現代の忍、ボンゴレ影の守護者
零ノ段
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主君たる大空、沢田綱吉様。
あの御方こそ光であり、世界であり、私の存在意義となった。
出逢いは、リング争奪戦。
初めてみたあの御方は、何の穢れもない普通の少年だった。
こんな少年がマフィアの抗争に巻き込まれているとは、最初に感じたのはただの興味に近いもの。
それから争奪戦を通して彼等を見続けた。
あの御方は、自分が触れてはいけない澄んだ青い大空であった。
その御側にある天候の名を冠する者たちも。
血や闇の黒いものに穢れきってしまった自分が触れてはいけないものだと感じた。
戦いの中でも変わらずに在り続ける姿に、穢れずに輝き続ける光が眩しくて。
裏に、闇に生きる自分の目を眩ませた。
自分とは違う。
影である自分が近づいてはいけない。
そう思った。
『君は………、君は、どうして…』
傷を負った自分に向けられた瞳は、敵である存在である自分に向けられるものではなかったはずなのに。
あの御方は卑しき草の、影である自分にも心配の視線を向けた。
なぜだろう。
私は影。
忍である自分は、ただ主君の刃、道具でしかない存在。
あの御方は、彼等は優し過ぎた。
仲間を思いやり、誰も傷付くことを望まない。
9代目様のお言葉の意味を察した。
あのXANXAS様の力を、意思を打ち破った御方の姿に、何故か頬を涙が伝い落ちていた。
『俺は、俺たちはただ、日常に戻りたくて。みんなで笑い合いたくて』
『良かったら………、君に、仲間になってほしいんだ』
敵であった相手に情けをかけ、争奪戦の終結以外を望まず。
ましてただの影である自分に手を差し伸べるなんて。
このリング争奪戦の前にも彼は命を狙われたと聞く。
その命を狙った相手さえも許し、仲間に引き入れた。
彼は、まるで全てを包み込むような包容力と魅力も持ち合わせていた。
私は影。
光あるところに影はできる。
ならば、私は。
『私は影である忍。貴方様方の戦うため、守るための刃となる。私は、私でありたいと思えるこの場所に在り続ける』
私は影として在り続けた。
大空たる主君たちの御側で、共に。
最初はぎこちない関係であった。
道具としての所有者が変わっただけだと思っていたが、
あの御方や、彼等から見れば敵方の人間が加わってきたのだろうから戸惑いは必然。
主従ある関係の中で生きてきたため、対等な関係を築くやり取りに慣れるまで時間が必要だった。
それでも、いつの間にか、ただの影としてではなく、私として、夜宵巫月としていられる場所になっていた。
ずっと抱えていた違和感、胸の深く深く奥底にあった感覚が、まるで氷のように彼等の温かさに溶かされていった。
羨望していたのかもしれない。
光に包まれた温かな場所を、影としてではなく、一人の人間として、自分が自分としていられる場所を。
大空たる主君たちと過ごす時間を重ねる中で、私として私として、存在意義を感じることができた。