小休憩②
夢主人公名前変換
主人公設定主人公は椚ヵ丘中学3年E組所属。
入学当初は最優秀の成績だったが、不登校と素行の悪さからE組落ち。
他人に無関心、無興味。
制服の下に着た白のパーカーのフードで顔を隠そうとする。整頓な顔立ちで誰もが振り向く美形。
学力は超絶優秀。運動神経も抜群で剣道の腕前はなかなかのもの。その他合気道が得意。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一瞬だった。
奴のマッハ20には劣るものの、どこにその気があったのかと疑うほど自然に近い動き。
気配のない仕草で奴の触手の一本を切り落とし、もう片方の手は奴の胸元に銃を突き付けていた。
奴も大層驚き、動揺したようで気が付けば窓から校庭に飛び出していた。
「な、何を…」
白いフードの下、御劔忍は何もなかったかのような無表情で。
小さなため息を吐くように体の力を抜いた。
あまりにも唐突なことに、動揺した。
おそらく、まるで信じられないものでも見るような視線を自分は向けてしまっただろう。
真っ正面から向き合った、何も感じていなかったその瞳が、微かに揺れ動いたように思えた。
「お、驚きました…、君には、まるで気配がなかった。せんせー、こんなことはじめてですよ」
窓の方からいつものように「ヌルフフフ」と人をおちょくったような笑みを浮かべながら、奴はどこか喜んでいるようだった。
それに対して他の生徒たちは「ホントに驚いたんだろうな」とか「マッハ20で逃げ出すくらいにね」「意外とビビりなんだよ」等々。
そんな生徒達の反応に、御劔忍は踵を返して教室から飛び出して行った。
その行動に、教室の生徒達や自分自身も驚き戸惑った。
何を思っているのか、考えているのかわからない行動ばかりだ。
「俺が追いかける。みんなは授業を再開してくれ!」
いや、本来なら自然なことなのかもしれない。
訳のわからない超生物の暗殺なんて有り得ないような状況にいきなり巻き込まれ、それを目の前にすれば受け入れられないことだろう。
しかし、御劔忍が受け入れられずにいるものはそんなことではないように思う。
山道の森の中。
息を整えるように止まっていた姿を見つけ、声を掛けると、再び動き出す。
このままではまともに話もできない。
引き留めようと掴んだ腕。
そのか細さを感じた瞬間に、体は自分の背後に回り、腕を捻り固められていた。
この子は…
すぐに自分を解放し間合いを開く御劔忍は、自分にした行為を決して傲らない。
それを恥じるべきことであるように顔を伏せた。
「強制しないと昨日聞いた。自分で決めると、そう言った」
「……………君は、そうやって人との関わりを避けているだけではないのか」
「…いけない?
本当の教師でもない奴に、指図される謂れも説教される覚えもない」
これ以上この子を引き留めることは、この子の内側にある何かを壊してしまうように感じた。
立ち去るその後ろ姿は、年相応の弱く小さなものだった。
御劔忍。
初めて会った時にも思ったが、抱えているものは大きいようだ。
その抱えているものが取り除かれれば、問題が解決すればと、本来踏み込むべきではない生徒の事情を案じた。
あの理事長の言葉をふと思い出しながら、教室へ戻るしかなかった。
side.烏間:end.