彼女の叫び声を聞き付けて台所へ行ってみると、斬撃でも受けたかのような赤い飛沫が壁や床に飛び散っていた。

「○○○ちゃん！？」

調理台には切りかけていた食材とまな板と包丁と彼女。

「佐一くん…」


包丁で何処か切ったのだろうかと慌てて確認しようと近づくと、彼女は眉をハの字に曲げて涙目でこちらを見詰めている。

「…ケチャップ…落しちゃった…」


いきなりこの状況を目にしたら大体が出血だと思うだろう。ボトルが足元に落ちていて彼女の服にまで飛び散っている。怪我ではなかったことに安堵しつつ、

「もぉ…ほんとおっちょこちょいなんだから○○○ちゃんは」

と苦笑して、雑巾で壁や床を拭き始める。

「ほら、ここは俺がやっとくから着替えておいで」

「うん、ありがとう…」


彼女のこういう一面も可愛いと思っているし、彼女は彼のこういう優しいところが大好きだ。