#2 大抵の事は飲めば解決する
空欄の場合「鏡華」になります。
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◇◇
―――チクショー、新八と神楽め。あることないこと鏡華の前で言いやがって。……いや、あることだらけだな。ないことはなかったわ。
万事屋を出て飲み屋街に向かう銀時と鏡華。万事屋で一悶着してる間に日はすっかり落ち、飲むのに相応しい街並みになっていた。その街を歩く男と女。どこで飲もうかと2人は話していた。
「どっか行きつけの店とかないの?」
「んー、いつも適当に入るからなァ。あと客引きで掴まったり」
「へー適当て。そんな風にして一人飲みするんだ」
1人では外で飲まない鏡華には新鮮な感覚である。銀時は「そうそう」と相槌を打つ。
「だから今日も適当に入ろうや。お、こことかいいんじゃね?たまに行くけどいい酒置いてんだわ」
銀時が指さした店を見ると、暖簾に『呑み処 まさ子』と書いてある。引き戸の向こうからは、柔らかい灯りが漏れている。こじんまりとしているが、昔からあるような穏やかな佇まいに鏡華は好感を持った。
「へぇ、いいじゃん。美味しい酒飲みたいし。入ろ」
そう言って2人は暖簾をくぐった。
◇◇
「いらっしゃい。あら銀さん、久しぶりね」
店に入ると中老の女性がカウンターの向こうから出迎えた。銀時とのやりとりを見るに、この女性が店主で女将なのだろう。
「おー久しぶり。元気してたか」
「お陰様で元気いっぱいやらしてもらってるわよ。あ、この前は電球交換ありがとね」
他愛もない世間話をする女将と銀時。鏡華はその間にカウンター奥にあるお酒を眺めていた。小さい店ではあるが、品ぞろえは良さそうだ。
「いーってことよ。うまい酒飲ませてもらってるしな。あ、今日は2人な。カウンター座るわ」
「あら珍しい。どーぞどーぞ」
ほら、と言って銀時が椅子を引いて鏡華を座らせる。予想外な紳士的な振る舞いに少し驚く鏡華。座ってから目頭を押えながら銀時に話しかけた。
「あんたそういうこと出来たんだ……良かった……ちゃんと男に育ってた……」
「何目線なの、それ?俺だってレディーファーストな気概はあるよ?」
「意外すぎる……」
「失礼だな、オイ。……まあいいや、何飲む?最初はビールか?」
店にかかってるメニューを見ながら銀時が話しかける。「そうだなァ」と言って鏡華はビールを選んだ。銀時も鏡華に合わせてビールを頼む。
はーい、と女将が返事をする。ビールが出てくるまでの間に、鏡華はカバンから小瓶を取りだし銀時に渡した。
「あ?何コレ?」
「何ってウ〇ンにの力に決まってるでしょ。酒飲む前に飲んでたら次の日楽だからさ。飲んどきな」
そう言うと鏡華はウ〇ンの力を一気飲みした。怪訝そうな顔をして、銀時も続いて一気飲みする。飲んだことのある読者の方々はご存知だろうが、ウ〇ンの力は飲みやすいとは思うが、あんまり美味しくないのだ。銀時もそれが分かるような顔をした。
「はい、ビールとお通しどうぞ」
ウ〇ンの力を飲み終わると同時に、女将がキンキンに冷えたビールとお通しを出してくれた。今日のお通しは冷奴らしい。ビールは黄金色に輝き、泡も細かい。冷奴もツヤツヤして薬味のネギと鰹節が食欲をそそる。一言で言うなら「美味しそう」この言葉に尽きる。鏡華は久々の飲み屋のビールに目を輝かせ、銀時はその顔を見てフッと微笑んだ。
「それじゃあ、久々の再会と俺の退院を祝って。乾杯」
「ほーい、退院おめでとうー」
銀時が乾杯の音頭をとり、2人はグラスを軽く合わせて乾杯した。鏡華が一口飲む。冷たいビールが一気に喉を通り過ぎ、胃の中に入っていく。自然と「あー」という声が漏れる。鏡華は久しぶりのビールの美味さに感激していた。
「めっちゃ美味いね、ビール。何でだろう、なんかいつも飲むビールより美味く感じる」
「だろ?ここで飲む酒はうめえんだよ」
「あらあら、ありがとうねぇ」
「女将さん、枝豆と刺身もちょうだい。ビール飲んだらご飯物も食べたくなってきた」
「はいはい。任せなさい」
美味しい酒と料理に舌鼓を打ちながら、鏡華と銀時の会話が弾んでいく。
新八と神楽にちゃんと給料を払えという話から、銀時がオカマクラブで女装したんでしょ、という話まで、今まで会っていなかった時間を埋めるように言葉を重ねた。時折女将も会話に混ざって、楽しい時間が過ぎていく。長く家と職場の往復ばかりだった鏡華は、この他愛もない話をする時間がとても大切なものに感じていた。
2杯目のビールが終わり、日本酒を飲み始めた頃から銀時がだんだんと酔い始めた。銀時は量は飲むが強くは無いらしい。一方の鏡華はザルである。
「鏡華よ〜、お前全然酔わねえのな。なんなの?鋼鉄の胃袋なの?」
「ただ単に銀時とは体の出来が違うってだけな。女将さん、日本酒もう1つ、冷酒でね」
「私が言うのもだけど、彼女さん強いわね〜。冷酒ね、ちょっと待ってね」
「いや彼女じゃないのよ。ただの幼なじみなのよ」
女将の彼女発言を速攻で訂正する鏡華。あらあら、ごめんねェと謝る女将。このやり取りを銀時は表面的には反応はしなかったが、『彼女』という言葉にドキドキしていた。
ちょいちょい設定を忘れそうになるが、銀時は久々に再会した鏡華のことを好きだと再認識している。なので、鏡華の『ただの幼なじみ』という言葉には心底ガックリきているのである。
―――彼女になってくれたら、いいんだけどな。
隣に座る鏡華の横顔を見ながらそんなことを思う銀時。そして銀時は気づいていなかったが、実は鏡華の耳は赤く染まっていた。
「はい、冷酒」
「ありがとう」
鏡華は出された冷酒をクッと呷 った。この店は本当にいい酒を出す。銀時が言った通りだなと、鏡華はお猪口に入っている酒を見つめていた。
―――チクショー、新八と神楽め。あることないこと鏡華の前で言いやがって。……いや、あることだらけだな。ないことはなかったわ。
万事屋を出て飲み屋街に向かう銀時と鏡華。万事屋で一悶着してる間に日はすっかり落ち、飲むのに相応しい街並みになっていた。その街を歩く男と女。どこで飲もうかと2人は話していた。
「どっか行きつけの店とかないの?」
「んー、いつも適当に入るからなァ。あと客引きで掴まったり」
「へー適当て。そんな風にして一人飲みするんだ」
1人では外で飲まない鏡華には新鮮な感覚である。銀時は「そうそう」と相槌を打つ。
「だから今日も適当に入ろうや。お、こことかいいんじゃね?たまに行くけどいい酒置いてんだわ」
銀時が指さした店を見ると、暖簾に『呑み処 まさ子』と書いてある。引き戸の向こうからは、柔らかい灯りが漏れている。こじんまりとしているが、昔からあるような穏やかな佇まいに鏡華は好感を持った。
「へぇ、いいじゃん。美味しい酒飲みたいし。入ろ」
そう言って2人は暖簾をくぐった。
◇◇
「いらっしゃい。あら銀さん、久しぶりね」
店に入ると中老の女性がカウンターの向こうから出迎えた。銀時とのやりとりを見るに、この女性が店主で女将なのだろう。
「おー久しぶり。元気してたか」
「お陰様で元気いっぱいやらしてもらってるわよ。あ、この前は電球交換ありがとね」
他愛もない世間話をする女将と銀時。鏡華はその間にカウンター奥にあるお酒を眺めていた。小さい店ではあるが、品ぞろえは良さそうだ。
「いーってことよ。うまい酒飲ませてもらってるしな。あ、今日は2人な。カウンター座るわ」
「あら珍しい。どーぞどーぞ」
ほら、と言って銀時が椅子を引いて鏡華を座らせる。予想外な紳士的な振る舞いに少し驚く鏡華。座ってから目頭を押えながら銀時に話しかけた。
「あんたそういうこと出来たんだ……良かった……ちゃんと男に育ってた……」
「何目線なの、それ?俺だってレディーファーストな気概はあるよ?」
「意外すぎる……」
「失礼だな、オイ。……まあいいや、何飲む?最初はビールか?」
店にかかってるメニューを見ながら銀時が話しかける。「そうだなァ」と言って鏡華はビールを選んだ。銀時も鏡華に合わせてビールを頼む。
はーい、と女将が返事をする。ビールが出てくるまでの間に、鏡華はカバンから小瓶を取りだし銀時に渡した。
「あ?何コレ?」
「何ってウ〇ンにの力に決まってるでしょ。酒飲む前に飲んでたら次の日楽だからさ。飲んどきな」
そう言うと鏡華はウ〇ンの力を一気飲みした。怪訝そうな顔をして、銀時も続いて一気飲みする。飲んだことのある読者の方々はご存知だろうが、ウ〇ンの力は飲みやすいとは思うが、あんまり美味しくないのだ。銀時もそれが分かるような顔をした。
「はい、ビールとお通しどうぞ」
ウ〇ンの力を飲み終わると同時に、女将がキンキンに冷えたビールとお通しを出してくれた。今日のお通しは冷奴らしい。ビールは黄金色に輝き、泡も細かい。冷奴もツヤツヤして薬味のネギと鰹節が食欲をそそる。一言で言うなら「美味しそう」この言葉に尽きる。鏡華は久々の飲み屋のビールに目を輝かせ、銀時はその顔を見てフッと微笑んだ。
「それじゃあ、久々の再会と俺の退院を祝って。乾杯」
「ほーい、退院おめでとうー」
銀時が乾杯の音頭をとり、2人はグラスを軽く合わせて乾杯した。鏡華が一口飲む。冷たいビールが一気に喉を通り過ぎ、胃の中に入っていく。自然と「あー」という声が漏れる。鏡華は久しぶりのビールの美味さに感激していた。
「めっちゃ美味いね、ビール。何でだろう、なんかいつも飲むビールより美味く感じる」
「だろ?ここで飲む酒はうめえんだよ」
「あらあら、ありがとうねぇ」
「女将さん、枝豆と刺身もちょうだい。ビール飲んだらご飯物も食べたくなってきた」
「はいはい。任せなさい」
美味しい酒と料理に舌鼓を打ちながら、鏡華と銀時の会話が弾んでいく。
新八と神楽にちゃんと給料を払えという話から、銀時がオカマクラブで女装したんでしょ、という話まで、今まで会っていなかった時間を埋めるように言葉を重ねた。時折女将も会話に混ざって、楽しい時間が過ぎていく。長く家と職場の往復ばかりだった鏡華は、この他愛もない話をする時間がとても大切なものに感じていた。
2杯目のビールが終わり、日本酒を飲み始めた頃から銀時がだんだんと酔い始めた。銀時は量は飲むが強くは無いらしい。一方の鏡華はザルである。
「鏡華よ〜、お前全然酔わねえのな。なんなの?鋼鉄の胃袋なの?」
「ただ単に銀時とは体の出来が違うってだけな。女将さん、日本酒もう1つ、冷酒でね」
「私が言うのもだけど、彼女さん強いわね〜。冷酒ね、ちょっと待ってね」
「いや彼女じゃないのよ。ただの幼なじみなのよ」
女将の彼女発言を速攻で訂正する鏡華。あらあら、ごめんねェと謝る女将。このやり取りを銀時は表面的には反応はしなかったが、『彼女』という言葉にドキドキしていた。
ちょいちょい設定を忘れそうになるが、銀時は久々に再会した鏡華のことを好きだと再認識している。なので、鏡華の『ただの幼なじみ』という言葉には心底ガックリきているのである。
―――彼女になってくれたら、いいんだけどな。
隣に座る鏡華の横顔を見ながらそんなことを思う銀時。そして銀時は気づいていなかったが、実は鏡華の耳は赤く染まっていた。
「はい、冷酒」
「ありがとう」
鏡華は出された冷酒をクッと
