蓮の花咲く水辺で
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「こうして見ると普通の人間と何も変わらないな」「いや、普通どころかどこかの御息女と言われても誰も疑わないだろう。」
歩きながら隣りにいる私に微笑みかける。
夜の街は人もおらず昼間の喧騒も嘘のように少し寂しく感じるけれど、二人だけの世界はまるで繭に包まれているかのように穏やかだ。
どちらからともなく立ち止まって見つめ合うといたずらなそよ風が私の髪を一筋頬へと攫って行く。彼の指先が蝶の翅か花弁にでも触れるかのような微かな優しさで撫でた。それが心地よくて自然と目を伏せる。
「叶うならお前を屋敷に連れ帰りたいが…」
弱々しい声に顔を上げると彼の物憂げな、だけど熱っぽい紫の瞳が揺らぐ。
私は少し考えてから
「嬉しい。でもいけません。私はずっと陸にはいられないのです。それに周りの人には何と言うのです?正体はこんな異形だというのに…」
彼の言葉は死ぬほど嬉しかった。できるならそうしたかった。でも彼には約束された未来も立場もある。だからきっとそのうち相応しい相手と連れ添うのだろう。
やっぱり私にはその言葉通りにすることはできなかった。
散歩を終え畔に戻った後、二人共離れ難くて彼も帰宅の途に就こうとしなかったし私も湖の底へ帰ろとうしなかった。
無言の間が続いた後
「お前を離したくない。」
突然彼が私の身体を抱きしめた。
逞しい腕で強くしっかりと。
そこからはもうお互いに立場も体裁もなく本能のままに貪り合った。
私の両の脚から力が抜けて地面に横たわってしまった。妖力が尽きかけているようだ。
彼の熱い唇が私の唇を塞ぎ、指先は僅かに震えているものの、躰中を忙しなく移動する。
人間の体温をこんなに感じたのは初めてで、たとえ熱に弱い私の肌が灼け鱗が剥がれ落ちようとも、それが彼からのものだと思うとその熱に包み込まれている間はとても幸福だった。
彼の最も熱い部分を受入れる時、一瞬彼が戸惑ったような気配を感じ察する。
人間同士ならきっとすぐにその場所がわかるだろうけれど今の私は元の姿に戻っているから
「江公子、私のそこはここの少し下のところです。」
ほら、と臍の下の魚の尾の中心にある隙間を指で開いて見せると彼の喉元からごくりと生唾を飲む音が聞こえ、少し間をおいてゆっくりとその隙間が押し開かれる感覚が伝わって来た。
ピリリとして灼き付くような痛みが少し苦しかったけれど、それ以上にそこを中心に広がる幸福感に支配され私はただその波に身を委ねることしかできずにいた。
私達は叶わぬ夢にお互いの隙間を埋めるかの如くそれからも何度も逢瀬を繰り返した。
甘く激しく、そして時には人間の姿で時には魚人の姿で。
歩きながら隣りにいる私に微笑みかける。
夜の街は人もおらず昼間の喧騒も嘘のように少し寂しく感じるけれど、二人だけの世界はまるで繭に包まれているかのように穏やかだ。
どちらからともなく立ち止まって見つめ合うといたずらなそよ風が私の髪を一筋頬へと攫って行く。彼の指先が蝶の翅か花弁にでも触れるかのような微かな優しさで撫でた。それが心地よくて自然と目を伏せる。
「叶うならお前を屋敷に連れ帰りたいが…」
弱々しい声に顔を上げると彼の物憂げな、だけど熱っぽい紫の瞳が揺らぐ。
私は少し考えてから
「嬉しい。でもいけません。私はずっと陸にはいられないのです。それに周りの人には何と言うのです?正体はこんな異形だというのに…」
彼の言葉は死ぬほど嬉しかった。できるならそうしたかった。でも彼には約束された未来も立場もある。だからきっとそのうち相応しい相手と連れ添うのだろう。
やっぱり私にはその言葉通りにすることはできなかった。
散歩を終え畔に戻った後、二人共離れ難くて彼も帰宅の途に就こうとしなかったし私も湖の底へ帰ろとうしなかった。
無言の間が続いた後
「お前を離したくない。」
突然彼が私の身体を抱きしめた。
逞しい腕で強くしっかりと。
そこからはもうお互いに立場も体裁もなく本能のままに貪り合った。
私の両の脚から力が抜けて地面に横たわってしまった。妖力が尽きかけているようだ。
彼の熱い唇が私の唇を塞ぎ、指先は僅かに震えているものの、躰中を忙しなく移動する。
人間の体温をこんなに感じたのは初めてで、たとえ熱に弱い私の肌が灼け鱗が剥がれ落ちようとも、それが彼からのものだと思うとその熱に包み込まれている間はとても幸福だった。
彼の最も熱い部分を受入れる時、一瞬彼が戸惑ったような気配を感じ察する。
人間同士ならきっとすぐにその場所がわかるだろうけれど今の私は元の姿に戻っているから
「江公子、私のそこはここの少し下のところです。」
ほら、と臍の下の魚の尾の中心にある隙間を指で開いて見せると彼の喉元からごくりと生唾を飲む音が聞こえ、少し間をおいてゆっくりとその隙間が押し開かれる感覚が伝わって来た。
ピリリとして灼き付くような痛みが少し苦しかったけれど、それ以上にそこを中心に広がる幸福感に支配され私はただその波に身を委ねることしかできずにいた。
私達は叶わぬ夢にお互いの隙間を埋めるかの如くそれからも何度も逢瀬を繰り返した。
甘く激しく、そして時には人間の姿で時には魚人の姿で。