夏の銀時夢SS集
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「旅行行かね?」
珍しく彼からそう言われ、気が付いたら車に乗っていた。行き先を聞いたら「遠い所」だと。詳しく教えてくれないのはサプライズのつもりなのかそれとも良からぬ場所だからなのか。まァどちらでも良い。付き合って数年、彼にはどこまでも着いて行くと決めた。
夜に出発し高速に乗った。街灯と街明かりが次々と流れていく。夜だとトンネルの方が明るくて走りやすいのは有難いことだ。眠気覚ましのヒットソングを聴きながら彼がハンドルを握る。対向車の灯りで時々見える儚げな銀髪と表情に見惚れてしまう。まるでこの世の人では無いようだ。
彼を眺めてるうちに寝てしまっていた。気が付くとどこかのサービスエリアに停まって、彼も寝ていた。サラリと彼の前髪に触る。フワフワの綿毛のような髪の毛。自然と笑みがこぼれた。
トイレに行って帰ってくると彼が起きていた。
「今どこら辺?」
と聞くと
「あと少しで着く」
と答えになってるようななってないような返事。素直に返事すりゃいいのにと呆れるが、昔からこうなので「OK」とだけ答えた。
高速を降りて下道に入った。朝日が昇り朝焼けで山々が萌える。朝とはいえまだ夏の強い日差しで目が眩む。窓を開けるとヒンヤリとした空気を浴びることが出来た。
山間を走って数時間、真っ青な水面と入道雲が目の前に広がった。山以上の夏である。うわぁと思わず感動の声が漏れ出る。
「ここが目的地?」
と聞くと
「いンや」
と微笑みながら短く答える彼。本当に私はどこに連れて行かれるのだろう…と助手席で伸びをした。
海を横目にさらに走ること数十分。途中コンビニに寄ったりして、ようやく海に面したとある寺の駐車場に停めた。
「よし、ちょっと歩くぞ」
と彼が言う。その手には花と線香が。
「分かったけど……もしかしてお墓参り?」
そう聞くとニヤリと「当たり」と笑った。
夏の日差しに照りつけられながら境内を歩く。スニーカーで来て正解だった。目的のお墓を見つけたのか、彼が少し足早に歩き出した。
「お、ココだ」
辿り着いたお墓には『〇〇家之墓』と書いてある。彼の苗字とは違う苗字である。
「これは…?」
「俺、前に里親で育ったって言ったよな?その里親の墓」
バケツに汲んできた水を墓石にかけ、洗いながら彼が言う。そういえば彼は少しだけ複雑な生い立ちだった。
「なるほどね」
と返事をして私も掃除を始める。墓石と線香立てを洗い、生えている雑草を抜き、花立の中を洗って新しい水を入れ、花を立てる。全体的に掃除を終わらせ、線香に火をつけ手を合わせた。
「……本当は生きている内に会わせたかったが、俺が家を出てスグあっち逝っちゃってな。…遅くなったけど連れてきた」
「銀時……」
手を合わせたまま墓石に微笑みかける彼。
「コイツが、一生一緒に居たいヤツだ」
「……え?」
予想外の言葉に思わず気の抜けた声が出る。いや確かにアラサーだけど、適齢期だけど、え、ここで?と色んな感情が出てきた。
「墓で言うのもアレだと思ったけどよ」
「いやほんとそれな!場所!」
と思わずツッコんで笑ってしまった。
「ほら、それだよ。オメーの自然な笑顔をアイツに見せたかったんだ」
と彼が眉を八の字にしながら笑う。
「笑顔が本当に最高なヤツなんだよ」
と。そんな風に思われてたなんて、付き合って数年気づいてなかった。
「盆だし、アイツも帰ってきてオメーのことちゃんと見れただろうからまたちゃんと言わせてくれや」
と彼がポケットから小さな箱を取り出す。思わず
「え、それもここで!?」と言ってしまった。すると彼はニヤッと笑って
「バァカ。ちゃーんと宿取ってんに決まってんだろォ?俺ら旅行に来てんだからよ」
といつものアホ面で言い放つ。
「良かった、公衆の面前で言われるのかと思った……あ、おじーさん空気が読めない奴ですみませんね」
と私は何も無いところに頭を下げた。彼が「え?マジで?」と青ざめていたが、さぁどっちだろうね。
蝉の声が静かに染み入る境内で、私たちは仲良く手を繋いで車に向かったのだった。
珍しく彼からそう言われ、気が付いたら車に乗っていた。行き先を聞いたら「遠い所」だと。詳しく教えてくれないのはサプライズのつもりなのかそれとも良からぬ場所だからなのか。まァどちらでも良い。付き合って数年、彼にはどこまでも着いて行くと決めた。
夜に出発し高速に乗った。街灯と街明かりが次々と流れていく。夜だとトンネルの方が明るくて走りやすいのは有難いことだ。眠気覚ましのヒットソングを聴きながら彼がハンドルを握る。対向車の灯りで時々見える儚げな銀髪と表情に見惚れてしまう。まるでこの世の人では無いようだ。
彼を眺めてるうちに寝てしまっていた。気が付くとどこかのサービスエリアに停まって、彼も寝ていた。サラリと彼の前髪に触る。フワフワの綿毛のような髪の毛。自然と笑みがこぼれた。
トイレに行って帰ってくると彼が起きていた。
「今どこら辺?」
と聞くと
「あと少しで着く」
と答えになってるようななってないような返事。素直に返事すりゃいいのにと呆れるが、昔からこうなので「OK」とだけ答えた。
高速を降りて下道に入った。朝日が昇り朝焼けで山々が萌える。朝とはいえまだ夏の強い日差しで目が眩む。窓を開けるとヒンヤリとした空気を浴びることが出来た。
山間を走って数時間、真っ青な水面と入道雲が目の前に広がった。山以上の夏である。うわぁと思わず感動の声が漏れ出る。
「ここが目的地?」
と聞くと
「いンや」
と微笑みながら短く答える彼。本当に私はどこに連れて行かれるのだろう…と助手席で伸びをした。
海を横目にさらに走ること数十分。途中コンビニに寄ったりして、ようやく海に面したとある寺の駐車場に停めた。
「よし、ちょっと歩くぞ」
と彼が言う。その手には花と線香が。
「分かったけど……もしかしてお墓参り?」
そう聞くとニヤリと「当たり」と笑った。
夏の日差しに照りつけられながら境内を歩く。スニーカーで来て正解だった。目的のお墓を見つけたのか、彼が少し足早に歩き出した。
「お、ココだ」
辿り着いたお墓には『〇〇家之墓』と書いてある。彼の苗字とは違う苗字である。
「これは…?」
「俺、前に里親で育ったって言ったよな?その里親の墓」
バケツに汲んできた水を墓石にかけ、洗いながら彼が言う。そういえば彼は少しだけ複雑な生い立ちだった。
「なるほどね」
と返事をして私も掃除を始める。墓石と線香立てを洗い、生えている雑草を抜き、花立の中を洗って新しい水を入れ、花を立てる。全体的に掃除を終わらせ、線香に火をつけ手を合わせた。
「……本当は生きている内に会わせたかったが、俺が家を出てスグあっち逝っちゃってな。…遅くなったけど連れてきた」
「銀時……」
手を合わせたまま墓石に微笑みかける彼。
「コイツが、一生一緒に居たいヤツだ」
「……え?」
予想外の言葉に思わず気の抜けた声が出る。いや確かにアラサーだけど、適齢期だけど、え、ここで?と色んな感情が出てきた。
「墓で言うのもアレだと思ったけどよ」
「いやほんとそれな!場所!」
と思わずツッコんで笑ってしまった。
「ほら、それだよ。オメーの自然な笑顔をアイツに見せたかったんだ」
と彼が眉を八の字にしながら笑う。
「笑顔が本当に最高なヤツなんだよ」
と。そんな風に思われてたなんて、付き合って数年気づいてなかった。
「盆だし、アイツも帰ってきてオメーのことちゃんと見れただろうからまたちゃんと言わせてくれや」
と彼がポケットから小さな箱を取り出す。思わず
「え、それもここで!?」と言ってしまった。すると彼はニヤッと笑って
「バァカ。ちゃーんと宿取ってんに決まってんだろォ?俺ら旅行に来てんだからよ」
といつものアホ面で言い放つ。
「良かった、公衆の面前で言われるのかと思った……あ、おじーさん空気が読めない奴ですみませんね」
と私は何も無いところに頭を下げた。彼が「え?マジで?」と青ざめていたが、さぁどっちだろうね。
蝉の声が静かに染み入る境内で、私たちは仲良く手を繋いで車に向かったのだった。
