現代の忍、ボンゴレ影の守護者
伍ノ段
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土井半助が訪れてからしばらく、いや、正確にどのくらいの時間が経ったのかはわからないが。
おそらく昼頃にでもなっただろう。
入口に目を向ければ、藍色装束の人間がいた。
あの山の、森の中で傷だらけになっていた片割れか。
此方に気付き、おどおどしながらも近付いてくる。
牢を境に此方を見てくる藍色装束の人間は、何かぶつぶつと呟きながら、挙動不審な行動を繰り返す。
何なのだろうか。
「ぁ、あの…!!ありがとうっ!!」
「……………」
「…ぇ、ぁ。やっぱり自己紹介が先だったかな。でも、助けてもらったお礼しか言ってなかったし。あぁ、でもやっぱり初対面に近い状態なわけだから…‼️」
本当に、何なんだ。
勝手に一人でぶつぶつと。
しばらく放っておけば、一人で勝手に落ち着いた。
森の中で助けた時もそうだった。
今といい、なんでそんなに簡単にお礼が言えるのか。
善法寺と名乗ったあの緑装束と同じく、忍らしくない。
「僕は五年の不破雷蔵と言います。改めて、」
「礼は聞き飽きた」
「ぇ、で、でも…」
「聞き飽きたと申し上げた。何より、礼を言われたくてしたことではない」
優柔不断な目の前の、不破雷蔵と名乗った藍色装束の男にはっきりと言い切れば、「そう言うなら…」と納得したようであった。
静寂。
は、一瞬だった。
不破雷蔵と名乗った目の前の男が再びぶつぶつと呟き、挙動不審な行動をはじめたからだ。
同じ行動の繰り返しにため息が漏れる。
「用が済んだなら去れ」
「ぃや、あの…」
優柔不断も良いところだ。
何に悩んで、迷って、言葉を詰まらせているのか。
言いたいことがあるならば言えばいいだろう。
腹を括ったように、彼は真っ直ぐこちらに視線を向けてくる。
その瞳に迷いはないようで。
自分の力で決断すれば、その意思は固いのだな。
「僕は、君を敵だと思えないんだ。でも…、先輩達や周りの皆は君のことをどこかの間者じゃないか、敵じゃないかって言う。だから、君のことを知りたくて、話をしに来たんだ!」
「……………優柔不断な癖に、周りに流されないとは」
不破雷蔵と名乗った男は照れたような笑みを浮かべた。
今の言葉は別に誉めたわけではない。
何より、そのまま周りに流されていれば今自分の目の前に彼はいなかっただろう。
忍術の学舎であるこの場所の人間との関わりなんて、避けて通れるならばそうしたい。
「君は、僕と三郎を助けてくれた。あんな圧倒的な不利な状況に割って入る危険をわざわざ侵して。そんな君を、僕は疑えない」
「………それが作戦だったとしても?」
「それなら、君は相当な嘘つきだね!騙されて仕方ないと思うよ」
優柔不断な癖に。
本当にこれと思うことには一途なものだ。
笑いかけてくる不破雷蔵は何がそんなに楽しいのか。
警戒や疑念の気持ちはまるでない。
一度助けたためなのか、完全に安心しきっている笑みだ。
挙動不審な行動よりも、何よりも厄介に思う。
こんないらない繋がりや関係を作るために此処にいるわけではないんだ。
また一人いろいろ話し出した彼は先程までの優柔不断とは違い、勝手に自分で決断して、話を進めていく。
本当に、何なんだか。