#14 弱ってる時優しくされるとコロッといっちゃうよねアレそんなことない?
空欄の場合「鏡華」になります。
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―――『……時』
……ふわふわとした視界の中、誰かの声が聞こえる。誰だ、と思う前に「あぁ、アイツの声か」とすぐに分かった。
―――『銀時』
穏やかに自分の名前を呼ぶ声。子供の頃から聞いてきた、好きな声。
―――『私は……あんたの事が好きだよ』
ガバッと起き上がって銀時が目を覚ました。心臓がバクバクとうるさい。アイツが俺の事を好きだなんて、そんなの言うはずがない。新八があんなこと言うから、都合のいい夢を見ちまったと、銀時は盛大にため息をついた。
……どれくらい眠っていたのだろう。部屋を見渡すと障子から漏れる光は太陽の光ではなく、煌々と輝くかぶき町の街明かりになっていた。横にいる新八と神楽はまだ寝息を立てて眠っている。
ふと寝間着が汗だくになっていることに気づいた。寝起きも妙にスッキリしている。熱が下がったのだろうと銀時は直感的に感じた。頭をボリボリとかきながら、汗を流しに風呂に入るかと布団から出た。
―――流石にアイツも帰っただろ……
と、鏡華のことを考えながら銀時が応接間の扉を開けた。
「あ?」
銀時が素っ頓狂な声を出す。彼の目の前には、台所に立つポニーテールをした薄緑色の着物を着た女がいた。コンロの明かりが湯気と彼女が吸っているのであろう電子タバコの煙を映している。夢の続きなのだろうか。ほんの少し、銀時の心臓がうるさくなった。
銀時の気配に気づいた鏡華が「起きたか」と煙を吐きながら声をかけた。
「おそよう。調子はどう?」
「熱は下がったっぽいが……オメーまだ居たのか」
平静を装って銀時がペタペタと鏡華の近くまで歩く。彼女の手元を覗き込むと、どうやら料理をしていたみたいだった。
「あぁ、朝ごはん作っててやろうと思ってね。とりあえず野菜スープ作っておいた。消化にいいからさ。特にあんたと新八くんはゼリーしか食べてないし。朝ごはんこれ食べるんだよ」
「おー。オメーほんと母ちゃんみてーだな。八郎の母ちゃんもビックリするレベルの母ちゃんっぷりだわ」
何を言ってるんだか…と言いたげな顔で鏡華が「そうかもね」と適当に流した。
「てかさ、なんか昔思い出したわ。あんた子供の時も高熱出したことあったよね。私と先生で看病したの。覚えてる?」
ククッと笑いながら鏡華が銀時に尋ねた。銀時はというと、昔のことを急に言われたからか遠い目をしている。
「……そんなことあったっけか?オメー忘れっぽいくせにそういう事は覚えてンの、タチわりーな」
「あったよォ〜。超面白かったもん。あんなに弱ってた銀時は後にも先にもあの時だけじゃねーかな。あんたって体調崩す時はほんとに悪くなるし、マジでゼロか百かだよね」
鍋をかき回して鏡華が笑う。銀時が「ケッ」と悪態をついた。
「面白かったって……人が熱出してんのを面白コンテンツみたいに言うんじゃねーよ。ったく、お里が知れるんじゃなくって?」
お嬢様言葉でボヤいた銀時に鏡華がプッと吹き出す。彼女の笑顔に釣られて銀時も微笑んだ。
「……オメーにゃなんだかんだ昔っから世話になってんな。戦に負けてバラバラになっちまった時は、もう会うこともあるめーと思っていたが……まさかまた世話になるとはなァ」
「それを言うなら私もだわ。こんだけ時間が経って、アラサーになってからだよ?まさかあんたにまた会えて、看病してるだなんて思わなかったよ」
お互いニッと笑う2人。鏡華の笑顔にドキッとした銀時が「そういや」と慌てて話を変えた。
「お前何しにウチ来たワケ?なんか用事あったんじゃねーの?」
「え?………………あ」
銀時の問いかけに本来の目的を思い出した鏡華が一気に赤面する。突然顔と耳を真っ赤にした彼女に銀時がギョッと驚いた。
「え、何?お顔がものすごく真っ赤になってますけど?茹でダコ並に真っ赤なんだけど。え、マジで何?俺なんか変なこと聞いた?」
―――野郎と恋仲になりてェんじゃねーのか?
―――好きだなんだっていう思いは、ハッキリ相手に伝えるか墓場まで持って行くかの2択だ。テメーがどっち側か知らねェが、せいぜい後悔がねェようにな。
鏡華の脳内に土方の言葉がグルグルと巡る。その言葉を踏まえた上で目の前にいる幼なじみを見ると、どうしようもなく胸が痛い。あ、ダメだコレ。
「い、イヤ!?別に!あ、ご、ごごごごめん!用事思い出した!帰るわ!野菜スープ!明日あっためて2人にも食べさせてあげてね!じゃ!!お大事に!!」
「オイ、ちょっ、待っ」
銀時が止めるのも聞かずに、鏡華はそそくさと荷物をまとめて出ていってしまった。残された銀時がポカンと玄関を見つめる。
「……結局アイツは何しに来たんだ……」
鏡華がなぜ赤面したのか、好かれるはずがないと思い込んでいる銀時には分からない。頭をガシガシとかいた。
チラリと鏡華が作っていた鍋に目をやり、お玉でスープを少し掬った。一口飲むと、野菜の甘みとほんの少しのしょっぱさが体の中を温かく巡る。高熱を出した子供の頃食べた、懐かしいあの味だ。
「……うめェな」
銀時は少し微笑んでそう呟くと、汗を流しに風呂に向かったのだった。
◇◇
一方、万事屋を飛び出た鏡華は煌々と輝くかぶき町を走り抜け屯所近くまで走っていた。
思いっきり走ったせいか息はきれ、肩が大きく上下している。そして顔は茹でダコのままである。鏡華はゆっくりと立ち止まり大きく息を吸い込むと、息を吐きながらその場にしゃがんだ。手で顔を覆うと、心臓がバクバクとかなり力強く脈打つのが聞こえた。
……今日弱ってる彼に会って再認識してしまった。自分が抱く感情は友人としての『好き』ではないということに。
彼が苦しんでる時、辛い時に自分が傍に居てあげたい…いや、傍に居たい。離れていた期間を後悔してしまうぐらい、彼と一緒に居たい。そしてそれは、これから先も。彼も自分も、他の誰かと一緒になるなんて想像できない。なんなら、嫌だ。
手で顔を覆ったまま、ハァーーーと長いため息を吐いた。
―――私、やっぱり……
「……銀時のこと、好きどころか…好きすぎてンじゃん……」
我ながら重すぎる恋慕だと呆れてしまう。だが、ようやく分かってしまったのだ。自分は銀時と幼なじみや友人だけでない、特別な仲になりたいのだと。いつの間にか雨は止んでいた。
とうとう自分の気持ちをしっかりと認識してしまった鏡華。これからこのアラサー2人がどうなるのか、正直作者にも分からない。どうなるのコレ?ちゃんと進むの?彼女は頑張れるのか!?次回!楽しみに待っててね!
15話へ続く
……ふわふわとした視界の中、誰かの声が聞こえる。誰だ、と思う前に「あぁ、アイツの声か」とすぐに分かった。
―――『銀時』
穏やかに自分の名前を呼ぶ声。子供の頃から聞いてきた、好きな声。
―――『私は……あんたの事が好きだよ』
ガバッと起き上がって銀時が目を覚ました。心臓がバクバクとうるさい。アイツが俺の事を好きだなんて、そんなの言うはずがない。新八があんなこと言うから、都合のいい夢を見ちまったと、銀時は盛大にため息をついた。
……どれくらい眠っていたのだろう。部屋を見渡すと障子から漏れる光は太陽の光ではなく、煌々と輝くかぶき町の街明かりになっていた。横にいる新八と神楽はまだ寝息を立てて眠っている。
ふと寝間着が汗だくになっていることに気づいた。寝起きも妙にスッキリしている。熱が下がったのだろうと銀時は直感的に感じた。頭をボリボリとかきながら、汗を流しに風呂に入るかと布団から出た。
―――流石にアイツも帰っただろ……
と、鏡華のことを考えながら銀時が応接間の扉を開けた。
「あ?」
銀時が素っ頓狂な声を出す。彼の目の前には、台所に立つポニーテールをした薄緑色の着物を着た女がいた。コンロの明かりが湯気と彼女が吸っているのであろう電子タバコの煙を映している。夢の続きなのだろうか。ほんの少し、銀時の心臓がうるさくなった。
銀時の気配に気づいた鏡華が「起きたか」と煙を吐きながら声をかけた。
「おそよう。調子はどう?」
「熱は下がったっぽいが……オメーまだ居たのか」
平静を装って銀時がペタペタと鏡華の近くまで歩く。彼女の手元を覗き込むと、どうやら料理をしていたみたいだった。
「あぁ、朝ごはん作っててやろうと思ってね。とりあえず野菜スープ作っておいた。消化にいいからさ。特にあんたと新八くんはゼリーしか食べてないし。朝ごはんこれ食べるんだよ」
「おー。オメーほんと母ちゃんみてーだな。八郎の母ちゃんもビックリするレベルの母ちゃんっぷりだわ」
何を言ってるんだか…と言いたげな顔で鏡華が「そうかもね」と適当に流した。
「てかさ、なんか昔思い出したわ。あんた子供の時も高熱出したことあったよね。私と先生で看病したの。覚えてる?」
ククッと笑いながら鏡華が銀時に尋ねた。銀時はというと、昔のことを急に言われたからか遠い目をしている。
「……そんなことあったっけか?オメー忘れっぽいくせにそういう事は覚えてンの、タチわりーな」
「あったよォ〜。超面白かったもん。あんなに弱ってた銀時は後にも先にもあの時だけじゃねーかな。あんたって体調崩す時はほんとに悪くなるし、マジでゼロか百かだよね」
鍋をかき回して鏡華が笑う。銀時が「ケッ」と悪態をついた。
「面白かったって……人が熱出してんのを面白コンテンツみたいに言うんじゃねーよ。ったく、お里が知れるんじゃなくって?」
お嬢様言葉でボヤいた銀時に鏡華がプッと吹き出す。彼女の笑顔に釣られて銀時も微笑んだ。
「……オメーにゃなんだかんだ昔っから世話になってんな。戦に負けてバラバラになっちまった時は、もう会うこともあるめーと思っていたが……まさかまた世話になるとはなァ」
「それを言うなら私もだわ。こんだけ時間が経って、アラサーになってからだよ?まさかあんたにまた会えて、看病してるだなんて思わなかったよ」
お互いニッと笑う2人。鏡華の笑顔にドキッとした銀時が「そういや」と慌てて話を変えた。
「お前何しにウチ来たワケ?なんか用事あったんじゃねーの?」
「え?………………あ」
銀時の問いかけに本来の目的を思い出した鏡華が一気に赤面する。突然顔と耳を真っ赤にした彼女に銀時がギョッと驚いた。
「え、何?お顔がものすごく真っ赤になってますけど?茹でダコ並に真っ赤なんだけど。え、マジで何?俺なんか変なこと聞いた?」
―――野郎と恋仲になりてェんじゃねーのか?
―――好きだなんだっていう思いは、ハッキリ相手に伝えるか墓場まで持って行くかの2択だ。テメーがどっち側か知らねェが、せいぜい後悔がねェようにな。
鏡華の脳内に土方の言葉がグルグルと巡る。その言葉を踏まえた上で目の前にいる幼なじみを見ると、どうしようもなく胸が痛い。あ、ダメだコレ。
「い、イヤ!?別に!あ、ご、ごごごごめん!用事思い出した!帰るわ!野菜スープ!明日あっためて2人にも食べさせてあげてね!じゃ!!お大事に!!」
「オイ、ちょっ、待っ」
銀時が止めるのも聞かずに、鏡華はそそくさと荷物をまとめて出ていってしまった。残された銀時がポカンと玄関を見つめる。
「……結局アイツは何しに来たんだ……」
鏡華がなぜ赤面したのか、好かれるはずがないと思い込んでいる銀時には分からない。頭をガシガシとかいた。
チラリと鏡華が作っていた鍋に目をやり、お玉でスープを少し掬った。一口飲むと、野菜の甘みとほんの少しのしょっぱさが体の中を温かく巡る。高熱を出した子供の頃食べた、懐かしいあの味だ。
「……うめェな」
銀時は少し微笑んでそう呟くと、汗を流しに風呂に向かったのだった。
◇◇
一方、万事屋を飛び出た鏡華は煌々と輝くかぶき町を走り抜け屯所近くまで走っていた。
思いっきり走ったせいか息はきれ、肩が大きく上下している。そして顔は茹でダコのままである。鏡華はゆっくりと立ち止まり大きく息を吸い込むと、息を吐きながらその場にしゃがんだ。手で顔を覆うと、心臓がバクバクとかなり力強く脈打つのが聞こえた。
……今日弱ってる彼に会って再認識してしまった。自分が抱く感情は友人としての『好き』ではないということに。
彼が苦しんでる時、辛い時に自分が傍に居てあげたい…いや、傍に居たい。離れていた期間を後悔してしまうぐらい、彼と一緒に居たい。そしてそれは、これから先も。彼も自分も、他の誰かと一緒になるなんて想像できない。なんなら、嫌だ。
手で顔を覆ったまま、ハァーーーと長いため息を吐いた。
―――私、やっぱり……
「……銀時のこと、好きどころか…好きすぎてンじゃん……」
我ながら重すぎる恋慕だと呆れてしまう。だが、ようやく分かってしまったのだ。自分は銀時と幼なじみや友人だけでない、特別な仲になりたいのだと。いつの間にか雨は止んでいた。
とうとう自分の気持ちをしっかりと認識してしまった鏡華。これからこのアラサー2人がどうなるのか、正直作者にも分からない。どうなるのコレ?ちゃんと進むの?彼女は頑張れるのか!?次回!楽しみに待っててね!
15話へ続く
