現代の忍、ボンゴレ影の守護者
肆ノ段
名前変換
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笑い掛けて去っていた善法寺伊作と名乗った少年の姿に、後からやってきた長髪の、容姿の整った少年は溜息をこぼした。
この少年、門前で対峙した際に、一人こちらの様子を伺っていた奴か。
その胸の内は、上辺だけだが察することは容易にできる。
彼は仲間からも忍には向かないと思われるような人間なのだろう。
こんな得体の知れない人間に笑みを向け、名前を呼ぶなんて。
あの御方に初めて名前を呼ばれた時も、そうだっただろうか。
「伊作は籠絡できても、他の連中も同様とは思わぬことだ」
「………」
「妙なことをすれば、我々は貴様を排除する」
籠絡、排除。
この少年は異分子である私の存在を嫌悪しているのか。
消されても構わない。
命など惜しくはない。
悔いなどありはしない。
心の内で全てを諦めている自分が言う。
それでも。
冷ややかに、刺さる様に敵意を向ける視線がぶつかる。
余程この学園のことを想っているのだろう。
それは素晴らしく、輝かしい想い。
私などと言う存在を許すことができないのも頷ける。
それでも、それでもなのだ。
「好きにすればいい」
「っ…!?」
「私は、死ぬ気で生きると誓った。こんなところで死ねない、死ぬわけにはいかない」
生きなければならない。
帰らなければならない場所がある。
みっともなく生にしがみつく。
もう一度、あの御方の側にあるために。
暗い座敷牢を薄明かりが照らし始めた。
夜は明けたらしい。
きっと、青空が広がっているのだろう。
それでも影はできる。
光が眩しければ眩しいほどに、影は大きく、濃く現れる。
私は、在り続ける。
「お前…」
何か言い掛けた少年だが、座敷牢に近付いて来る複数の気配に気付き、その場に控えた。
やって来たのは学園の長たる大川殿。
黒装束の人間が複数人。
その中には土井半助なる男や森の中で顔を合わせた男もいた。
今の会話、どこまで聞かれていただろうか。
聞かれていたのであれば、話すことは何もない。
私の覚悟も、意志も。
あの言葉が全てなのだから。