現代の忍、ボンゴレ影の守護者
捌ノ段
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
此処に来て二日目の朝。
周りで騒がしいほど聴こえていた音無きやり取り、気配の行き来などが薄れていく。
陽が昇ってから抜け出すことなどしないだろうと言う考えなのだろう。
見張り、がいないわけではないだろうが。
それに自分で蒔いた種とも言える。
要求が通らなければ私は此処を出ていく。
あれほど大々的に言い放ってしまったのだから、警戒心を煽った自覚もある。
さて、要求は受け入れていただけるか。
早めに答えを出していただきたい。
早く、早くあの御方の御側に…
「…?」
人とは違う気配。
目を向ければ、入口の隙間が少しずつ開く。
ほんの小さな隙間を、赤い何か、蛇が、這って部屋に入って来た。
なんと想像外の来客か…
蛇とは。
野生、には見えないほど艶やかな品のある蛇だ。
恐らく飼われているのだろう。
蛇は部屋に入ってくるなりこちらに、私の方へ来ると、人を見定めるようにこちらに視線を向けてくる。
随分人馴れした蛇だ。
「何をなさりたいのか」
蛇は私を敵でないと認めたようにこちらにすり寄り、腕を上へ這ってくる。
何をしたいんだ、この蛇は。
しかし、この敵ばかりの地では人ならざる者の方が素直で分かりやすい。
言うならば一時の安らぎだ。
「お前は、良い子だね」
首の近くまで這ってきたその蛇は体と同じく赤い舌で私の頬を舐める。
赤子である家庭教師殿のカメレオンも、人の本質、私の内面を感じ取るに長けるものを持っている。
生き物としての本能的な直感。
主君たる大空の持つ超直感とは比にはならないが、生き物の直感は恐ろしいほどにこちらの本心を感じ取る。
私の寂しさを、感じてくれているのだろうな。
「ありがとう…」
一時の安らぎを与えてくた蛇に、私は、自分の弱さを吐き出さずにはいられなかった。
昨夜吐き出した自分の状況。
それが受け入れられないことは重々承知の上。
ただ、否定されると言うことは、やはり此処から帰る術が断たれているのではないのかと思わされる。
折れるわけにはいかない。
それでも、希望が、願いが、良くない方向を考えてしまいそうになる。
支え続けなければこの想いと覚悟を、強くあらなければならないこの身と誓いを。
私は、絶対に帰るんだ。
帰れるその日まで、叶えるための努力を惜しまない。