現代の忍、ボンゴレ影の守護者
参ノ段
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本来属性ではない死ぬ気の炎を灯すことはできない。
しかし、影の守護者である自分には、全ての属性のリングを灯すことができた。
それは気配を偽る影の特性、あるべき姿。
『決して表舞台に立つことはなく、全てを裏から行う』
ボンゴレとしての影の役割。
晴の属性のリングによる活性で彼等の傷を少しでも癒せればと思った。
雷蔵と呼ばれた方の少年の傷を治し終わる頃、リングは私の本来の属性である炎に耐えられなくなり、砕けてしまった。
あぁ、もうこの世界で傷ひとつ負うわけにはいかなくなった。
たまたま持ち合わせていた晴のリングだったのに。
致し方ない。
「お前…、何者だ………」
「……………もう学園まで帰れるだろ」
私も、自分の居場所へ。
元の世界へ。
打ち倒した忍連中も直に意識を取り戻す。
この場所からも離れなければ。
それでも、手掛かりはここにしかないと言うのに。
どうすれば帰れる。
どこに道標があるのだろう。
また、さ迷い歩くしかない。
現実から目を背けて。
「ぁ…、待て…!!」
藍色装束の少年の言葉に足を止めた。
と、殺気を孕んだ気配が近付いてくる。
あぁ、しまったな。
追い付かれてしまったか。
気配から距離を置くために藍色装束の少年たちから少し離れると、私と少年たちの前に先程学園で対峙した緑装束の少年達が現れる。
退路を断つように黒装束の、恐らく教師の人間達が取り囲んでいる。
この人数相手に立ち回るのは厳しいか。
いや、この森に何もなかったことを知った。
それは自分がよくわかっている。
受け入れるしかないんだ。
現実を。
逃れられない、この世界を。
「貴様、やはり間者だったのか…!!」
「よくも後輩たちを!!」
「っ、違います先輩!この人は俺達を助けてくれました」
どうすれば逃れられる。
握り締めた銀色の絆。
どうか私を支えてください。
大空の主君たる御方よ、私を元の世界へ導いてください。
「………自分がどのような立場か理解しているね」
「あぁ」
「結構。一先ず学園に戻り、君の身柄は拘束させてもらう」
学園の長たる大川殿の隣に控えていた黒装束の男の言葉に、何も答えず、ただ力を抜き両の手を上げた。
抵抗しても互いに要らぬ傷を作るだけだ。
それに、もう手掛かりはない。
ならば学園に残した荷物の元に戻るのもいいだろう。
諦めたわけではない。
しかし、私の中の焦りが心をざわつかせ、希望的思考を打ち砕こうとする。
私は、帰るのだろうか。
この世界から、逃れられるのだろうか。
参ノ段:終