#5 同窓会するなら幹事はやめとけ結構しんどいぞ
空欄の場合「鏡華」になります。
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「晋助様ァァァ!!しっかり!晋助様ァァ!!」
桂に斬り伏せられた高杉に、来島が駆け寄り声をかける。桂に相対する武市が、ほう、と声を出した。
「これは意外な人とお会いする。こんな所で死者と対面できるとは……。」
「この世に未練があったものでな。蘇ってきたのさ。」
桂は真っ直ぐ武市を見据えて話す。桂の後ろにいる新八が目を見開きながら、ウソ……と驚く声を上げた。
「桂さっ……」
「いい加減狭ェーわ!!はよどけヅラァァァ!!」
新八が桂の名前を呼ぶ前に、桂の後ろからもう一人飛び出てきて、桂を蹴り飛ばした。うおおお、と叫びながら倒れる桂。
蹴り飛ばしたのは、新八より先にこの船に乗り込んでいた泉鏡華である。鏡華はフーと息を吐きながら肩を回した。
「あーマジで狭かった。」
「鏡華貴様……折角かっこよくキメようとしたのに、何をする!」
「あ?狭かったから蹴っ飛ばしただけだが?」
「すぐに布は下に落ちたではないか!!蹴り飛ばす必要あったか!?」
ギャーギャーと言い争う桂と鏡華。その様子を武市たちが警戒しながら注視する。
ひとしきり騒いだところで、桂は再度武市たちの方を見た。丁度、高杉が来島に支えられながら、起き上がろうとしているところだった。
「……かつての仲間に斬られたとあっては、死んでも死にきれぬというもの。なァ高杉、お前もそうだろう。」
起き上がった高杉は、クク、と笑う。
「仲間ねェ。まだそう思ってくれていたとは、ありがた迷惑な話だ。」
そう言う高杉の胸元には、桂も持っていた寺子屋時代の教科書があった。それが桂からの斬撃を軽減させ、命を奪うまでにいかなかったようだ。
「……あんたもまだそれ持ってたんだね。」
鏡華が複雑な表情をしながら高杉に話しかける。
「よォ鏡華、久しぶりだな。」
高杉が不敵な笑みを浮かべながら鏡華を見据える。一方の鏡華は変わらず複雑な表情である。
お礼参りにしにきたのに、昔のダチを斬るような奴なのに、その本人が昔の思い出をまだ持っていたことに戸惑ってしまっている。
「……高杉、お前もまだそんなものを持っていたか。お互いバカらしい。」
桂もまた懐から教科書を取り出し、高杉に話しかける。高杉はまた、クク、と笑う。
「お前もそいつのおかげで紅桜から護られたってわけかい。思い出は大切にするもんだねェ。」
「いや、貴様の無能な部下のおかげさ。よほど興奮していたらしい。ロクに確認もせずに、髪だけ刈り取って去っていったわ。たいした人斬りだ。」
「オイ、私のおかげでもあるよね?その後すぐ私が通りかかったから、あんた助かったんだよね?分かってる?」
「鏡華、話が進まなくなる。分かってるからちょっと静かにしろ。」
横からチャチャを入れる鏡華を一蹴する桂。怒られた鏡華は、あ?、と悪態をつきながらも黙った。
「なるほど、鏡華にも助けられたか。逃げ回るだけじゃなく、死んだフリまでうまくなったらしい。で?わざわざ復讐に来たわけかィ。奴を差し向けたのは俺だとも?」
「アレが貴様の差し向けだろうが、奴の独断だろうが関係ない。だが、お前のやろうとしている事を黙って見過ごすワケにもいくまい。」
桂がそう言った直後に、船内から大きな爆発が起こった。先程桂が仕掛けた爆弾が爆発したのだ。予想外の爆発の大きさに、流石の鏡華も、うおっ、と少し驚いた。
高杉たちが、目を見開き、なっ!!と驚きの声を上げるのを見て桂が続ける。
「貴様の野望、悪いが海に消えてもらおう。」
爆発が起こったことで、工場が!紅桜がァァ!!と、あちこちから悲鳴が上がる。来島たちも額に血管を浮かび上がらせながら、「かつらァァ!!!」と叫んだ。
「貴様ァァァ!!生きて帰れると思うてかァァ!!」
瞬時に高杉の部下たちに囲まれる桂たち。桂は縛り付けられている神楽の手錠を刀で斬ると、部下たちと向かい合った。
「江戸の夜明けをこの眼で見るまでは、死ぬ訳にはいかん。貴様ら野蛮な輩に揺り起こされたのでは、江戸も目覚めが悪かろうて。
朝日を見ずして眠るがいい。」
剣を部下たちに向けてそう言い放った桂だが、彼の胴体には何故か、神楽が抱きついてきていた。
桂が驚いたのも束の間、「眠んのはてめェだァァ!!」と、甲板の床にめり込む勢いで神楽にジャーマンスープレックスをかけられたのである。
ふごを!!と、桂の叫び声が割れた床から聞こえた。まさかの展開に部下たちも言葉を失っている。
「ええええええ神楽ちゃん!?なんで!?」
突然のジャーマンスープレックスに思わずテンパる鏡華。その神楽の後ろから、新八が神楽が縛り付けられていた十字架を持って、近づいてきている。
「てめ〜〜〜人に散々心配かけといてエリザベスの中に入っていただァ〜〜〜?
ふざけんのも大概しろォォ!!」
そう言うと新八は、桂に思いっきりフルスイングをした。そしてそれは鏡華にも降り掛かってきた。ぶべら!!と鏡華が叫ぶ。
桂と鏡華は、高杉の部下たちと新八たちに囲まれてしまった。
「あれェェェェ!?新八くん!?なんで私も!?」
「黙らっしゃい!アンタ、僕と一緒に刀鍛冶に行ったのに、いつの間にかいなくなった上にこんなとこに居るし、そもそも桂 を助けてただァ?
アンタ桂 が生きてるの知ってたってことじゃねーか!!!俺達の心配を返せェ!!」
目をカッと見開きながら、至極真っ当な新八のツッコミにタジタジになる鏡華。そういえば、桂を助けたことを完全に伝え忘れていたな〜と、今更になって思い出し、冷や汗が流れた。
そして新八たちは次に桂を睨みつけた。
「いつからエリザベスの中に入ってた?あん?いつから俺達だましてた?」
桂もまた、新八たちの勢いにたじろいでいる。
「ちょっ、待て、今はそういう事言ってる場合じゃないだろう。ホラ見て、今にも襲いかかって来そうな雰囲気だよ?」
「うるせーんだよ!!こっちも襲いかかりそうな雰囲気!!」
詰める新八たちに桂たちが気を取られてる隙に、と高杉の部下たちがお互いに目で合図をする。
桂と鏡華はまだその事に気づかないで、新八たちに弁明する。
「待て、落ち着け。何も知らせなかったのは悪かった、謝る。今回の件は、俺が俺個人を標的に動いてると思っていたゆえ。敵の内情を探るにも俺は死んでいる事にしていた方が動きやすいと考え、何も知らせなんだ。
なにより俺個人の問題に他人を巻き込むのは不本意だったしな。」
「そ、そうそう、あんた私にもそれ言って関わるなって言ってきたよね。」
と鏡華が桂の話に乗っかる。桂はコクンと頷き、ゆえにこうして変装をして、と話したが、途中で新八と神楽が桂の両足を片方ずつ抱きかかえ、
「「だからなんでエリザベスだァァァァ!!」」
と激しくぶん回した。ぶごをををを!!と叫ぶ桂、その桂に当たって吹っ飛ぶ鏡華と高杉の部下たち。
新八たちの意図的かどうかは分からないが、激しくぶん回されている桂のおかげで、高杉の部下たちは簡単に近寄ることが出来なくなった。
「何やってんスかァ!!」
と来島が銃を構える。その直後、あれは!!と武市が何かに気づいた。
武市たちの目線の先には、一隻の船。その船がゴゴゴゴと音を立てながら近づいてくる。
「オイアレ、なんかこっちに……!!」
船が近づき、ようやく見えたのは、本物のエリザベス。エリザベスたちが乗った船は、なんとそのままのスピードで高杉たちの船に衝突した。
衝突の衝撃で部下たちのうわァァァ!!という叫び声が響く。
「船が突っ込んできやがった!なんてマネを!!」
誰かがそう叫んだ直後、エリザベスら、桂の部下たちが一斉になだれ込んだ。
「高杉ィィィィィ!!貴様らの思い通りにはさせん!!」
桂の部下たちがそう叫びながら、高杉の部下たちと斬り合っていく。至る所で真剣がぶつかり合う火花が飛び、見事なまでの乱戦っぷりである。
「チッ!!全員叩き斬るっス!!」
来島が部下たちに指示を飛ばす。一方でエリザベスが『お゛らァ!!』と書かれたプラカードで次々と敵をぶん殴る。
そして、桂たちを守るようにエリザベスたちが四人を囲んだ。
「エリザベス……みんな……。」
新八の声に部下の一人が、話しだした。
「すみません桂さん。いかなる事があろうと、勝手に兵を動かすなと言われておきながら、桂さんに変事ありと聞き、いてもたってもいられず。
かような事で桂さんが死ぬ訳ないと信じておりましたが、最後の最後で我らは…………」
「やめてくれ。そんな顔で謝る奴らを叱れるわけもない。」
桂から顔は見えないが、涙を流しながら桂に謝る部下たちに、桂は困ったように目を伏せて答えた。
「それに謝らなければならぬのは俺の方だ。何の連絡もせずに。」
謝る桂に、部下の一人が話す。
「桂さん、あなた一人で止めるつもりだったんでしょう。かつての仲間である高杉を救おうと。騒ぎを広めずに一人説得に行くつもりだったんでしょう。」
部下が話している間に、高杉が来島たちに守られながら船内へと入っていくのが見えた。
―――高杉……!
―――晋助……!
桂と鏡華の刀を握る手に力が入る。
「それを我らはこのように騒ぎ立て、高杉一派との亀裂を完全なものにしてしまった。これでは、もう……」
落ち込んだ声色で話す部下。それを桂は、言うな、と制止した。
「……奴とはいずれ、こうなっていたさ。」
「ヅラ……。」
心做しか悲しそうな顔の桂を、鏡華はじっと見つめる。幼い頃から共に学び、共に激動の時代を駆け抜け、同じ道を歩んできたはずなのに、今となってはどうしてこんなにも道を違えてしまったのか。
終戦後早々に名を変え、新たな人生を歩んでしまった自分には、道を誤った友人を正しい道へ戻すなどという資格は無いのではないのか。そんなことを鏡華は考えてしまっていた。
―――それでも私は……離れてしまってたけど、やっぱりアイツらを……『ダチ』だと思うから……!
「ああああああ!!」
鏡華は急に叫び、両頬をバチンと叩いた。彼女なりの気合いの入れ方である。余りの音に周りにいた人物はみなビクッと肩を揺らしたのだった。
「……ところで桂さん、この人は……?」
鏡華の正体を知らない部下が、桂に問う。桂はフッと笑って答えた。
「……俺のダチだ。」
スッ、と桂の前から何かをだす音が聞こえた。
『桂さん、ここはいいから早く行ってださい。』
『まだ、間に合います。』
エリザベスが後ろにいる桂に、プラカードで話しかけたのだ。桂は驚いた顔でエリザベスを見る。
「…………エリザベス。」
『今度はさっさと帰ってきてくださいよ。』
エリザベスのその言葉に桂は覚悟を決めるように目を閉じた。
「……っしゃ。ヅラ、行くよ。」
鏡華が桂に話しかける。桂は、あぁ、と言うと目を開いた。
そしてエリザベスたちに、すまぬっ!と言って、鏡華と共に高杉を追いかけていった。
船内に入ると背後から鏡華たちを追いかける足音が聞こえた。2人が振り返ると、そこには新八と神楽が一緒に走っていた。
「!!お前ら……!!」
「ここまで来たら、最後までつき合いますからね!」
「ヅラぁ、てめっ、帰ったらなんかおごるアル!!あっ、おネエさんもナ!!」
お前ら……と桂が呟く。その瞬間、弾丸が桂たちに飛んできた。前を見ると、拳銃をクルクルと回す来島また子と、刀に右手を添えた武市変平太が居た。
「晋助様のところへはいかせないっス。」
「悪いがフェミニストといえど、鬼になることもあります。綿密に立てた計画……コレを台無しにされるのが一番腹が立つチクショー。
……それに桂と一緒に居る貴方は、まさか……」
「あ?フェミニスト?ロリコンみてぇな顔しやがって。」
鏡華が悪態をつき、チッ、と桂が舌打ちをする。その二人の前に立つように、新八と神楽が来島と武市に向かい合った。
「ヅラぁ、私酢昆布一年分と『渡る世間は鬼しかいねェチクショー』DVD全巻ネ。おネエさんには定春のエサ。」
神楽が指をボキボキと鳴らしながら二人にタカる。続いて新八も刀を抜き、桂たちにタカる。
「僕、お通ちゃんのニューアルバムと写真集とハーゲンダッツ百個お願いします。あっ、やっぱ千個。」
「あっ、ズルイネ!じゃ私、酢昆布十年分!!」
まるで自分たちが代わりに、来島たちの相手をすると言わんばかりの新八と神楽の行動に、桂と鏡華は動揺する。
「おい、何を!」
「子供は下がっときなって!!」
桂と鏡華が二人を呼び止める。だが、
「「早く行けェ!ボケェ!!」」
と一蹴されてしまった。慌てた桂が、二人に手を伸ばす。
「待て!お前たちに何かあったら俺は……銀時に合わす顔が無い!」
「私もだ!何のためにココに来たのか分からなくなる!」
「何言ってるアルか!!」
「「ヅラは、そのヘンテコな髪型見せて笑ってもらえ!!」」
桂と鏡華の呼び止める声を振り切って、二人は来島と武市に飛びかかった。来島たちはそれぞれの攻撃を受け止め、距離をとった。
武市が素性が分からない二人に問いかける。
「読めませんね……。この船にあってあなた達だけが異質。攘夷浪士でもなければ、桂の配下の者でもない様子。……もちろん私達の味方でもない。」
「なんなんスかお前ら!一体何者なんスか!!
一体誰の回し者スか!?」
拳銃をかまえ二人に問い詰める来島に、ニタッとした笑みで答える新八と神楽。
「宇宙一バカな侍だコノヤロー!!」
その頃高杉の船の屋根では、桂の仲間の船を落としまくった岡田が、紅桜のオーバーヒートに耐えきれず、村田のメンテナンスを受けていた。
そこに、カツン、とブーツの歩く音が響く。屋根を歩いて岡田たちに近づいてきたのは、岡田が先日倒したはずの男。
村田の妹を引き連れ、とぐろを巻いた龍の装飾の鍔をつけた刀を担ぎ、阿呆そうな表情で口元はニッと笑い、旧知の友人に会うかのように岡田にヒラッと手をあげる銀髪の男。
その男は、岡田が高杉 の横に立つためには、邪魔になる存在。
曇天の雲間から数本の光が差し込んだ。光の先にいる男――――宇宙一バカな侍 がやってきたのだった。
6話へ続く
桂に斬り伏せられた高杉に、来島が駆け寄り声をかける。桂に相対する武市が、ほう、と声を出した。
「これは意外な人とお会いする。こんな所で死者と対面できるとは……。」
「この世に未練があったものでな。蘇ってきたのさ。」
桂は真っ直ぐ武市を見据えて話す。桂の後ろにいる新八が目を見開きながら、ウソ……と驚く声を上げた。
「桂さっ……」
「いい加減狭ェーわ!!はよどけヅラァァァ!!」
新八が桂の名前を呼ぶ前に、桂の後ろからもう一人飛び出てきて、桂を蹴り飛ばした。うおおお、と叫びながら倒れる桂。
蹴り飛ばしたのは、新八より先にこの船に乗り込んでいた泉鏡華である。鏡華はフーと息を吐きながら肩を回した。
「あーマジで狭かった。」
「鏡華貴様……折角かっこよくキメようとしたのに、何をする!」
「あ?狭かったから蹴っ飛ばしただけだが?」
「すぐに布は下に落ちたではないか!!蹴り飛ばす必要あったか!?」
ギャーギャーと言い争う桂と鏡華。その様子を武市たちが警戒しながら注視する。
ひとしきり騒いだところで、桂は再度武市たちの方を見た。丁度、高杉が来島に支えられながら、起き上がろうとしているところだった。
「……かつての仲間に斬られたとあっては、死んでも死にきれぬというもの。なァ高杉、お前もそうだろう。」
起き上がった高杉は、クク、と笑う。
「仲間ねェ。まだそう思ってくれていたとは、ありがた迷惑な話だ。」
そう言う高杉の胸元には、桂も持っていた寺子屋時代の教科書があった。それが桂からの斬撃を軽減させ、命を奪うまでにいかなかったようだ。
「……あんたもまだそれ持ってたんだね。」
鏡華が複雑な表情をしながら高杉に話しかける。
「よォ鏡華、久しぶりだな。」
高杉が不敵な笑みを浮かべながら鏡華を見据える。一方の鏡華は変わらず複雑な表情である。
お礼参りにしにきたのに、昔のダチを斬るような奴なのに、その本人が昔の思い出をまだ持っていたことに戸惑ってしまっている。
「……高杉、お前もまだそんなものを持っていたか。お互いバカらしい。」
桂もまた懐から教科書を取り出し、高杉に話しかける。高杉はまた、クク、と笑う。
「お前もそいつのおかげで紅桜から護られたってわけかい。思い出は大切にするもんだねェ。」
「いや、貴様の無能な部下のおかげさ。よほど興奮していたらしい。ロクに確認もせずに、髪だけ刈り取って去っていったわ。たいした人斬りだ。」
「オイ、私のおかげでもあるよね?その後すぐ私が通りかかったから、あんた助かったんだよね?分かってる?」
「鏡華、話が進まなくなる。分かってるからちょっと静かにしろ。」
横からチャチャを入れる鏡華を一蹴する桂。怒られた鏡華は、あ?、と悪態をつきながらも黙った。
「なるほど、鏡華にも助けられたか。逃げ回るだけじゃなく、死んだフリまでうまくなったらしい。で?わざわざ復讐に来たわけかィ。奴を差し向けたのは俺だとも?」
「アレが貴様の差し向けだろうが、奴の独断だろうが関係ない。だが、お前のやろうとしている事を黙って見過ごすワケにもいくまい。」
桂がそう言った直後に、船内から大きな爆発が起こった。先程桂が仕掛けた爆弾が爆発したのだ。予想外の爆発の大きさに、流石の鏡華も、うおっ、と少し驚いた。
高杉たちが、目を見開き、なっ!!と驚きの声を上げるのを見て桂が続ける。
「貴様の野望、悪いが海に消えてもらおう。」
爆発が起こったことで、工場が!紅桜がァァ!!と、あちこちから悲鳴が上がる。来島たちも額に血管を浮かび上がらせながら、「かつらァァ!!!」と叫んだ。
「貴様ァァァ!!生きて帰れると思うてかァァ!!」
瞬時に高杉の部下たちに囲まれる桂たち。桂は縛り付けられている神楽の手錠を刀で斬ると、部下たちと向かい合った。
「江戸の夜明けをこの眼で見るまでは、死ぬ訳にはいかん。貴様ら野蛮な輩に揺り起こされたのでは、江戸も目覚めが悪かろうて。
朝日を見ずして眠るがいい。」
剣を部下たちに向けてそう言い放った桂だが、彼の胴体には何故か、神楽が抱きついてきていた。
桂が驚いたのも束の間、「眠んのはてめェだァァ!!」と、甲板の床にめり込む勢いで神楽にジャーマンスープレックスをかけられたのである。
ふごを!!と、桂の叫び声が割れた床から聞こえた。まさかの展開に部下たちも言葉を失っている。
「ええええええ神楽ちゃん!?なんで!?」
突然のジャーマンスープレックスに思わずテンパる鏡華。その神楽の後ろから、新八が神楽が縛り付けられていた十字架を持って、近づいてきている。
「てめ〜〜〜人に散々心配かけといてエリザベスの中に入っていただァ〜〜〜?
ふざけんのも大概しろォォ!!」
そう言うと新八は、桂に思いっきりフルスイングをした。そしてそれは鏡華にも降り掛かってきた。ぶべら!!と鏡華が叫ぶ。
桂と鏡華は、高杉の部下たちと新八たちに囲まれてしまった。
「あれェェェェ!?新八くん!?なんで私も!?」
「黙らっしゃい!アンタ、僕と一緒に刀鍛冶に行ったのに、いつの間にかいなくなった上にこんなとこに居るし、そもそも
アンタ
目をカッと見開きながら、至極真っ当な新八のツッコミにタジタジになる鏡華。そういえば、桂を助けたことを完全に伝え忘れていたな〜と、今更になって思い出し、冷や汗が流れた。
そして新八たちは次に桂を睨みつけた。
「いつからエリザベスの中に入ってた?あん?いつから俺達だましてた?」
桂もまた、新八たちの勢いにたじろいでいる。
「ちょっ、待て、今はそういう事言ってる場合じゃないだろう。ホラ見て、今にも襲いかかって来そうな雰囲気だよ?」
「うるせーんだよ!!こっちも襲いかかりそうな雰囲気!!」
詰める新八たちに桂たちが気を取られてる隙に、と高杉の部下たちがお互いに目で合図をする。
桂と鏡華はまだその事に気づかないで、新八たちに弁明する。
「待て、落ち着け。何も知らせなかったのは悪かった、謝る。今回の件は、俺が俺個人を標的に動いてると思っていたゆえ。敵の内情を探るにも俺は死んでいる事にしていた方が動きやすいと考え、何も知らせなんだ。
なにより俺個人の問題に他人を巻き込むのは不本意だったしな。」
「そ、そうそう、あんた私にもそれ言って関わるなって言ってきたよね。」
と鏡華が桂の話に乗っかる。桂はコクンと頷き、ゆえにこうして変装をして、と話したが、途中で新八と神楽が桂の両足を片方ずつ抱きかかえ、
「「だからなんでエリザベスだァァァァ!!」」
と激しくぶん回した。ぶごをををを!!と叫ぶ桂、その桂に当たって吹っ飛ぶ鏡華と高杉の部下たち。
新八たちの意図的かどうかは分からないが、激しくぶん回されている桂のおかげで、高杉の部下たちは簡単に近寄ることが出来なくなった。
「何やってんスかァ!!」
と来島が銃を構える。その直後、あれは!!と武市が何かに気づいた。
武市たちの目線の先には、一隻の船。その船がゴゴゴゴと音を立てながら近づいてくる。
「オイアレ、なんかこっちに……!!」
船が近づき、ようやく見えたのは、本物のエリザベス。エリザベスたちが乗った船は、なんとそのままのスピードで高杉たちの船に衝突した。
衝突の衝撃で部下たちのうわァァァ!!という叫び声が響く。
「船が突っ込んできやがった!なんてマネを!!」
誰かがそう叫んだ直後、エリザベスら、桂の部下たちが一斉になだれ込んだ。
「高杉ィィィィィ!!貴様らの思い通りにはさせん!!」
桂の部下たちがそう叫びながら、高杉の部下たちと斬り合っていく。至る所で真剣がぶつかり合う火花が飛び、見事なまでの乱戦っぷりである。
「チッ!!全員叩き斬るっス!!」
来島が部下たちに指示を飛ばす。一方でエリザベスが『お゛らァ!!』と書かれたプラカードで次々と敵をぶん殴る。
そして、桂たちを守るようにエリザベスたちが四人を囲んだ。
「エリザベス……みんな……。」
新八の声に部下の一人が、話しだした。
「すみません桂さん。いかなる事があろうと、勝手に兵を動かすなと言われておきながら、桂さんに変事ありと聞き、いてもたってもいられず。
かような事で桂さんが死ぬ訳ないと信じておりましたが、最後の最後で我らは…………」
「やめてくれ。そんな顔で謝る奴らを叱れるわけもない。」
桂から顔は見えないが、涙を流しながら桂に謝る部下たちに、桂は困ったように目を伏せて答えた。
「それに謝らなければならぬのは俺の方だ。何の連絡もせずに。」
謝る桂に、部下の一人が話す。
「桂さん、あなた一人で止めるつもりだったんでしょう。かつての仲間である高杉を救おうと。騒ぎを広めずに一人説得に行くつもりだったんでしょう。」
部下が話している間に、高杉が来島たちに守られながら船内へと入っていくのが見えた。
―――高杉……!
―――晋助……!
桂と鏡華の刀を握る手に力が入る。
「それを我らはこのように騒ぎ立て、高杉一派との亀裂を完全なものにしてしまった。これでは、もう……」
落ち込んだ声色で話す部下。それを桂は、言うな、と制止した。
「……奴とはいずれ、こうなっていたさ。」
「ヅラ……。」
心做しか悲しそうな顔の桂を、鏡華はじっと見つめる。幼い頃から共に学び、共に激動の時代を駆け抜け、同じ道を歩んできたはずなのに、今となってはどうしてこんなにも道を違えてしまったのか。
終戦後早々に名を変え、新たな人生を歩んでしまった自分には、道を誤った友人を正しい道へ戻すなどという資格は無いのではないのか。そんなことを鏡華は考えてしまっていた。
―――それでも私は……離れてしまってたけど、やっぱりアイツらを……『ダチ』だと思うから……!
「ああああああ!!」
鏡華は急に叫び、両頬をバチンと叩いた。彼女なりの気合いの入れ方である。余りの音に周りにいた人物はみなビクッと肩を揺らしたのだった。
「……ところで桂さん、この人は……?」
鏡華の正体を知らない部下が、桂に問う。桂はフッと笑って答えた。
「……俺のダチだ。」
スッ、と桂の前から何かをだす音が聞こえた。
『桂さん、ここはいいから早く行ってださい。』
『まだ、間に合います。』
エリザベスが後ろにいる桂に、プラカードで話しかけたのだ。桂は驚いた顔でエリザベスを見る。
「…………エリザベス。」
『今度はさっさと帰ってきてくださいよ。』
エリザベスのその言葉に桂は覚悟を決めるように目を閉じた。
「……っしゃ。ヅラ、行くよ。」
鏡華が桂に話しかける。桂は、あぁ、と言うと目を開いた。
そしてエリザベスたちに、すまぬっ!と言って、鏡華と共に高杉を追いかけていった。
船内に入ると背後から鏡華たちを追いかける足音が聞こえた。2人が振り返ると、そこには新八と神楽が一緒に走っていた。
「!!お前ら……!!」
「ここまで来たら、最後までつき合いますからね!」
「ヅラぁ、てめっ、帰ったらなんかおごるアル!!あっ、おネエさんもナ!!」
お前ら……と桂が呟く。その瞬間、弾丸が桂たちに飛んできた。前を見ると、拳銃をクルクルと回す来島また子と、刀に右手を添えた武市変平太が居た。
「晋助様のところへはいかせないっス。」
「悪いがフェミニストといえど、鬼になることもあります。綿密に立てた計画……コレを台無しにされるのが一番腹が立つチクショー。
……それに桂と一緒に居る貴方は、まさか……」
「あ?フェミニスト?ロリコンみてぇな顔しやがって。」
鏡華が悪態をつき、チッ、と桂が舌打ちをする。その二人の前に立つように、新八と神楽が来島と武市に向かい合った。
「ヅラぁ、私酢昆布一年分と『渡る世間は鬼しかいねェチクショー』DVD全巻ネ。おネエさんには定春のエサ。」
神楽が指をボキボキと鳴らしながら二人にタカる。続いて新八も刀を抜き、桂たちにタカる。
「僕、お通ちゃんのニューアルバムと写真集とハーゲンダッツ百個お願いします。あっ、やっぱ千個。」
「あっ、ズルイネ!じゃ私、酢昆布十年分!!」
まるで自分たちが代わりに、来島たちの相手をすると言わんばかりの新八と神楽の行動に、桂と鏡華は動揺する。
「おい、何を!」
「子供は下がっときなって!!」
桂と鏡華が二人を呼び止める。だが、
「「早く行けェ!ボケェ!!」」
と一蹴されてしまった。慌てた桂が、二人に手を伸ばす。
「待て!お前たちに何かあったら俺は……銀時に合わす顔が無い!」
「私もだ!何のためにココに来たのか分からなくなる!」
「何言ってるアルか!!」
「「ヅラは、そのヘンテコな髪型見せて笑ってもらえ!!」」
桂と鏡華の呼び止める声を振り切って、二人は来島と武市に飛びかかった。来島たちはそれぞれの攻撃を受け止め、距離をとった。
武市が素性が分からない二人に問いかける。
「読めませんね……。この船にあってあなた達だけが異質。攘夷浪士でもなければ、桂の配下の者でもない様子。……もちろん私達の味方でもない。」
「なんなんスかお前ら!一体何者なんスか!!
一体誰の回し者スか!?」
拳銃をかまえ二人に問い詰める来島に、ニタッとした笑みで答える新八と神楽。
「宇宙一バカな侍だコノヤロー!!」
その頃高杉の船の屋根では、桂の仲間の船を落としまくった岡田が、紅桜のオーバーヒートに耐えきれず、村田のメンテナンスを受けていた。
そこに、カツン、とブーツの歩く音が響く。屋根を歩いて岡田たちに近づいてきたのは、岡田が先日倒したはずの男。
村田の妹を引き連れ、とぐろを巻いた龍の装飾の鍔をつけた刀を担ぎ、阿呆そうな表情で口元はニッと笑い、旧知の友人に会うかのように岡田にヒラッと手をあげる銀髪の男。
その男は、岡田が
曇天の雲間から数本の光が差し込んだ。光の先にいる男――――
6話へ続く
