現代の忍、ボンゴレ影の守護者
零ノ段
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私は影だ。
私には並盛中学生徒会長よりも特殊な肩書きがある。
ボンゴレ10代目ファミリー、影の守護者と言う肩書きが。
自分は影であると幼少の頃より教えられ、そのように在るように育った。
産みの親のことは顔も名前も知らない。
影であること、影である方法、生きるために必要な全てのこと。
何もかもを師匠と呼ぶべき人から教わった。
『忍びとは影だ』
『主君たる者のためにその命の全てを尽くせ。主君たる者の道具、それが為すべきこと』
『影に己は必要ない。己を愚弄し、ただ主君の刃たれ。決して表に出ることはなく、世に忍べ』
『巫月、影の如く忍び続けるのだ』
影とは忍、忍とは影。
影であることを、裏に生きることを謳った。
そんな教えに自分は従い続けた。
親ではない。
ましてや家族のような存在でもない。
生きる道筋を示してくれた、師匠と呼ぶべき“あの人”のことを、自分はどう思っていたのか。
今でも、わからずにいる。
"あの人"との別れは突然だった。
深くは思い出したくない。
裏に生き、ただの影として在る日々が続いた。
闇が体に纏わりついてきた。
やがて錆び付いた血の匂いが染み付き、もともと乏しかった感情が破綻し、人としての心など欠片もなくなった。
違和感があった。
体にも、あるはずのない心にも。
それでも裏で、影で、闇で在り続けた。
『俺に従え』
知らぬふりをし続けた罰は、すぐに自分の身に降りかかった。
違和感は行動を鈍らせ、ある時失敗した。
死んでもおかしくないような傷を負い、暗闇の路地裏で動けなくなった。
このまま朽ち果てるのだろう。
それが運命なのだと、死を覚悟していた。
その時。
自分に声をかけたのは、紅い炎を灯す瞳の男。
彼との出逢いが、今の自分の一部を作っている。
師匠と呼ぶべき“あの人”が生きる証を与えてくれたならば。
彼は。
XANXAS様は、私に主従の標を示してみせた。
そうして自分は9代目様の御許しを受け、マフィア・ボンゴレの一員に。
XANXAS様の部下となった。
そう、最初付き従った主べき御方はXANXAS様だった。
暗殺部隊の名の元に集う、同じ裏に、影に、闇に生きる方々と知り合うことができた。
彼にどんな理不尽で、不遜な、蔑まれるような態度をされても付き従うことができたのは、彼に尊敬の念を抱いていたことに他ならない。
ただ、それでも胸の奥底、深く深くにあるものは消えずにいた。
強さこそが、力こそが全て。
自らの意思と信念を阻むものを排除する。
その彼の手となり、足となり、道具となり付き従う。
それが、影である自分の役目である。
あの頃はそれが真実であると思っていた。
『君はもう立派な1人の人間だよ。綱吉君たちに逢えば、君はきっと変われる』
『君に、彼の守護者になってほしいと心から思っているよ』
影の守護者。
9代目様が下さった、役割。
その証しは、小さな銀の欠片に過ぎなかった。
それが何故か愛しくて、手離したくなくて。
影だった私は光を求めていた。
いつの間にか輝く光に惹かれ、日向の世界にいきたいと願ってしまった。
私は。
自分自身の存在意義を探し求めていた。