#1 再会は突然に
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◇◇
「うん、怪我はもう大丈夫そう。坂田さん、もう退院していいですよ」
銀時と鏡華が再会して2日後。銀時の退院が決まった。
「おー、やっとか」
「やっとか、って。普通の人はこんなに早く回復しないですよ。さすが坂田さんは早いですね」
仕事モードの鏡華は、幼なじみの銀時相手にも敬語で接していた。それが彼女の仕事の流儀である。
「オメーの敬語聞くとなんか気持ちわりーな。騙されてるみてェ」
「あ?退院延ばしてやろうか?」
「口悪ィ医者だな、オイ。まァその感じがオメーらしくていいんだけどよ」
そうですか、と鏡華は軽く流す。そして全ての診察を終え、彼女が席を立った。
「じゃ、退院手続きお願いしとくんで、あとは窓口によろしくお願いしますね〜」
「おーう……あ、鏡華、」
鏡華が病室を出ようとした時、銀時が彼女を呼び止めた。
「家帰ったらオメーの携帯に連絡入れとくわ。固定電話からかかってきたら俺だと思ってくれ。一応名刺渡しとくわ」
そう言うと銀時は『万事屋銀ちゃん』と書かれた名刺を鏡華に渡した。
「おっけー……って万事屋?」
「まあそこら辺の話は飲んだ時にしようや」
「はいはい、楽しみにしとくわ。じゃ、またね。退院おめでとう〜」
そう言って鏡華は手をヒラヒラと振りながら病室を後にした。銀時はその後ろ姿を見送ってから、退院の準備を始めたのだった。
◇◇
鏡華が銀時を診察したのが午前中で、午後になり銀時が退院したらしいと看護師たちから話を聞いた。休憩室でコーヒーを啜りながら、鏡華は銀時に貰った名刺を眺めていた。
「泉先生、それ退院した坂田さんのですか?」
休憩室で同じく休憩してた研修医の山田が鏡華に話しかけてきた。
「そー。なんかかぶき町で万事屋って店やってるらしい」
「私知ってますよ。地元があの辺りなんで。あそこら辺で『万事屋銀ちゃん』知らない人いないですよマジで」
「え、マジでか。そんなに有名なの?」
万事屋のまさかの知名度に鏡華は驚いた。山田は「もちろんです」と話を続ける。
「ほんと、頼んだら何でもやってくれるらしいんですよ。猫探しから用心棒、オカマクラブのキャストとか」
「オカマ……クラブ…………」
子供の頃から器用なヤツだとは思っていたが、思っていた以上に器用だったらしい。まさかオカマクラブのキャストとは。鏡華の顔に思わず笑みがこぼれた。これは飲んだ時の話題にいいネタを貰えた。
山田と話していると、私用の携帯が鳴った。画面を見ると、登録していない番号だ。だが貰った名刺の番号と一致していた。銀時からだ。
「ほーい」
『俺だけど』
「オレオレ詐欺ですか?」
『ちげーよ!!名刺渡しただろ!!俺だよ!!銀時だっつーの!!』
無気力な体で電話をとり、銀時と話し始める鏡華。そして銀時とやり取りする時は、一度はいじらないと気が済まない鏡華である。
「フフ、分かってるよ。無事帰れたんだな。お疲れ」
『おー。お世話になりましたわ。で、飲みなんだけど、オメーいつ暇?』
「あーちょっと待って……」
鏡華は手帳を開いて予定を確認した。驚くことに、明日の夜ぐらいしか今月はもう空いていない。自分でも社畜を極めていると感じる鏡華である。
「急だけど明日夜空いてる」
『明日な。おっけー分かった」
銀時が二つ返事で答える。コイツほんとに仕事してるのか?という疑念が鏡華の頭に浮かぶが、飲みの時のネタにしようと口を閉じた。
『そしたら待ち合わせはどこでする?オメーの仕事が終わるころに迎えに行ってもいいんだが』
「え、いいよ。飲むならかぶき町でしょ。私自転車だし、銀時ンとこ行くわ。自転車置かせて」
健康オタクの鏡華は通勤に自転車を使っている。しかもママチャリではなく、クロスバイクである。
『お、おう、こっち来んのね……。自転車は俺ン家置いてもらって全然大丈夫だわ。一応大家のババアにも伝えとくわ』
ありがとう、と鏡華が弾んだ声で答えた。
5年以上江戸に住んではいるが、なんだかんだかぶき町に行くのは初めてである。それに久々の幼なじみ、さらに久々の飲みであるため、今から少し浮かれてきている。
「多分明日は18時にはあがれると思ってて……それから10分ぐらいでかぶき町には着くんじゃないかな?」
『りょーかい。俺ン家の住所は名刺に書いてあるからそこでよろしく』
「おっけー。楽しみにしてる」
『おーう。じゃ、また明日』
また明日、と言って鏡華は電話を切った。改めて名刺を見て住所を確認する。スナックの2階に店を構えているらしい。
「先生、坂田さんと飲むんですか?患者さんとって……まさか…………!?」
山田がハッとした顔で鏡華のことを見る。鏡華は数秒考えてから慌てて答えた。
「……ん?!何を勘違いしてるのかな!?坂田さんはねェ、幼なじみなの。たまたま今回私が担当になって久しぶりに会ったのよ。だからマジでなんもないからほんとマジで」
「なんだァ……付き合ってるか、片思い中かな?って思いましたわァ」
「付きッ…………」
研修医のぶっ込みに思わずたじろぐ鏡華。銀時のことは幼なじみ以上ではあると思っているが、正直恋愛感情があるとは思っていない。
……ただ、顔と声はかなりのタイプである。
そう考える自分が恥ずかしく思えてしまう鏡華である。そこに山田がニヤニヤした顔で「先生、もしかしたらワンチャンあるかもですよ?」と言ってきた。間を置かず鏡華が答える。
「無いよ!あってたまるか!そういう関係じゃないんだよ私たちは!はい!仕事に戻るよ!」
そう言うと鏡華は残っていたコーヒーを一気に飲み干し、山田を連れて仕事に戻っていった。
銀時との飲みまであと一日。気合いを入れて仕事に励む鏡華であった。
2話へ続く
「うん、怪我はもう大丈夫そう。坂田さん、もう退院していいですよ」
銀時と鏡華が再会して2日後。銀時の退院が決まった。
「おー、やっとか」
「やっとか、って。普通の人はこんなに早く回復しないですよ。さすが坂田さんは早いですね」
仕事モードの鏡華は、幼なじみの銀時相手にも敬語で接していた。それが彼女の仕事の流儀である。
「オメーの敬語聞くとなんか気持ちわりーな。騙されてるみてェ」
「あ?退院延ばしてやろうか?」
「口悪ィ医者だな、オイ。まァその感じがオメーらしくていいんだけどよ」
そうですか、と鏡華は軽く流す。そして全ての診察を終え、彼女が席を立った。
「じゃ、退院手続きお願いしとくんで、あとは窓口によろしくお願いしますね〜」
「おーう……あ、鏡華、」
鏡華が病室を出ようとした時、銀時が彼女を呼び止めた。
「家帰ったらオメーの携帯に連絡入れとくわ。固定電話からかかってきたら俺だと思ってくれ。一応名刺渡しとくわ」
そう言うと銀時は『万事屋銀ちゃん』と書かれた名刺を鏡華に渡した。
「おっけー……って万事屋?」
「まあそこら辺の話は飲んだ時にしようや」
「はいはい、楽しみにしとくわ。じゃ、またね。退院おめでとう〜」
そう言って鏡華は手をヒラヒラと振りながら病室を後にした。銀時はその後ろ姿を見送ってから、退院の準備を始めたのだった。
◇◇
鏡華が銀時を診察したのが午前中で、午後になり銀時が退院したらしいと看護師たちから話を聞いた。休憩室でコーヒーを啜りながら、鏡華は銀時に貰った名刺を眺めていた。
「泉先生、それ退院した坂田さんのですか?」
休憩室で同じく休憩してた研修医の山田が鏡華に話しかけてきた。
「そー。なんかかぶき町で万事屋って店やってるらしい」
「私知ってますよ。地元があの辺りなんで。あそこら辺で『万事屋銀ちゃん』知らない人いないですよマジで」
「え、マジでか。そんなに有名なの?」
万事屋のまさかの知名度に鏡華は驚いた。山田は「もちろんです」と話を続ける。
「ほんと、頼んだら何でもやってくれるらしいんですよ。猫探しから用心棒、オカマクラブのキャストとか」
「オカマ……クラブ…………」
子供の頃から器用なヤツだとは思っていたが、思っていた以上に器用だったらしい。まさかオカマクラブのキャストとは。鏡華の顔に思わず笑みがこぼれた。これは飲んだ時の話題にいいネタを貰えた。
山田と話していると、私用の携帯が鳴った。画面を見ると、登録していない番号だ。だが貰った名刺の番号と一致していた。銀時からだ。
「ほーい」
『俺だけど』
「オレオレ詐欺ですか?」
『ちげーよ!!名刺渡しただろ!!俺だよ!!銀時だっつーの!!』
無気力な体で電話をとり、銀時と話し始める鏡華。そして銀時とやり取りする時は、一度はいじらないと気が済まない鏡華である。
「フフ、分かってるよ。無事帰れたんだな。お疲れ」
『おー。お世話になりましたわ。で、飲みなんだけど、オメーいつ暇?』
「あーちょっと待って……」
鏡華は手帳を開いて予定を確認した。驚くことに、明日の夜ぐらいしか今月はもう空いていない。自分でも社畜を極めていると感じる鏡華である。
「急だけど明日夜空いてる」
『明日な。おっけー分かった」
銀時が二つ返事で答える。コイツほんとに仕事してるのか?という疑念が鏡華の頭に浮かぶが、飲みの時のネタにしようと口を閉じた。
『そしたら待ち合わせはどこでする?オメーの仕事が終わるころに迎えに行ってもいいんだが』
「え、いいよ。飲むならかぶき町でしょ。私自転車だし、銀時ンとこ行くわ。自転車置かせて」
健康オタクの鏡華は通勤に自転車を使っている。しかもママチャリではなく、クロスバイクである。
『お、おう、こっち来んのね……。自転車は俺ン家置いてもらって全然大丈夫だわ。一応大家のババアにも伝えとくわ』
ありがとう、と鏡華が弾んだ声で答えた。
5年以上江戸に住んではいるが、なんだかんだかぶき町に行くのは初めてである。それに久々の幼なじみ、さらに久々の飲みであるため、今から少し浮かれてきている。
「多分明日は18時にはあがれると思ってて……それから10分ぐらいでかぶき町には着くんじゃないかな?」
『りょーかい。俺ン家の住所は名刺に書いてあるからそこでよろしく』
「おっけー。楽しみにしてる」
『おーう。じゃ、また明日』
また明日、と言って鏡華は電話を切った。改めて名刺を見て住所を確認する。スナックの2階に店を構えているらしい。
「先生、坂田さんと飲むんですか?患者さんとって……まさか…………!?」
山田がハッとした顔で鏡華のことを見る。鏡華は数秒考えてから慌てて答えた。
「……ん?!何を勘違いしてるのかな!?坂田さんはねェ、幼なじみなの。たまたま今回私が担当になって久しぶりに会ったのよ。だからマジでなんもないからほんとマジで」
「なんだァ……付き合ってるか、片思い中かな?って思いましたわァ」
「付きッ…………」
研修医のぶっ込みに思わずたじろぐ鏡華。銀時のことは幼なじみ以上ではあると思っているが、正直恋愛感情があるとは思っていない。
……ただ、顔と声はかなりのタイプである。
そう考える自分が恥ずかしく思えてしまう鏡華である。そこに山田がニヤニヤした顔で「先生、もしかしたらワンチャンあるかもですよ?」と言ってきた。間を置かず鏡華が答える。
「無いよ!あってたまるか!そういう関係じゃないんだよ私たちは!はい!仕事に戻るよ!」
そう言うと鏡華は残っていたコーヒーを一気に飲み干し、山田を連れて仕事に戻っていった。
銀時との飲みまであと一日。気合いを入れて仕事に励む鏡華であった。
2話へ続く
