#11 雪国以外の大人も雪が楽しくてしょーがない
空欄の場合「鏡華」になります。
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「うあァァ……寒すぎるゥ……勘弁してくれよマジで……」
稽古の為に道着に着替えた鏡華が、自分をギュッと抱きしめてガタガタと震えながら廊下を歩く。モコモコ靴下を脱いで裸足になり、また下の方で一つ結びしていた髪の毛をポニーテールに結び直したのも、寒さが増す要因ではある。
「ウダウダうるせーぞ。特別に道着の下にトックリ着ていいって言ったんだからよ。ちったァ我慢しやがれ」
「うえーん、同い年がタートルネックをトックリとか言うよォ〜オジサンだよォ〜」
「どこに文句つけてんだ!トックリはトックリだろーが!」
あーだこーだ言う鏡華に土方の怒号が飛ぶ。一緒に歩く近藤はニコニコと笑っている。2人が口論をしているうちに、他の隊士達が稽古している鍛錬場に着いた。
「お、珍しい。泉さんじゃねェですかィ。泉さんも稽古するんでィ?」
隊士達に稽古をつけていた沖田が、ブスっとした顔をしている鏡華に話しかけた。
「そこのゴリラとマヨラーにやれって言われたモンでェ……全てはあの銀髪のせいだけど」
「へェ、そうなんですねィ。旦那から聞いてはいましたが、こりゃ楽しみだ」
沖田が近藤と土方の方をチラと見ながら鏡華と話す。事情を知らない一般隊士達は「なんで泉先生が稽古に来てんだ?」「道着着てるけどまさか稽古に参加するワケじゃないよな?」とザワついている。
「オラ、コイツをテメーに貸してやる。まずは素振りからだな」
土方が稽古用の木刀を鏡華に渡す。うへぇ……と苦い顔をして言いながらも、鏡華は軽くストレッチをして素振りを始めた。うにゃうにゃ言いつつも、真っ直ぐ正中を通る剣筋に、近藤たちだけでなく一般隊士たちも目を見張る。
「おぉ、まるでお手本のような素振りだな。お妙さんと同じように、実家が道場なのか?」
近藤が感心して鏡華に尋ねる。一本一本しっかりと、目線の高さで剣先を止めて素振りする鏡華が「えぇ、まァ、そんな感じです」と適当に返事をする。素振りをしているうちに、何やらスイッチが入ったようだ。彼女の目付きがやや真剣な眼差しに変わった。
「……土方さん、泉さんの腕を見るのに、まさか素振りだけじゃねェでしょう?」
鏡華をじっと見る土方に、沖田がニヤリと笑みを浮かべながら話しかける。「……当たりめーだろ」と、土方が煙を吐いて稽古をしている隊士達に声をかけた。
「オイテメーら、今日は異例だが泉医師が稽古に参加する。女性だが、万事屋の銀髪と剣を交えることができる程の腕だそうだ。手加減なしで当たりに行け」
「ちょ、土方クゥン??何テキトーな事言ってくれてんの?」
鏡華が素振りを止め、慌てて土方に駆け寄る。
「誰でもいい、ホラ、稽古つけてやれ」
「土方クゥゥゥン??ねェェェ聞いてるゥゥ??」
土方の無茶ぶりに露骨に嫌な顔をする鏡華。土方にそう言われた隊士達も「稽古つけろってもなァ……」「いくらなんでも女性だしなァ……」と、かなり後ろ向きである。
「なんでェ。誰も行かねーなら俺が行くぜィ」
そう言って沖田が一瞬で間合いを詰め、鏡華に打ち込んだ。沖田は真選組一番隊隊長、神速の剣の使い手である。『始め』の号令もなく突然始まった立合いに、鏡華がすんでのところで対応した。
「うおぉぉぉ!!沖田くーーん!めちゃくちゃびっくりしたんだけどォ!?」
ギシギシと木刀が軋むような鍔迫り合いをする2人。心臓をドッドッドッと鼓動させて鏡華が沖田に話しかけた。
2人の踏ん張る力はほぼ同等、体捌きは沖田の方が若干だが捌けている。これは現役で前線に出ている経験の差だろう。
「へェ、不意打ちだったのによく止めましたねェ。」
「ほんっとにギリギリだったけどねェ!?こういうのって『始め!』があるモンじゃないのォ!?」
「ウチは実戦を想定して稽古してるんでィ。実戦じゃ『始め』は無いですよ……っと!」
沖田が鍔迫り合いから離れ、下がった勢いをそのまま推進力に変え再度踏み込んだ。沖田が片手で突いてきた剣を、冷静に剣先でスっと逸らす鏡華。そしてそのまま沖田の剣をすり上げ手元に打ち込んだ。
……が、鏡華の剣は横に払われ、空いた胴に瞬時に両手で木刀を握った沖田が一文字に斬りかかった。その攻撃を鏡華は体を回転させて避ける。避けたついでに距離をとった鏡華。翡翠の瞳が鋭い眼差しで沖田を見据え、フー、と一息ついたかと思うと、次は鏡華から攻撃を仕掛けた。
素早く間合いを詰め、中段に構える沖田の剣を下からすくい上げたのである。彼女の想像以上の力に、木刀を握る沖田の手がビリビリと痺れた。
「なッ……!」
思わず声が漏れる沖田。そして鏡華はすり上げで上に振り上げた木刀をそのまま振り下ろし、なんと沖田の木刀を叩き折ったのである。およそ5分の短い立合いだったが、鏡華の力量を知るには十分すぎた。
「……そこまで」
周りがシーンと静まり返る中、土方が発した終了を伝える声だけが鍛錬場に響く。フー、と鏡華が大きく息を吐いた。
「あーーー緊張したァ……沖田くん大丈夫?思いっきり木刀叩いてごめんね?」
「あ、あぁ……大丈夫でさァ。泉さん、アンタ見た目によらず力強ェんすねェ」
沖田が折れた木刀を拾いあげながら言葉を返す。
「いや、稽古だし沖田くんの握りがそこまでだったからじゃない?実戦だったら私の力であんなに上に上げられないし、いくら木刀でも折れないよ」
「いやいやそれは……まァ、そういうことにしときやしょう」
フフフ、ハハハ、と笑い合う2人。一方2人の立合いを見ていた他の隊士達は、まだ緊張した面持ちである。
―――野郎と同じ終わらせ方か……。
一人土方は、昔銀時とやりあった時のことを思い出していた。あの時は真剣での斬り合いだったが、銀時もまた土方の刀を叩き折ることで斬り合いを終わらせたのだった。
―――アイツはあの時『俺の武士道 を護った』とほざいていたが、コイツは……何を護ったんだろうか。
沖田と談笑する鏡華を見つめながらそう考える土方。ハー、とため息混じりに煙を吐いて隊士達に向かい合った。
「総悟の次に泉とやる奴、いるか?」
と土方が隊士達に呼びかけるが、誰一人首を縦に振らない。そりゃそうである。真選組随一の剣の使い手の木刀が折られたのである。なかなかショッキングな光景ではないか。我こそは!と向かう者はそうそう居ないだろう。
「……不甲斐ねェなテメーら……泉、あとは適当にしてくれ。稽古でもストレッチでも、なんでもやってくれ」
土方が投げやり気味に鏡華にそう言う。そしてまたハァ、と大きなため息をついたのだった。
稽古の為に道着に着替えた鏡華が、自分をギュッと抱きしめてガタガタと震えながら廊下を歩く。モコモコ靴下を脱いで裸足になり、また下の方で一つ結びしていた髪の毛をポニーテールに結び直したのも、寒さが増す要因ではある。
「ウダウダうるせーぞ。特別に道着の下にトックリ着ていいって言ったんだからよ。ちったァ我慢しやがれ」
「うえーん、同い年がタートルネックをトックリとか言うよォ〜オジサンだよォ〜」
「どこに文句つけてんだ!トックリはトックリだろーが!」
あーだこーだ言う鏡華に土方の怒号が飛ぶ。一緒に歩く近藤はニコニコと笑っている。2人が口論をしているうちに、他の隊士達が稽古している鍛錬場に着いた。
「お、珍しい。泉さんじゃねェですかィ。泉さんも稽古するんでィ?」
隊士達に稽古をつけていた沖田が、ブスっとした顔をしている鏡華に話しかけた。
「そこのゴリラとマヨラーにやれって言われたモンでェ……全てはあの銀髪のせいだけど」
「へェ、そうなんですねィ。旦那から聞いてはいましたが、こりゃ楽しみだ」
沖田が近藤と土方の方をチラと見ながら鏡華と話す。事情を知らない一般隊士達は「なんで泉先生が稽古に来てんだ?」「道着着てるけどまさか稽古に参加するワケじゃないよな?」とザワついている。
「オラ、コイツをテメーに貸してやる。まずは素振りからだな」
土方が稽古用の木刀を鏡華に渡す。うへぇ……と苦い顔をして言いながらも、鏡華は軽くストレッチをして素振りを始めた。うにゃうにゃ言いつつも、真っ直ぐ正中を通る剣筋に、近藤たちだけでなく一般隊士たちも目を見張る。
「おぉ、まるでお手本のような素振りだな。お妙さんと同じように、実家が道場なのか?」
近藤が感心して鏡華に尋ねる。一本一本しっかりと、目線の高さで剣先を止めて素振りする鏡華が「えぇ、まァ、そんな感じです」と適当に返事をする。素振りをしているうちに、何やらスイッチが入ったようだ。彼女の目付きがやや真剣な眼差しに変わった。
「……土方さん、泉さんの腕を見るのに、まさか素振りだけじゃねェでしょう?」
鏡華をじっと見る土方に、沖田がニヤリと笑みを浮かべながら話しかける。「……当たりめーだろ」と、土方が煙を吐いて稽古をしている隊士達に声をかけた。
「オイテメーら、今日は異例だが泉医師が稽古に参加する。女性だが、万事屋の銀髪と剣を交えることができる程の腕だそうだ。手加減なしで当たりに行け」
「ちょ、土方クゥン??何テキトーな事言ってくれてんの?」
鏡華が素振りを止め、慌てて土方に駆け寄る。
「誰でもいい、ホラ、稽古つけてやれ」
「土方クゥゥゥン??ねェェェ聞いてるゥゥ??」
土方の無茶ぶりに露骨に嫌な顔をする鏡華。土方にそう言われた隊士達も「稽古つけろってもなァ……」「いくらなんでも女性だしなァ……」と、かなり後ろ向きである。
「なんでェ。誰も行かねーなら俺が行くぜィ」
そう言って沖田が一瞬で間合いを詰め、鏡華に打ち込んだ。沖田は真選組一番隊隊長、神速の剣の使い手である。『始め』の号令もなく突然始まった立合いに、鏡華がすんでのところで対応した。
「うおぉぉぉ!!沖田くーーん!めちゃくちゃびっくりしたんだけどォ!?」
ギシギシと木刀が軋むような鍔迫り合いをする2人。心臓をドッドッドッと鼓動させて鏡華が沖田に話しかけた。
2人の踏ん張る力はほぼ同等、体捌きは沖田の方が若干だが捌けている。これは現役で前線に出ている経験の差だろう。
「へェ、不意打ちだったのによく止めましたねェ。」
「ほんっとにギリギリだったけどねェ!?こういうのって『始め!』があるモンじゃないのォ!?」
「ウチは実戦を想定して稽古してるんでィ。実戦じゃ『始め』は無いですよ……っと!」
沖田が鍔迫り合いから離れ、下がった勢いをそのまま推進力に変え再度踏み込んだ。沖田が片手で突いてきた剣を、冷静に剣先でスっと逸らす鏡華。そしてそのまま沖田の剣をすり上げ手元に打ち込んだ。
……が、鏡華の剣は横に払われ、空いた胴に瞬時に両手で木刀を握った沖田が一文字に斬りかかった。その攻撃を鏡華は体を回転させて避ける。避けたついでに距離をとった鏡華。翡翠の瞳が鋭い眼差しで沖田を見据え、フー、と一息ついたかと思うと、次は鏡華から攻撃を仕掛けた。
素早く間合いを詰め、中段に構える沖田の剣を下からすくい上げたのである。彼女の想像以上の力に、木刀を握る沖田の手がビリビリと痺れた。
「なッ……!」
思わず声が漏れる沖田。そして鏡華はすり上げで上に振り上げた木刀をそのまま振り下ろし、なんと沖田の木刀を叩き折ったのである。およそ5分の短い立合いだったが、鏡華の力量を知るには十分すぎた。
「……そこまで」
周りがシーンと静まり返る中、土方が発した終了を伝える声だけが鍛錬場に響く。フー、と鏡華が大きく息を吐いた。
「あーーー緊張したァ……沖田くん大丈夫?思いっきり木刀叩いてごめんね?」
「あ、あぁ……大丈夫でさァ。泉さん、アンタ見た目によらず力強ェんすねェ」
沖田が折れた木刀を拾いあげながら言葉を返す。
「いや、稽古だし沖田くんの握りがそこまでだったからじゃない?実戦だったら私の力であんなに上に上げられないし、いくら木刀でも折れないよ」
「いやいやそれは……まァ、そういうことにしときやしょう」
フフフ、ハハハ、と笑い合う2人。一方2人の立合いを見ていた他の隊士達は、まだ緊張した面持ちである。
―――野郎と同じ終わらせ方か……。
一人土方は、昔銀時とやりあった時のことを思い出していた。あの時は真剣での斬り合いだったが、銀時もまた土方の刀を叩き折ることで斬り合いを終わらせたのだった。
―――アイツはあの時『俺の
沖田と談笑する鏡華を見つめながらそう考える土方。ハー、とため息混じりに煙を吐いて隊士達に向かい合った。
「総悟の次に泉とやる奴、いるか?」
と土方が隊士達に呼びかけるが、誰一人首を縦に振らない。そりゃそうである。真選組随一の剣の使い手の木刀が折られたのである。なかなかショッキングな光景ではないか。我こそは!と向かう者はそうそう居ないだろう。
「……不甲斐ねェなテメーら……泉、あとは適当にしてくれ。稽古でもストレッチでも、なんでもやってくれ」
土方が投げやり気味に鏡華にそう言う。そしてまたハァ、と大きなため息をついたのだった。
