#6 お前の魂は何色か
空欄の場合「鏡華」になります。
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―――長い間闇の中にあると、目玉には映らん微かな光でさえ拾えるようになる。
そいつが人間の放つものだと知ったのは、いつだったか。線香花火のように、人間もまた消えゆく時、一際大きく美しい花を咲かす。
―――だが稀にコイツを生きながらに背負う輩がいる。その光はひどく不安定で……攻撃的で、そして哀しい色を帯びていた。
しってかしらずか、その光にひかれ人が集まる。そう、まるで蛾のように。だが、一度あの光を見て、もう闇の中に戻ることは俺にもできなかった。
―――岡田 も立派な蛾だ。再び篝火 を失うことを恐れる蛾。そして、激しく燃える篝火に飲まれないと必死に抗う蛾。
篝火を指針に舞う蛾。どこもかしこも蛾だらけだ……。
―――だが、虫ケラに混ざって妙なのが一匹。コイツは蛾なんかじゃない。
ひどく分かりづらいが確かに、微かに光が見える。
―――そう、例えるなら刀。鞘から抜き放たれた鋼の刃。鋭く光る、銀色だ。
船の屋根の上で、ニタッと笑う銀時と相対する岡田。目は見えないはずだが、釣られて岡田もニヤッと笑う。
……だがどうしてかな。どうにもこいつの色は、気に入らねェッ!!
二人は同時に斬りかかり、ギギギギ、と金属がぶつかり合う鈍い音を立てながら、鍔迫り合った。この男たちはすでに疲労困憊、お互い脂汗をかきながら痛みに耐えているが、相手には負けぬと笑い合う。
「人が一仕事してる間に、無粋な輩が上がり込んでると思ったら、アンタも一緒に来てたとはねェ。火事場泥棒にでも来たかィ?そんな体で何ができる?自分のやってる事わかんないくらい、おかしくなっちまったか?」
鍔迫り合いながら、岡田が銀時を煽る。銀時は鼻で笑いながら、岡田を煽り返す。
「そういうアンタも、随分と調子悪そうじゃないの。顔色悪いぜ?腹でも下したか?ん?」
「腹を壊してるのはアンタだろ。」
岡田はそう言うと、左手で銀時の胸を鷲掴みにした。先日岡田にやられた傷口が開き、血が噴き出す。ぐっ、んがああああ!!と、銀時が低く悲鳴をあげた。
鍔迫り合いから一転、銀時は刀を振り切って二人は間合いをとった。
距離が空いたことで、岡田は銀時にダメージを与えられたと思ったのだろう。指に付いた銀時の血の感触を感じながら、岡田はクク、と笑った。
「オイオイどうした?血が出てるよ……」
岡田がそう言った時だった。銀時の傷口を開いた左手から、血が噴き出した。間合いをとった時には、既に銀時に斬られていたのか、と気付くには十分な斬り口だった。
「オイオイどうした?血が出てるぜ。」
銀時はブンと刀を振り、刀についた血を払う。
斬られた左手はジンジンと鈍く痛む。その痛みが、高杉 と歩むためには、決して避けては通れぬ相手につけられたモノだと確信させる。
岡田はククク、と笑みを浮かべ大声で笑いながら銀時に斬りかかっていった。
銀時が岡田と剣を交えている頃、桂と鏡華は敵を倒しつつ、高杉の元へと急いでいた。
最後の敵を桂が倒し、二人がチン、と刀を鞘に収めると、目の前には船縁に座る高杉が居た。
「二人共、あれ見ろ。銀時が来てる。」
「……は!?」
鏡華が驚いた声を出して屋根を見上げる。銀時の代わりにココに来たのに、何故アイツが居るのか。銀時には言うなと、あの子に言ったはずなのに……と鏡華は眉間に皺を寄せた。
屋根の上から、二人が戦っているのであろう、戦闘の轟音が聞こえてくる。
高杉は鏡華の気持ちを感じ取っているのかわからないが、ニヤリと笑みを浮かべながら屋根を見上げて話を続ける。
「紅桜相手にやろうってつもりらしいよ。クク、相変わらずバカだな。生身で戦艦とやり合うようなものだぜ。」
桂も屋根を見上げる。戦う銀時と岡田が見えた。
「……もはや人間の動きではないな。紅桜の伝達指令についていけず、身体が悲鳴をあげている。あの男、死ぬぞ……」
桂が冷静に岡田を分析する。二人が話す中、鏡華は銀時たちの戦いをじっと見つめていた。
銀時を治療した鏡華だからこそ分かる、あの怪我のまま戦い続けたら死んでしまうという懸念で、鏡華の心は張り裂けそうだった。
―――このままじゃ、確実に後悔する。
「……ヅラごめん、私、アイツのとこ行ってくるわ。」
鏡華が銀時たちの方を見据えたまま桂に謝る。桂は分かっている、とでも言うように静かに頷いた。
「……あぁ、行ってこい。止めはせぬ。」
「うん……。あ、晋助、あとで絶対ぶん殴るからな。そもそも私は、コイツらのお礼参りに来たんだからな。覚えとけよ?」
「……おーおー、怖いねェ。昔から変わらねェな。」
鏡華に睨みつけられた高杉は、ニヒルな笑みを浮かべて答えた。その顔に若干イラッとしながら、鏡華は銀時の元へと急いで向かった。
残った桂と高杉は、二人で話を続ける。
「高杉……貴様は知っていたはずだ。紅桜を使えばどのような事になるか。仲間だろう、何とも思わんのか?」
桂の問いかけに、微かに笑みを浮かべながら高杉が答える。
「ありゃ岡田 が自ら望んでやったことだ。あれで死んだとしても本望だろう。」
「本望だと?」
銀時たちが戦う屋根の上にいる村田鉄子が、兄の村田鉄矢に聞き返した。村田は自信満々に、「その通りだ!!」と答える。
「あの男はな、まさしく刀になる事を望んでいた!高杉という篝火を護るための刀に!再び闇に戻るくらいならば、火に飛び入り、その勢いを増長させるのも厭わん男だ!」
村田たちが話している間にも、どんどん人間離れしていく岡田の動きに、銀時は何とか食らいついている。戦っている二人を背景に、村田が持論を展開していく。
「光に目を焼かれ、最早それ以外見えぬ!なんと……哀れで愚かな男か……!しかしそこには、その善も悪も超えたところには、美がある!!
一振りの剣と同じく、そこには『美』がある!!」
村田が熱弁している頃、高杉は刀を抜いて、桂に話しかけていた。
「刀は斬る。刀匠は打つ。侍は……なんだろうな。まァなんにせよ、一つの目的のために存在するモノは、強くしなやかで美しいんだそうだ。剣 のように。」
桂は黙って高杉の話に耳を傾ける。高杉は刀を収めて話を続ける。
「クク、単純な連中だろ。だが、嫌いじゃねーよ。……俺も目の前の一本の道しか見えちゃいねェ。あぜ道に仲間が転がろうが、誰が転がろうがかまやしねェ。」
そう言い切る高杉の眼差しは、しっかりと一点を見つめていた。
「銀時!!」
銀時の元へと急いでいた鏡華が、ようやく銀時の元へと辿り着いた。着いた時にはまだ銀時と岡田が斬り合っていた。
鏡華は銀時の名前を呼んだが、本人は鏡華に気づいていなかった。それほど戦いに集中していたのだろう。
また、村田兄妹も会話に夢中で、鏡華の存在には気づいていない。そのまま会話を続けている。
「アレのどこが美しい?あんなモノが兄者の作りたかったモノだとでもいうのか。……もう止めてくれ。私は兄者の刀で血が流れるところを、もう見たくない。」
「ならば何故あの男をここに連れてきた!?わざわざ死にに来させたようなものではないか!!まさかお前の打ったあの鈍刀 で、私の紅桜に勝てるとでも……」
村田が「勝てるとでも思っているのか」と言いかけた時だった。村田の背後で何かが吹っ飛んできて、壁に激突する音が聞こえた。
彼が振り返るとそこに倒れていたのは、戦艦を撃墜するほどの力を持っているはずの岡田だった。村田は両目が血走るほど、カッと目を見開いた。
「バッ、バカな!紅桜と互角……いや、それ以上の力でやり合っているだと!!」
岡田を吹っ飛ばした銀時は、ゼェハァと息を荒げつつもしっかりと立っていた。一呼吸着いている銀時に、再度鏡華が銀時を呼んだ。
「銀時!!もうやめろ!!死ぬぞ!!」
ようやく鏡華の声に気づいた銀時が、ほんの少し微笑んで鏡華の方を見た。
「おー……鏡華、居たのか。……バァカ、死なねェよ。テメーはそこに居ろ。手ェ、出すんじゃねェぞ。」
ふざけるなと言いたげに、鏡華が銀時の元に寄ろうとしたが、倒れていた岡田が、おおおおお!と大声を出しながら再度銀時に向かっていったため、鏡華は近づくことができなかった。
「……ッ銀時……!」
離れたところから、銀時を心配することしかできない鏡華。鉄子は鏡華の存在に気づいたが、村田は岡田が吹っ飛ばされた事に動揺していた。
―――似蔵殿は、紅桜の侵食で体力が衰えているとはいえ、紅桜そのものの能力はデータを重ね、数段向上しているはず……!!まさか!!
―――あの男、紅桜を上回る早さで成長している!?いや……あれは……
岡田の目にも止まらぬ斬撃を確実に受けきり、いなしていく銀時。先刻までと違い、岡田の速さが上がっているはずなのに、銀時がその身に受ける攻撃が、明らかに少なくなっている。村田もだが、鉄子も信じられないという眼差しを向ける。
―――極限の命のやりとりの中で、身体の奥底に眠る戦いの記憶が蘇ったのか……
二人が驚く中、一人、鏡華だけが、心配の中に懐かしさを含ませた視線を銀時に送っていた。
―――あの頃の、銀時だ……。
岡田が横に薙ぎ払った。だが、その剣先に銀時の姿は無い。……銀時は横に振り切った剣の上に乗っていた。
赤い瞳が、冷たく岡田を見据え、そのまま岡田の右腕に剣を突き立てた。
―――あれが、白夜叉……!!
村田は苦い顔をしながらも、驚いた表情をしていた。一方、剣を突き立てられた岡田の腕は、ピシッピシッと音を立てている。紅桜と岡田を繋ぐコードが次々に切れていっているのだ。銀時は剣を引き抜き、フーと息を吐きながら、紅桜の上から降りた。
―――消えねェ……何度消そうとしても、目障りな光が消えね……
銀時が降りたと同時ぐらいに、岡田の体がメキ、ミシ、と音を立て始めた。先程までとは明らかに違う岡田の様子に、銀時の目に驚愕の色が宿る。
「避けろ銀時ィ!!」
その直後、鏡華が銀時を呼ぶ声と共に、轟音が鳴り響いた。
そいつが人間の放つものだと知ったのは、いつだったか。線香花火のように、人間もまた消えゆく時、一際大きく美しい花を咲かす。
―――だが稀にコイツを生きながらに背負う輩がいる。その光はひどく不安定で……攻撃的で、そして哀しい色を帯びていた。
しってかしらずか、その光にひかれ人が集まる。そう、まるで蛾のように。だが、一度あの光を見て、もう闇の中に戻ることは俺にもできなかった。
―――
篝火を指針に舞う蛾。どこもかしこも蛾だらけだ……。
―――だが、虫ケラに混ざって妙なのが一匹。コイツは蛾なんかじゃない。
ひどく分かりづらいが確かに、微かに光が見える。
―――そう、例えるなら刀。鞘から抜き放たれた鋼の刃。鋭く光る、銀色だ。
船の屋根の上で、ニタッと笑う銀時と相対する岡田。目は見えないはずだが、釣られて岡田もニヤッと笑う。
……だがどうしてかな。どうにもこいつの色は、気に入らねェッ!!
二人は同時に斬りかかり、ギギギギ、と金属がぶつかり合う鈍い音を立てながら、鍔迫り合った。この男たちはすでに疲労困憊、お互い脂汗をかきながら痛みに耐えているが、相手には負けぬと笑い合う。
「人が一仕事してる間に、無粋な輩が上がり込んでると思ったら、アンタも一緒に来てたとはねェ。火事場泥棒にでも来たかィ?そんな体で何ができる?自分のやってる事わかんないくらい、おかしくなっちまったか?」
鍔迫り合いながら、岡田が銀時を煽る。銀時は鼻で笑いながら、岡田を煽り返す。
「そういうアンタも、随分と調子悪そうじゃないの。顔色悪いぜ?腹でも下したか?ん?」
「腹を壊してるのはアンタだろ。」
岡田はそう言うと、左手で銀時の胸を鷲掴みにした。先日岡田にやられた傷口が開き、血が噴き出す。ぐっ、んがああああ!!と、銀時が低く悲鳴をあげた。
鍔迫り合いから一転、銀時は刀を振り切って二人は間合いをとった。
距離が空いたことで、岡田は銀時にダメージを与えられたと思ったのだろう。指に付いた銀時の血の感触を感じながら、岡田はクク、と笑った。
「オイオイどうした?血が出てるよ……」
岡田がそう言った時だった。銀時の傷口を開いた左手から、血が噴き出した。間合いをとった時には、既に銀時に斬られていたのか、と気付くには十分な斬り口だった。
「オイオイどうした?血が出てるぜ。」
銀時はブンと刀を振り、刀についた血を払う。
斬られた左手はジンジンと鈍く痛む。その痛みが、
岡田はククク、と笑みを浮かべ大声で笑いながら銀時に斬りかかっていった。
銀時が岡田と剣を交えている頃、桂と鏡華は敵を倒しつつ、高杉の元へと急いでいた。
最後の敵を桂が倒し、二人がチン、と刀を鞘に収めると、目の前には船縁に座る高杉が居た。
「二人共、あれ見ろ。銀時が来てる。」
「……は!?」
鏡華が驚いた声を出して屋根を見上げる。銀時の代わりにココに来たのに、何故アイツが居るのか。銀時には言うなと、あの子に言ったはずなのに……と鏡華は眉間に皺を寄せた。
屋根の上から、二人が戦っているのであろう、戦闘の轟音が聞こえてくる。
高杉は鏡華の気持ちを感じ取っているのかわからないが、ニヤリと笑みを浮かべながら屋根を見上げて話を続ける。
「紅桜相手にやろうってつもりらしいよ。クク、相変わらずバカだな。生身で戦艦とやり合うようなものだぜ。」
桂も屋根を見上げる。戦う銀時と岡田が見えた。
「……もはや人間の動きではないな。紅桜の伝達指令についていけず、身体が悲鳴をあげている。あの男、死ぬぞ……」
桂が冷静に岡田を分析する。二人が話す中、鏡華は銀時たちの戦いをじっと見つめていた。
銀時を治療した鏡華だからこそ分かる、あの怪我のまま戦い続けたら死んでしまうという懸念で、鏡華の心は張り裂けそうだった。
―――このままじゃ、確実に後悔する。
「……ヅラごめん、私、アイツのとこ行ってくるわ。」
鏡華が銀時たちの方を見据えたまま桂に謝る。桂は分かっている、とでも言うように静かに頷いた。
「……あぁ、行ってこい。止めはせぬ。」
「うん……。あ、晋助、あとで絶対ぶん殴るからな。そもそも私は、コイツらのお礼参りに来たんだからな。覚えとけよ?」
「……おーおー、怖いねェ。昔から変わらねェな。」
鏡華に睨みつけられた高杉は、ニヒルな笑みを浮かべて答えた。その顔に若干イラッとしながら、鏡華は銀時の元へと急いで向かった。
残った桂と高杉は、二人で話を続ける。
「高杉……貴様は知っていたはずだ。紅桜を使えばどのような事になるか。仲間だろう、何とも思わんのか?」
桂の問いかけに、微かに笑みを浮かべながら高杉が答える。
「ありゃ
「本望だと?」
銀時たちが戦う屋根の上にいる村田鉄子が、兄の村田鉄矢に聞き返した。村田は自信満々に、「その通りだ!!」と答える。
「あの男はな、まさしく刀になる事を望んでいた!高杉という篝火を護るための刀に!再び闇に戻るくらいならば、火に飛び入り、その勢いを増長させるのも厭わん男だ!」
村田たちが話している間にも、どんどん人間離れしていく岡田の動きに、銀時は何とか食らいついている。戦っている二人を背景に、村田が持論を展開していく。
「光に目を焼かれ、最早それ以外見えぬ!なんと……哀れで愚かな男か……!しかしそこには、その善も悪も超えたところには、美がある!!
一振りの剣と同じく、そこには『美』がある!!」
村田が熱弁している頃、高杉は刀を抜いて、桂に話しかけていた。
「刀は斬る。刀匠は打つ。侍は……なんだろうな。まァなんにせよ、一つの目的のために存在するモノは、強くしなやかで美しいんだそうだ。
桂は黙って高杉の話に耳を傾ける。高杉は刀を収めて話を続ける。
「クク、単純な連中だろ。だが、嫌いじゃねーよ。……俺も目の前の一本の道しか見えちゃいねェ。あぜ道に仲間が転がろうが、誰が転がろうがかまやしねェ。」
そう言い切る高杉の眼差しは、しっかりと一点を見つめていた。
「銀時!!」
銀時の元へと急いでいた鏡華が、ようやく銀時の元へと辿り着いた。着いた時にはまだ銀時と岡田が斬り合っていた。
鏡華は銀時の名前を呼んだが、本人は鏡華に気づいていなかった。それほど戦いに集中していたのだろう。
また、村田兄妹も会話に夢中で、鏡華の存在には気づいていない。そのまま会話を続けている。
「アレのどこが美しい?あんなモノが兄者の作りたかったモノだとでもいうのか。……もう止めてくれ。私は兄者の刀で血が流れるところを、もう見たくない。」
「ならば何故あの男をここに連れてきた!?わざわざ死にに来させたようなものではないか!!まさかお前の打ったあの
村田が「勝てるとでも思っているのか」と言いかけた時だった。村田の背後で何かが吹っ飛んできて、壁に激突する音が聞こえた。
彼が振り返るとそこに倒れていたのは、戦艦を撃墜するほどの力を持っているはずの岡田だった。村田は両目が血走るほど、カッと目を見開いた。
「バッ、バカな!紅桜と互角……いや、それ以上の力でやり合っているだと!!」
岡田を吹っ飛ばした銀時は、ゼェハァと息を荒げつつもしっかりと立っていた。一呼吸着いている銀時に、再度鏡華が銀時を呼んだ。
「銀時!!もうやめろ!!死ぬぞ!!」
ようやく鏡華の声に気づいた銀時が、ほんの少し微笑んで鏡華の方を見た。
「おー……鏡華、居たのか。……バァカ、死なねェよ。テメーはそこに居ろ。手ェ、出すんじゃねェぞ。」
ふざけるなと言いたげに、鏡華が銀時の元に寄ろうとしたが、倒れていた岡田が、おおおおお!と大声を出しながら再度銀時に向かっていったため、鏡華は近づくことができなかった。
「……ッ銀時……!」
離れたところから、銀時を心配することしかできない鏡華。鉄子は鏡華の存在に気づいたが、村田は岡田が吹っ飛ばされた事に動揺していた。
―――似蔵殿は、紅桜の侵食で体力が衰えているとはいえ、紅桜そのものの能力はデータを重ね、数段向上しているはず……!!まさか!!
―――あの男、紅桜を上回る早さで成長している!?いや……あれは……
岡田の目にも止まらぬ斬撃を確実に受けきり、いなしていく銀時。先刻までと違い、岡田の速さが上がっているはずなのに、銀時がその身に受ける攻撃が、明らかに少なくなっている。村田もだが、鉄子も信じられないという眼差しを向ける。
―――極限の命のやりとりの中で、身体の奥底に眠る戦いの記憶が蘇ったのか……
二人が驚く中、一人、鏡華だけが、心配の中に懐かしさを含ませた視線を銀時に送っていた。
―――あの頃の、銀時だ……。
岡田が横に薙ぎ払った。だが、その剣先に銀時の姿は無い。……銀時は横に振り切った剣の上に乗っていた。
赤い瞳が、冷たく岡田を見据え、そのまま岡田の右腕に剣を突き立てた。
―――あれが、白夜叉……!!
村田は苦い顔をしながらも、驚いた表情をしていた。一方、剣を突き立てられた岡田の腕は、ピシッピシッと音を立てている。紅桜と岡田を繋ぐコードが次々に切れていっているのだ。銀時は剣を引き抜き、フーと息を吐きながら、紅桜の上から降りた。
―――消えねェ……何度消そうとしても、目障りな光が消えね……
銀時が降りたと同時ぐらいに、岡田の体がメキ、ミシ、と音を立て始めた。先程までとは明らかに違う岡田の様子に、銀時の目に驚愕の色が宿る。
「避けろ銀時ィ!!」
その直後、鏡華が銀時を呼ぶ声と共に、轟音が鳴り響いた。
