現代の忍、ボンゴレ影の守護者
壱ノ段
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迷子とは自分の所在が分からなくなり、目的地に到達することが困難な状況に陥った子供、もしくはその状態を指す。
子供だけではなく、成人でも初めて訪れた場所などでは同様の状況に陥りやすくなり、迷子と呼ばれることがある。
また知的障害や自閉症、認知症の成人にも起こりやすいが、こちらは徘徊と呼ばれることが多い。
つまり、今の自分は迷子である。
決して徘徊ではない。
図書室にいたはずの自分、夜宵巫月は気がつくと緑生い茂る森の中にいた。
どうやら山の中らしい。
ひとまず散策すべく歩き出したはいいものの、なかなか緑の風景から移り変わってくれない。
行けども行けども深い緑ばかり。
視力的に精神衛生上的にも大変良いのだが、今はここがどこかを知るためにも誰か人に逢いたいものだ。
携帯電話の電波は圏外にもなっておらず。
なぜか電波や残りの電池残量、外部との接続状況などを表示するはずの記号表示が何も表示されていない。
もちろん連絡手段は何も意味を為してくれない。
一体何がどうなっているのだろう。
本当に、ここは一体どこで、自分はどんな状況に置かれてしまったのだろうか。
こんな得体の知れない感覚は少し前の未来に飛ばされた時のようだ。
いや、それとも少し違う。
しかし最悪を想定するならばそのように考えていた方が良いのかもしれない。
しばらく歩き回って感じたこの感覚。
ここは、もしかしたら─────
「…?」
森の中を歩き続け、はじめて感じた人の気配。
それも人一人分の気配ではない。
複数人、中にも子供も紛れているようだ。
近付いてきているようだが、自分に気付いている様子ではない。
瞳を閉じれば、暗闇の中に耳から入る音の情報が広がる。
風、緑の葉を揺らす。
離れた場所、いや、そんなに遠く離れてはいない。
子供の足音が、三。
その中の一つが片足を引きずるように走っている。
怪我を、しているのだろう。
後から大人の、かなり大柄な足音が、四、五。
子供を追っているようだ。
状況を察し、暗闇から目の前の現実へと戻る。
自分の足は自然と、足音の聞こえた方向へ向かって歩みを、いや、いつの間にか走り出していた。
人助け、なんてものをする性格ではない。
ましてや初対面の人間と関わることさえ得意ではないのだけれど。
大空たる主君や彼等ならば、きっとこうするのだろうとふと笑みを浮かべてしまった。