現代の忍、ボンゴレ影の守護者
漆ノ段
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私からの提案・要求が余程癪に障り、受け入れ難い様子の緑装束の少年が二人。
騒ぎ立てるように不満の罵詈雑言を言い放ち、恐らく本心は同じように納得していないであろう他の緑装束の少年に引きずられるようにして部屋を出ていった。
残ったのは土井半助のみ。
静寂。
いや、部屋の外の気配や音無きやり取りは続いている。
私は言うべきことを言った。
後は答えを待つのみだ。
あの学園の長たる大川殿がどのような答えを出すかは想像できないが、私としてはどちらでも構わない。
在るべき場所へ帰る術が見付かれば、それでいい。
「君は、本当に先の世から…?」
「先程申し上げた通り」
「一体どうして…」
「………私にもわからない。わからないから、こうして此処にいる」
本当に、どうして。
神を自称した白い悪魔。
奴の仕業と言われれば幾分納得できる気もするが。
大空の役割を持つ虹の幼子と出逢った奴は、あの未来で出逢った時とはまるで違う者となっていた。
誰の仕業でもない。
何かの結び付きによって起きたこと。
今はそうとしか思えず、考えることもできない。
「君が忍びなのは…?先の世でも戦や争いは絶えないのかい?」
「……………説明する必要はない。貴殿にもいい加減退出願いたい」
夜も更けた。
いつまで言葉を交わしても私の欲しい答えはない。
ならばこの会話に意味などないのだ。
土井半助はまだ何か言いたいことがある様子であったが、「そうだね、君も疲れただろう。今夜はもう休んだ方がいい」と席を立った。
この後もまた部屋の前で見張り続けているのだろうが、先程自分で此処から出ることなど容易だと発言してしまったため、監視が強まるのは当然と言える。
それでも、抜け出ようと思えば可能であるが。
「………忍である君が忍術学園に来たことは、何かの縁の巡り合わせなのだろうか」
「……………私の知ったことではない」
そんな巡り合わせ、私には地獄でしかない。
私が何をしたと言うのか。
何故主君たる大空の御側を離れなければならない。
何故自分が自分で在りたい場所を、居場所を奪われる。
帰して、私を帰して…
「君は、本当に強いんだね」
「……………」
そう言いながら立ち去る土井半助の表情は、決して私のことを強いと思っているものではなく。
哀れむような、同情しているかのような。
大人が幼子を見るそれであった。
向き合うべき相手がいなくなり、一息が零れる。
先程から、いや、最初からそうであった。
警戒や疑念を抱きながらも、それでも私をただの子どもと見ようとする。
自らの教え子たちと重ねて私を見ている。
やめてほしい。
私は、あの子たちのような純粋な存在ではないのだから。