#15 進捗は聞くものじゃない待つものですので何卒どうか
空欄の場合「鏡華」になります。
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◇◇
そしてさらに数日後。基本医務室とすぐ隣の私室の往復しかしない鏡華が、珍しく屯所の廊下を歩いていた。医薬品など必需品の発注書を確認してもらう為に、土方を探しているのである。すぐ見つかるだろうと思っていたが、なかなか見つからない。さっさと携帯に連絡すりゃ良かったと思いながら、沖田の私室近くを歩いている時だった。
「ハァー……おニューだったのに……」
これまた珍しく土方の気の抜けたため息が聞こえた。角を曲がると、沖田の私室の外で土方が刀を見ながらため息をついていた。
「あ、土方くんいたいた。探してたん……どしたの?」
「お、泉さん。旦那と進展ありやした?」
テレビを見ながら煎餅を食べていた沖田が鏡華の声に反応して振り返った。そして余計な一言を言い放つ。ピクッと鏡華の眉尻が上がった。
「どうも沖田くん。なんも進んでないですねェ残念だったなコノヤロー」
「チェッつまんねーや。土方さんですか?そっとしてやってくんなァ。土方さんこれで喧嘩負けんの、2回目なんでさァ」
「は?喧嘩?」
「泉さんも居たんでしょ?この前スナックで土方さんたちがやられたやつでさァ」
あぁ、アレ……と言いながら鏡華が土方の刀を覗き込んだ。見てみると刀身に綺麗にヒビが入っている。
「総悟、適当言うんじゃねーよ。負けてねェ。剣にヒビが入っただけだ」
「万事屋の旦那には剣折られてましたねィ。ありゃ負けでしょ」
「え、銀時とやり合ったことあんの?しかも剣折られたの?あっちゃ〜」
「オイあっちゃ〜ってなんだ、あっちゃ〜って。負けてねェよ。喧嘩は心が折れねェ限り負けたことにならねェ」
「さっすが土方さんだ。目の前で隊士10人やられたのに心が折れねェたァ、憧れるぜィその図太さ」
「どうせ刀使い物にならんし折っちまおうかなお前の首おとして」
カチャと刀を沖田の首に当てる土方。一方の沖田は全く気にしていない。「煎餅貰っていい?」と聞いてきた鏡華に対して「どーぞ」と返すだけの余裕もある。
「土方さん、峰打ちじゃなきゃ全員命取られてるところでしたぜ。相手は柳生の者とか……」
「柳生?柳生って、あの?」
煎餅を食べながら沖田が話を続ける。鏡華もまた煎餅をバリバリと食べながら会話に参加した。
「柳生家といやァ、かつては将軍家の指南役をおおせつかっていた程の名家。天人が来てから剣術は零落する一方だというのに、未だその華麗なる技を学ぶため門をたたく者も多いとか」
へー、と鏡華が相槌を打つ。バリバリと口を動かしながら2枚目に手を出した。
「これの次期当主たるが柳生九兵衛。小柄でガキみてーなツラした野郎らしいんですが、とんでもねェ神速の剣の使い手で柳生家始まって以来の天才と呼ばれているらしいです」
「あぁ、キャバクラで会ったあの子。次期当主だったんだ。そりゃあ土方くんが負けても仕方ないねェ〜」
変わらずバリバリと煎餅を噛みながら、鏡華がイヤミな笑みを浮かべて土方を見た。「進展あったか?」に対する仕返しのつもりである。一方の土方は顔を見なくても分かるぐらいイラつきながら「だから負けてねェっつってんだろ」と吐き捨てた。
「俺ァ、しょせん坊ちゃんが習う道場剣法。実践じゃ俺たちの方が上だと思ってましたがね、どうにも俺たちの田舎剣法じゃシティー剣法にはかなわねーらしい」
それに、と沖田が言葉を続ける。
「剣も色恋も……幼なじみの許嫁ときちゃあ、近藤さんの出る幕はねーや」
「え、待って?幼なじみの許嫁って何の話?」
煎餅を食べきった鏡華が沖田に食い気味に尋ねる。沖田はキョトンとした顔で鏡華の顔を見た。
「泉さん知らなかったんでィ?志村姉は柳生次期当主サマの幼なじみで許嫁らしいんでさァ」
「えーーー!そうなんだ……お妙ちゃんすごいじゃん、玉の輿じゃん。それは確かに近藤さん割り込む隙無いねェ」
「オメーら、近藤さんナメんなよ。今回の見合い、近藤さん見事あの王女口説きおとしたんだぞ」
刀を収めて2人の方を振り向きながら土方が話す。まさか見合いが成立するとは思っていなかった鏡華が「え゙っ」と驚きの声を上げた。
「マジでか。近藤さんゴリラ口説きおとしたの?てか口説いたの?ゴリラを?」
「よその星の王女サマをゴリラゴリラ連呼すんじゃねーよ。なんだかよくわからねーが、タフな所が気に入ったってよ。やればできるんだよあの人は」
「……するってーとなんですか?このままいったらあのゴリラが俺たちの姐さん」
「……アレ?そういえば今日近藤さんは?」
沖田の言葉のあとに鏡華が尋ねる。そういえば今日は近藤の姿を見ていない。3人が無言で顔を見合わせる。外ではポツポツと雨が降り始めていた。
そしてさらに数日後。基本医務室とすぐ隣の私室の往復しかしない鏡華が、珍しく屯所の廊下を歩いていた。医薬品など必需品の発注書を確認してもらう為に、土方を探しているのである。すぐ見つかるだろうと思っていたが、なかなか見つからない。さっさと携帯に連絡すりゃ良かったと思いながら、沖田の私室近くを歩いている時だった。
「ハァー……おニューだったのに……」
これまた珍しく土方の気の抜けたため息が聞こえた。角を曲がると、沖田の私室の外で土方が刀を見ながらため息をついていた。
「あ、土方くんいたいた。探してたん……どしたの?」
「お、泉さん。旦那と進展ありやした?」
テレビを見ながら煎餅を食べていた沖田が鏡華の声に反応して振り返った。そして余計な一言を言い放つ。ピクッと鏡華の眉尻が上がった。
「どうも沖田くん。なんも進んでないですねェ残念だったなコノヤロー」
「チェッつまんねーや。土方さんですか?そっとしてやってくんなァ。土方さんこれで喧嘩負けんの、2回目なんでさァ」
「は?喧嘩?」
「泉さんも居たんでしょ?この前スナックで土方さんたちがやられたやつでさァ」
あぁ、アレ……と言いながら鏡華が土方の刀を覗き込んだ。見てみると刀身に綺麗にヒビが入っている。
「総悟、適当言うんじゃねーよ。負けてねェ。剣にヒビが入っただけだ」
「万事屋の旦那には剣折られてましたねィ。ありゃ負けでしょ」
「え、銀時とやり合ったことあんの?しかも剣折られたの?あっちゃ〜」
「オイあっちゃ〜ってなんだ、あっちゃ〜って。負けてねェよ。喧嘩は心が折れねェ限り負けたことにならねェ」
「さっすが土方さんだ。目の前で隊士10人やられたのに心が折れねェたァ、憧れるぜィその図太さ」
「どうせ刀使い物にならんし折っちまおうかなお前の首おとして」
カチャと刀を沖田の首に当てる土方。一方の沖田は全く気にしていない。「煎餅貰っていい?」と聞いてきた鏡華に対して「どーぞ」と返すだけの余裕もある。
「土方さん、峰打ちじゃなきゃ全員命取られてるところでしたぜ。相手は柳生の者とか……」
「柳生?柳生って、あの?」
煎餅を食べながら沖田が話を続ける。鏡華もまた煎餅をバリバリと食べながら会話に参加した。
「柳生家といやァ、かつては将軍家の指南役をおおせつかっていた程の名家。天人が来てから剣術は零落する一方だというのに、未だその華麗なる技を学ぶため門をたたく者も多いとか」
へー、と鏡華が相槌を打つ。バリバリと口を動かしながら2枚目に手を出した。
「これの次期当主たるが柳生九兵衛。小柄でガキみてーなツラした野郎らしいんですが、とんでもねェ神速の剣の使い手で柳生家始まって以来の天才と呼ばれているらしいです」
「あぁ、キャバクラで会ったあの子。次期当主だったんだ。そりゃあ土方くんが負けても仕方ないねェ〜」
変わらずバリバリと煎餅を噛みながら、鏡華がイヤミな笑みを浮かべて土方を見た。「進展あったか?」に対する仕返しのつもりである。一方の土方は顔を見なくても分かるぐらいイラつきながら「だから負けてねェっつってんだろ」と吐き捨てた。
「俺ァ、しょせん坊ちゃんが習う道場剣法。実践じゃ俺たちの方が上だと思ってましたがね、どうにも俺たちの田舎剣法じゃシティー剣法にはかなわねーらしい」
それに、と沖田が言葉を続ける。
「剣も色恋も……幼なじみの許嫁ときちゃあ、近藤さんの出る幕はねーや」
「え、待って?幼なじみの許嫁って何の話?」
煎餅を食べきった鏡華が沖田に食い気味に尋ねる。沖田はキョトンとした顔で鏡華の顔を見た。
「泉さん知らなかったんでィ?志村姉は柳生次期当主サマの幼なじみで許嫁らしいんでさァ」
「えーーー!そうなんだ……お妙ちゃんすごいじゃん、玉の輿じゃん。それは確かに近藤さん割り込む隙無いねェ」
「オメーら、近藤さんナメんなよ。今回の見合い、近藤さん見事あの王女口説きおとしたんだぞ」
刀を収めて2人の方を振り向きながら土方が話す。まさか見合いが成立するとは思っていなかった鏡華が「え゙っ」と驚きの声を上げた。
「マジでか。近藤さんゴリラ口説きおとしたの?てか口説いたの?ゴリラを?」
「よその星の王女サマをゴリラゴリラ連呼すんじゃねーよ。なんだかよくわからねーが、タフな所が気に入ったってよ。やればできるんだよあの人は」
「……するってーとなんですか?このままいったらあのゴリラが俺たちの姐さん」
「……アレ?そういえば今日近藤さんは?」
沖田の言葉のあとに鏡華が尋ねる。そういえば今日は近藤の姿を見ていない。3人が無言で顔を見合わせる。外ではポツポツと雨が降り始めていた。
