現代の忍、ボンゴレ影の守護者
陸ノ段
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座敷牢を出れば、外はもう暗がりで天上にはまばらに星が光り始めていた。
山本シナと名乗った女に手を引かれながら学園の中を進んでいく。
初めて足を踏み入れた時、昨日の時点は気付かなかったが、思ったよりも広い敷地のようだ。
ふと、背後から刺すような気配を感じる。
強いものではなく、微量の、離れて様子を窺っているような。
恐らく緑装束の、六年生と呼ばれていた少年たちの何人かだろう。
それに別の、先程比べれば少しばかり幼い気配。
別の場所から感じるのはまた違う、警戒心を孕む物。
こちらは黒装束の教師陣営だろうか。
こちらに敵意は無いと伝えたが、どうにも言葉では理解し合えないようだ。
当然と言えば当然か。
「ここからは男子禁制。何も気にする必要なんてないわ」
「……………」
浴室の脱衣所。
確かに様々な気配は遠くなったものの、目の前にはにっこりと笑みを浮かべている山本シナと名乗る女。
何も気にするなとは、無理難題である。
「………入らなければ、「はい、ダメです」
人の言うことを遮るな。
どう足掻いても目の前の女は自分を風呂に入れたいようだ。
身体検査も兼ねてのことなのだろうか?
いつまでも此処で押し問答のようなやり取りをしていても致し方がない。
腹を括ることとしよう。
何を思うことも、感じることもない。
「………先に言っておく。見苦しいものだ」
「? …っ」
トライデント・モスキートの名を持つ医者ならば、跡形もなく消すことができると言った。
しかい、この身に受けた傷のひとつひとつが、自分にとっては生きた証であり、忍としての覚悟であり、私と言う軌跡だった。
故にどんなに蔑まれても、貶され罵倒されても。
この傷に恥じることは何もない。
最初こそ言葉を失った様子の山本シナと名乗った女だったが、持ち直したように自分の着物も脱ぎ、先程同様に浴室へと私の手を引いていく。
檜風呂。
何故だろう、シャンプーとリンスがあった。
…此処は何時代なんだ。
洗わせろと言う山本シナと名乗った女に背中を向けながら、この女の本性はいつになったら現れるのかと考える。
無駄な話ばかりをして言葉を並べているが、それが本心からの言葉ではないだろう。
結局、背を向けている間には何も起こらず。
湯船に浸かりながら、女は本当に心地良く湯浴みをしている様子だった。
何を考えているのか、わからなくなる。