#4 地味な傷ほどずっと残るよね
空欄の場合「鏡華」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇◇
鏡華がソファで寝始めて暫くした頃、ガラガラ、と万事屋の玄関が開く音が聞こえ誰かが入ってきた。
「新ちゃーん、来たわよ……ってあら?どなた?」
万事屋に入ってきたのは女性のようだ。人が入って来たため、欠伸をしながら鏡華が起きた。
「ふぁ……あ、こんにちは」
「こんにちは。お客様ですか?」
入ってきた女性は、ポニーテールで桃色の着物を着た楚々とした女性だった。鏡華より年下だろうが、落ち着きっぷりは銀時よりもありそうだ。そして鏡華のことを客かどうか聞いてくるあたり、万事屋の従業員なのだろうか。
「いや、客ではなくてですね……」
「?」
「姉上!来てくれたんですね、助かります!」
2人が頭に「?」をつけながらやり取りをしていると、奥から新八がバタバタと出てきた。鏡華が女性のことを聞くと、彼の姉だという。
彼女の名前はお妙といった。新八が銀時の看病の応援で呼んだということだった。お妙は新八の隣に座り、鏡華とお妙はお互い軽く自己紹介することになった。
「まぁ、それじゃ泉さんが銀さんの手当てをしてくださったんですね……。ありがとうございます」
「いえいえそんな。幼なじみで、全く知らないというヤツじゃないんでね。こちらこそ看病に来てもらってありがとうございます」
お互いお礼を伝え合う鏡華とお妙。仮眠をとったとはいえまだ眠い鏡華。看病の応援も来たことだし、もう一眠りさせてもらおうかと眠い目を擦った。
「それじゃあ、姉上も来てくれたことだし、僕は銀さんの依頼人の方と、桂さんの方に報告しに行ってきます」
そう言うと新八は立ち上がり、出かける準備をし始めた。
「姉上、銀さんは絶対安静なので出かけようとしたら絶対止めてくださいね。絶対ですよ」
はいはい、とお妙が返事する。鏡華は少し考えて新八に声をかけた。
「待って新八くん、私も一緒に行く」
「えっ泉さんも?」
「銀時の依頼人ってのが気になるな。銀時 は動けないし、私も行った方が話が早そうだ」
そう言うと鏡華はよっこらせと立ち上がり、荷物をまとめ始めた。その様子を見て新八は何か言いたげだったが、「分かりました、一緒に行きましょう」と言い、玄関に向かっていった。
一方、荷物をまとめた鏡華は和室の襖を開け、まだ眠っている銀時の顔を見つめた。
―――心配すんなよ。あんたの仲間は私が守るから。だから今は休んどきな。
心の中で銀時に話しかけて襖を閉めた。そして、お妙に「コイツをお願いしますね」と頼んで新八の後を追った。
◇◇
「……よかったんですか?銀さんが起きるまで待たなくて」
傘をさしながら、雨が降る道を歩く新八と鏡華。鏡華はやはりまだ眠いのか生欠伸をしながら歩いている。
「ん?あぁ、銀時は大丈夫だよ。それにお姉ちゃんが看病してくれるし。それより新八くんたちに何かあった方がアイツは悲しむだろうからさ」
だから気にしないで、と鏡華は新八に微笑みかける。新八は「そうですか……」とだけ言ったが、鏡華の自分たちを想う真っ直ぐな言葉に、どこかホッとするものを感じていた。
◇◇
しばらく歩くと銀時の依頼人の家が見えた。屋根のすぐ下にデカデカと『刀鍛冶』と書かれた看板が掛けられている。2人は門をくぐり、依頼人の元へと向かった。
「なんですとォォォ!!では紅桜は、その辻斬りの手に!?」
やたらと声の大きい男が、新八と鏡華に唾を飛ばす。銀時の依頼人、村田鉄矢である。江戸随一の刀匠だった村田仁鉄の息子で、横に座る妹の鉄子と共に父の跡を継ぎ刀鍛冶を営んでいる。話を聞く限り、この男の父親が桂と銀時を斬った妖刀『紅桜』を打ったらしい。
新八が申し訳なさそうに村田に話を続ける。
「すみません……なんとか取り戻そうとしたんですが……」
「それで!!取り戻すことはできたんですか!?」
「いや、だからできなかったって言ってるじゃないですか」
人の話を全く聞かない村田に新八のツッコミが入る。そのツッコミも聞こえないのか村田の嘆きは続く。
「なんてことだ!!紅桜が人斬りの道具にィィ!!」
耳を押えながら眉間に皺を寄せて村田を見る鏡華は、村田の嘆きにどこか胡散臭さを感じていた。
「……で、無事なのか?」
今まで喋ってなかった妹、鉄子が新八に問いかける。しかし鉄子のか細い声は、横にいる兄のせいで上手く聞き取れず新八は「え?」と聞き返した。
「あの……あの人」
「あっ、銀さん?んーまァ死んではいないですけど、けっこう……ヤバイカンジで」
新八の返事に悲しそうな顔をする鉄子。鉄子は「気分が悪い」と言うと席を外してしまった。
「オイ!鉄子どうした!気分でも悪いのか!?」
「だから気分悪いって言ってんでしょーが」
相変わらず人の話を聞かない村田に新八のツッコミが入る。一方の鏡華は鉄子の様子が気になり、鏡華も立ち上がった。
「妹さん気分悪いって言ってるんで、私ちょっと見てきますね。あ、これでも医者なんで」
そう言うと鏡華は鉄子の後を追いかけた。
「ん!?どうしましたか!御手洗ですか!?」
「いやだから妹さん見てくるって言ってんでしょーが!ほんと人の話聞かないなこの人」
やはり人の話を聞いていない村田。後ろから聞こえる新八のツッコミに笑いながら、鏡華は鉄子の元へと向かった。
◇◇
「オーイ、気分悪いって人が元気にお仕事してて大丈夫ですかァー?」
鏡華が鉄子を見つけた時、鉄子は鍛冶場で鉄を打っていた。鉄子の細腕から、ガァンガァンと大きな音が鳴り響く。鉄子は呼びかけられたことに気づき、作業する手を止め鏡華の方を見た。
「アンタは……」
「どーも。万事屋の助っ人の泉です。本職は医者なんで『気分悪い』って言って出てったあなたのことが気になって追いかけてきました」
「………………」
バツが悪そうに下を向く鉄子。鏡華はやれやれと、ため息をつきながら鉄子に近づいた。
「……単刀直入に聞くよ妹さん。あなたの気分が悪くなった原因……お兄さんのことだね?」
「………………」
黙り続ける鉄子。反応を注意深く見ながら鏡華が話を続ける。
「これは私の勘だけど……お兄さん、辻斬りと繋がってるね?ってことは、お兄さん、辻斬りが人斬り似蔵ってことも知ってるね?で、あなたもその事を知ってる。……だから銀時がやられたと聞いて、あなたは気分が悪くなったんだ」
鉄子の指がぴくりと僅かに動く。どうやら……当たりのようだ。
「…………そうだ。全部知っている」
ようやく鉄子が重い口を開いた。「やっぱりな」とボリボリと鏡華は頭を搔いた。
「全部知ってたら、お兄さんのやってることに気分悪くなるのも当然だよねェ……ってことは話に聞く化け物刀のことも知ってるワケね。……教えてくれるかな?」
鏡華は鉄子の顔を見て訊ねる。金槌を握る手に力を入れながら、鉄子は話し始めた。
「アレは…………紅桜とは、私の父が打った紅桜を雛型につくられた、対戦艦用機械 機動兵器。『電魄 』と呼ばれる人工知能を有し、使用者に寄生することでその身体をも操る。戦闘の経緯をデータ化し、学習を積むことでその能力を向上させていく。……まさに、生きた刀だ」
桂と銀時を斬った刀がただの刀ではなかったことが分かり、静かに驚く鏡華。2人の戦闘はただの辻斬りの蛮行ではなく、意図的に、紅桜が成長するための糧にされたということである。
「……想像以上にメカメカしいモノが出てきたなァ、オイ。で?そのお勉強できる刀、誰が作ったの?そんで何するのが目的なの?対戦艦用の刀なんて、人を斬るだけじゃ済まねーでしょうよ」
鏡華の問いに、口をギュッと閉じて俯く鉄子。そして、声を震わせながら話す。
「あんなの作れるのは江戸に一人しかいない…………。兄者は……高杉は……紅桜を使って、江戸を火の海にするつもりなんだ……」
悔しそうに顔をクシャクシャにして、肩を震わせて話す鉄子。鉄子の話を聞いた鏡華は、懐かしい名前が出てきたということと、思ったよりもスケールの大きい話に、ただ大きくため息をつくしかなかった。
鏡華がソファで寝始めて暫くした頃、ガラガラ、と万事屋の玄関が開く音が聞こえ誰かが入ってきた。
「新ちゃーん、来たわよ……ってあら?どなた?」
万事屋に入ってきたのは女性のようだ。人が入って来たため、欠伸をしながら鏡華が起きた。
「ふぁ……あ、こんにちは」
「こんにちは。お客様ですか?」
入ってきた女性は、ポニーテールで桃色の着物を着た楚々とした女性だった。鏡華より年下だろうが、落ち着きっぷりは銀時よりもありそうだ。そして鏡華のことを客かどうか聞いてくるあたり、万事屋の従業員なのだろうか。
「いや、客ではなくてですね……」
「?」
「姉上!来てくれたんですね、助かります!」
2人が頭に「?」をつけながらやり取りをしていると、奥から新八がバタバタと出てきた。鏡華が女性のことを聞くと、彼の姉だという。
彼女の名前はお妙といった。新八が銀時の看病の応援で呼んだということだった。お妙は新八の隣に座り、鏡華とお妙はお互い軽く自己紹介することになった。
「まぁ、それじゃ泉さんが銀さんの手当てをしてくださったんですね……。ありがとうございます」
「いえいえそんな。幼なじみで、全く知らないというヤツじゃないんでね。こちらこそ看病に来てもらってありがとうございます」
お互いお礼を伝え合う鏡華とお妙。仮眠をとったとはいえまだ眠い鏡華。看病の応援も来たことだし、もう一眠りさせてもらおうかと眠い目を擦った。
「それじゃあ、姉上も来てくれたことだし、僕は銀さんの依頼人の方と、桂さんの方に報告しに行ってきます」
そう言うと新八は立ち上がり、出かける準備をし始めた。
「姉上、銀さんは絶対安静なので出かけようとしたら絶対止めてくださいね。絶対ですよ」
はいはい、とお妙が返事する。鏡華は少し考えて新八に声をかけた。
「待って新八くん、私も一緒に行く」
「えっ泉さんも?」
「銀時の依頼人ってのが気になるな。
そう言うと鏡華はよっこらせと立ち上がり、荷物をまとめ始めた。その様子を見て新八は何か言いたげだったが、「分かりました、一緒に行きましょう」と言い、玄関に向かっていった。
一方、荷物をまとめた鏡華は和室の襖を開け、まだ眠っている銀時の顔を見つめた。
―――心配すんなよ。あんたの仲間は私が守るから。だから今は休んどきな。
心の中で銀時に話しかけて襖を閉めた。そして、お妙に「コイツをお願いしますね」と頼んで新八の後を追った。
◇◇
「……よかったんですか?銀さんが起きるまで待たなくて」
傘をさしながら、雨が降る道を歩く新八と鏡華。鏡華はやはりまだ眠いのか生欠伸をしながら歩いている。
「ん?あぁ、銀時は大丈夫だよ。それにお姉ちゃんが看病してくれるし。それより新八くんたちに何かあった方がアイツは悲しむだろうからさ」
だから気にしないで、と鏡華は新八に微笑みかける。新八は「そうですか……」とだけ言ったが、鏡華の自分たちを想う真っ直ぐな言葉に、どこかホッとするものを感じていた。
◇◇
しばらく歩くと銀時の依頼人の家が見えた。屋根のすぐ下にデカデカと『刀鍛冶』と書かれた看板が掛けられている。2人は門をくぐり、依頼人の元へと向かった。
「なんですとォォォ!!では紅桜は、その辻斬りの手に!?」
やたらと声の大きい男が、新八と鏡華に唾を飛ばす。銀時の依頼人、村田鉄矢である。江戸随一の刀匠だった村田仁鉄の息子で、横に座る妹の鉄子と共に父の跡を継ぎ刀鍛冶を営んでいる。話を聞く限り、この男の父親が桂と銀時を斬った妖刀『紅桜』を打ったらしい。
新八が申し訳なさそうに村田に話を続ける。
「すみません……なんとか取り戻そうとしたんですが……」
「それで!!取り戻すことはできたんですか!?」
「いや、だからできなかったって言ってるじゃないですか」
人の話を全く聞かない村田に新八のツッコミが入る。そのツッコミも聞こえないのか村田の嘆きは続く。
「なんてことだ!!紅桜が人斬りの道具にィィ!!」
耳を押えながら眉間に皺を寄せて村田を見る鏡華は、村田の嘆きにどこか胡散臭さを感じていた。
「……で、無事なのか?」
今まで喋ってなかった妹、鉄子が新八に問いかける。しかし鉄子のか細い声は、横にいる兄のせいで上手く聞き取れず新八は「え?」と聞き返した。
「あの……あの人」
「あっ、銀さん?んーまァ死んではいないですけど、けっこう……ヤバイカンジで」
新八の返事に悲しそうな顔をする鉄子。鉄子は「気分が悪い」と言うと席を外してしまった。
「オイ!鉄子どうした!気分でも悪いのか!?」
「だから気分悪いって言ってんでしょーが」
相変わらず人の話を聞かない村田に新八のツッコミが入る。一方の鏡華は鉄子の様子が気になり、鏡華も立ち上がった。
「妹さん気分悪いって言ってるんで、私ちょっと見てきますね。あ、これでも医者なんで」
そう言うと鏡華は鉄子の後を追いかけた。
「ん!?どうしましたか!御手洗ですか!?」
「いやだから妹さん見てくるって言ってんでしょーが!ほんと人の話聞かないなこの人」
やはり人の話を聞いていない村田。後ろから聞こえる新八のツッコミに笑いながら、鏡華は鉄子の元へと向かった。
◇◇
「オーイ、気分悪いって人が元気にお仕事してて大丈夫ですかァー?」
鏡華が鉄子を見つけた時、鉄子は鍛冶場で鉄を打っていた。鉄子の細腕から、ガァンガァンと大きな音が鳴り響く。鉄子は呼びかけられたことに気づき、作業する手を止め鏡華の方を見た。
「アンタは……」
「どーも。万事屋の助っ人の泉です。本職は医者なんで『気分悪い』って言って出てったあなたのことが気になって追いかけてきました」
「………………」
バツが悪そうに下を向く鉄子。鏡華はやれやれと、ため息をつきながら鉄子に近づいた。
「……単刀直入に聞くよ妹さん。あなたの気分が悪くなった原因……お兄さんのことだね?」
「………………」
黙り続ける鉄子。反応を注意深く見ながら鏡華が話を続ける。
「これは私の勘だけど……お兄さん、辻斬りと繋がってるね?ってことは、お兄さん、辻斬りが人斬り似蔵ってことも知ってるね?で、あなたもその事を知ってる。……だから銀時がやられたと聞いて、あなたは気分が悪くなったんだ」
鉄子の指がぴくりと僅かに動く。どうやら……当たりのようだ。
「…………そうだ。全部知っている」
ようやく鉄子が重い口を開いた。「やっぱりな」とボリボリと鏡華は頭を搔いた。
「全部知ってたら、お兄さんのやってることに気分悪くなるのも当然だよねェ……ってことは話に聞く化け物刀のことも知ってるワケね。……教えてくれるかな?」
鏡華は鉄子の顔を見て訊ねる。金槌を握る手に力を入れながら、鉄子は話し始めた。
「アレは…………紅桜とは、私の父が打った紅桜を雛型につくられた、対戦艦用
桂と銀時を斬った刀がただの刀ではなかったことが分かり、静かに驚く鏡華。2人の戦闘はただの辻斬りの蛮行ではなく、意図的に、紅桜が成長するための糧にされたということである。
「……想像以上にメカメカしいモノが出てきたなァ、オイ。で?そのお勉強できる刀、誰が作ったの?そんで何するのが目的なの?対戦艦用の刀なんて、人を斬るだけじゃ済まねーでしょうよ」
鏡華の問いに、口をギュッと閉じて俯く鉄子。そして、声を震わせながら話す。
「あんなの作れるのは江戸に一人しかいない…………。兄者は……高杉は……紅桜を使って、江戸を火の海にするつもりなんだ……」
悔しそうに顔をクシャクシャにして、肩を震わせて話す鉄子。鉄子の話を聞いた鏡華は、懐かしい名前が出てきたということと、思ったよりもスケールの大きい話に、ただ大きくため息をつくしかなかった。
