#4 地味な傷ほどずっと残るよね
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◇◇
ポツポツと、雨が降り始めた。鏡華が一服し終えて部屋の中に戻ると、新八がモゾモゾと目を覚ましそうな様子であった。鏡華は起こさないように、そーっと新八が寝ているソファとは反対のソファに座ったが、気配に気づいたのか新八は目を覚ました。
「あ…………えと、泉さん……」
「ごめん、起こしちゃったね」
「……!銀さん、銀さんは大丈夫ですか!?」
寝ぼけ眼で鏡華を見たかと思えば、瞬時に起き上がり鏡華に尋ねる新八。鏡華は右手の親指と人差し指を合わせて丸を作った。つまりOKということである。
「とりあえず傷は縫合できたし、細かいのも消毒して包帯巻けたよ。まだ目を覚ましてないけど、銀時のことだから回復は早いと思うし、多分大丈夫。安心して新八くん」
良かった……とほっと胸を撫で下ろす新八。その様子を見て鏡華は優しく微笑んだ。そして同時に欠伸が出る。アラサーに完徹はなかなかにツラい。
「起き抜けで申し訳ないんだけど新八くん、コーヒーとかあるかな?温かいの」
「あ、ありますよ。持ってきますね」
そう言うと新八は台所の方に向かった。その間に鏡華は職場に電話をかける。有休を貰うためである。電話がつながり、「祖母が危篤なんですぅ〜休みますぅ〜」と伝えると、電話越しの相手から『この前もばあちゃん危篤だったじゃねーか!!』と怒鳴られた。が、「次は母方の祖母なんですぅ〜」と白々しく言って電話を切った。電話を切ったタイミングで新八がホットコーヒーを持ってきてくれた。
「その、お仕事大丈夫ですか……?お願いしたこちらが言うのもアレなんですけど……」
コーヒーを鏡華に出しながら恐る恐る尋ねる新八。鏡華は礼を伝えてから手でOKサインを出してコーヒーを啜った。
「いーのいーの。こういう時のために休みなく働いてきたんだから。それに、子供がそういう心配しなくていーの。……あー、コーヒー美味しいわァ〜染みる〜」
鏡華の返事に新八はホッと一安心した。そして新八も一緒に自分用に準備したお茶を飲み始めた。
だんだんと雨足が強くなってきた。心地よい雨音で鏡華がうつらうつらとしてきたところだった。ドンドン、と玄関の扉を叩く音が聞こえた。新八が足早に玄関に向かう。
「定春!お前……神楽ちゃんは!?」
新八の驚いた声が聞こえてきた。扉を叩いたのはどうやらペットの定春のようだ。そして新八の声から察するに、定春は神楽と一緒に居たらしい。だが、一緒にいるはずの神楽は居ない。
新八が定春を拭いてリビングへと連れてきた。こんなに大きな犬を買っているなんて、食費が凄そうだなあと鏡華は眠たい頭で考えていた。
「新八くん、気になってたんだけど神楽ちゃんは?」
眠気覚ましのコーヒーを一口飲み、新八に尋ねる鏡華。新八は定春に餌を上げてから、鏡華に向き合う。
「えっと……どこから話せばいいのやら……。まず、僕と神楽ちゃんは人探しの依頼を受けて、その仕事をしてたんです」
そうして新八はこれまでの経緯を説明してくれた。銀時の友人を探すために新八と神楽が依頼を受け動いていたこと、その中でその友人が辻斬りに遭ったのではないかということ、そして新八と神楽は別行動でその友人を探していたということである。これが新八たちの話。
新八たちが友人を探すのに手がかりとなりそうな辻斬りを探していたら、銀時も別の依頼で辻斬りを探していたことらしい。そして―――実際に辻斬りに遭い……やられてしまったということだった。
新八は拳を強く握りながらも、簡潔に説明してくれた。鏡華はコーヒーを飲む手を止めて新八の話を聞いた。
「そっか……そうだったんだね。ということは銀時は、その友達と同じ奴にやられたっぽいのかな?」
「そうです。そいつは桂さんの……あ、銀さんの友達を倒した証に、その人の髪を持ってました……」
そっか……と鏡華が呟こうとしたが、あれ?聞き覚えがある名前が一瞬出たなと、すぐさま新八を見た。
「…………ん?待って、今、桂って言った?もしかして桂……小太郎……?」
「えっ!?なんで泉さん、桂さんのこと知ってるんですか!?」
「なんでって言われても、私もヅラと昔からの友達だからだよ……」
「えええええ!?!?世の中狭すぎィ……」
新八の驚く声が響く。新八のおかげで鏡華の中で点と点が繋がってきた。桂と銀時は同じ辻斬りにやられた。ということは、刀のことも分かりそうだ。
「ちなみに辻斬りの正体って分かる?」
鏡華がコーヒーを一口飲んで、新八に尋ねる。新八はさらに拳を強く握った。
「はい……攘夷浪士の岡田似蔵という奴です。昔銀さんが戦ったことがある奴で、その時は勝ったんですけど……」
新八は悔しそうに唇を噛む。上司が一度は勝ったことがある相手に負けるのはツラいよなァ……と鏡華は察した。そして聞きたかったことを尋ねた。
「それで……もしかしてだけど、そいつが持ってた刀って……生きてるみたいだった?」
「!!なんでそれを……あれは……生きてるっていうより……化け物みたいでした……」
さらに点が繋がる。岡田似蔵という奴が鍵だ。桂のことも、その刀のことも奴に聞けば分かりそうだ。
「それで神楽ちゃんは?定春くんだけ帰ってきてるのは……?」
鏡華がそう尋ねると、新八は懐から紙切れを取り出し、鏡華に見せた。
「定春がこれを咥えて帰ってきたんです。雨に濡れてところどころ見えないんですけど、地図みたいです。……多分、神楽ちゃん、桂さんに繋がる何かをここで見つけたと思うんです。それで何かあって帰って来れなくなったんじゃないかと……」
「なるほどねェ……」
桂は鏡華の治療を受けたあと、そのまま連絡もなく行方が分からなくなった。ということは、神楽が見つけたそこに、鏡華の家を出てからの桂の痕跡と、岡田と化け物刀があるということだ。
―――こんだけ話を聞いてしまったら、私も動いていいよな、ヅラ……
鏡華はコーヒーをまた一口飲んで、新八に向き合った。
「新八くん、この件、どうやら私も無関係じゃいられなくなってきたみたいだ。ダチ2人がやられたと聞いちゃあ、私も動かないとアイツらのダチじゃなくなっちゃうね」
「泉さん……」
「銀時の回復力は人外のそれとはいえ、まあ深い傷だ。絶対安静にしなきゃいけない。アイツの代わりに私がそこに行くよ」
えっ、と驚く声を出す新八。
「えっと、なんで泉さんが行ってくれるんです……?今回治療はお願いしましたけど、友達ってだけでなんでそんな……?」
困惑したような不思議そうな顔をして訊ねる新八。その新八の目を真っ直ぐ見て鏡華は答えた。
「そりゃダチがやられたと聞いたらお礼参りに行くのがダチでしょうよ、新八くん。大丈夫、私も戦帰りだし、そこそこ強いから安心して」
「いやお礼参りって、発想が完全にヤンキーなんですけど。……って泉さん、あなたも攘夷戦争に参加してたんですか!?」
それで銀さんたちと友達ということか……と新八は納得した。そして戦帰りと聞いたら、彼女が言う『そこそこ強い』も信ぴょう性がありそうだ。
ということで、と鏡華はコーヒーを飲みきってから新八に向き合った。よく見ると翡翠の瞳が揺れている。
「さすがにアラサーに完徹はしんどいから、ちょっと仮眠させて?で、私が寝てる間に起きた銀時がどっか行かないように、看病してくれる人呼んで欲しいな。よろしくね」
そう言うと、鏡華はソファに座ったまま腕を組みスースーと寝息を立てて寝始めた。その両目はカッと見開いたままである。その寝姿に新八は戸惑う。
「えっ、泉さん?えっ、もう寝たの……?いや寝顔怖すぎんだろォォォォォ!!!!」
さすがの新八も大音量でツッコまずにはいられなかった。しかし鏡華は起きない。熟睡である。
そしてこのツッコミの声でも、隣の部屋に寝ている銀時は起きることはなかった。
ポツポツと、雨が降り始めた。鏡華が一服し終えて部屋の中に戻ると、新八がモゾモゾと目を覚ましそうな様子であった。鏡華は起こさないように、そーっと新八が寝ているソファとは反対のソファに座ったが、気配に気づいたのか新八は目を覚ました。
「あ…………えと、泉さん……」
「ごめん、起こしちゃったね」
「……!銀さん、銀さんは大丈夫ですか!?」
寝ぼけ眼で鏡華を見たかと思えば、瞬時に起き上がり鏡華に尋ねる新八。鏡華は右手の親指と人差し指を合わせて丸を作った。つまりOKということである。
「とりあえず傷は縫合できたし、細かいのも消毒して包帯巻けたよ。まだ目を覚ましてないけど、銀時のことだから回復は早いと思うし、多分大丈夫。安心して新八くん」
良かった……とほっと胸を撫で下ろす新八。その様子を見て鏡華は優しく微笑んだ。そして同時に欠伸が出る。アラサーに完徹はなかなかにツラい。
「起き抜けで申し訳ないんだけど新八くん、コーヒーとかあるかな?温かいの」
「あ、ありますよ。持ってきますね」
そう言うと新八は台所の方に向かった。その間に鏡華は職場に電話をかける。有休を貰うためである。電話がつながり、「祖母が危篤なんですぅ〜休みますぅ〜」と伝えると、電話越しの相手から『この前もばあちゃん危篤だったじゃねーか!!』と怒鳴られた。が、「次は母方の祖母なんですぅ〜」と白々しく言って電話を切った。電話を切ったタイミングで新八がホットコーヒーを持ってきてくれた。
「その、お仕事大丈夫ですか……?お願いしたこちらが言うのもアレなんですけど……」
コーヒーを鏡華に出しながら恐る恐る尋ねる新八。鏡華は礼を伝えてから手でOKサインを出してコーヒーを啜った。
「いーのいーの。こういう時のために休みなく働いてきたんだから。それに、子供がそういう心配しなくていーの。……あー、コーヒー美味しいわァ〜染みる〜」
鏡華の返事に新八はホッと一安心した。そして新八も一緒に自分用に準備したお茶を飲み始めた。
だんだんと雨足が強くなってきた。心地よい雨音で鏡華がうつらうつらとしてきたところだった。ドンドン、と玄関の扉を叩く音が聞こえた。新八が足早に玄関に向かう。
「定春!お前……神楽ちゃんは!?」
新八の驚いた声が聞こえてきた。扉を叩いたのはどうやらペットの定春のようだ。そして新八の声から察するに、定春は神楽と一緒に居たらしい。だが、一緒にいるはずの神楽は居ない。
新八が定春を拭いてリビングへと連れてきた。こんなに大きな犬を買っているなんて、食費が凄そうだなあと鏡華は眠たい頭で考えていた。
「新八くん、気になってたんだけど神楽ちゃんは?」
眠気覚ましのコーヒーを一口飲み、新八に尋ねる鏡華。新八は定春に餌を上げてから、鏡華に向き合う。
「えっと……どこから話せばいいのやら……。まず、僕と神楽ちゃんは人探しの依頼を受けて、その仕事をしてたんです」
そうして新八はこれまでの経緯を説明してくれた。銀時の友人を探すために新八と神楽が依頼を受け動いていたこと、その中でその友人が辻斬りに遭ったのではないかということ、そして新八と神楽は別行動でその友人を探していたということである。これが新八たちの話。
新八たちが友人を探すのに手がかりとなりそうな辻斬りを探していたら、銀時も別の依頼で辻斬りを探していたことらしい。そして―――実際に辻斬りに遭い……やられてしまったということだった。
新八は拳を強く握りながらも、簡潔に説明してくれた。鏡華はコーヒーを飲む手を止めて新八の話を聞いた。
「そっか……そうだったんだね。ということは銀時は、その友達と同じ奴にやられたっぽいのかな?」
「そうです。そいつは桂さんの……あ、銀さんの友達を倒した証に、その人の髪を持ってました……」
そっか……と鏡華が呟こうとしたが、あれ?聞き覚えがある名前が一瞬出たなと、すぐさま新八を見た。
「…………ん?待って、今、桂って言った?もしかして桂……小太郎……?」
「えっ!?なんで泉さん、桂さんのこと知ってるんですか!?」
「なんでって言われても、私もヅラと昔からの友達だからだよ……」
「えええええ!?!?世の中狭すぎィ……」
新八の驚く声が響く。新八のおかげで鏡華の中で点と点が繋がってきた。桂と銀時は同じ辻斬りにやられた。ということは、刀のことも分かりそうだ。
「ちなみに辻斬りの正体って分かる?」
鏡華がコーヒーを一口飲んで、新八に尋ねる。新八はさらに拳を強く握った。
「はい……攘夷浪士の岡田似蔵という奴です。昔銀さんが戦ったことがある奴で、その時は勝ったんですけど……」
新八は悔しそうに唇を噛む。上司が一度は勝ったことがある相手に負けるのはツラいよなァ……と鏡華は察した。そして聞きたかったことを尋ねた。
「それで……もしかしてだけど、そいつが持ってた刀って……生きてるみたいだった?」
「!!なんでそれを……あれは……生きてるっていうより……化け物みたいでした……」
さらに点が繋がる。岡田似蔵という奴が鍵だ。桂のことも、その刀のことも奴に聞けば分かりそうだ。
「それで神楽ちゃんは?定春くんだけ帰ってきてるのは……?」
鏡華がそう尋ねると、新八は懐から紙切れを取り出し、鏡華に見せた。
「定春がこれを咥えて帰ってきたんです。雨に濡れてところどころ見えないんですけど、地図みたいです。……多分、神楽ちゃん、桂さんに繋がる何かをここで見つけたと思うんです。それで何かあって帰って来れなくなったんじゃないかと……」
「なるほどねェ……」
桂は鏡華の治療を受けたあと、そのまま連絡もなく行方が分からなくなった。ということは、神楽が見つけたそこに、鏡華の家を出てからの桂の痕跡と、岡田と化け物刀があるということだ。
―――こんだけ話を聞いてしまったら、私も動いていいよな、ヅラ……
鏡華はコーヒーをまた一口飲んで、新八に向き合った。
「新八くん、この件、どうやら私も無関係じゃいられなくなってきたみたいだ。ダチ2人がやられたと聞いちゃあ、私も動かないとアイツらのダチじゃなくなっちゃうね」
「泉さん……」
「銀時の回復力は人外のそれとはいえ、まあ深い傷だ。絶対安静にしなきゃいけない。アイツの代わりに私がそこに行くよ」
えっ、と驚く声を出す新八。
「えっと、なんで泉さんが行ってくれるんです……?今回治療はお願いしましたけど、友達ってだけでなんでそんな……?」
困惑したような不思議そうな顔をして訊ねる新八。その新八の目を真っ直ぐ見て鏡華は答えた。
「そりゃダチがやられたと聞いたらお礼参りに行くのがダチでしょうよ、新八くん。大丈夫、私も戦帰りだし、そこそこ強いから安心して」
「いやお礼参りって、発想が完全にヤンキーなんですけど。……って泉さん、あなたも攘夷戦争に参加してたんですか!?」
それで銀さんたちと友達ということか……と新八は納得した。そして戦帰りと聞いたら、彼女が言う『そこそこ強い』も信ぴょう性がありそうだ。
ということで、と鏡華はコーヒーを飲みきってから新八に向き合った。よく見ると翡翠の瞳が揺れている。
「さすがにアラサーに完徹はしんどいから、ちょっと仮眠させて?で、私が寝てる間に起きた銀時がどっか行かないように、看病してくれる人呼んで欲しいな。よろしくね」
そう言うと、鏡華はソファに座ったまま腕を組みスースーと寝息を立てて寝始めた。その両目はカッと見開いたままである。その寝姿に新八は戸惑う。
「えっ、泉さん?えっ、もう寝たの……?いや寝顔怖すぎんだろォォォォォ!!!!」
さすがの新八も大音量でツッコまずにはいられなかった。しかし鏡華は起きない。熟睡である。
そしてこのツッコミの声でも、隣の部屋に寝ている銀時は起きることはなかった。
