さて、音之進は父親が海上関係の仕事をしており金銭面も何不自由なく育った為、○○○の誕生日などに大人の女性に相応しい贈り物をしてくれる。○○○は遠慮しながらも素直に喜ぶので彼はまたあの大好きな笑顔が見られるのだった。

そしてある時、

「あたんこっが好いちょっ」

と顔を真っ赤にしながら必死に好意を告白して来た。いつもは標準語で話すのに、咄嗟のときはこの様に薩摩弁が出てしまう。○○○は大体の言葉の意味は解ったので、

「音之進はまだ高校生なんだから同世代の子の方がいいよ」

とやんわりと断るのだった。
彼女としては可愛い弟分で年下である彼とどうこうなることは立場上も社会通念上も許されない気がしていたのだった。
それでも音之進は彼女に対して贈り物を続けた。


時は経ち、音之進が高校を卒業し大学生になったある夜○○○の家の前で高級外車が停まった。何事かと彼女が見ていると降りてきたのはなんと音之進だった。
免許を取り早速購入してきたのだと言う。

「○○○、これから食事に行こう。」

予約してあると言って連れて来られたのはこの辺り一番の高級店。突然だった為着てきた服があまりその場に似つかわしくないのではとそわそわしていると、彼は高級なシャンパンを○○○にとオーダーし、自分はノンアルコールのシャンパンをフルートグラスで乾杯した。突然のことに○○○は面食らったが、更にたまげたのはプレゼントまで用意されていた事だった。

「ねぇ、これはお祝いか何かなの？」

○○○はそう言葉を発すると、音之進は

「納車祝だ。○○○は祝ってくれないのか？」

と言う。そういうのは自分と家族くらいでやるもんだしなんで私にプレゼントなの？と彼女は呆れたが、久し振りの彼との会話は楽しくて時を忘れたのも事実。
音之進はというとまた○○○の笑顔が見られて幸せだった。