自業自得だ。
願いを叶えてやったのに、と。忘恩負義だ、と。何とでも言え。俺はもう、"未来"しか見ない。
……END……
.240414.
→読まなくてもいいあとがき