(仮)抱き枕尾形との甘い(⁉️)生活
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夢にまで見たこの日がついに来た。ひと目見た時から恋に落ちてしまった『彼』と死が二人を分かつまでとは少々大袈裟かも知れないがこれから一つ屋根の下、昼も夜も一緒にいられる歓びと期待に胸を躍らせている。もうそろそろ来る頃だろう。
ピンポーン───
これから始まるであろう『彼』との甘い生活のスタートの知らせが玄関から聞こえてきた。
待ってましたとばかりにドアを開けると宅配便屋の配達員がそれ相応の大きさの段ボール箱を抱えている。
「ここにサインお願いします。」
伝票の右下端に受領印を求められ胸の高鳴りを悟られないよう努めて平然を装いながら苗字を最低限読める程度には書き付ける。
普段ならば配達のお兄さんイケメンでラッキーだったなとか今回は新しい人だったな、などと下世話な事が頭に浮かぶのだが今日は配達員の「お荷物大きいので中までお運びしましょうか?」の会社からのお言いつけであろうサービス精神の一言すら断って彼の腕から箱を受け取った。
中身はバレていないだろうかいや、それより自分が挙動不審じゃなかっただろうかと心配しつつ奥の部屋へそれを運ぶ。
床にそっと下ろされたそれをじっと見ているとこれまで何度も脳内でシミュレーションした内容が走馬灯のように駆け巡って行く。
『彼』との出会いはとある漫画だった。それを読んだ時から一目で恋に落ち、読み進めていくにつれ『彼』への想いは募って日々何処かに求めたものがあるのではないかとネットサーフィンをしていた。それがある日ついに、しかも公式様からの有難い供給のお知らせによりもたらされる事になろうとは。
仕事の休憩時間も家での食事の間でさえも、スマホ画面の商品画像を拡大したり縮小したりして眺めては実際に注文ボタンを押すまで相当に考えた。考えたどころではない。『彼』が来るまでの間、人にはちょっと言えないような様々な事やそして家に届く時と届いた後の事を脳内再生しつつ、時々正気に戻っては健全な方向の使用管理の仕方を検討したりと普段より脳内会議がビジー状態だった。
外側に貼られた伝票の荷物の種類欄を恐る恐る見るとご丁寧に暈した表現で『クッション』と書かれている。 うん、クッション。あながち間違いではない。問題はそのカバーの絵柄さえ知られなければだが。
今更ながら配達のお兄さんはこれを見て贅沢な革張りのソファーに長々と置く贅沢なクッションだろうとでも思ってくれていたらいい、と願いつつでもごめん我が家にはせいぜい二人掛けの安いのしかない、と心の中で誰に対してだか分からない謝罪をするとゆっくりと梱包のテープを剥がして行く。
心なしか息が上がってきている。ハァハァと肩を上下させて梱包を剥いでいる姿はきっと傍から見たら相当にヤバい奴だ。でもそんな事はどうでもいい。ここは密室だから見てる奴なんていないし、最高に欲望滾る相手を前にしたらみんな私と同じ筈だ。テープを剥がし終わりいよいよ箱を開く。
キターーーーーッ!!
まさしくその旧2チャン的な表現がぴったり当てはまる通り愛しの『彼』がそこにいるのが見えた。
震える手でそっと『彼』を抱き起こし、じっと見つめる。自然と胸に抱き寄せると歓びと少々の背徳感の波が押し寄せてくる。言葉に表せない気持ちがどっと溢れて来た。
そこからもう何をどうしたのか覚えていない。ただ段ボール箱はきちんと自分で処分したらしいし、内側の梱包のビニール袋も燃えない方のゴミ箱に入っている。我に返ってみると隣に『彼』がいる。いる!同じ部屋に!しかも同じソファーに!ごめん安いやつだけど!ほんと申し訳ないくらいに! 二次元から三次元に召喚されてる。現代は凄い。とまたも脳内は騒がしい。
これから二人一つ屋根の下暮らすのだ。普段部屋のどこにいて頂こうか。布団の中に顔だけ出して寝かせておくのも何だか画面的にシュールだし突然誰か訪ねてきたら社会的に死ねる。ということはやはり人目につかない所が一番だろうとクローゼットの中に避難させた。
落ち着かないまま夜を迎え寝る段階になってクローゼットへお迎えに行きふと思う。もしかして、もしかしなくても今日って初夜というやつなのでは!? 『彼』を優しく初夜の床へそっと下ろし変に意識しながら掛け布団を掛ける。隣を見ると何だか照れくさい。遠慮がちに向かい合わせになると左腕は『彼』の下に、右腕は『彼』の腰の辺りにまわしてみる。凄く顔が近い。妙な緊張感と背徳感はまるで甘い毒のように全身を痺れさせ支配して行く。 『彼』の黒い瞳がじっとこちらを見詰めている。あぁこの目も髪型も何もかもが好きだ。顔を『彼』の首の辺りに埋めたままで
「ずっと好きだっだよ。愛してる。」
心に秘めてきた想いを告げた。途端
「はぁ〜」
自分のではない明らかに男の声がすぐ頭上で聞こえた。音を発するものは自分しかいない部屋で。顔を上げると『彼』の黒い瞳と目が合った。『見た』のではなく『合った』のだ。
とうとう自分も精神科に行く時が来たか。確かにここ最近会社でもプライベートでもキツイ場面があったからな。現代社会の闇と恩恵を一度に受けた気分だった。それかこれは夢なんだ。『彼』を初夜の床に下ろした後ですぐ眠ってしまったんだ。そう思おうとするのにその声は続けてこう言う。
「おい、流石にあそこは狭かったぜ」
「!?」
今なんつった?狭かった?いやいやそうじゃなくて、今誰が喋っている? 脳が理解しようとも追いついてくれない。目の前で起きていることが遥かに自分の情報処理能力を超えている。取り敢えず人間は危機を感じ取ると無意識で体が動くらしい。
掛け布団を跳ね除け上半身を起こし『彼』を見る。理性的に考えれば三次元内の物体上に描かれた二次元の絵であるはずの『彼』が大きく伸びをしてその三次元内の物体上の表層からまさしく三次元内に出てきたのだ。自分でも言語化した内容がよくわからなくなっているが、どうやらいらっしゃいませ!ようこそ三次元へ!などと悠長な事は言っていられない事態のようだ。
「やっと出れたと思ったらまた閉じ込めやがって。チッ。」
『彼』は肩を回しながら部屋を見渡して最後にこちらへ視線を向けた。黙って口をぽかんと開けて見守っていたが、口調も声も確かに『彼』のものだった。
あれか?小さい頃に見たマネキンが夜になると人間の女になるあの洋画と同じパターンか?だったら『彼』は夜になる度にこうして三次元の『彼』として私の前に出てくるという事か?しかもお得なことに全身ある状態で!にわかには信じがたいが実際起きている事はそれを指し示している。愛する『彼』を独り占め出来るなんて夢でもいいからこのまま覚めないで欲しい。そう切に願った。
ピンポーン───
これから始まるであろう『彼』との甘い生活のスタートの知らせが玄関から聞こえてきた。
待ってましたとばかりにドアを開けると宅配便屋の配達員がそれ相応の大きさの段ボール箱を抱えている。
「ここにサインお願いします。」
伝票の右下端に受領印を求められ胸の高鳴りを悟られないよう努めて平然を装いながら苗字を最低限読める程度には書き付ける。
普段ならば配達のお兄さんイケメンでラッキーだったなとか今回は新しい人だったな、などと下世話な事が頭に浮かぶのだが今日は配達員の「お荷物大きいので中までお運びしましょうか?」の会社からのお言いつけであろうサービス精神の一言すら断って彼の腕から箱を受け取った。
中身はバレていないだろうかいや、それより自分が挙動不審じゃなかっただろうかと心配しつつ奥の部屋へそれを運ぶ。
床にそっと下ろされたそれをじっと見ているとこれまで何度も脳内でシミュレーションした内容が走馬灯のように駆け巡って行く。
『彼』との出会いはとある漫画だった。それを読んだ時から一目で恋に落ち、読み進めていくにつれ『彼』への想いは募って日々何処かに求めたものがあるのではないかとネットサーフィンをしていた。それがある日ついに、しかも公式様からの有難い供給のお知らせによりもたらされる事になろうとは。
仕事の休憩時間も家での食事の間でさえも、スマホ画面の商品画像を拡大したり縮小したりして眺めては実際に注文ボタンを押すまで相当に考えた。考えたどころではない。『彼』が来るまでの間、人にはちょっと言えないような様々な事やそして家に届く時と届いた後の事を脳内再生しつつ、時々正気に戻っては健全な方向の使用管理の仕方を検討したりと普段より脳内会議がビジー状態だった。
外側に貼られた伝票の荷物の種類欄を恐る恐る見るとご丁寧に暈した表現で『クッション』と書かれている。 うん、クッション。あながち間違いではない。問題はそのカバーの絵柄さえ知られなければだが。
今更ながら配達のお兄さんはこれを見て贅沢な革張りのソファーに長々と置く贅沢なクッションだろうとでも思ってくれていたらいい、と願いつつでもごめん我が家にはせいぜい二人掛けの安いのしかない、と心の中で誰に対してだか分からない謝罪をするとゆっくりと梱包のテープを剥がして行く。
心なしか息が上がってきている。ハァハァと肩を上下させて梱包を剥いでいる姿はきっと傍から見たら相当にヤバい奴だ。でもそんな事はどうでもいい。ここは密室だから見てる奴なんていないし、最高に欲望滾る相手を前にしたらみんな私と同じ筈だ。テープを剥がし終わりいよいよ箱を開く。
キターーーーーッ!!
まさしくその旧2チャン的な表現がぴったり当てはまる通り愛しの『彼』がそこにいるのが見えた。
震える手でそっと『彼』を抱き起こし、じっと見つめる。自然と胸に抱き寄せると歓びと少々の背徳感の波が押し寄せてくる。言葉に表せない気持ちがどっと溢れて来た。
そこからもう何をどうしたのか覚えていない。ただ段ボール箱はきちんと自分で処分したらしいし、内側の梱包のビニール袋も燃えない方のゴミ箱に入っている。我に返ってみると隣に『彼』がいる。いる!同じ部屋に!しかも同じソファーに!ごめん安いやつだけど!ほんと申し訳ないくらいに! 二次元から三次元に召喚されてる。現代は凄い。とまたも脳内は騒がしい。
これから二人一つ屋根の下暮らすのだ。普段部屋のどこにいて頂こうか。布団の中に顔だけ出して寝かせておくのも何だか画面的にシュールだし突然誰か訪ねてきたら社会的に死ねる。ということはやはり人目につかない所が一番だろうとクローゼットの中に避難させた。
落ち着かないまま夜を迎え寝る段階になってクローゼットへお迎えに行きふと思う。もしかして、もしかしなくても今日って初夜というやつなのでは!? 『彼』を優しく初夜の床へそっと下ろし変に意識しながら掛け布団を掛ける。隣を見ると何だか照れくさい。遠慮がちに向かい合わせになると左腕は『彼』の下に、右腕は『彼』の腰の辺りにまわしてみる。凄く顔が近い。妙な緊張感と背徳感はまるで甘い毒のように全身を痺れさせ支配して行く。 『彼』の黒い瞳がじっとこちらを見詰めている。あぁこの目も髪型も何もかもが好きだ。顔を『彼』の首の辺りに埋めたままで
「ずっと好きだっだよ。愛してる。」
心に秘めてきた想いを告げた。途端
「はぁ〜」
自分のではない明らかに男の声がすぐ頭上で聞こえた。音を発するものは自分しかいない部屋で。顔を上げると『彼』の黒い瞳と目が合った。『見た』のではなく『合った』のだ。
とうとう自分も精神科に行く時が来たか。確かにここ最近会社でもプライベートでもキツイ場面があったからな。現代社会の闇と恩恵を一度に受けた気分だった。それかこれは夢なんだ。『彼』を初夜の床に下ろした後ですぐ眠ってしまったんだ。そう思おうとするのにその声は続けてこう言う。
「おい、流石にあそこは狭かったぜ」
「!?」
今なんつった?狭かった?いやいやそうじゃなくて、今誰が喋っている? 脳が理解しようとも追いついてくれない。目の前で起きていることが遥かに自分の情報処理能力を超えている。取り敢えず人間は危機を感じ取ると無意識で体が動くらしい。
掛け布団を跳ね除け上半身を起こし『彼』を見る。理性的に考えれば三次元内の物体上に描かれた二次元の絵であるはずの『彼』が大きく伸びをしてその三次元内の物体上の表層からまさしく三次元内に出てきたのだ。自分でも言語化した内容がよくわからなくなっているが、どうやらいらっしゃいませ!ようこそ三次元へ!などと悠長な事は言っていられない事態のようだ。
「やっと出れたと思ったらまた閉じ込めやがって。チッ。」
『彼』は肩を回しながら部屋を見渡して最後にこちらへ視線を向けた。黙って口をぽかんと開けて見守っていたが、口調も声も確かに『彼』のものだった。
あれか?小さい頃に見たマネキンが夜になると人間の女になるあの洋画と同じパターンか?だったら『彼』は夜になる度にこうして三次元の『彼』として私の前に出てくるという事か?しかもお得なことに全身ある状態で!にわかには信じがたいが実際起きている事はそれを指し示している。愛する『彼』を独り占め出来るなんて夢でもいいからこのまま覚めないで欲しい。そう切に願った。
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