#16 恋バナと軍法会議は似ている
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◇◇
「聞いたか。若の連れてきたあの娘、なんでも花嫁修業とかでオババにしごかれているとか」
柳生家敷地内にある道場の一棟で、4人の男が食事をしていた。食事をしながらメガネをかけた生真面目そうな男――北大路斎がお妙の話題を出した。
「そりゃ逃げ出すのも時間の問題だねェ。残念、結構好みの女だったのに。あのババアにいびられて泣かされた女中を何人慰めてやったかしれんよ俺は。っていうか北大路おめェケチャップかけすぎじゃね?」
遊び人のような男――南戸粋が北大路に声をかける。
「知らんのか。ケチャップは何にでも合うように作られているんだ」
そう言う北大路の手には既に空になりかけのケチャップが握られている。目の前にある料理は真っ赤で元々何の料理だったのか皆目見当もつかない。見ている方の口の中が酸っぱくなってくる程の量である。
「胸クソ悪くなる、やめろ」
それを見て南戸は口元を押えた。間髪入れず北大路がフンと鼻を鳴らす。
「俺は貴様の下卑た男性器のようなツラを見ている方が気分が悪くなる」
「なんだと!!」
「やめろ北大路、南戸。まったくお前たちは幼稚な」
食事のことで言い合う北大路と南戸にスキンヘッドの男――西野掴が止めに入る。そんな彼の手にはプリンが乗っていた。
「いい年こいてお子様ランチ食ってる奴に言われたくねーんだけど!!」
「だまれェェェ!!顔面男性器がァァ!」
「だからどの辺!?どの辺が男性器!?」
「やめなさい。食べ物位で浅ましい」
南戸と西野の言い合いになったところで、ロン毛の優男が諍いを止めた。
「しかし若に花嫁とは……3年に及ぶ武者修行の旅も、あのご病気を治すにはいたらなんだが」
ロン毛の男――東城歩は山盛りにつがれたご飯の上に生卵を落としながら話す。
「だが若がどのような道を進もうと、我等は黙ってあの方についていくだけ。あの娘には気の毒ですが、若のために泣いてもらいましょう」
微笑みを浮かべながらそう話す東城。彼がご飯の上に乗せた卵はドロッと黄身が割れてしまった。
「うむ、これも運命か……」
西野が東城の言葉に同意した直後、「チクショオ!!」と東城が大声を上げながら膳を吹っ飛ばした。それを見た南戸が「東城さん!?」と目を見開く。
「オババの野郎ォォ!!新鮮な卵仕入れとけっていっただろーがァァ!!また黄身が崩れたぞォォォ!!ちょっとスーパー行ってくる!!」
「落ち着いてください東城さん!食べ物くらいで!!」
「うるせェェェ!全身男性器!!」
「全身!?なんかどんどん侵食が進んでるんですけど!!」
東城を後ろから抱きついてなんとか抑える南戸だが、なんともまァ可哀想な言われようである。ギャーギャー騒ぐ東城を南戸と西野が必死に抑えていると、入口に人が立っていることに4人は気づいた。
そこには先程東城がひっくり返して吹っ飛ばした卵かけご飯をもろに食らい、頭に丼を乗っけた神楽とそれを見る沖田であった。
「おいチャイナ、股から卵たれてるぜィ。排卵日か?」
沖田がそう言うやいなや、神楽は沖田の顔面を掴み東城たちの方向に投げ飛ばした。
「今のは総悟が悪い」
「デリカシーがなさすぎる……」
土方と鏡華が呆れ顔で呟いた。横に居る銀時もチベスナ顔である。
「いってェ、何しやがん……!」
「いやァよく来てくれましたね、道場破りさん」
沖田が頭を抑えながら起き上がろうとすると、カチャ、と金属の音がした。見ると東城以外の3人が沖田に剣を向けている。東城が微笑みながら銀時達に対峙した。
「天下の柳生流にたった7人で乗り込んでくるとは……いやはや大した度胸。しかし快進撃もこれまで。我等柳生家の守護を司る、」
「北大路斎」
「南戸粋」
「西野掴」
「東城歩。《柳生四天王》と対峙したからには、ここから生きて出られると思いますな」
どこかで聞いたことのあるような無いような名前の《柳生四天王》が沖田に剣を突きつけたまま名乗る。そんな彼らに、やる気のない顔の銀時が突っかかった。
「あん?てめーらみてーなモンに用はねーんだよ、大将出せコラ。なんだてめーら?どこの100%だ?何100%だ?柳生100%かコノヤロー」
読者が感じていたことを代弁する銀時。その言葉を受けて眉間に皺を寄せながら、沖田の首元に刀をつきつけて南戸が話しかけた。
「アンタらのようなザコ、若に会わせられるわけねーだろ。俺たちが剣を合わせるまでもねェ。オラッ得物捨てな、人質が……」
南戸が喋っている途中で「うおりゃぁああ!」と6人が沖田たちに向かって得物を投げ捨てた。
ブロロロロと刀たちが回転し、沖田と《柳生四天王》たちの足元に突き刺さった。辛うじて避けた彼らから「ぎゃああああ!!」と沖田と南戸の叫び声があがった。
「ちょっ何してんの!?」
南戸が額に青筋を浮かび上がらせながら早口でツッコむ。
「捨てろって言うから」
悪びれもせず銀時が真顔で言い放った。
「どんな捨て方!?人質が見えねーのか!」
「残念ながらそいつに人質の価値はねェ」
「殺せヨ〜殺せヨ〜」
「さっきのは擁護できないからねェ。女の敵だ、いっぺん生まれ変わってこい」
沖田を見下ろしながら土方と神楽、そして鏡華が吐き捨てる。神楽に至ってはゲハハハと性悪な笑い方で言い放っている。沖田は頬に怒りマークをつけて「てめーらあとで覚えてろィ」と3人に言い返した。
「東城殿。こ奴らの始末、俺に……」
そう言って北大路が刀の柄を握った。
「やめろ」
突然ガララと扉が開いて、ポニーテールに眼帯を着けた人物――件の柳生九兵衛が登場した。
「それは僕の妻の親族だ。手荒なマネはよせ」
「若!!」
東城たちがバッと頭を下げた。鏡華たちも入ってきた九兵衛に視線を移す。「アレがお妙ちゃんの……」と一度キャバクラで見たが、改めてマジマジと九兵衛を見つめた。
「……あ」
緊迫するこの場面にそぐわない、素っ頓狂な声を出す鏡華。彼女はあることに気づいたのである。
―――いや、まさか……
と自分の目を疑いもう一度しっかり九兵衛を見つめるが、やっぱりそうだと確信した。彼女の異変に気づいた銀時が鏡華に声をかける。
「どうした?」
「いや……」
―――この子……
鏡華が目を細めて九兵衛を見つめる。一方、そんな彼女のことは気にもかけず九兵衛が新八と対峙した。
「まァゾロゾロと。新八君、君の姉への執着がここまで強いとは思わなかった」
「今日は弟としてではない。恒道館の主として来た」
新八が真っ直ぐと九兵衛を見つめて言葉を続ける。
「志村妙は当道場の大切な門弟である。これをもらいたいのであれば、主である僕に話を通すのが筋」
「話?何の話だ?」
「同じく剣を学び生きる身ならわかるだろう。侍は口で語るより剣で語る方が早い」
近藤が真剣な表情で口を挟む。
「剣に生き、剣に死ぬのが侍ってもんでさァ。ならば」
「女も剣で奪ってけよ」
「私たちと勝負しろコノヤロー!!」
沖田、土方、神楽も次々に口を出して九兵衛に喧嘩を売る。近藤たちの言葉を聞いた九兵衛は不敵な笑みを浮かべた。
「勝負?クク……我が柳生流と君達のオンボロ道場で勝負になると思っているのか?」
「なりますよ〜坊っちゃま。僕ら恒道館メンバーは実はとっても仲が悪くて、プライベートとか一切付き合いなくてお互いの事全然知らなくてっていうか知りたくもねーし死ねばいい思ってるんですけどもね〜、」
鏡華の横にいた銀時がいやらしく笑みを浮かべながら前に出て話す。彼の後ろにいる恒道館メンバーは額に青筋を浮かばせていたり、ジト目で銀時を見ている。
そんな目で見られているということを恐らく分かっている銀時がニヤリと笑う。
「お互いが強いってことだけは知ってるんです〜」
銀時の笑みに釣られて九兵衛もまた口角を上げる。
これからお妙をかけた戦いが始まろうとしていた。
「聞いたか。若の連れてきたあの娘、なんでも花嫁修業とかでオババにしごかれているとか」
柳生家敷地内にある道場の一棟で、4人の男が食事をしていた。食事をしながらメガネをかけた生真面目そうな男――北大路斎がお妙の話題を出した。
「そりゃ逃げ出すのも時間の問題だねェ。残念、結構好みの女だったのに。あのババアにいびられて泣かされた女中を何人慰めてやったかしれんよ俺は。っていうか北大路おめェケチャップかけすぎじゃね?」
遊び人のような男――南戸粋が北大路に声をかける。
「知らんのか。ケチャップは何にでも合うように作られているんだ」
そう言う北大路の手には既に空になりかけのケチャップが握られている。目の前にある料理は真っ赤で元々何の料理だったのか皆目見当もつかない。見ている方の口の中が酸っぱくなってくる程の量である。
「胸クソ悪くなる、やめろ」
それを見て南戸は口元を押えた。間髪入れず北大路がフンと鼻を鳴らす。
「俺は貴様の下卑た男性器のようなツラを見ている方が気分が悪くなる」
「なんだと!!」
「やめろ北大路、南戸。まったくお前たちは幼稚な」
食事のことで言い合う北大路と南戸にスキンヘッドの男――西野掴が止めに入る。そんな彼の手にはプリンが乗っていた。
「いい年こいてお子様ランチ食ってる奴に言われたくねーんだけど!!」
「だまれェェェ!!顔面男性器がァァ!」
「だからどの辺!?どの辺が男性器!?」
「やめなさい。食べ物位で浅ましい」
南戸と西野の言い合いになったところで、ロン毛の優男が諍いを止めた。
「しかし若に花嫁とは……3年に及ぶ武者修行の旅も、あのご病気を治すにはいたらなんだが」
ロン毛の男――東城歩は山盛りにつがれたご飯の上に生卵を落としながら話す。
「だが若がどのような道を進もうと、我等は黙ってあの方についていくだけ。あの娘には気の毒ですが、若のために泣いてもらいましょう」
微笑みを浮かべながらそう話す東城。彼がご飯の上に乗せた卵はドロッと黄身が割れてしまった。
「うむ、これも運命か……」
西野が東城の言葉に同意した直後、「チクショオ!!」と東城が大声を上げながら膳を吹っ飛ばした。それを見た南戸が「東城さん!?」と目を見開く。
「オババの野郎ォォ!!新鮮な卵仕入れとけっていっただろーがァァ!!また黄身が崩れたぞォォォ!!ちょっとスーパー行ってくる!!」
「落ち着いてください東城さん!食べ物くらいで!!」
「うるせェェェ!全身男性器!!」
「全身!?なんかどんどん侵食が進んでるんですけど!!」
東城を後ろから抱きついてなんとか抑える南戸だが、なんともまァ可哀想な言われようである。ギャーギャー騒ぐ東城を南戸と西野が必死に抑えていると、入口に人が立っていることに4人は気づいた。
そこには先程東城がひっくり返して吹っ飛ばした卵かけご飯をもろに食らい、頭に丼を乗っけた神楽とそれを見る沖田であった。
「おいチャイナ、股から卵たれてるぜィ。排卵日か?」
沖田がそう言うやいなや、神楽は沖田の顔面を掴み東城たちの方向に投げ飛ばした。
「今のは総悟が悪い」
「デリカシーがなさすぎる……」
土方と鏡華が呆れ顔で呟いた。横に居る銀時もチベスナ顔である。
「いってェ、何しやがん……!」
「いやァよく来てくれましたね、道場破りさん」
沖田が頭を抑えながら起き上がろうとすると、カチャ、と金属の音がした。見ると東城以外の3人が沖田に剣を向けている。東城が微笑みながら銀時達に対峙した。
「天下の柳生流にたった7人で乗り込んでくるとは……いやはや大した度胸。しかし快進撃もこれまで。我等柳生家の守護を司る、」
「北大路斎」
「南戸粋」
「西野掴」
「東城歩。《柳生四天王》と対峙したからには、ここから生きて出られると思いますな」
どこかで聞いたことのあるような無いような名前の《柳生四天王》が沖田に剣を突きつけたまま名乗る。そんな彼らに、やる気のない顔の銀時が突っかかった。
「あん?てめーらみてーなモンに用はねーんだよ、大将出せコラ。なんだてめーら?どこの100%だ?何100%だ?柳生100%かコノヤロー」
読者が感じていたことを代弁する銀時。その言葉を受けて眉間に皺を寄せながら、沖田の首元に刀をつきつけて南戸が話しかけた。
「アンタらのようなザコ、若に会わせられるわけねーだろ。俺たちが剣を合わせるまでもねェ。オラッ得物捨てな、人質が……」
南戸が喋っている途中で「うおりゃぁああ!」と6人が沖田たちに向かって得物を投げ捨てた。
ブロロロロと刀たちが回転し、沖田と《柳生四天王》たちの足元に突き刺さった。辛うじて避けた彼らから「ぎゃああああ!!」と沖田と南戸の叫び声があがった。
「ちょっ何してんの!?」
南戸が額に青筋を浮かび上がらせながら早口でツッコむ。
「捨てろって言うから」
悪びれもせず銀時が真顔で言い放った。
「どんな捨て方!?人質が見えねーのか!」
「残念ながらそいつに人質の価値はねェ」
「殺せヨ〜殺せヨ〜」
「さっきのは擁護できないからねェ。女の敵だ、いっぺん生まれ変わってこい」
沖田を見下ろしながら土方と神楽、そして鏡華が吐き捨てる。神楽に至ってはゲハハハと性悪な笑い方で言い放っている。沖田は頬に怒りマークをつけて「てめーらあとで覚えてろィ」と3人に言い返した。
「東城殿。こ奴らの始末、俺に……」
そう言って北大路が刀の柄を握った。
「やめろ」
突然ガララと扉が開いて、ポニーテールに眼帯を着けた人物――件の柳生九兵衛が登場した。
「それは僕の妻の親族だ。手荒なマネはよせ」
「若!!」
東城たちがバッと頭を下げた。鏡華たちも入ってきた九兵衛に視線を移す。「アレがお妙ちゃんの……」と一度キャバクラで見たが、改めてマジマジと九兵衛を見つめた。
「……あ」
緊迫するこの場面にそぐわない、素っ頓狂な声を出す鏡華。彼女はあることに気づいたのである。
―――いや、まさか……
と自分の目を疑いもう一度しっかり九兵衛を見つめるが、やっぱりそうだと確信した。彼女の異変に気づいた銀時が鏡華に声をかける。
「どうした?」
「いや……」
―――この子……
鏡華が目を細めて九兵衛を見つめる。一方、そんな彼女のことは気にもかけず九兵衛が新八と対峙した。
「まァゾロゾロと。新八君、君の姉への執着がここまで強いとは思わなかった」
「今日は弟としてではない。恒道館の主として来た」
新八が真っ直ぐと九兵衛を見つめて言葉を続ける。
「志村妙は当道場の大切な門弟である。これをもらいたいのであれば、主である僕に話を通すのが筋」
「話?何の話だ?」
「同じく剣を学び生きる身ならわかるだろう。侍は口で語るより剣で語る方が早い」
近藤が真剣な表情で口を挟む。
「剣に生き、剣に死ぬのが侍ってもんでさァ。ならば」
「女も剣で奪ってけよ」
「私たちと勝負しろコノヤロー!!」
沖田、土方、神楽も次々に口を出して九兵衛に喧嘩を売る。近藤たちの言葉を聞いた九兵衛は不敵な笑みを浮かべた。
「勝負?クク……我が柳生流と君達のオンボロ道場で勝負になると思っているのか?」
「なりますよ〜坊っちゃま。僕ら恒道館メンバーは実はとっても仲が悪くて、プライベートとか一切付き合いなくてお互いの事全然知らなくてっていうか知りたくもねーし死ねばいい思ってるんですけどもね〜、」
鏡華の横にいた銀時がいやらしく笑みを浮かべながら前に出て話す。彼の後ろにいる恒道館メンバーは額に青筋を浮かばせていたり、ジト目で銀時を見ている。
そんな目で見られているということを恐らく分かっている銀時がニヤリと笑う。
「お互いが強いってことだけは知ってるんです〜」
銀時の笑みに釣られて九兵衛もまた口角を上げる。
これからお妙をかけた戦いが始まろうとしていた。
