#1 再会は突然に
空欄の場合「鏡華」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇◇
晴天とは言えないがちょうどよく晴れた空の下、病院のベンチで煙を吹かす人物が居た。
先程銀時とまさかの再会を果たした、この作品の主人公――泉鏡華である。煙をふかしてはいるが、吸っているのはニコチンタール0の電子タバコだ。ちなみに味はさっぱりクールミント味。鏡華は大きく吸い込み、そして一際大きな煙を吐いた。
―――今ごろこんなところで会うなんてなぁ……
銀時と鏡華は幼い頃を一緒に過ごした、いわゆる幼なじみである。なんなら寝食を共にしていた家族同然のような関係だ。共に松下村塾で学び、そして攘夷戦争にも参加した。
幼なじみ、家族、そして戦友と関係を表す言葉が1つでは足りない。それぐらい同じ時を過ごしてきた相手だった。
戦後、いつの間にか離れ離れとなりそれぞれの道を歩んでいた。それがまさかこんな場所で再会するなんて、まさに青天の霹靂である。
「医者がこんなとこで煙ふかすたァ、とんだ不良だなァオイ」
煙をまたふかしていると、いちご牛乳を持った銀時がフラフラと現れた。銀時はドカッと鏡華の隣に座ると、買ったばかりのそれを飲み始めた。
「これはニコチンタール0だから。私が健康に悪いもん摂るかよ。知ってるでしょ?」
「嘘つけ、戦争中は普通にタバコ吸ってただろうが」
「……アレ、そうだったっけ?」
「お前ってやつは……」と口を開きかけて銀時は大きくため息をついた。
鏡華が空を見上げると、雲が緩やかに流れていくのが見える。会話があるような無いような、変に穏やかな時間を過ごしている二人である。
「てかオメーいつからここで働いてんの?俺最近何回か入院してたんだけど、全然会わなかったよな?」
銀時が鏡華に尋ねる。そう、銀時は原作10巻までの間に万事屋の依頼やら交通事故やらで、ここ大江戸病院に世話になっている。結構な頻度だが、なぜ会わなかったのか不思議だった。
「んー。5年ぐらい前かなァ。なかなか担当にならないもんだね」
そういうもんかねェと銀時は少し考えたが、総合病院だし担当にならない限り関わることはないか、と一応納得した。疑問が少しずつ解消していくが、それでも聞きたいことがまだまだある。
「……ていうかよォ、戦争終わった後オメーどこ行ってたんだよ。それになんだ泉って。お前『緒方』だったろ」
鏡華はフーッと煙を吐きながら「んー」と言いつつ耳を触る。忘れっぽい彼女が何かを思い出そうとする時の仕草である。久々に見た幼なじみの行動に銀時は懐かしさで目を細めた。
鏡華は耳を触るのをやめると、ジト目で銀時を見た。
「……それを言うならそっちもでしょ。あんたこそどこ行ってたんだよ。私、あんたのこと探したんだからね?若干だけど」
「いや、若干かよ!もう少し探してくれてもいいんじゃねーの?ねェ?」
「そんな感じのいなくなり方じゃなかったでしょ。もっと、こう、もう少しだけ深刻そうだったでしょ、確か。てか銀時にツッコまれるの懐かしいな」
フフッと笑う鏡華に思わずドキッとする銀時。その笑顔は最後に見た時と全く変わらない。
「……俺の方もなんやかんやあったんだよ」
「まァそんな感じはする。深くは聞かねェわ。で、苗字のこと?これ偽名」
「偽名?なんでまた偽名なんて使ってンだよ」
割と重大なことをサラッと言うところも、昔と全く変わっていない。そういえばこれがコイツだったなと銀時は改めて呆れた。
「そんなん、戦争に参加したからに決まってンでしょ。戦争参加したやつが、しかも負けた側の人間がその名前で医者できるかっての」
「あぁ、なるほどねェ……」
銀時はそう言うといちご牛乳を流し込んだ。鏡華も再度煙をふかす。
「私はヅラみたいに本名貫いてでも逃げる生活はしたくないしねェ…。普通に生きたかったから、苗字だけでも変えてみたのよ。…ってかあんたも本名のままか。大丈夫なの?」
「大丈夫って何が?」
「指名手配的な」
「あン?俺はンな活動してないから大丈夫に決まってンだろ」
「あんたはそのつもりだろうけど、どうせヅラ辺りに巻き込まれてんでしょ。昔から巻き込まれるタイプだし。ん?それってつまり……やだこんなところにテロリストが……」
「オイ!誰がテロリストだコノヤロー!?ナチュラルに物騒な言葉ぶっこむんじゃねーよ!!」
先程の空気とはうってかわり、永く会ってなかった2人とは思えないほど会話が弾む。このテンポが懐かしいと2人は感じ始めていた。
「てか鏡華オメー、ヅラには会ったのか?」
「いや会ってないけど手配書よく見るから。アイツ最近ここら辺にいるの?」
「さァなー。いたりいなかったりじゃね?どっちかってーと、いねェ方が平和で清々すらァ」
そっか、と言って鏡華は空を見上げた。その横顔につられ銀時も空を見上げる。
「さー…そろそろ休憩終わるわ。私は仕事に戻るから、あんたもさっさと病室戻ってゆっくりしときなよ。せっかくあと少しで退院なんだから」
「ん?あぁ、そうだな。そろそろ戻るわ。……あ、鏡華、」
ベンチから立ち去ろうとする鏡華を銀時が呼び止めた。
「こんなとこで会ったのも、まァ何かの縁だ。…その、アレだ。俺が退院したらどっか飲みでも行こうや。久々の再会を祝ってよ」
銀時は照れくさそうに頭をかきながらそう言った。
作者もちょっと忘れかけていたが、彼にとって鏡華は初恋の人である。珍しく銀時の心臓がドキドキと脈打っている。ああ、少し鼓動よ止まれ、平静を装いたいんだ。と内心思っている銀時を見透かすように鏡華が笑った。
「飲み?いいねェ、ぜひ行こうや。私友達いないから飲みに誘ってくれる人いねェのよ。ありがたいわァ」
その笑顔がまた銀時の心臓の音をうるさくする。
そうだ、この笑顔が好きだったと銀時は思わずにはいられなかった。
「そしたら銀時、あんた携帯持ってる?」
鏡華が胸ポケットから黒色の携帯を取り出した。
ジャスタウェイのストラップがついてるのを見ると、病院用とは違い私物なのだろう。
「いや持ってねえな」
「そうなの?今どき珍しいね」
そう言うと鏡華は携帯をしまい、代わりに紙に何かを書き「はい」と銀時に渡した。
「何だこれ」
「何って私のケー番。退院したらそこにかけてよ。飲み行くのにやりとりできないと困るし。ほら、私ちゃんと仕事してるしさァ?」
「あぁ?俺も仕事してるんですけどォ?なんなら一国の主ですけどォ?……まあいいや、これにかけりゃいいんだな。分かった」
「うん、よろしく。そしたらまたね、坂田さん」
そう言って鏡華は仕事に戻って行った。その背中を見送りながら、銀時は心の中でガッツポーズをしたのだった。
晴天とは言えないがちょうどよく晴れた空の下、病院のベンチで煙を吹かす人物が居た。
先程銀時とまさかの再会を果たした、この作品の主人公――泉鏡華である。煙をふかしてはいるが、吸っているのはニコチンタール0の電子タバコだ。ちなみに味はさっぱりクールミント味。鏡華は大きく吸い込み、そして一際大きな煙を吐いた。
―――今ごろこんなところで会うなんてなぁ……
銀時と鏡華は幼い頃を一緒に過ごした、いわゆる幼なじみである。なんなら寝食を共にしていた家族同然のような関係だ。共に松下村塾で学び、そして攘夷戦争にも参加した。
幼なじみ、家族、そして戦友と関係を表す言葉が1つでは足りない。それぐらい同じ時を過ごしてきた相手だった。
戦後、いつの間にか離れ離れとなりそれぞれの道を歩んでいた。それがまさかこんな場所で再会するなんて、まさに青天の霹靂である。
「医者がこんなとこで煙ふかすたァ、とんだ不良だなァオイ」
煙をまたふかしていると、いちご牛乳を持った銀時がフラフラと現れた。銀時はドカッと鏡華の隣に座ると、買ったばかりのそれを飲み始めた。
「これはニコチンタール0だから。私が健康に悪いもん摂るかよ。知ってるでしょ?」
「嘘つけ、戦争中は普通にタバコ吸ってただろうが」
「……アレ、そうだったっけ?」
「お前ってやつは……」と口を開きかけて銀時は大きくため息をついた。
鏡華が空を見上げると、雲が緩やかに流れていくのが見える。会話があるような無いような、変に穏やかな時間を過ごしている二人である。
「てかオメーいつからここで働いてんの?俺最近何回か入院してたんだけど、全然会わなかったよな?」
銀時が鏡華に尋ねる。そう、銀時は原作10巻までの間に万事屋の依頼やら交通事故やらで、ここ大江戸病院に世話になっている。結構な頻度だが、なぜ会わなかったのか不思議だった。
「んー。5年ぐらい前かなァ。なかなか担当にならないもんだね」
そういうもんかねェと銀時は少し考えたが、総合病院だし担当にならない限り関わることはないか、と一応納得した。疑問が少しずつ解消していくが、それでも聞きたいことがまだまだある。
「……ていうかよォ、戦争終わった後オメーどこ行ってたんだよ。それになんだ泉って。お前『緒方』だったろ」
鏡華はフーッと煙を吐きながら「んー」と言いつつ耳を触る。忘れっぽい彼女が何かを思い出そうとする時の仕草である。久々に見た幼なじみの行動に銀時は懐かしさで目を細めた。
鏡華は耳を触るのをやめると、ジト目で銀時を見た。
「……それを言うならそっちもでしょ。あんたこそどこ行ってたんだよ。私、あんたのこと探したんだからね?若干だけど」
「いや、若干かよ!もう少し探してくれてもいいんじゃねーの?ねェ?」
「そんな感じのいなくなり方じゃなかったでしょ。もっと、こう、もう少しだけ深刻そうだったでしょ、確か。てか銀時にツッコまれるの懐かしいな」
フフッと笑う鏡華に思わずドキッとする銀時。その笑顔は最後に見た時と全く変わらない。
「……俺の方もなんやかんやあったんだよ」
「まァそんな感じはする。深くは聞かねェわ。で、苗字のこと?これ偽名」
「偽名?なんでまた偽名なんて使ってンだよ」
割と重大なことをサラッと言うところも、昔と全く変わっていない。そういえばこれがコイツだったなと銀時は改めて呆れた。
「そんなん、戦争に参加したからに決まってンでしょ。戦争参加したやつが、しかも負けた側の人間がその名前で医者できるかっての」
「あぁ、なるほどねェ……」
銀時はそう言うといちご牛乳を流し込んだ。鏡華も再度煙をふかす。
「私はヅラみたいに本名貫いてでも逃げる生活はしたくないしねェ…。普通に生きたかったから、苗字だけでも変えてみたのよ。…ってかあんたも本名のままか。大丈夫なの?」
「大丈夫って何が?」
「指名手配的な」
「あン?俺はンな活動してないから大丈夫に決まってンだろ」
「あんたはそのつもりだろうけど、どうせヅラ辺りに巻き込まれてんでしょ。昔から巻き込まれるタイプだし。ん?それってつまり……やだこんなところにテロリストが……」
「オイ!誰がテロリストだコノヤロー!?ナチュラルに物騒な言葉ぶっこむんじゃねーよ!!」
先程の空気とはうってかわり、永く会ってなかった2人とは思えないほど会話が弾む。このテンポが懐かしいと2人は感じ始めていた。
「てか鏡華オメー、ヅラには会ったのか?」
「いや会ってないけど手配書よく見るから。アイツ最近ここら辺にいるの?」
「さァなー。いたりいなかったりじゃね?どっちかってーと、いねェ方が平和で清々すらァ」
そっか、と言って鏡華は空を見上げた。その横顔につられ銀時も空を見上げる。
「さー…そろそろ休憩終わるわ。私は仕事に戻るから、あんたもさっさと病室戻ってゆっくりしときなよ。せっかくあと少しで退院なんだから」
「ん?あぁ、そうだな。そろそろ戻るわ。……あ、鏡華、」
ベンチから立ち去ろうとする鏡華を銀時が呼び止めた。
「こんなとこで会ったのも、まァ何かの縁だ。…その、アレだ。俺が退院したらどっか飲みでも行こうや。久々の再会を祝ってよ」
銀時は照れくさそうに頭をかきながらそう言った。
作者もちょっと忘れかけていたが、彼にとって鏡華は初恋の人である。珍しく銀時の心臓がドキドキと脈打っている。ああ、少し鼓動よ止まれ、平静を装いたいんだ。と内心思っている銀時を見透かすように鏡華が笑った。
「飲み?いいねェ、ぜひ行こうや。私友達いないから飲みに誘ってくれる人いねェのよ。ありがたいわァ」
その笑顔がまた銀時の心臓の音をうるさくする。
そうだ、この笑顔が好きだったと銀時は思わずにはいられなかった。
「そしたら銀時、あんた携帯持ってる?」
鏡華が胸ポケットから黒色の携帯を取り出した。
ジャスタウェイのストラップがついてるのを見ると、病院用とは違い私物なのだろう。
「いや持ってねえな」
「そうなの?今どき珍しいね」
そう言うと鏡華は携帯をしまい、代わりに紙に何かを書き「はい」と銀時に渡した。
「何だこれ」
「何って私のケー番。退院したらそこにかけてよ。飲み行くのにやりとりできないと困るし。ほら、私ちゃんと仕事してるしさァ?」
「あぁ?俺も仕事してるんですけどォ?なんなら一国の主ですけどォ?……まあいいや、これにかけりゃいいんだな。分かった」
「うん、よろしく。そしたらまたね、坂田さん」
そう言って鏡華は仕事に戻って行った。その背中を見送りながら、銀時は心の中でガッツポーズをしたのだった。
