#3 コロッケパンより焼きそばパン
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一際大きな月が星と共に輝く夜の江戸。人気のないある橋の上に2人の男が居た。
「ちょいと失礼、桂小太郎殿とお見受けする」
編笠を目深に被った男が、同じく編笠を被った長髪の男、攘夷志士の桂小太郎に背後から声をかけた。周りに明かりはなく、ただ満月の月明かりだけが2人を照らしている。
「……人違いだ」
己の顔は見られていまい。桂は振り向くことなく男に告げる。だが背後の男はこの男が桂小太郎であると確信を持っているようで、続けて話しかけていく。
「心配いらんよ。俺は幕府の犬でもなんでもない」
「犬は犬でも、血に飢えた狂犬といったところか」
まだ振り向くことはしない桂。桂には声をかけてきた男が何者なのか、心当たりがあった。
「近頃巷で辻斬りが横行しているとは聞いていたが、噛み付く相手は選んだ方がいい」
そう、桂の背後にいる男は巷を騒がしている辻斬り本人であった。男はニヤリと笑うと刀に手をかけた。
「あいにく俺も相棒も、アンタのような強者の血を欲していてね。ひとつやり合ってくれんかね?」
「!……貴様、その刀」
桂がようやく振り向いた。その瞬間、男は目にも止まらぬ早さで桂の横を通り過ぎた。一瞬にも満たない、本当に短い時間だった。
「アララ、こんなものかィ」
男がニヤっと笑う。次の瞬間、桂の体から血飛沫が吹き上がり、そのままその場に倒れた。戦争を戦い抜いた猛者が、己の刀を抜く間もなく、斬られたのである。男は満足そうに桂に近づき、殺した証にするのか、桂の髪をバッサリと切ってから刀を鞘に収めた。そして倒れた桂をそのままに、月明かりのない暗闇へと消えていった。
―――このままではマズイ、血が止まらぬ。
斬られた桂は辛うじてまだ生きていた。が、致命傷である。早く手当をしなければ助かる可能性がみるみるうちに無くなっていく。焦りで心拍数が上がり、余計に血が流れていく。どうにかしなければ。しかし仲間も近くにいない。生きねばと思っているのに、段々と意識が朦朧としていく。
―――チッ、万事休すか……
桂の眼前が真っ黒に染まった。
「ちょいと失礼、桂小太郎殿とお見受けする」
編笠を目深に被った男が、同じく編笠を被った長髪の男、攘夷志士の桂小太郎に背後から声をかけた。周りに明かりはなく、ただ満月の月明かりだけが2人を照らしている。
「……人違いだ」
己の顔は見られていまい。桂は振り向くことなく男に告げる。だが背後の男はこの男が桂小太郎であると確信を持っているようで、続けて話しかけていく。
「心配いらんよ。俺は幕府の犬でもなんでもない」
「犬は犬でも、血に飢えた狂犬といったところか」
まだ振り向くことはしない桂。桂には声をかけてきた男が何者なのか、心当たりがあった。
「近頃巷で辻斬りが横行しているとは聞いていたが、噛み付く相手は選んだ方がいい」
そう、桂の背後にいる男は巷を騒がしている辻斬り本人であった。男はニヤリと笑うと刀に手をかけた。
「あいにく俺も相棒も、アンタのような強者の血を欲していてね。ひとつやり合ってくれんかね?」
「!……貴様、その刀」
桂がようやく振り向いた。その瞬間、男は目にも止まらぬ早さで桂の横を通り過ぎた。一瞬にも満たない、本当に短い時間だった。
「アララ、こんなものかィ」
男がニヤっと笑う。次の瞬間、桂の体から血飛沫が吹き上がり、そのままその場に倒れた。戦争を戦い抜いた猛者が、己の刀を抜く間もなく、斬られたのである。男は満足そうに桂に近づき、殺した証にするのか、桂の髪をバッサリと切ってから刀を鞘に収めた。そして倒れた桂をそのままに、月明かりのない暗闇へと消えていった。
―――このままではマズイ、血が止まらぬ。
斬られた桂は辛うじてまだ生きていた。が、致命傷である。早く手当をしなければ助かる可能性がみるみるうちに無くなっていく。焦りで心拍数が上がり、余計に血が流れていく。どうにかしなければ。しかし仲間も近くにいない。生きねばと思っているのに、段々と意識が朦朧としていく。
―――チッ、万事休すか……
桂の眼前が真っ黒に染まった。
