#15 進捗は聞くものじゃない待つものですので何卒どうか
空欄の場合「鏡華」になります。
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『……えー、目印は長髪、このうざったい長髪です。この顔にピンときたらスグに警察にお電話を。死ねェェェェ桂ァァァァ!!』
テレビの中で腕にギプスをつけ松葉杖をついた女子アナが鬼の形相で叫ぶ。それを見ていた鏡華がブッとコーヒーを吹き出した。
「勘弁してくれよォ……ダチが『死ねェェェェ!』なんて言われてるの聞きたくねェよ……てかコレ、よくよく考えたらこの前沖田くんたちが大怪我して帰ってきたやつか。……大変だったんだな。てかあのヤロー、銀時のとこまで行きやがって。そのうち私のとこにも来んじゃねェよな?え?流石に敵陣には来ないよね?そこまでバカじゃないよね?いや、ヤツなら来かねない……やっぱ死んどくべきか……?」
コーヒーで汚れた口元を拭いながら鏡華が物騒なことをブツブツと呟く。番組が終わるとCMが流れてきた。
『……団子だけで千の世界を作り出す!うまーい団子、糖分王も大好き!江戸の団子は《魂平糖》♪』
歌に合わせて眼鏡をかけた岩盤娘……いや看板娘が、団子片手に投げキッスを飛ばす。次は鏡華の口からコーヒーが零れた。
「……あ、この団子屋、原田くんが潰れかけって言ってたけどCM出せるまでに回復したんだ。いーなァ、美味しそうだなァ。……団子食べたくなってきた」
またもや口元を拭いながら独り言を呟く鏡華。団子の口になった彼女は、とりあえず団子の代わりに電子タバコを咥えた。
ハーと息を吐くとさわやかなミントの香りが辺りに広がる。休憩終わりまであと10分。もう少しのんびりするかと、鏡華はソファにもたれかかった。
万事屋3人組の看病をしてから数週間後。あれから銀時に会うということも無く、鏡華は真選組で仕事に勤しんでいた。
銀時への気持ちをハッキリと認識したおかげか、妙にスッキリした鏡華は仕事でのミスも無くなりなんとかクビは免れた。代わりに土方と山崎、そして何故か沖田と近藤の4人がまるで「進捗どうですか?」と聞いてくる編集のように、「進展ありましたか?」と聞いてくるようになった。それも完全にからかってるな?コイツら?と分かる声色でである。正直鬱陶しい。自分の色恋にはこれっっっっっっぽっちも興味無いと言ってた土方まで聞いてくるのは如何なものか。思い出しただけでもイラついてきたな?、と鏡華は思いっきり煙を吸い込んだ。
「万事屋と進展あったか」
そんなことを考えながらハーと煙を吐くと、ソファの後ろからヌッと件の人物が咥えタバコで彼女の顔を覗いてきた。「ゲッ」と鏡華が露骨に嫌そうな顔で彼を見た。
「なんだよ土方くん……なんもないよ。残念だったねェ」
「まだか。そりゃあ残念だ」
そう言うと土方も鏡華の対面にある椅子に座った。そして咥えていた煙草を携帯灰皿に入れると新しい煙草に火をつけた。
「あのォ、今更だけど私の部屋喫煙所じゃねーんだけどォ?何ナチュラルにスパスパ吸ってくれてんの?」
ソファに体を預けながら、鏡華は土方をジト目で睨みつけた。
「カタいこと言うなよ。テメーも喫煙者だろーが。ココだと周りからとやかく言われなくていーんだよ」
「周りから言われなくても私が言うんだけどォ?それに私喫煙者じゃねーから。元だから」
そう言って2人して天井に向かってスパーと煙を吐いた。ミントの香りと煙草の香りが混ざりあい、なんとも言えない空間を醸し出す。すぐにまた煙を吐いた土方が、鏡華の顔を見てニヤリと笑った。
「……オメーの調子が戻ってくれてよかったぜ。イヤな思いをしないで済んだ」
クビのことを『イヤな思い』とは嫌味な言い方をする土方に、青筋をピキらせながら鏡華が煙を吐く。
「……そりゃ、ご心配をおかけしましたねェ。土方くんがムチ打ってくれたおかげですねェホント」
「あ?俺ァムチなんて打ったか?」
わざとらしく笑みを浮かべながら煙草を携帯灰皿の上に置き、持ってきた缶コーヒーを飲む土方。「白々しい……」と鏡華が眉間に皺を寄せた。
「てか沖田くんや近藤さんまで聞いてくンだけど。私は娯楽か?あん?」
「しょーがねェだろ。男所帯で恋愛モンとは程遠いんだからよ。あと近藤さんは純粋に乙女心が知りてーんだろ。意中の相手を落とすためによ」
「合コンでもしろ公務員。……あぁ、確かお妙ちゃんのことが好きなんだっけ?で、ストーカーやってるっていう」
そう。近藤は新八の姉――お妙に彼女が働くキャバクラで優しく接客されてから、何を勘違いしたのかストーカー行為を繰り返している。その事は屯所内外で広く皆が知る事実である。土方は持っていた缶コーヒーをテーブルの上に置いて煙草を咥えた。
「己の上司をストーカーとか言うんじゃねーよ。愛情表現が下手でちょっと陰湿なだけだ」
「それをストーカーと言うんだよバカヤロー。女側からしたらたまったもんじゃねーよソレ」
近藤の気持ち悪い話にドン引きする鏡華。お妙には紅桜篇の時に銀時の看病を任せた程度の間柄で詳しくは知らない。だが、10以上も離れた男に付き纏われるのは嫌だろうと想像するに難くない。
鏡華がチベスナ顔で土方を見ていると、土方が「そうだ」と思い出したように彼女の顔を見た。
「近藤さんの話題が出たついでだ。泉、今夜空いてるか?」
「特に何も無いけど……え、何」
「ちょっと付き合え」
突然の誘いに疑いの眼差しで土方を見る鏡華。身に何も覚えがない彼女が頭をフル回転させて「あ、そういうこと?」と声を出した。
「……え、そんな、まさか、やたら私と銀時のことを気にしてるのってそういう……!?」
突拍子も無いことを言い出した彼女に、今度は土方がチベスナ顔になった。
「……ん?何を勘違いしてやがる?俺は別にテメーのことなんか好きじゃねェんだが?」
「……ツンデレ?」
「だから違ェっつってんだろーがァァァ!!」
思いっきりシャウトした土方に鏡華が「冗談冗談」とヘラヘラと笑った。どうやら彼女のタチの悪い冗談だったようだ。ハァ、と土方がため息をついた。
「不本意だが、近藤さん関連で少し夜出なきゃ行けなくてな……お前もいると都合がいい」
いいか?と土方が咥えタバコで尋ねる。お願いのような体裁は取っているが、雇い主からの打診なのでほぼ命令である。何やら面倒くさそうな香りがするが、上下関係がある以上命令には逆らえない。
「……副長さんのご命令とあらば」
鏡華はため息をつきながら渋々了承したのだった。
テレビの中で腕にギプスをつけ松葉杖をついた女子アナが鬼の形相で叫ぶ。それを見ていた鏡華がブッとコーヒーを吹き出した。
「勘弁してくれよォ……ダチが『死ねェェェェ!』なんて言われてるの聞きたくねェよ……てかコレ、よくよく考えたらこの前沖田くんたちが大怪我して帰ってきたやつか。……大変だったんだな。てかあのヤロー、銀時のとこまで行きやがって。そのうち私のとこにも来んじゃねェよな?え?流石に敵陣には来ないよね?そこまでバカじゃないよね?いや、ヤツなら来かねない……やっぱ死んどくべきか……?」
コーヒーで汚れた口元を拭いながら鏡華が物騒なことをブツブツと呟く。番組が終わるとCMが流れてきた。
『……団子だけで千の世界を作り出す!うまーい団子、糖分王も大好き!江戸の団子は《魂平糖》♪』
歌に合わせて眼鏡をかけた岩盤娘……いや看板娘が、団子片手に投げキッスを飛ばす。次は鏡華の口からコーヒーが零れた。
「……あ、この団子屋、原田くんが潰れかけって言ってたけどCM出せるまでに回復したんだ。いーなァ、美味しそうだなァ。……団子食べたくなってきた」
またもや口元を拭いながら独り言を呟く鏡華。団子の口になった彼女は、とりあえず団子の代わりに電子タバコを咥えた。
ハーと息を吐くとさわやかなミントの香りが辺りに広がる。休憩終わりまであと10分。もう少しのんびりするかと、鏡華はソファにもたれかかった。
万事屋3人組の看病をしてから数週間後。あれから銀時に会うということも無く、鏡華は真選組で仕事に勤しんでいた。
銀時への気持ちをハッキリと認識したおかげか、妙にスッキリした鏡華は仕事でのミスも無くなりなんとかクビは免れた。代わりに土方と山崎、そして何故か沖田と近藤の4人がまるで「進捗どうですか?」と聞いてくる編集のように、「進展ありましたか?」と聞いてくるようになった。それも完全にからかってるな?コイツら?と分かる声色でである。正直鬱陶しい。自分の色恋にはこれっっっっっっぽっちも興味無いと言ってた土方まで聞いてくるのは如何なものか。思い出しただけでもイラついてきたな?、と鏡華は思いっきり煙を吸い込んだ。
「万事屋と進展あったか」
そんなことを考えながらハーと煙を吐くと、ソファの後ろからヌッと件の人物が咥えタバコで彼女の顔を覗いてきた。「ゲッ」と鏡華が露骨に嫌そうな顔で彼を見た。
「なんだよ土方くん……なんもないよ。残念だったねェ」
「まだか。そりゃあ残念だ」
そう言うと土方も鏡華の対面にある椅子に座った。そして咥えていた煙草を携帯灰皿に入れると新しい煙草に火をつけた。
「あのォ、今更だけど私の部屋喫煙所じゃねーんだけどォ?何ナチュラルにスパスパ吸ってくれてんの?」
ソファに体を預けながら、鏡華は土方をジト目で睨みつけた。
「カタいこと言うなよ。テメーも喫煙者だろーが。ココだと周りからとやかく言われなくていーんだよ」
「周りから言われなくても私が言うんだけどォ?それに私喫煙者じゃねーから。元だから」
そう言って2人して天井に向かってスパーと煙を吐いた。ミントの香りと煙草の香りが混ざりあい、なんとも言えない空間を醸し出す。すぐにまた煙を吐いた土方が、鏡華の顔を見てニヤリと笑った。
「……オメーの調子が戻ってくれてよかったぜ。イヤな思いをしないで済んだ」
クビのことを『イヤな思い』とは嫌味な言い方をする土方に、青筋をピキらせながら鏡華が煙を吐く。
「……そりゃ、ご心配をおかけしましたねェ。土方くんがムチ打ってくれたおかげですねェホント」
「あ?俺ァムチなんて打ったか?」
わざとらしく笑みを浮かべながら煙草を携帯灰皿の上に置き、持ってきた缶コーヒーを飲む土方。「白々しい……」と鏡華が眉間に皺を寄せた。
「てか沖田くんや近藤さんまで聞いてくンだけど。私は娯楽か?あん?」
「しょーがねェだろ。男所帯で恋愛モンとは程遠いんだからよ。あと近藤さんは純粋に乙女心が知りてーんだろ。意中の相手を落とすためによ」
「合コンでもしろ公務員。……あぁ、確かお妙ちゃんのことが好きなんだっけ?で、ストーカーやってるっていう」
そう。近藤は新八の姉――お妙に彼女が働くキャバクラで優しく接客されてから、何を勘違いしたのかストーカー行為を繰り返している。その事は屯所内外で広く皆が知る事実である。土方は持っていた缶コーヒーをテーブルの上に置いて煙草を咥えた。
「己の上司をストーカーとか言うんじゃねーよ。愛情表現が下手でちょっと陰湿なだけだ」
「それをストーカーと言うんだよバカヤロー。女側からしたらたまったもんじゃねーよソレ」
近藤の気持ち悪い話にドン引きする鏡華。お妙には紅桜篇の時に銀時の看病を任せた程度の間柄で詳しくは知らない。だが、10以上も離れた男に付き纏われるのは嫌だろうと想像するに難くない。
鏡華がチベスナ顔で土方を見ていると、土方が「そうだ」と思い出したように彼女の顔を見た。
「近藤さんの話題が出たついでだ。泉、今夜空いてるか?」
「特に何も無いけど……え、何」
「ちょっと付き合え」
突然の誘いに疑いの眼差しで土方を見る鏡華。身に何も覚えがない彼女が頭をフル回転させて「あ、そういうこと?」と声を出した。
「……え、そんな、まさか、やたら私と銀時のことを気にしてるのってそういう……!?」
突拍子も無いことを言い出した彼女に、今度は土方がチベスナ顔になった。
「……ん?何を勘違いしてやがる?俺は別にテメーのことなんか好きじゃねェんだが?」
「……ツンデレ?」
「だから違ェっつってんだろーがァァァ!!」
思いっきりシャウトした土方に鏡華が「冗談冗談」とヘラヘラと笑った。どうやら彼女のタチの悪い冗談だったようだ。ハァ、と土方がため息をついた。
「不本意だが、近藤さん関連で少し夜出なきゃ行けなくてな……お前もいると都合がいい」
いいか?と土方が咥えタバコで尋ねる。お願いのような体裁は取っているが、雇い主からの打診なのでほぼ命令である。何やら面倒くさそうな香りがするが、上下関係がある以上命令には逆らえない。
「……副長さんのご命令とあらば」
鏡華はため息をつきながら渋々了承したのだった。
