蓮の花咲く水辺で
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「江宗主、顔を上げて」
と両手で優しく項垂れた彼の頬を包んで顔を上げさせ底知れぬ闇を抱えたような瞳をじっと覗き込む。
勿論今は到底そんな気分ではないだろうけれど、せめて今は唇から伝わる体温で独りじゃないことを実感してほしい気持ちと少しでもその苦しい気持ちを紛らわせることができたらという気持ちで彼の唇に口付けた。そして背を岩に預た私は彼を胸に抱いて指で髪を優しく梳きながらあの日の歌を口ずさんだ。
「いつも私の隣にはお前がいてくれるな。」
少し落ち着いてきたのかふと彼がそう呟く。
出会ったあの日から、永く一人で過ごしていた私の楽しみとなり支えとなり、会えずに寂しい気持ちになったり拗ねたり、それでも来てくれる事を信じて待つ夜もあって。
あの夜の彼からの言葉が死ぬ程嬉しかったのも永らく感じていなかった恋というもののせいなんだろうと。そして彼が苦しいと私も同じ様に苦しくて代わってあげたいと思うし、嬉しそうだと私も嬉しくなって。
例え彼の伴侶として公にできなくても、そしてもう彼がどう変わろうと、今の私には彼が隣にいない選択肢はなくなっていた。
「そんなの当たり前のことです。あなたがこの先どうなろうと必ず私は側にいます。」
私達はきつく抱き合った。
しかしやはり人間とは変わりゆく生き物らしい。例え江宗主が変わってしまったとしても私の気持ちは変わらずそこにあるけれど、他の関係、例えば友人とか兄弟とかそういったものは一度壊れるともう元には戻らないようで…
兄弟同然に育った例の人が邪道に堕ち、その後その人は乱葬崗の山で仙門に攻め入られ最期を迎えたらしい。これまでずっとその人の事を常に気に掛けてよく危なっかしい奴だと言っていたのを覚えている。
幼い頃からずっと一緒に過ごしていたのだし、ましてや不安に思っていた事が実際に起きてしまったのだから筆舌に尽くしがたい事だっただろうと思う。
その人が亡くなってからの江宗主は因縁の姓を名乗る者や邪道を修める者を見つけては狂ったように拷問に掛けていたと風の噂で聞くようになっていた。
そして最近になってその人が別人の身体にて蘇り再会。更に仙督と皆が崇め奉った金鱗台の現宗主が不詳なることを起こした為他の仙門達は蜂起したと。勝利はしたものの江宗主の過去にあったとある事件を知ってしまった事によりすっかり気力を失ってしまっていた彼はまた暫く会いに来てくれなくなった。
と両手で優しく項垂れた彼の頬を包んで顔を上げさせ底知れぬ闇を抱えたような瞳をじっと覗き込む。
勿論今は到底そんな気分ではないだろうけれど、せめて今は唇から伝わる体温で独りじゃないことを実感してほしい気持ちと少しでもその苦しい気持ちを紛らわせることができたらという気持ちで彼の唇に口付けた。そして背を岩に預た私は彼を胸に抱いて指で髪を優しく梳きながらあの日の歌を口ずさんだ。
「いつも私の隣にはお前がいてくれるな。」
少し落ち着いてきたのかふと彼がそう呟く。
出会ったあの日から、永く一人で過ごしていた私の楽しみとなり支えとなり、会えずに寂しい気持ちになったり拗ねたり、それでも来てくれる事を信じて待つ夜もあって。
あの夜の彼からの言葉が死ぬ程嬉しかったのも永らく感じていなかった恋というもののせいなんだろうと。そして彼が苦しいと私も同じ様に苦しくて代わってあげたいと思うし、嬉しそうだと私も嬉しくなって。
例え彼の伴侶として公にできなくても、そしてもう彼がどう変わろうと、今の私には彼が隣にいない選択肢はなくなっていた。
「そんなの当たり前のことです。あなたがこの先どうなろうと必ず私は側にいます。」
私達はきつく抱き合った。
しかしやはり人間とは変わりゆく生き物らしい。例え江宗主が変わってしまったとしても私の気持ちは変わらずそこにあるけれど、他の関係、例えば友人とか兄弟とかそういったものは一度壊れるともう元には戻らないようで…
兄弟同然に育った例の人が邪道に堕ち、その後その人は乱葬崗の山で仙門に攻め入られ最期を迎えたらしい。これまでずっとその人の事を常に気に掛けてよく危なっかしい奴だと言っていたのを覚えている。
幼い頃からずっと一緒に過ごしていたのだし、ましてや不安に思っていた事が実際に起きてしまったのだから筆舌に尽くしがたい事だっただろうと思う。
その人が亡くなってからの江宗主は因縁の姓を名乗る者や邪道を修める者を見つけては狂ったように拷問に掛けていたと風の噂で聞くようになっていた。
そして最近になってその人が別人の身体にて蘇り再会。更に仙督と皆が崇め奉った金鱗台の現宗主が不詳なることを起こした為他の仙門達は蜂起したと。勝利はしたものの江宗主の過去にあったとある事件を知ってしまった事によりすっかり気力を失ってしまっていた彼はまた暫く会いに来てくれなくなった。