現代の忍、ボンゴレ影の守護者
肆ノ段
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優しさに絶望した。
その優しさは、今自分が最も恋しく思っているもの。
でも違う。
敬愛するあの御方の、天候を司る方々の、そのお側に集まる者達の優しさとは。
私が受けてきた優しさとは違うのに…
それでも、重なってしまう。
上塗りをして、消そうとする。
光景が薄れてしまう。
居場所への道しるべが、希望の光がなくなってしまう…
『巫月…、巫月………』
『道具に心は要らぬ。お前はただ主君の刃たる存在、影であれ』
影…
私は、影。
射し込んでくる陽の光が、座敷牢の中に影をつくる。
薄暗い、淡い光では朧気な影しかできない。
光が、欲しい。
慣れてしまった光の世界。
もう、暗いのは、一人では耐えられない。
「大空………」
『影の如く忍べ、影であれ』
"あの人"の教えばかりが聴こえる。
果たしてそれが打ち砕かれそうになっている己の弟子を心配したものなのかはわからない。
憂いているのか、怒っているのか、貶しているのか。
そのどれでも別段おかしくはない。
私が夜宵巫月となり、心を持ってしまった時点で、私は"あの人"の教えを裏切ったのだから。
命を救われた。
生きる術をもらった。
でも。
『巫月は、巫月のために生きて欲しい。俺や守護者のみんなとか、誰かのためじゃなくて』
『巫月は巫月でいてほしい』
『巫月が影でいたいなら、それは否定できることじゃないけど…、でも!』
『俺や、俺たちの望む影は、側にいてくれる、何かあった時には互いに助け合える影だから』
主君たる大空。
私に心をくれた。
居場所をくれた。
命を認めてくれた。
生きることを望んでくれた。
私は忍で、影だと言うのに。
見えていた景色を彩りでいっぱいにしてくれた。
───── 与えられた折れぬ心、せいぜい大切にするといい
「……………そうします」
影は、光に掻き消された。
ただの刃でしかなかった存在に与えてもらったこの心は、大空たる主君たちと共に笑い合うことのできる心。
悔やんだり、悲しんだり、辛い気持ちを抱えることは主君たちと共に痛みを共有し、支え合うため。
今、一人を憂い、絶望するためではない。
心を得て、本当の『忍』となれた。
ただの暗闇に巣食う『影』ではなくなった。
私は、夜宵巫月には繋がる存在が多くある。
負けてはならない。
強くあらねばならない。
私は絶対、大空の元に還るのだから。
肆ノ段:終