#13 箸の使い方は育ちが出るから気をつけろ
空欄の場合「鏡華」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇◇
場所が変わり江戸の街外れの倉庫。まだ建設中ということもあり、重機や資材が所狭しと置いてある。そんな場所には浮くであろう、派手な羽織を着て物々しいアタッシュケースを持った狂死郎が現れた。
「こっちやこっち。狂死郎は……ちゃうわ、八郎はん」
狂死郎の頭上から勝男の声が聞こえた。見上げると、勝男と彼の舎弟たちが2階部分に立っていた。
「ビックリしたでェ。ホンマは黒板八郎いうねんな。オジキから聞いたで。なんや田舎臭い名前しとったんやなァホンマは……親近感わいたで」
「……あの人は!?」
のんびりと話す勝男と対照的に、食い気味にオバチャンの安否を確認する狂死郎。勝男は舎弟たちに顎でクイッと合図をすると、ぐるぐる巻きにされているオバチャンと鏡華を前に出した。
「心配いらんで。大事な人質や、なんもしとらん。約束通りアンタが息子言うのも伏せとる。ヤクザは筋は通すで」
オバチャンをぐるぐる巻きにしといてなんの筋を通してるんだか、と鏡華がジト目で勝男を見るが、勝男はその視線には気づかず狂死郎と話を続ける。
「ほいでも、なんでそないに必死になって隠すかわからんわ。わしなんかこないにグレてしもうたさかい、絶対オカンとなんて会われへんけどな、しばき殺されるさかい。アンタはこの街のNo.1ホストやん、出世頭やん。胸はってオカンと会うたらエエやん」
勝男の言葉に、黙っていた狂死郎が重い口を開いた。
「……どのツラ下げて会えというんですか。もう母の知っている顔は文字通り捨ててしまった。この街でのし上がることと引き換えに、私はもう八郎であることを捨ててしまった。No.1ホストといったところで、私は所詮、ハタから見れば女性を騙し金を巻き上げている輩にしか見えぬでしょう。それに私が生きるのはあなた達と同じこの街です。私が幾らもがいたところで、汚れた世界で生きている事に変わりはない」
オバチャンに会わない……会えない胸の内を狂死郎が吐露する。鏡華は静かに狂死郎の話に耳を傾けていた。
「いやいや立派なモンやったで。わしらの要求拒んで来ないにねばった奴アンタが初めてや。まァそれも今日で最後やろけどな」
勝男が狂死郎に賞賛の言葉をかける。その言葉を受けながら狂死郎がアタッシュケースを開けた。中には帯封が巻かれた小判と札束が入っている。
「なんやその金?」
「私の私財です。店を大きくするために使ってしまってあまり残ってはいませんが」
「なんやァァァ!!まだもがくいうんかいな!!わしらそんな端金欲しいんやないでェ!!お前の店でクスリさばけいうとんねん!もっとデカイ金動かしたいんじゃ!!」
人質をとってもなお、自分の思う通りにならない狂死郎に勝男が声を荒らげる。その勝男の勢にも怯まず、狂死郎が言葉を発した。
「私はホストという仕事に誇りを持っています。だからあなた達の要求は飲めないし、母に名乗りでるつもりもない。ホストは女性を喜ばせるのが仕事です。だから……この世で最も大切な女性を悲しませるようなマネは、私は絶対しない」
真っ直ぐと勝男を見つめそう言いきった狂死郎。
その言葉に、鏡華が狂死郎と捕らわれているオバチャンを満足そうに見た。
「なっ……なんやとォォォ!!お前オカンがどうなっても……」
一方、要求を断られた舎弟がオバチャンを盾に要求を通そうとしたが、勝男に蹴られ「うぎゃああ!!」と言いながら落ちていった。
「……狂死郎はん、たいした男気や。さすがかぶき町No.1ホストいうだけあるわ」
さっきまでとはうってかわり、静かな口調で勝男が口を開いた。
「わしもぶっちゃけクスリいうのは好かん。新規事業に躍起になっとるオジキに言われて仕方なくこんな事やっとる……天人来てからヤクザも形が変わってしもうた。せやけど、その金があればなんとかオジキ説得できるかもしれん。今日はアンタの男気と、その七・三ヘアーに免じて勘弁したるわ。それこっちによこしィ。オカンはその後返したる」
「…………」
狂死郎がブンッとアタッシュケースを投げ、勝男が受け取ろうとしたその時、ものすごい勢いで木刀が飛んできた。木刀はアタッシュケースに刺さり、そのまま狂死郎横の壁に突き刺さった。
「なっ……なんやァァァ!?」
勝男たちが驚きの声を上げる。ザッ、と足音が聞こえ、鏡華が外の方を振り返った。
「んな薄汚ねー連中に金なんざくれてやることねーよ」
見知った声とその姿に鏡華の顔が綻ぶ。来て欲しいと願っていた人物が来たのである。
「そいつは大事にとっとけ。母ちゃんにうまいモンの一つでも食わせてやりな」
重機のライトに銀髪の男が照らされた。『万事屋』坂田銀時が確かにそこに居た。
場所が変わり江戸の街外れの倉庫。まだ建設中ということもあり、重機や資材が所狭しと置いてある。そんな場所には浮くであろう、派手な羽織を着て物々しいアタッシュケースを持った狂死郎が現れた。
「こっちやこっち。狂死郎は……ちゃうわ、八郎はん」
狂死郎の頭上から勝男の声が聞こえた。見上げると、勝男と彼の舎弟たちが2階部分に立っていた。
「ビックリしたでェ。ホンマは黒板八郎いうねんな。オジキから聞いたで。なんや田舎臭い名前しとったんやなァホンマは……親近感わいたで」
「……あの人は!?」
のんびりと話す勝男と対照的に、食い気味にオバチャンの安否を確認する狂死郎。勝男は舎弟たちに顎でクイッと合図をすると、ぐるぐる巻きにされているオバチャンと鏡華を前に出した。
「心配いらんで。大事な人質や、なんもしとらん。約束通りアンタが息子言うのも伏せとる。ヤクザは筋は通すで」
オバチャンをぐるぐる巻きにしといてなんの筋を通してるんだか、と鏡華がジト目で勝男を見るが、勝男はその視線には気づかず狂死郎と話を続ける。
「ほいでも、なんでそないに必死になって隠すかわからんわ。わしなんかこないにグレてしもうたさかい、絶対オカンとなんて会われへんけどな、しばき殺されるさかい。アンタはこの街のNo.1ホストやん、出世頭やん。胸はってオカンと会うたらエエやん」
勝男の言葉に、黙っていた狂死郎が重い口を開いた。
「……どのツラ下げて会えというんですか。もう母の知っている顔は文字通り捨ててしまった。この街でのし上がることと引き換えに、私はもう八郎であることを捨ててしまった。No.1ホストといったところで、私は所詮、ハタから見れば女性を騙し金を巻き上げている輩にしか見えぬでしょう。それに私が生きるのはあなた達と同じこの街です。私が幾らもがいたところで、汚れた世界で生きている事に変わりはない」
オバチャンに会わない……会えない胸の内を狂死郎が吐露する。鏡華は静かに狂死郎の話に耳を傾けていた。
「いやいや立派なモンやったで。わしらの要求拒んで来ないにねばった奴アンタが初めてや。まァそれも今日で最後やろけどな」
勝男が狂死郎に賞賛の言葉をかける。その言葉を受けながら狂死郎がアタッシュケースを開けた。中には帯封が巻かれた小判と札束が入っている。
「なんやその金?」
「私の私財です。店を大きくするために使ってしまってあまり残ってはいませんが」
「なんやァァァ!!まだもがくいうんかいな!!わしらそんな端金欲しいんやないでェ!!お前の店でクスリさばけいうとんねん!もっとデカイ金動かしたいんじゃ!!」
人質をとってもなお、自分の思う通りにならない狂死郎に勝男が声を荒らげる。その勝男の勢にも怯まず、狂死郎が言葉を発した。
「私はホストという仕事に誇りを持っています。だからあなた達の要求は飲めないし、母に名乗りでるつもりもない。ホストは女性を喜ばせるのが仕事です。だから……この世で最も大切な女性を悲しませるようなマネは、私は絶対しない」
真っ直ぐと勝男を見つめそう言いきった狂死郎。
その言葉に、鏡華が狂死郎と捕らわれているオバチャンを満足そうに見た。
「なっ……なんやとォォォ!!お前オカンがどうなっても……」
一方、要求を断られた舎弟がオバチャンを盾に要求を通そうとしたが、勝男に蹴られ「うぎゃああ!!」と言いながら落ちていった。
「……狂死郎はん、たいした男気や。さすがかぶき町No.1ホストいうだけあるわ」
さっきまでとはうってかわり、静かな口調で勝男が口を開いた。
「わしもぶっちゃけクスリいうのは好かん。新規事業に躍起になっとるオジキに言われて仕方なくこんな事やっとる……天人来てからヤクザも形が変わってしもうた。せやけど、その金があればなんとかオジキ説得できるかもしれん。今日はアンタの男気と、その七・三ヘアーに免じて勘弁したるわ。それこっちによこしィ。オカンはその後返したる」
「…………」
狂死郎がブンッとアタッシュケースを投げ、勝男が受け取ろうとしたその時、ものすごい勢いで木刀が飛んできた。木刀はアタッシュケースに刺さり、そのまま狂死郎横の壁に突き刺さった。
「なっ……なんやァァァ!?」
勝男たちが驚きの声を上げる。ザッ、と足音が聞こえ、鏡華が外の方を振り返った。
「んな薄汚ねー連中に金なんざくれてやることねーよ」
見知った声とその姿に鏡華の顔が綻ぶ。来て欲しいと願っていた人物が来たのである。
「そいつは大事にとっとけ。母ちゃんにうまいモンの一つでも食わせてやりな」
重機のライトに銀髪の男が照らされた。『万事屋』坂田銀時が確かにそこに居た。
