#4 地味な傷ほどずっと残るよね
空欄の場合「鏡華」になります。
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◇◇
鏡華の手が銀時の傷を縫い合わせていく。その速さに、無菌室を挟んで横で見守る新八は目を見開く。
―――これは…………素人の僕でも分かる……速すぎる……!
鏡華の手は正確無比に傷口を縫い合わせる。彼女の年齢にそぐわない洗練された技術は、身につけるためにどれだけの命と向き合ってきたのか想像が出来ない、そんな手さばきだと新八は感じた。
「やっぱり、消化管がやられてたね。これのせいで吐血したんだねコイツは」
あっという間に内蔵の傷を縫い、左腹の縫合を始める鏡華。その縫合も1時間もしないうちに終わった。鏡華が大きくフーッと息を吐いた。
「新八くん、とりあえず一番ヤバイところは終わったからね。あと少し、胸と細かいところやったら終わり」
この鏡華の言葉に、緊張の糸が切れたように顔がくしゃりと綻び、ホッとした顔をする新八。
「ほ、ほんとですか……!」
「うん、ほんと。だから君はちょっと寝ておいで。あとは私だけで大丈夫だから。子供は寝る時間だ」
すっかり時間の経過を忘れていたが、既に日付を超えている。新八は「まだ手伝います!」とゴネたが、「子供は寝る時間」と再度鏡華にピシャリと言われ、観念してリビングへ向かった。
新八を部屋から出し、改めて銀時と向き合って胸の縫合を始めた鏡華。
「……あんたにはもったいない、いい子だね。死んだらほんとアホだよ、銀時。ちゃんと生きなきゃね」
意識がない銀時にそう話しかけながら傷を縫っていく鏡華。胸にあった一文字の傷は深くなかったのが幸いだった。胸の縫合も驚異のスピードで、あっという間に終わらせた。
ただ、鍼で麻酔してるとはいえ、これだけチクチク縫われてるにも関わらず銀時は全く目覚めない。鏡華は一抹の不安を覚えたが、不安を何とか振り払って、今までの彼を信じることにした。戦場を駆け抜けた―――あの《白夜叉》を。
「ほんっと、あんたってよく血まみれで陣営戻ってきてたけど、ほとんどが敵の返り血だったんだよねェ。自分は少ししか怪我してないっていうね」
左腹と胸の治療を終えた鏡華は、相変わらず意識のない銀時に話しかけながら、両手両腕の細かい怪我を診ていく。
ガーゼに消毒液を染み込ませて傷口を消毒する。ほとんどが出血が止まってる怪我であったため、縫合の必要はなかった。そのまま包帯で傷を覆っていく。
「恐いぐらい強かったよね、あんた。晋助と一緒ぐらいじゃなかった?まああんたら2人共、私には勝てなかったけどね」
本当なのか嘘なのか分からないことを話しながら、胴体にも包帯を巻いていく。体をよく見るといくつもの古傷が残っていた。鏡華はそっと、銀時の古傷たちをなぞる。
「……あの時は綺麗に治してあげられなくてごめんな。今回も……これは残るだろうなあ……。もう若くないし、深い傷だし」
そう言いながら包帯を巻き進めていく。また両肩にも包帯を通してさらに巻く。これだけダメージの残る戦いをしているため、骨や内臓を補助するのに必要な、要はテーピングである。
一通り包帯を巻き終わり、治療が終わった。ふと窓に目をやると、いつの間にか夜が明けていた。銀時の治療を終えると、鏡華は治療道具と無菌室を仕舞い、それから彼に服を着せた。
銀時は静かな寝息を立てて寝ている。とりあえず峠は越したようだ。一命を取り留めたことにホッとした鏡華。心身の疲れがどっと出てきた。桂の時以来の徹夜である。早く一服したいと、銀時を布団に寝かしてからフラフラと和室を出た。
和室を出てすぐのリビングのソファで新八は寝ていた。鏡華は新八を起こさないように横を通り、玄関に向かった。そして寝てる2人を起こさないように玄関を出て、一服し始めた。
大きく吸い込み、ハーッと煙を吐く。ミントの香りが喉と気道を通って、さっぱりした気分になる。徹夜でやられた脳に効くのがいい。それに朝日を浴びながら吸う電子タバコも乙だなと鏡華は穏やかに笑った。
頭が少しづつスッキリし、鏡華の頭には疑問が出てきていた。一つ目に銀時をやったのは桂と同じ辻斬りなのか。そして二つ目に辻斬りの刀についてである。
桂と銀時のやられた傷は2人とも同じようなものだと感じた。だが、銀時の左腹の傷は桂と同一のものと思えなかった。刀にしてはあまりにも大きすぎる貫通創だったからだ。だから本当に同じ辻斬りだったのか知りたい。
そして桂が言っていた『刀が生きているようだった』という言葉。もし同じ辻斬りなら、銀時たちに聞けばその意味も分かるだろう。
あと……万事屋の紅一点である神楽の姿が全く見えなかったのも気にかかる。ペットの定春もまた居なかった。鏡華の胸の内に、またしてもなんとも言えない嫌な予感が広がる。そこも起きたら聞いてみようと鏡華は煙をくゆらせた。
「……また有休が無くなるなァ…………」
そう呟くと鏡華は遠い目をしながら手すりにうなだれたのであった。
鏡華の手が銀時の傷を縫い合わせていく。その速さに、無菌室を挟んで横で見守る新八は目を見開く。
―――これは…………素人の僕でも分かる……速すぎる……!
鏡華の手は正確無比に傷口を縫い合わせる。彼女の年齢にそぐわない洗練された技術は、身につけるためにどれだけの命と向き合ってきたのか想像が出来ない、そんな手さばきだと新八は感じた。
「やっぱり、消化管がやられてたね。これのせいで吐血したんだねコイツは」
あっという間に内蔵の傷を縫い、左腹の縫合を始める鏡華。その縫合も1時間もしないうちに終わった。鏡華が大きくフーッと息を吐いた。
「新八くん、とりあえず一番ヤバイところは終わったからね。あと少し、胸と細かいところやったら終わり」
この鏡華の言葉に、緊張の糸が切れたように顔がくしゃりと綻び、ホッとした顔をする新八。
「ほ、ほんとですか……!」
「うん、ほんと。だから君はちょっと寝ておいで。あとは私だけで大丈夫だから。子供は寝る時間だ」
すっかり時間の経過を忘れていたが、既に日付を超えている。新八は「まだ手伝います!」とゴネたが、「子供は寝る時間」と再度鏡華にピシャリと言われ、観念してリビングへ向かった。
新八を部屋から出し、改めて銀時と向き合って胸の縫合を始めた鏡華。
「……あんたにはもったいない、いい子だね。死んだらほんとアホだよ、銀時。ちゃんと生きなきゃね」
意識がない銀時にそう話しかけながら傷を縫っていく鏡華。胸にあった一文字の傷は深くなかったのが幸いだった。胸の縫合も驚異のスピードで、あっという間に終わらせた。
ただ、鍼で麻酔してるとはいえ、これだけチクチク縫われてるにも関わらず銀時は全く目覚めない。鏡華は一抹の不安を覚えたが、不安を何とか振り払って、今までの彼を信じることにした。戦場を駆け抜けた―――あの《白夜叉》を。
「ほんっと、あんたってよく血まみれで陣営戻ってきてたけど、ほとんどが敵の返り血だったんだよねェ。自分は少ししか怪我してないっていうね」
左腹と胸の治療を終えた鏡華は、相変わらず意識のない銀時に話しかけながら、両手両腕の細かい怪我を診ていく。
ガーゼに消毒液を染み込ませて傷口を消毒する。ほとんどが出血が止まってる怪我であったため、縫合の必要はなかった。そのまま包帯で傷を覆っていく。
「恐いぐらい強かったよね、あんた。晋助と一緒ぐらいじゃなかった?まああんたら2人共、私には勝てなかったけどね」
本当なのか嘘なのか分からないことを話しながら、胴体にも包帯を巻いていく。体をよく見るといくつもの古傷が残っていた。鏡華はそっと、銀時の古傷たちをなぞる。
「……あの時は綺麗に治してあげられなくてごめんな。今回も……これは残るだろうなあ……。もう若くないし、深い傷だし」
そう言いながら包帯を巻き進めていく。また両肩にも包帯を通してさらに巻く。これだけダメージの残る戦いをしているため、骨や内臓を補助するのに必要な、要はテーピングである。
一通り包帯を巻き終わり、治療が終わった。ふと窓に目をやると、いつの間にか夜が明けていた。銀時の治療を終えると、鏡華は治療道具と無菌室を仕舞い、それから彼に服を着せた。
銀時は静かな寝息を立てて寝ている。とりあえず峠は越したようだ。一命を取り留めたことにホッとした鏡華。心身の疲れがどっと出てきた。桂の時以来の徹夜である。早く一服したいと、銀時を布団に寝かしてからフラフラと和室を出た。
和室を出てすぐのリビングのソファで新八は寝ていた。鏡華は新八を起こさないように横を通り、玄関に向かった。そして寝てる2人を起こさないように玄関を出て、一服し始めた。
大きく吸い込み、ハーッと煙を吐く。ミントの香りが喉と気道を通って、さっぱりした気分になる。徹夜でやられた脳に効くのがいい。それに朝日を浴びながら吸う電子タバコも乙だなと鏡華は穏やかに笑った。
頭が少しづつスッキリし、鏡華の頭には疑問が出てきていた。一つ目に銀時をやったのは桂と同じ辻斬りなのか。そして二つ目に辻斬りの刀についてである。
桂と銀時のやられた傷は2人とも同じようなものだと感じた。だが、銀時の左腹の傷は桂と同一のものと思えなかった。刀にしてはあまりにも大きすぎる貫通創だったからだ。だから本当に同じ辻斬りだったのか知りたい。
そして桂が言っていた『刀が生きているようだった』という言葉。もし同じ辻斬りなら、銀時たちに聞けばその意味も分かるだろう。
あと……万事屋の紅一点である神楽の姿が全く見えなかったのも気にかかる。ペットの定春もまた居なかった。鏡華の胸の内に、またしてもなんとも言えない嫌な予感が広がる。そこも起きたら聞いてみようと鏡華は煙をくゆらせた。
「……また有休が無くなるなァ…………」
そう呟くと鏡華は遠い目をしながら手すりにうなだれたのであった。
