#15.5 〜幕間〜夢主たるもの花言葉に堪能であれ
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◇◇
「……あんた飲みすぎじゃないかィ?」
「……へ?」
「こんなハイペースで飲んでる割には顔はスッキリしてるねェ……あんた、酒強いんだねェ」
お登勢さんが少し驚いた顔で私を見る。チラリと横を見るとカウンターに姿勢よく並ぶ空き瓶。ヒュッと血の気が引いた。
――あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"自分が酒豪だって設定忘れてたァァァ!!
全然酔ってない!ビックリするぐらい酔ってない!!一人でガンガン飲んだのに全然酔ってない!!アレ?こんなことある?全く酔ってないとかある?てか周りを見たらグラサンも酔いつぶれて寝てるし、いやグラサンだけじゃねーな?みんな寝てるな?アレ?もうそんな時間?
「えっ……待ってお登勢さん、私酒飲むのに必死だったんだけど、みんなおねんねしちゃうぐらい時間経ったの?」
「いや?30分ぐらいかねェ。なんか一気に潰れてったよ。それよりあんたハイペース過ぎだよ。もう一升瓶を5本も空けてるじゃないか」
「5本……」
自分の阿呆さに思わずカウンターに突っ伏す。『銀時が私のことを好き』って聞いただけでこの有様になるなんて、つくづく私は阿呆どころかポンコツらしい。あまりにも恋愛に向いていない。本当に私アラサーなんか?アラサーってもっとこう、余裕あるよな?大人の恋ってなんかアレ、高層ビルのラウンジでオシャレなジャズとか聴きながらグラスをカチンと鳴らして『夜景が素敵ね』とか言うやつだよね?こんな場末のスナックで一升瓶5本空けてカウンターに突っ伏すやつなんかじゃないよね?うん、確実にそれは言えるな。
「全部口に出てんだよコノヤロー!こんな場末のスナックで悪かったね!」
自問自答しているのが全部口に出ていたらしい。ハァというお登勢さんのため息と一緒に、彼女が吸っているのであろうタバコの香りがしてきた。
「……銀時がねェ、『鏡華はまだ来ねーの?』って酒で顔真っ赤にしながらずーっと言ってたんだよ。あいつも難儀な男さね。こういう時でさらに深酒した時じゃなきゃ素直にモノも言えやしない」
顔を上げるとお登勢さんが親指で床でつっ伏す銀時を指さしてきた。指差す方向に目をやると相変わらず毛玉が床の上でスヤスヤと寝ている。
「……私はアイツに好かれるような人間じゃないんですよ。だから私を待ち望んでたなんて、そんな夢みたいなこと、あるはず無い」
グラスに入った酒を覗き込みながらボソッと呟いた。思えば子供の頃から振り回してきた。私が銀時から一本取るまで永遠に試合をするとか、わんこそばでギ〇ス挑戦するとか。戦の時だって、終わったら私は何も言わずに銀時から離れてしまった。あまりにも振り回しすぎている。『もううんざりだ』と言われこそすれ、『好き』なんて言われる資格は万に一つもない。
だから私のこの銀時への思いだって我儘でしかない。うんざりしているであろう彼に、私がまだ一緒に居たいと思っているのだ。本当に自分でもバカで自分勝手な阿呆だと呆れる。でも、止められないのだ。離れていた期間が長かったせいで余計に気づいてしまった。この天パとずっと一緒に居たいのだと。
「……あんたらがどんな人生送ってきたか知らないがね、コイツは簡単に人の事好きになれる奴じゃないよ。まァアタシもコイツと10年も付き合っちゃいないが、コイツの不器用さはよく知ってる」
お登勢さんが煙をフーと吐く。
「本ッ当、自分は人の懐に潜り込むのが上手いくせに、自分の方は潜らせまいとうまいこと線引きしてやがるんだよコイツは。ホント自分勝手な奴さね」
「……そうっすねェ…」
「そういう奴がアンタが来るのをずっと心待ちにしてたんだよ。まるで猫みたいじゃないかィ?」
「モフモフな頭とか長毛種っぽいですよね……」
「そういうコトじゃないんだけど」
ハァと再度お登勢さんがため息をついた。えっ、そういうことじゃないの?
「アンタ医者だって言ってたけどその鈍感さで仕事出来てンのかィ?」
「ちゃんとやってますよ、それなりに」
「それならいいんだけどさァ。ということは恋愛 の勘が鈍いってコトかねェ」
「む……」
返す言葉が見つからない。実際私の勘は悪いんだろう。
「とにかく、男と女ってのは突き詰めてしまえば愛し愛される関係さ。こんな場末のスナックで男と女を説くなんて説得力は無いかもしンないけどねェ?」
「いやいやそんなことは。先程はすいやせんでした」
「フン……まァアタシから見るとアンタらはもうその関係に片足突っ込み始めてると思うよ。あとはどちらが先に跳ぶかだね。『幼なじみ』の線を越えて『恋仲』になるかのね」
お登勢さんが煙をくゆらす。私はチラリと銀時の方を見た。コイツと恋仲になる……家族同然の幼なじみから恋仲に…………ん?
「……って、アレ?私銀時の事好きって、いつお登勢さんに言いましたっけ?」
「……あんったって子はさァ…言わなくてもバレバレだっつーの。本当に鈍いんだねェ…心配になるよ……」
思いっきりため息をつかれた。え、私ってそんなに分かりやすかったの?そんなため息つかれるぐらい銀時への好きが滲み出てた?滲み出てるどころじゃないな?多分溢れ出てたんだろうな。うわ、うわぁ……
「お恥ずかしい……」
「今更かィ」
そう言ってお登勢さんが酒を一口呷った。私もグラスに残った酒をクッと喉に流した。
「そンじゃ、皆潰れてるし主役もおねんねしてるからね、アンタ、2階に銀時連れてってくんな。残りのヤツらはアタシが起こしとくから」
「え、そんな…私も起こすし片付けもやりますよ」
「ババアの気遣いを無下にすンじゃないよ。せっかく誕生日プレゼント買ってきてやったんだろう?ついでに渡してきてやんな」
あっ……とカウンターの上に置きっぱなしで忘れていた花束とコンビニで買ってきたやつらに目を移す。ほんと申し訳ない。完全に忘れてた。
「……お登勢さん、ありがとうございます」
「フン、流石に一升瓶5本分は別だからね。その分はツケとくからね」
ハイ、と笑って銀時を起こす。自分の肩に銀時の腕を回すと毛玉は「ウーン」と寝ぼけた声を出した。
「銀時、起きた?ホラ家帰るよ」
「あ……?」
「あーもう、ちょっとぐらい歩けっての。重ェんだわ」
「……鏡華?」
「そうそう幼なじみの鏡華ちゃんな。じゃ、お登勢さん、お先失礼します」
ハイヨ、とお登勢さんの見送ってくれる声が背中越しに聞こえた。
「……あんた飲みすぎじゃないかィ?」
「……へ?」
「こんなハイペースで飲んでる割には顔はスッキリしてるねェ……あんた、酒強いんだねェ」
お登勢さんが少し驚いた顔で私を見る。チラリと横を見るとカウンターに姿勢よく並ぶ空き瓶。ヒュッと血の気が引いた。
――あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"自分が酒豪だって設定忘れてたァァァ!!
全然酔ってない!ビックリするぐらい酔ってない!!一人でガンガン飲んだのに全然酔ってない!!アレ?こんなことある?全く酔ってないとかある?てか周りを見たらグラサンも酔いつぶれて寝てるし、いやグラサンだけじゃねーな?みんな寝てるな?アレ?もうそんな時間?
「えっ……待ってお登勢さん、私酒飲むのに必死だったんだけど、みんなおねんねしちゃうぐらい時間経ったの?」
「いや?30分ぐらいかねェ。なんか一気に潰れてったよ。それよりあんたハイペース過ぎだよ。もう一升瓶を5本も空けてるじゃないか」
「5本……」
自分の阿呆さに思わずカウンターに突っ伏す。『銀時が私のことを好き』って聞いただけでこの有様になるなんて、つくづく私は阿呆どころかポンコツらしい。あまりにも恋愛に向いていない。本当に私アラサーなんか?アラサーってもっとこう、余裕あるよな?大人の恋ってなんかアレ、高層ビルのラウンジでオシャレなジャズとか聴きながらグラスをカチンと鳴らして『夜景が素敵ね』とか言うやつだよね?こんな場末のスナックで一升瓶5本空けてカウンターに突っ伏すやつなんかじゃないよね?うん、確実にそれは言えるな。
「全部口に出てんだよコノヤロー!こんな場末のスナックで悪かったね!」
自問自答しているのが全部口に出ていたらしい。ハァというお登勢さんのため息と一緒に、彼女が吸っているのであろうタバコの香りがしてきた。
「……銀時がねェ、『鏡華はまだ来ねーの?』って酒で顔真っ赤にしながらずーっと言ってたんだよ。あいつも難儀な男さね。こういう時でさらに深酒した時じゃなきゃ素直にモノも言えやしない」
顔を上げるとお登勢さんが親指で床でつっ伏す銀時を指さしてきた。指差す方向に目をやると相変わらず毛玉が床の上でスヤスヤと寝ている。
「……私はアイツに好かれるような人間じゃないんですよ。だから私を待ち望んでたなんて、そんな夢みたいなこと、あるはず無い」
グラスに入った酒を覗き込みながらボソッと呟いた。思えば子供の頃から振り回してきた。私が銀時から一本取るまで永遠に試合をするとか、わんこそばでギ〇ス挑戦するとか。戦の時だって、終わったら私は何も言わずに銀時から離れてしまった。あまりにも振り回しすぎている。『もううんざりだ』と言われこそすれ、『好き』なんて言われる資格は万に一つもない。
だから私のこの銀時への思いだって我儘でしかない。うんざりしているであろう彼に、私がまだ一緒に居たいと思っているのだ。本当に自分でもバカで自分勝手な阿呆だと呆れる。でも、止められないのだ。離れていた期間が長かったせいで余計に気づいてしまった。この天パとずっと一緒に居たいのだと。
「……あんたらがどんな人生送ってきたか知らないがね、コイツは簡単に人の事好きになれる奴じゃないよ。まァアタシもコイツと10年も付き合っちゃいないが、コイツの不器用さはよく知ってる」
お登勢さんが煙をフーと吐く。
「本ッ当、自分は人の懐に潜り込むのが上手いくせに、自分の方は潜らせまいとうまいこと線引きしてやがるんだよコイツは。ホント自分勝手な奴さね」
「……そうっすねェ…」
「そういう奴がアンタが来るのをずっと心待ちにしてたんだよ。まるで猫みたいじゃないかィ?」
「モフモフな頭とか長毛種っぽいですよね……」
「そういうコトじゃないんだけど」
ハァと再度お登勢さんがため息をついた。えっ、そういうことじゃないの?
「アンタ医者だって言ってたけどその鈍感さで仕事出来てンのかィ?」
「ちゃんとやってますよ、それなりに」
「それならいいんだけどさァ。ということは
「む……」
返す言葉が見つからない。実際私の勘は悪いんだろう。
「とにかく、男と女ってのは突き詰めてしまえば愛し愛される関係さ。こんな場末のスナックで男と女を説くなんて説得力は無いかもしンないけどねェ?」
「いやいやそんなことは。先程はすいやせんでした」
「フン……まァアタシから見るとアンタらはもうその関係に片足突っ込み始めてると思うよ。あとはどちらが先に跳ぶかだね。『幼なじみ』の線を越えて『恋仲』になるかのね」
お登勢さんが煙をくゆらす。私はチラリと銀時の方を見た。コイツと恋仲になる……家族同然の幼なじみから恋仲に…………ん?
「……って、アレ?私銀時の事好きって、いつお登勢さんに言いましたっけ?」
「……あんったって子はさァ…言わなくてもバレバレだっつーの。本当に鈍いんだねェ…心配になるよ……」
思いっきりため息をつかれた。え、私ってそんなに分かりやすかったの?そんなため息つかれるぐらい銀時への好きが滲み出てた?滲み出てるどころじゃないな?多分溢れ出てたんだろうな。うわ、うわぁ……
「お恥ずかしい……」
「今更かィ」
そう言ってお登勢さんが酒を一口呷った。私もグラスに残った酒をクッと喉に流した。
「そンじゃ、皆潰れてるし主役もおねんねしてるからね、アンタ、2階に銀時連れてってくんな。残りのヤツらはアタシが起こしとくから」
「え、そんな…私も起こすし片付けもやりますよ」
「ババアの気遣いを無下にすンじゃないよ。せっかく誕生日プレゼント買ってきてやったんだろう?ついでに渡してきてやんな」
あっ……とカウンターの上に置きっぱなしで忘れていた花束とコンビニで買ってきたやつらに目を移す。ほんと申し訳ない。完全に忘れてた。
「……お登勢さん、ありがとうございます」
「フン、流石に一升瓶5本分は別だからね。その分はツケとくからね」
ハイ、と笑って銀時を起こす。自分の肩に銀時の腕を回すと毛玉は「ウーン」と寝ぼけた声を出した。
「銀時、起きた?ホラ家帰るよ」
「あ……?」
「あーもう、ちょっとぐらい歩けっての。重ェんだわ」
「……鏡華?」
「そうそう幼なじみの鏡華ちゃんな。じゃ、お登勢さん、お先失礼します」
ハイヨ、とお登勢さんの見送ってくれる声が背中越しに聞こえた。
