三時間目
夢主人公名前変換
主人公設定主人公は椚ヵ丘中学3年E組所属。
入学当初は最優秀の成績だったが、不登校と素行の悪さからE組落ち。
他人に無関心、無興味。
制服の下に着た白のパーカーのフードで顔を隠そうとする。整頓な顔立ちで誰もが振り向く美形。
学力は超絶優秀。運動神経も抜群で剣道の腕前はなかなかのもの。その他合気道が得意。
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あれから、どこかに行く気にもなれず。
仕方なく家に帰ることにした。
今日はお節介や役立たずも帰りが遅いと言っていた。
おばあちゃんとお手伝いの彼女は、知り合いの展示会を見に行くため外出の予定。
たまには家に一人でいるのもいい。
学校に行きたくなかった、幼い頃。
学校に行った振りをして家の人間がいなくなった後に戻っていたことが多かったな。
あの頃からお節介は大変面倒な存在となっていたっけ。
いや、
あの頃にはまだ…
家に入ろうとしていた足が、ふと、そちらに向いてしまった。
もう、どのくらい入っていないだろうか。
気まぐれに。
今日、踏み込んでしまった学びの場に似た場所へ、気持ちも向いてしまったようだった。
『精神一到』
達筆な文字で書かれ掲げられた指導方針。
凛とした空気が立ち込めているように思う。
体に染みついた習慣が、自然と腰を折らせていた。
家の母屋の横にある此処は、祖父が自分や近所の子どもたちに剣道を教えていた道場。
そんな祖父も、自分が4年生の頃に通り魔事件に巻き込まれて亡くなった。
片隅に置かれている竹刀を振るう気には到底なれなくて。
天井を見上げるように大の字で横になった。
あの教室で、
ナイフを振るった時のあの感覚。
あれは、竹刀を必死に振るい、祖父の技術を身に付けようとしていた頃を思い出させる。
「殺すための技術なんていらない…」
空を掴んだ腕が無気力に床に落ちる。
そうだ。
ただでさえ自分は、
その先の思考は、道場に入ってきた気配に邪魔される。
「誰かと思えば。珍しいこともあるもんだ」
「…、最低」
「いきなり言ってくれるな…、扉が開いていたから見に来ただけだろ」
と言うか何故いる。
今日は遅いと言っていただろうが。
そして、当たり前のように隣に座るな。
「今日は遥さんも出掛けてて、佐久良も遅いのに。道場が開いてたから何かと思ったぜ」
「………」
「なぁ、手合わせするか」
しねぇよ、この役立たず。
いろいろなことの許容範囲が、今日はもうたくさんで。
溢れてしまいそうになっている。
役立たずを横目に見ながら母屋に戻ることにした。
そもそもなんで道場なんかに足を向けてしまったのか。
あぁ、もう。
やっぱり学校になんて行くんじゃなかったんだ。
明日からまたいつもの生活に戻ればいい。
いつも通りの、ただの時間の経過を待つだけの日常に。
『精神一到何事か成らざらん。忍、できないことも、不可能なことも何もない。だからまずは自らが望み、行動するのだよ』
いつかの教え。
でも、自分の望むことなんて何もない。
何もないことは、できないことよりも、不可能なことよりも特殊で。
どうすることもできない。
ねぇ、そうでしょう。
おじいちゃん…