#11.5 〜幕間〜恋とそうめん流しは夏の空
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怒涛の夜が明けた。
いい大人30数名が必死こいて、ついに約8kmの流し台を街中に組み立てたのである。かぶき町をぐるりと取り囲むように設置された流し台は、傾斜をつけてスタートは万事屋の玄関前から、ゴールは《スナック お登勢》の店の前で終わるようになっている。まるで巨大なウォータースライダーのような出で立ちである。
そして《スナック お登勢》の店の前には、作業を終え体力を使い切った桂一派と銀時が、死屍累々の如く横たわっていた。
「も、もう……一生分の竹の匂いを嗅いだ……」
「いや来世の分もだろ……」
「タケノコすら見たくない……」
桂の仲間たちがかすれた声で口々に呟く。桂と銀時は、蝉の声を聞きながら朝焼けに染まる空を仰向けで眺めていた。
「……貴様は四徹目か、銀時」
「あぁ……今なら宇宙の真理ってやつも分かりそうな気がするわ……」
一徹した桂の瞳と比べ物にならないくらい、銀時の瞳は深く暗い黒色をうつしていた。その真っ黒な瞳に朝焼けが反射し、ほんのり赤色と青色に色づいて見えた。
「やー!皆さんお疲れ様でしたァ!これ、少しばかりですけど持ってってくださーい!」
銀時と同じく四徹だが、何故か元気な鏡華が大量のコンビニおにぎりとペットボトルのお茶を桂たちに振る舞う。「アイツはなんで元気なんだ」と桂が畏怖の念も込めて呟く。男たちはヨタヨタと起き上がり、おにぎりとお茶を受け取った。
「ヅラ、まーじでありがとうね!おかげであとはそうめんを流すだけになったわ。本当に感謝」
相変わらず仰向けな桂に、鏡華はおにぎりとお茶と封筒を渡した。
「大っぴらには出来ないけど、それお礼ね。皆さんでなんか使って」
「は?……あぁ、わかった。そんなつもりは無かったのだが……すまないな」
立ち上がりおにぎりとお茶と封筒を受け取った桂が軽く頭を下げた。「いえいえ」と鏡華が手を振る。
「鏡華……なんだかんだ言ったが……俺たちは、まァ……『ダチ』、だからな。こんなモノが無くても、ダチがやりたいことなら……今までもこれからも、いくらでもこの手を貸そう」
「ヅラァ……!封筒握りしめすぎてて説得力ねェよ」
桂の言葉にニッと笑いながらツッコむ鏡華。銀時にもおにぎりとお茶を渡すと、クロスバイクに跨った。
「そうめん流しで蕎麦も流してあげるから来なよ。じゃ私他の準備してくるから。またね!」
「あぁ、起きれたら行く。準備、頑張れよ」
サッと手を挙げ桂に別れを告げると、鏡華はクロスバイクに乗って颯爽とその場を離れた。桂は銀時の横に座り直してその背中を見送る。
「本当に……アイツは変わらないな。やる気がない奴かと思えば、こんな……くだらないと思うようなことを本気になって周りまで巻き込んでやりきる。フッ……、まさか三十路前で完徹するとはなァ」
桂が隣に寝転がる銀時に話しかけるが返事は無い。銀時を見ると、目を閉じて寝ているようだ。
「……思えば、アイツの厄介事に真っ先に巻き込まれるはいつもお前だった。なァ、銀時?ぶつくさ文句言いながらも結局手伝っていたなお前は」
「……アイツが俺を頼ってくるからよ。そりゃあ、応えてやんねーとな」
寝ていたと思っていた銀時が口を開いた。
「……惚れた弱みというやつか?」
桂がニヤリと笑いながら聞く。「どうかねェ」と銀時がぼんやりとした口調で返す。
「まァ……好いたヤツに頼られて嫌な男はいねーわなァ……難儀な性格持ちなら別だけどよ。俺は違うね……」
さすがの銀時でも四徹すると頭の回転が鈍くなるらしい。普段じゃ絶対口にしないことを桂に話してしまった。ニヤニヤと桂がニヤケながら銀時を見る。ボーッとしていた銀時の目が段々と開いていき、ガバッと起き上がった。
「オイ!今……今、俺なに言ってた!?え、なんかめっちゃ青春っぽいこと言ってなかった!?」
必死な銀時の顔を見て桂がククッと笑う。
「さァ……どうだろうな」
「オイ、なんだよヅラァ……!その笑みはなんだ、キモイ顔がさらにキモくなってるぞオイ。あークソ、四徹を舐めてた……ヅラ、さっき何言ったか忘れたけどアレだから、全然本心じゃないからね?言葉のあやってやつだからね?ねェ聞いてる?」
耳を真っ赤にして必死な形相で桂に言い訳をする銀時。そんな銀時を見て「先程の言葉は俺の胸の内に閉まっといてやろう」と桂がニヤつきながら答えたのだった。
そうめん流し大会まで残り5時間弱の午前6時。夏の朝焼けが完徹した男たちを照らしていた。
いい大人30数名が必死こいて、ついに約8kmの流し台を街中に組み立てたのである。かぶき町をぐるりと取り囲むように設置された流し台は、傾斜をつけてスタートは万事屋の玄関前から、ゴールは《スナック お登勢》の店の前で終わるようになっている。まるで巨大なウォータースライダーのような出で立ちである。
そして《スナック お登勢》の店の前には、作業を終え体力を使い切った桂一派と銀時が、死屍累々の如く横たわっていた。
「も、もう……一生分の竹の匂いを嗅いだ……」
「いや来世の分もだろ……」
「タケノコすら見たくない……」
桂の仲間たちがかすれた声で口々に呟く。桂と銀時は、蝉の声を聞きながら朝焼けに染まる空を仰向けで眺めていた。
「……貴様は四徹目か、銀時」
「あぁ……今なら宇宙の真理ってやつも分かりそうな気がするわ……」
一徹した桂の瞳と比べ物にならないくらい、銀時の瞳は深く暗い黒色をうつしていた。その真っ黒な瞳に朝焼けが反射し、ほんのり赤色と青色に色づいて見えた。
「やー!皆さんお疲れ様でしたァ!これ、少しばかりですけど持ってってくださーい!」
銀時と同じく四徹だが、何故か元気な鏡華が大量のコンビニおにぎりとペットボトルのお茶を桂たちに振る舞う。「アイツはなんで元気なんだ」と桂が畏怖の念も込めて呟く。男たちはヨタヨタと起き上がり、おにぎりとお茶を受け取った。
「ヅラ、まーじでありがとうね!おかげであとはそうめんを流すだけになったわ。本当に感謝」
相変わらず仰向けな桂に、鏡華はおにぎりとお茶と封筒を渡した。
「大っぴらには出来ないけど、それお礼ね。皆さんでなんか使って」
「は?……あぁ、わかった。そんなつもりは無かったのだが……すまないな」
立ち上がりおにぎりとお茶と封筒を受け取った桂が軽く頭を下げた。「いえいえ」と鏡華が手を振る。
「鏡華……なんだかんだ言ったが……俺たちは、まァ……『ダチ』、だからな。こんなモノが無くても、ダチがやりたいことなら……今までもこれからも、いくらでもこの手を貸そう」
「ヅラァ……!封筒握りしめすぎてて説得力ねェよ」
桂の言葉にニッと笑いながらツッコむ鏡華。銀時にもおにぎりとお茶を渡すと、クロスバイクに跨った。
「そうめん流しで蕎麦も流してあげるから来なよ。じゃ私他の準備してくるから。またね!」
「あぁ、起きれたら行く。準備、頑張れよ」
サッと手を挙げ桂に別れを告げると、鏡華はクロスバイクに乗って颯爽とその場を離れた。桂は銀時の横に座り直してその背中を見送る。
「本当に……アイツは変わらないな。やる気がない奴かと思えば、こんな……くだらないと思うようなことを本気になって周りまで巻き込んでやりきる。フッ……、まさか三十路前で完徹するとはなァ」
桂が隣に寝転がる銀時に話しかけるが返事は無い。銀時を見ると、目を閉じて寝ているようだ。
「……思えば、アイツの厄介事に真っ先に巻き込まれるはいつもお前だった。なァ、銀時?ぶつくさ文句言いながらも結局手伝っていたなお前は」
「……アイツが俺を頼ってくるからよ。そりゃあ、応えてやんねーとな」
寝ていたと思っていた銀時が口を開いた。
「……惚れた弱みというやつか?」
桂がニヤリと笑いながら聞く。「どうかねェ」と銀時がぼんやりとした口調で返す。
「まァ……好いたヤツに頼られて嫌な男はいねーわなァ……難儀な性格持ちなら別だけどよ。俺は違うね……」
さすがの銀時でも四徹すると頭の回転が鈍くなるらしい。普段じゃ絶対口にしないことを桂に話してしまった。ニヤニヤと桂がニヤケながら銀時を見る。ボーッとしていた銀時の目が段々と開いていき、ガバッと起き上がった。
「オイ!今……今、俺なに言ってた!?え、なんかめっちゃ青春っぽいこと言ってなかった!?」
必死な銀時の顔を見て桂がククッと笑う。
「さァ……どうだろうな」
「オイ、なんだよヅラァ……!その笑みはなんだ、キモイ顔がさらにキモくなってるぞオイ。あークソ、四徹を舐めてた……ヅラ、さっき何言ったか忘れたけどアレだから、全然本心じゃないからね?言葉のあやってやつだからね?ねェ聞いてる?」
耳を真っ赤にして必死な形相で桂に言い訳をする銀時。そんな銀時を見て「先程の言葉は俺の胸の内に閉まっといてやろう」と桂がニヤつきながら答えたのだった。
そうめん流し大会まで残り5時間弱の午前6時。夏の朝焼けが完徹した男たちを照らしていた。
