現代の忍、ボンゴレ影の守護者
肆ノ段
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
学園の長である大川殿は昨日顔を合わせた時と何も変わらない表情でこちらを見ていた。
周りの人間は以前にも増した警戒、嫌悪で今にも刺殺さんばかりの鋭い殺気を向けているにも関わらず。
なんと酔狂な御方か。
やはり、9代目に似た雰囲気をお持ちだ。
組織の上の立つべき長たる者の風格と言うか、共通する特徴とでも言うのか。
相手にすることも難しい。
何を考えているのか予想も付きはしないからだ。
「疲れたので休みたいと仰っていたのに、夜の散歩に出掛けられるとは如何なものかな」
「………腹の探り合いをするつもりはない」
「ほほほ、短気な者だ。では率直に申し上げよう」
空気が張り詰める。
静まり返る座敷牢で学園の長たる大川殿は、何か悪戯が成功したような子どものように笑った。
それは幼き日の自分に9代目の見せた笑みと同じ。
「帰り道が見つかるまで、この学園で過ごされよ」
『君は今日からファミリーの仲間だ』
あぁ、優しくしないでいただきたい。
思い出に重なる光景を見せないで。
甘えてしまいそうになる。
恋しくてたまらない想いで胸が痛い。
枯れ果てたはずの涙が零れ落ちそうになる。
私は、此処にいるべき人間ではない。
「「「学園長!!!」」」
「思い付きも大概にしてください!!」
「そうですぞ!!生徒たちに何か被害が出てからでは遅いです!!」
「しかし!!この者がいたからこそ、負傷したはずの鉢屋三郎、不破雷蔵は助かったのじゃ。この者に助けられた命は多い」
やめてくれ…
お願いだ、聞きたくない。
「し、しかしですな…」
「一度学園から逃げ出しているのですぞ!」
「あの小松田君の目を掻い潜って抜け出すほどの実力、得体の知れぬ者に違いはないのです!!」
「えぇぇーい!黙らんか!!これは決定事項じゃ!!」
私には、大空たる御方の、あの個性溢れる天候たる方々の。
騒がしくも心地良い、奇想天外な出来事が起きるあの土地の。
あの日常に、世界に帰りたいだけなのに。
「夜宵巫月を我が忍者学園に迎える!異論は認めん!!学園長決定じゃ!!!」
この世界の私の居場所など、いらない。
まるで帰れないかのように。
この場所で生きていくしかないように。
私を繋ぎ止めないで。
私は、帰らなければならないのだから。