月島
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いつもの行きつけのバー。
客が少ない時はカウンターで、マスターと居合わせた常連客とでおしゃべりを楽しむのもよくある事だ。こういうカジュアルさが気に入っているポイントでもある。
今日はカウンターの端にあの人が座っていた。
彼は月島さんといって、これまで何度か3人で話した事はあったが、相槌を打ったり返事をしたりする程度であまり自分から喋るタイプではない。しかし察するにこういう場が嫌いではないのだろう。
「今日もあの方、いらしてますよ。」
マスターが私に声を掛けた。
私は数少ない彼との会話から、近くの会社に勤めていて手のかかる上司がいること、意外にも中口のカクテルなども好んで頼んでいること、それくらいしかまだ彼をよく知らない事に気が付いた。
もっと知りたい───
「こんばんは」
席を移動して声を掛ける。
はたと顔を上げた彼に
「お久しぶりですね。お隣、いいですか?」
と断って座ると ああ、と言ってまた正面に顔を戻した。
「今日はお仕事終わるの早かったんですか?」
彼が普段より早い時間に店にいたのでそう尋ねた。 例の手のかかる上司の仕事の後始末が思ったよりも早く片付いたので、この時間に上がれたと教えてくれた。 ならばもっと嬉しそうな顔をすればいいのに、いつもの事ながら表情が固い。
彼のグラスが空きそうなのを確認して
「もし甘めのでも大丈夫なら私のオススメ、試してみませんか?グレープフルーツジュースを使っているので疲れにも効きますよ。」
私はマスターに勘定は自分につけるよう言い注文した。
グラスが彼の前に置かれる。
「アイス・ブレーカーです。 砕氷船って意味なんですよ。」
そう私が説明した。
「砕氷船?」
「えぇ、流氷を砕く船です。」
彼は一口飲んで
「うまい」
と言って私を見た。その表情はさきほどより心なしか和らいだように見えた。
このカクテルの様に彼と打ち解けられればいいのに───
客が少ない時はカウンターで、マスターと居合わせた常連客とでおしゃべりを楽しむのもよくある事だ。こういうカジュアルさが気に入っているポイントでもある。
今日はカウンターの端にあの人が座っていた。
彼は月島さんといって、これまで何度か3人で話した事はあったが、相槌を打ったり返事をしたりする程度であまり自分から喋るタイプではない。しかし察するにこういう場が嫌いではないのだろう。
「今日もあの方、いらしてますよ。」
マスターが私に声を掛けた。
私は数少ない彼との会話から、近くの会社に勤めていて手のかかる上司がいること、意外にも中口のカクテルなども好んで頼んでいること、それくらいしかまだ彼をよく知らない事に気が付いた。
もっと知りたい───
「こんばんは」
席を移動して声を掛ける。
はたと顔を上げた彼に
「お久しぶりですね。お隣、いいですか?」
と断って座ると ああ、と言ってまた正面に顔を戻した。
「今日はお仕事終わるの早かったんですか?」
彼が普段より早い時間に店にいたのでそう尋ねた。 例の手のかかる上司の仕事の後始末が思ったよりも早く片付いたので、この時間に上がれたと教えてくれた。 ならばもっと嬉しそうな顔をすればいいのに、いつもの事ながら表情が固い。
彼のグラスが空きそうなのを確認して
「もし甘めのでも大丈夫なら私のオススメ、試してみませんか?グレープフルーツジュースを使っているので疲れにも効きますよ。」
私はマスターに勘定は自分につけるよう言い注文した。
グラスが彼の前に置かれる。
「アイス・ブレーカーです。 砕氷船って意味なんですよ。」
そう私が説明した。
「砕氷船?」
「えぇ、流氷を砕く船です。」
彼は一口飲んで
「うまい」
と言って私を見た。その表情はさきほどより心なしか和らいだように見えた。
このカクテルの様に彼と打ち解けられればいいのに───