#3 コロッケパンより焼きそばパン
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◇◇
鏡華が胸をザワつかせていた日の夜。江戸のある場所で、大きな月が男たちを照らしていた。
一人は行方知らずとなった桂を一緒に探して欲しいとエリザベスに頼まれた新八、もう一人は盗まれた刀を見つけて欲しいと依頼され、新八とは別行動をしていた銀時、そして……桂を斬った辻斬り―――岡田似蔵である。
岡田は盲目でありながら居合を使う瞬速の剣の使い手で、原作10巻で初登場、銀時と戦いそして敗れた男だった。
「件の辻斬りはアンタの仕業だったのか!?それに銀さんも……なんでここに!?」
予想だにしてなかった辻斬りの正体と、居ると思っていなかった銀時の登場に新八は動揺が隠せない。一方の銀時は冷静に状況をまとめる。
「目的は違えど、アイツに用があるのは一緒らしいよ、新八君」
「……うれしいねェ。わざわざ俺に会いに来てくれたってわけだ」
岡田がニヤリと笑う。銀時と新八、エリザベスに緊張が走る。岡田は先程銀時に弾かれた刀を取りに、刀の所へ向かいながら話し始めた。
「コイツは災いを呼ぶ妖刀と聞いていたがね、どうやら強者も引き寄せるらしい。桂に銀時アンタ、こうも会いたい奴に会わせてくれるとは、俺にとっては吉兆を呼ぶ刀かもしれん」
「!!桂さん!!桂さんをどうしたお前!!」
突然の桂の名前に驚く新八。黙って岡田を睨みつける銀時。その2人を前にしたまま、岡田は明るい声色で話を続けた。
「おやおや、おたくらの知り合いだったかい。それはすまん事をした。俺もおニューの刀を手に入れてはしゃいでたものでね。ついつい斬っちまった」
ニヤニヤと話す岡田に、銀時は木刀を握る手に力が入る。
「ヅラがてめーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
「怒るなよ。悪かったと言っている。……あーそうだ、ホラせめて奴の形見だけでも返すよ」
岡田は、記念にむしりとってきたんだが、と言って桂を斬った証として手に入れた、桂の特徴である長い髪の束を3人に見せた。新八、エリザベスの顔に驚きと絶望の表情が宿る。岡田は髪を舐めながらなおも明るい声色で話していく。
「あんたらが持ってた方が奴も喜ぶだろう。……しかし桂ってのは本当に男かィ?このなめらかな髪……まるで女のような……」
岡田の話を遮って、怒りの沸点を超えた銀時が岡田に斬りかかった。木刀と真剣が鈍くぶつかり合う。
「何度も同じこと言わせんじゃねーよ。ヅラはてめーみてーなザコにやられるような奴じゃねーんだよ」
木刀を握る力が増していく。岡田は額の前で木刀を受け止めているが、このままだと押し切られそうである。だが、岡田は変わらずニヤリと笑った。
「クク……確かに、俺ならば敵うまいよ」
突然、刀を握る岡田の腕から触手のようなものが生え、自身が持つ刀を覆った。そしてそれは次々と刀に巻き付きながら、次第に大きくなっていく。その様子に鍔迫り合う銀時は「なっ……!」と驚きの声が漏れる。
「奴を斬ったのは俺じゃない。俺はちょいと身体を貸しただけでね。なァ……『紅桜』よ」
一瞬のうちに銀時が吹き飛ばされた。吹き飛ばされた先には川があったが、橋もろとも銀時は川に叩きつけられたのである。あまりの勢いにぐふっ!と声が出る。頭から川に突っ込んだせいで口の中に水が入った。岡田は壊れた橋の上から不敵な表情で橋架下の銀時を見下ろす。
「おかしいねオイ。アンタもっと強くなかったかい?」
一方の銀時は冷静に、だが確実に動揺しながら言葉を発する。
「……おかしいねオイ。アンタそれホントに刀ですか?」
岡田が握る刀……握っていると表現していいのか、岡田の腕と刀は同化し刀を握る手は完全に見えない。ウゾウゾと触手が動き、刀はドクンドクンと周りにも聞こえるぐらい脈打っている。
「刀というより生き物みたいだったって?冗談じゃねーよありゃ生き物ってより……化ケ物じゃねーか」
橋の上から岡田が跳び、銀時に斬りかかった。戦いを見守る新八が銀時の名を叫ぶ。水飛沫をあげながら戦う銀時と岡田。銀時は岡田の背後に回り込み斬りかかるが、盲目で全ての感覚が過敏になっている岡田は、振り返ることなく銀時の攻撃を受ける。すかさず銀時は左足で岡田の足を蹴り、体勢を崩す。バシャアと水飛沫の音を立てながら、岡田は倒れ込んだ。
「喧嘩は剣だけでやるもんじゃねーんだよ!」
銀時は異形と化した岡田の腕を足で押さえ込みながらマウントを取り、木刀を振り上げた。しかし、銀時の木刀を岡田の触手が掴みかかる。銀時は動きを止められ、岡田は下から銀時を蹴り上げた。
「喧嘩じゃない。殺し合いだろうよ」
間合いを取り、岡田が刀を振り切る。辛うじて木刀で受けるが、木刀は真っ二つに折れ、銀時は後方に吹っ飛ばされ橋脚に激突した。「ぐっ……」と痛みに耐えながら立ち上がる銀時。向かいから新八の己を呼ぶ声が聞こえる。
―――野郎、着ぐるみでも着てんじゃねーのか。人間の力じゃねェ。
無類の強さを誇る銀時でも、人間の力じゃないと言わしめる岡田。得物も無くなり、銀時には為す術がない。
ブシュ。突然銀時の胸元から一文字に血が吹き出した。先程受けた時にやられていたのである。血はドクドクと流れ出ており、止まる気配がない。
「オイオイ、さすがにこれヤベ……」
さすがの銀時にも焦りが見えたその刹那、岡田の剣が銀時の左腹を貫いた。
「ぎっ……」
銀時の向かいで戦いを見ていた新八が声にならない声を上げる。腹を貫かれた銀時は吐血している。
―――ウソ……ウソだ、銀さんが……銀さんが……銀さんが…………!!
銀時に駆け寄ろうとする新八をエリザベスが制止していたが、それを振り払い尚且つエリザベスが持っていた刀を奪い新八が走り出した。
「後悔しているか?以前俺とやり合った時殺しておかなかったと」
一方、岡田が、銀時を貫いたまま話しかける。
「俺を殺しておけば桂もアンタもこんな目には遭わなかった。全てアンタの甘さが招いた結果だ、《白夜叉》」
戦争時代の二つ名で銀時を呼んだ岡田は、拠点にいるある人物を思い浮かべながら話し続ける。
「あの人もさぞやガッカリしてるだろうよ。かつて共に戦った盟友たちが揃いも揃ってこの様だ。……アンタ達のような弱い侍のために、この国は腐敗した。アンタではなく俺があの人の隣にいれば、この国はこんな有様にはならなかった」
話し続ける岡田は勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
「士道だ節義だくだらんものは侍には必要ない。侍に必要なのは、剣のみさね」
銀時にトドメをさそうと、貫いた刀を引き抜こうとする岡田。
「剣の折れたアンタ達はもう侍じゃないよ。惰弱な侍はこの国から消えるがい……!」
「剣が折れたって?」
だが剣が抜けない。銀時が残る力を振り絞って岡田を押さえつけているのである。
「剣ならまだあるぜ。とっておきのがもう一本」
突如、岡田の頭上からあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!という叫び声が聞こえ、新八が絶叫しながら銀時を貫く岡田の腕を斬り飛ばした。自身の体から離れた腕と刀は同化をやめ、別々に川に落ちた。斬られた岡田の右肩から血が吹き出す。
「アララ、腕がとれちまったよ。ひどいことするね、僕」
腕を斬られ、血が吹き出しているにも関わらず、慌てず冷静に新八に対峙する岡田。新八は初めて人を斬ったことに興奮しながらも、銀時と岡田の間に入って剣を構え、岡田を警戒する。
「それ以上来てみろォォ!!次は左手をもらう!!」
新八の心臓がバクバクと激しく鼓動を打つ。両者の間に少しの静寂が流れた時、ピィー!と同心の笛の音が響いた。
「オイ!そこで何をやっている!!」
―――チッ、うるさいのが来ちまった。時間切れだ。
岡田はため息をつくと、足元に落ちた刀を拾い上げた。
「勝負はお預けだな。まァまた機会があったらやり合おうや」
岡田は新八にそう告げ、刀を持って場を離れた。「待てェェェ!」という同心の声が辺りに響く。新八は同心が岡田を追いかけていく背中を見てから、倒れ込んでいる銀時の元に急いで駆け寄った。
「銀サン!しっかりして下さい銀サン!!」
銀時は薄目で新八を見ると、へへ……と力なく笑った。
「新八……おめーはやればできる子だと思ってたよ……」
しかし次の瞬間には瞼を閉じ、意識を失ってしまった。新八の銀時を呼ぶ声は彼には届かない。早く助けないと。新八はエリザベスと一緒に銀時を背負い、急いで万事屋に向かった。
◇◇
場面は変わり、一人汚部屋で晩御飯の焼きそばパンを食べながら、電子タバコの煙をくゆらす鏡華。昼間に感じた胸騒ぎは相変わらず続いている。何事もなければいいんだが。ちょうどそう思っていた時だった。
私用携帯に着信が入る。画面を見ると万事屋からである。一瞬ドキッとして通話ボタンを押す。頼む、飲みの誘いであってくれ。
「……もしもし」
『あっ!!泉さんですか!?僕です、万事屋の志村新八です!あの、銀さんが……!銀さんが大変なんです!今すぐ来てもらうことは出来ますか!?』
電話口で新八の焦る声が聞こえる。幼なじみの声は全く聞こえない。あぁ、なんでこう嫌な予感ってやつは当たるのか。携帯を握る手に力が入る。鏡華は素早く深呼吸をして、平静を装ってから新八に話した。
「安心して新八くん。今すぐ行く。私が必ず助けるから」
鏡華はそう言うと通話を切り、念の為準備していた治療道具を持って家を飛び出したのであった。
4話へ続く
鏡華が胸をザワつかせていた日の夜。江戸のある場所で、大きな月が男たちを照らしていた。
一人は行方知らずとなった桂を一緒に探して欲しいとエリザベスに頼まれた新八、もう一人は盗まれた刀を見つけて欲しいと依頼され、新八とは別行動をしていた銀時、そして……桂を斬った辻斬り―――岡田似蔵である。
岡田は盲目でありながら居合を使う瞬速の剣の使い手で、原作10巻で初登場、銀時と戦いそして敗れた男だった。
「件の辻斬りはアンタの仕業だったのか!?それに銀さんも……なんでここに!?」
予想だにしてなかった辻斬りの正体と、居ると思っていなかった銀時の登場に新八は動揺が隠せない。一方の銀時は冷静に状況をまとめる。
「目的は違えど、アイツに用があるのは一緒らしいよ、新八君」
「……うれしいねェ。わざわざ俺に会いに来てくれたってわけだ」
岡田がニヤリと笑う。銀時と新八、エリザベスに緊張が走る。岡田は先程銀時に弾かれた刀を取りに、刀の所へ向かいながら話し始めた。
「コイツは災いを呼ぶ妖刀と聞いていたがね、どうやら強者も引き寄せるらしい。桂に銀時アンタ、こうも会いたい奴に会わせてくれるとは、俺にとっては吉兆を呼ぶ刀かもしれん」
「!!桂さん!!桂さんをどうしたお前!!」
突然の桂の名前に驚く新八。黙って岡田を睨みつける銀時。その2人を前にしたまま、岡田は明るい声色で話を続けた。
「おやおや、おたくらの知り合いだったかい。それはすまん事をした。俺もおニューの刀を手に入れてはしゃいでたものでね。ついつい斬っちまった」
ニヤニヤと話す岡田に、銀時は木刀を握る手に力が入る。
「ヅラがてめーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
「怒るなよ。悪かったと言っている。……あーそうだ、ホラせめて奴の形見だけでも返すよ」
岡田は、記念にむしりとってきたんだが、と言って桂を斬った証として手に入れた、桂の特徴である長い髪の束を3人に見せた。新八、エリザベスの顔に驚きと絶望の表情が宿る。岡田は髪を舐めながらなおも明るい声色で話していく。
「あんたらが持ってた方が奴も喜ぶだろう。……しかし桂ってのは本当に男かィ?このなめらかな髪……まるで女のような……」
岡田の話を遮って、怒りの沸点を超えた銀時が岡田に斬りかかった。木刀と真剣が鈍くぶつかり合う。
「何度も同じこと言わせんじゃねーよ。ヅラはてめーみてーなザコにやられるような奴じゃねーんだよ」
木刀を握る力が増していく。岡田は額の前で木刀を受け止めているが、このままだと押し切られそうである。だが、岡田は変わらずニヤリと笑った。
「クク……確かに、俺ならば敵うまいよ」
突然、刀を握る岡田の腕から触手のようなものが生え、自身が持つ刀を覆った。そしてそれは次々と刀に巻き付きながら、次第に大きくなっていく。その様子に鍔迫り合う銀時は「なっ……!」と驚きの声が漏れる。
「奴を斬ったのは俺じゃない。俺はちょいと身体を貸しただけでね。なァ……『紅桜』よ」
一瞬のうちに銀時が吹き飛ばされた。吹き飛ばされた先には川があったが、橋もろとも銀時は川に叩きつけられたのである。あまりの勢いにぐふっ!と声が出る。頭から川に突っ込んだせいで口の中に水が入った。岡田は壊れた橋の上から不敵な表情で橋架下の銀時を見下ろす。
「おかしいねオイ。アンタもっと強くなかったかい?」
一方の銀時は冷静に、だが確実に動揺しながら言葉を発する。
「……おかしいねオイ。アンタそれホントに刀ですか?」
岡田が握る刀……握っていると表現していいのか、岡田の腕と刀は同化し刀を握る手は完全に見えない。ウゾウゾと触手が動き、刀はドクンドクンと周りにも聞こえるぐらい脈打っている。
「刀というより生き物みたいだったって?冗談じゃねーよありゃ生き物ってより……化ケ物じゃねーか」
橋の上から岡田が跳び、銀時に斬りかかった。戦いを見守る新八が銀時の名を叫ぶ。水飛沫をあげながら戦う銀時と岡田。銀時は岡田の背後に回り込み斬りかかるが、盲目で全ての感覚が過敏になっている岡田は、振り返ることなく銀時の攻撃を受ける。すかさず銀時は左足で岡田の足を蹴り、体勢を崩す。バシャアと水飛沫の音を立てながら、岡田は倒れ込んだ。
「喧嘩は剣だけでやるもんじゃねーんだよ!」
銀時は異形と化した岡田の腕を足で押さえ込みながらマウントを取り、木刀を振り上げた。しかし、銀時の木刀を岡田の触手が掴みかかる。銀時は動きを止められ、岡田は下から銀時を蹴り上げた。
「喧嘩じゃない。殺し合いだろうよ」
間合いを取り、岡田が刀を振り切る。辛うじて木刀で受けるが、木刀は真っ二つに折れ、銀時は後方に吹っ飛ばされ橋脚に激突した。「ぐっ……」と痛みに耐えながら立ち上がる銀時。向かいから新八の己を呼ぶ声が聞こえる。
―――野郎、着ぐるみでも着てんじゃねーのか。人間の力じゃねェ。
無類の強さを誇る銀時でも、人間の力じゃないと言わしめる岡田。得物も無くなり、銀時には為す術がない。
ブシュ。突然銀時の胸元から一文字に血が吹き出した。先程受けた時にやられていたのである。血はドクドクと流れ出ており、止まる気配がない。
「オイオイ、さすがにこれヤベ……」
さすがの銀時にも焦りが見えたその刹那、岡田の剣が銀時の左腹を貫いた。
「ぎっ……」
銀時の向かいで戦いを見ていた新八が声にならない声を上げる。腹を貫かれた銀時は吐血している。
―――ウソ……ウソだ、銀さんが……銀さんが……銀さんが…………!!
銀時に駆け寄ろうとする新八をエリザベスが制止していたが、それを振り払い尚且つエリザベスが持っていた刀を奪い新八が走り出した。
「後悔しているか?以前俺とやり合った時殺しておかなかったと」
一方、岡田が、銀時を貫いたまま話しかける。
「俺を殺しておけば桂もアンタもこんな目には遭わなかった。全てアンタの甘さが招いた結果だ、《白夜叉》」
戦争時代の二つ名で銀時を呼んだ岡田は、拠点にいるある人物を思い浮かべながら話し続ける。
「あの人もさぞやガッカリしてるだろうよ。かつて共に戦った盟友たちが揃いも揃ってこの様だ。……アンタ達のような弱い侍のために、この国は腐敗した。アンタではなく俺があの人の隣にいれば、この国はこんな有様にはならなかった」
話し続ける岡田は勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
「士道だ節義だくだらんものは侍には必要ない。侍に必要なのは、剣のみさね」
銀時にトドメをさそうと、貫いた刀を引き抜こうとする岡田。
「剣の折れたアンタ達はもう侍じゃないよ。惰弱な侍はこの国から消えるがい……!」
「剣が折れたって?」
だが剣が抜けない。銀時が残る力を振り絞って岡田を押さえつけているのである。
「剣ならまだあるぜ。とっておきのがもう一本」
突如、岡田の頭上からあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!という叫び声が聞こえ、新八が絶叫しながら銀時を貫く岡田の腕を斬り飛ばした。自身の体から離れた腕と刀は同化をやめ、別々に川に落ちた。斬られた岡田の右肩から血が吹き出す。
「アララ、腕がとれちまったよ。ひどいことするね、僕」
腕を斬られ、血が吹き出しているにも関わらず、慌てず冷静に新八に対峙する岡田。新八は初めて人を斬ったことに興奮しながらも、銀時と岡田の間に入って剣を構え、岡田を警戒する。
「それ以上来てみろォォ!!次は左手をもらう!!」
新八の心臓がバクバクと激しく鼓動を打つ。両者の間に少しの静寂が流れた時、ピィー!と同心の笛の音が響いた。
「オイ!そこで何をやっている!!」
―――チッ、うるさいのが来ちまった。時間切れだ。
岡田はため息をつくと、足元に落ちた刀を拾い上げた。
「勝負はお預けだな。まァまた機会があったらやり合おうや」
岡田は新八にそう告げ、刀を持って場を離れた。「待てェェェ!」という同心の声が辺りに響く。新八は同心が岡田を追いかけていく背中を見てから、倒れ込んでいる銀時の元に急いで駆け寄った。
「銀サン!しっかりして下さい銀サン!!」
銀時は薄目で新八を見ると、へへ……と力なく笑った。
「新八……おめーはやればできる子だと思ってたよ……」
しかし次の瞬間には瞼を閉じ、意識を失ってしまった。新八の銀時を呼ぶ声は彼には届かない。早く助けないと。新八はエリザベスと一緒に銀時を背負い、急いで万事屋に向かった。
◇◇
場面は変わり、一人汚部屋で晩御飯の焼きそばパンを食べながら、電子タバコの煙をくゆらす鏡華。昼間に感じた胸騒ぎは相変わらず続いている。何事もなければいいんだが。ちょうどそう思っていた時だった。
私用携帯に着信が入る。画面を見ると万事屋からである。一瞬ドキッとして通話ボタンを押す。頼む、飲みの誘いであってくれ。
「……もしもし」
『あっ!!泉さんですか!?僕です、万事屋の志村新八です!あの、銀さんが……!銀さんが大変なんです!今すぐ来てもらうことは出来ますか!?』
電話口で新八の焦る声が聞こえる。幼なじみの声は全く聞こえない。あぁ、なんでこう嫌な予感ってやつは当たるのか。携帯を握る手に力が入る。鏡華は素早く深呼吸をして、平静を装ってから新八に話した。
「安心して新八くん。今すぐ行く。私が必ず助けるから」
鏡華はそう言うと通話を切り、念の為準備していた治療道具を持って家を飛び出したのであった。
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